('A`)が神を認めないようです。
- 18: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:07:51.56 ID:4C9RyMjW0
- いきなりのクーの提案に驚いたが、協会に一度戻ってみる事は以前から考えていたらしい。
ただ、手がかりとなるものがあるかどうかは全然わからないとの事。
しかし他にいい考えがあるわけでもなく、善は急げということであのあとすぐ出発になった。
協会へはクーの空間から直接リンクしていて、
一瞬でたどり着くことができた。
弟者さんは、向こうに残って一度元人軍の人たちと連絡を取り、
何か情報がないか探してくれるらしい。
- 20: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:09:52.60 ID:4C9RyMjW0
- ('A`)「ここが…協会?」
( ^ω^)「おー…。ひどいもんだお。」
(*゚∀゚)「…完全に廃墟になっちゃったね。」
クーの説明で学校のようなものを想像していたのだが、
視界に広がるのは瓦礫ばかり。
割れたガラスやコンクリートが散乱し、
いたるところに焦げたあとが残っていた。
- 21: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:11:32.89 ID:4C9RyMjW0
- ('A`)「これは…」
川 ゚ -゚)「あぁ。神が破壊したんだ。」
(´・ω・`)「話には聞いていたんだけど…ね。」
ξ゚听)ξ「どんな暴れ方をすればこんな風になるっていうのよ。」
ツンの言う通り、あらゆるものが破壊されている協会。
意図的に破壊して回ったとしか思えない程だ。
(*゚∀゚)「協会には何人かの契約者が住んでたから…。まだ能力の使えないような小さい子も。」
(´・ω・`)「成長すれば敵になるかもしれない。だから今のうちに…。」
(*゚∀゚)「協会に勤める契約者達も抗戦したんだけど、皆殺されちゃったんだ…。」
- 23: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:13:07.89 ID:4C9RyMjW0
- 酷い話だと思う。
殺された子供達にはまだいろんな可能性があった。
契約者という違いはあっても、俺たちと同じ人間だ。
それをあっさり壊してしまう神。
('A`)「…契約者って大勢いたんだろ?それでも敵わなかったのか?」
川 ゚ -゚)「大勢といっても、せいぜい十数人だ。
私は協会が襲われたことを後で知ったんだ。ショボンとつーも当時は知らなかった。」
(*゚∀゚)「知ってたら当然援軍に行ってたよ…。」
- 24: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:14:58.67 ID:4C9RyMjW0
- ('A`)「いつ知ったんだ?協会が襲われたことを。」
川 ゚ -゚)「私が君と始めてまともに能力の訓練を始めた時のことを覚えているか?」
( ^ω^)「お?ブーン達と一緒に訓練を始めた時かお?」
ξ゚听)ξ「つー達と始めて出会った時よね。」
川 ゚ -゚)「その時、つーから連絡をうけて協会が教われた事を聞いたんだ。
それで協力して神と戦う事に決めた。」
(´・ω・`)「生き残った契約者は皆なんらかの理由で協会にいなかった者たち。
さらにその中でもしばらく協会と連絡をとっていなかった者に限られる。」
- 25: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:16:57.37 ID:4C9RyMjW0
- (*゚∀゚)「私達が以前協会と揉めた事は知ってるよね…。
私のせいなんだけど、それ以来協会とはあまり連絡をとっていなかったの。」
つまりクー達が事を知ったのは全てが終った後。
そう、神の手によって蹂躙され尽くした後だったのだ。
ざっと見渡すだけでもそれらはとても人一人の手によって行われたものだとは到底思えない。
だがそれを可能にする唯一の生物。
('A`)「全部…。何もかもあいつが奪ったんだな。」
平和な世界。契約者と人間のバランス。大切な人。大事なモノ。
それらの全てを暴力という名の破壊で奪っていく神。
その行動の裏にはどういう意思があるんだろうか…。
世界征服なんてものであるわけがないし。
なにか…あいつにも理由があるんだろうか。
- 27: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:18:51.17 ID:4C9RyMjW0
- 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
時は遡る。
時期はクー達が神を倒そうと訓練を始める少し前。
そう…。協会が破壊される前。
「せんせー。給食のプリンあまってるやつ、俺が食べていい?」
「あ!ずるーい! 私だってプリン食べたい!」
「えー!僕だって欲しいよ…。」
/ ゚、。 /「おいおい…。ケンカするんじゃない。いつも言っているだろう?
余ったプリンはジャンケンだ。」
- 30: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:20:45.39 ID:4C9RyMjW0
- さっきまで今にも掴み合いになりそうだった子供達は、
先生と呼ばれた一人の青年の一声で、ふざけ合いながらジャンケンを始める。
どこにでも見られるお昼のひと時。
それはこの協会でも変わらなかった。
( ゚д゚ )「ダイオード先生。少し来てくれないか。」
そう言って現れたのは、額に汗を浮かべた小太りで背の高い男だった。
年のころは40半ばといったところだろうか。
走ってきたようで息もあがっている。
/ ゚、。 /「どうしたんです?ミルナ先生。そんなに慌てて…。」
- 31: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:23:09.18 ID:4C9RyMjW0
- ダイオードと呼ばれた青年は訝しげな表情で男を見つめていた。
この協会の中でアクシデントというのはそうそう起こるものではない。
人間の世界と比べ、絶対数の少ない契約者の世界では、
あまり大きな揉め事はなく、皆穏やかに日々を過ごしていた。
時々起こるアクシデントと言えばほとんどは人間との関係で何かがあった時で、
それでも授業が終ったあとの会議で事足りるものだった。
ましてや、ミルナと呼ばれたこの男は、今でこそ小太りで子供にぶっちょ先生などと
からかわれたりしているものの、昔は鍛え上げられたその体で
世代トップクラスの契約者として名を馳せていた。
ギコも彼に憧れ、慕い、師とあがめて武術を叩き込まれた。
だが性格は基本的に穏やかで優しく、
今回のようにやすやすと子供達に不安を与えるような行動をとる事は記憶に無かった。
- 32: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:24:41.10 ID:4C9RyMjW0
- 「ぶっちょせんせーだー!」
「わー!こっちみるなwww」
( ゚д゚ )「すまない。今先生はちょっと忙しいんだ。少しの間ダイオード先生もいなくなるけど、
いい子にしているんだよ。」
子供達はあまり事態がわかっていないらしく、「はーい」と返事したあとまた騒ぎ始めた。
そんな光景を横目にすぐ帰ってくると言い残し教室を出たダイオードは
ミルナに説明を求めた。
/ ゚、。 /「どうしたんですか?随分いそいでいるみたいですが…」
( ゚д゚ )「とにかく協会長の部屋に行きましょう。話はそれからです。」
そう言い駆け出したミルナを訳がわからない様子でおいかけるダイオード。
だが、ミルナの雰囲気からただ事ではないのは明らかだった。
- 33: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:26:30.59 ID:4C9RyMjW0
- / ,' 3「急に呼び出してすまなかった。」
椅子に腰掛けていた初老の男。
この男こそが契約者をサポートし、人間との関係を円滑に進めるために欠かせなくなった
協会という施設の長、荒巻だった。
白髪は綺麗に撫で付けられ、口元にたくわえた髭は穏やかな人柄をかもしだしていた。
/ ゚、。 /「それは構いませんが…。何事です?」
( ゚д゚ )「他の人間は皆集まってるようですね。それでは話を始めます。」
それからミルナと荒巻によって聞かされる事となった話は、
他の協会に勤める人間達にとって想像もしたくない事だった。
内容は非常に単純だ。
神が―――協会に攻めてくる。
- 34: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:28:22.89 ID:4C9RyMjW0
- /^o^\「そんな…。ナンテコッタイ。」
( ・□・)「どうにもならないんですかー?」
神の存在は十分に知っている。
契約者の歴史の中で前代未聞の最悪な事件を起こした男。
彼のせいで契約者の存在は最早人間に隠す事はできなくなった。
新しく契約しようにも、状況的に契約する人間を慎重に選ばざるを得なくなり、
結果的に人間との契約を結べない契約者が増えてしまっている。
そう。今ここにいる契約者達は皆人間との契約をしていない。
つまりレイが手に入らないため使える能力に限界があるのだ。
- 37: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:30:11.80 ID:4C9RyMjW0
- / ,' 3「仮に我々が契約していたとしても、最早今の彼を止める事などできはしないだろう。」
(; ゚д゚ )「本当に…限定解除を…?」
聞きなれない言葉を耳にする職員達も今はそれどころではなかった。
相手はレベル500を超える、契約者史上最悪で最強の敵。
それらに対して身を守る術など存在しないのだから。
( ・□・)「荒巻さんが責任を取ればいいんじゃないですかー?」
/^o^\「ここに来て誰かをスケープゴートにすれば助かると考えているなんて…。ナンテコッタイ。」
本人達の性格上口ぶりは間の抜けたものだったが、
発している言葉から動揺を感じ取るのは容易かった。
これまで協会内での揉め事など皆無だったのだから。
- 38: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:32:02.18 ID:4C9RyMjW0
- / ゚、。 /「…とりあえず、子供達だけでも逃がしませんか? 自分の空間に閉じこもらせれば神も簡単に手出しは…。」
/ ,' 3「そうだな。神…モララーが襲ってくるまでには、まだ少しの余裕があるはずだ。
子供達の事は頼んでいいかな?」
/ ゚、。 /「任せてください。では、一度教室に戻りまs」
「その必要はないよ。」
ガラッと音を立てて扉を開けた先に一人の男が立っていた。
見た目は普通とは言いがたいが、それでも決して世界中を恐怖に陥れているようには見えない。
明るい色をした長髪。細身のスーツ。
ジャラジャラとしたシルバーのアクセサリー。
それらが与える印象は一般的にいう「チャラ男」や「ホスト」。
そのルックスからは強さというものなど欠片も感じられない。
だが―――
- 40: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:33:30.56 ID:4C9RyMjW0
- /; ゚、。 /(こんな…こんな人間が存在するのか…。目を合わす事すらできない…。)
(; ゚д゚ )(なぜだ!? ここに来るのはあと数時間後のはずじゃ…。)
(・∀・)「どうも。お久しぶりです先生方。」
その男――モララーはまるで卒業生が母校に顔を出しに来たかのように挨拶を始めた。
しかし、その体から発される威圧感は、目的は決して友好的なものでは無い事を表していた。
/ ,' 3「モララー。子供達を…迎えに行く必要がないというのはどう言う事かな?」
- 41: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:35:11.13 ID:4C9RyMjW0
- 誰もが言葉を発せずにいた中で、初めてモララー意外に喋ったのは協会長の荒巻だった。
その口調はいつものように優しさに溢れたものではなく、
何かの感情を押さえ込んでいるように聞こえる。
(・∀・)「荒巻先生。お元気そうで何よりです。」
そんな荒巻の様子を気にも留めず、噛み合わない返答を返すモララー。
まだ年の若いダイオードはただ震えていた。
目の前で飄々と軽口を叩いているモララーにも、
圧倒的プレッシャーの中で感情――そう、怒りの感情を押さえ込んで話している荒巻にも。
隣を見るとミルナは額に汗を浮かべている。
しかし、その表情は恐怖によるものより子供達の安否を心配しているようだ。
他の二名の表情はまるで時が止まったかのように動いていない。
- 43: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:36:38.61 ID:4C9RyMjW0
- いや…。
表情が変わらないのは確かだった。
だが二人の顔は動いた。
恐怖に顔をひきつらせたまま、下に落ちるという動きで。
(・∀・)「質問の返答ですが…、もう子供達を迎えにいってもこの二人のように首はありませんから。」
そう言って手にもった日本刀を構えニコリと微笑んだ。
/# ,' 3「――貴様をこれ以上放って置くことはできん!コール!」
- 44: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:38:18.11 ID:4C9RyMjW0
- 荒巻が叫んだ。
空間に現れた柄を引き抜くと現れたのは1本の日本刀。
その刀身はただ美しく、まるで濡れているかのように滑らかだ。
(・∀・)「こわいこわい。私は剣の能力は持っていないので、これはただの日本刀ですよ?
それに対して『草薙の剣』とは…。最早いじめですね。」
/# ,' 3「いつまでも軽口を叩くなよ若造が!!!」
重心を低く下げ、一気に跳んで距離を詰める。
それに対してモララーはやれやれと首を振り、バックステップで距離をとる。
/ ,' 3「ミルナ先生!援護を!」
( ゚д゚ )「もう発動させてますよ!」
- 45: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:39:41.18 ID:4C9RyMjW0
- モララーの背後には3本の槍が空中で待機していた。
それに気づいた瞬間猛スピードで襲い掛かってくる槍。
前面からは荒巻が距離を詰めてきている。
(・∀・)「大した連携ですね。」
今度はサイドステップで槍をかわす。
すると槍の向かう先は当然荒巻の方で――
( ゚д゚ )「コール!」
だが、それは荒巻に命中する直前に消失する。
ミルナが新しい能力を発動させた為だ。
- 47: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:41:13.86 ID:4C9RyMjW0
- (・∀・)「ほぉ…。さすがは『剛剣ミルナ』ですね。 近接攻撃に長けていると聞きましたが、
能力の使い方も素晴らしい。」
/ ,' 3「いつまで余裕を見せとるつもりじゃ!」
そう言い終わると同時にモララーの体を強烈な重力が襲う。
おそらく先ほどのミルナが新たに発動させたものだろう。
およそ300kgはあると思われるこの重力の中では、
いかに肉体を改造した自分でも思うようには動けない。
/ ,' 3「モララー!これで貴様の計画も未来も断たせてもらう!」
その胴体を二つに切り裂いた。
アンチソードをかけているからの余裕だと思い、
追撃として即座にミルナがフレイムランスを打ち込む。
- 48: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:42:41.46 ID:4C9RyMjW0
- だが、手ごたえは確かにあった。
剣はかき消される事無くモララーの体を断ち切った。
/; ゚、。 /(これが…協会長の実力…! ミルナ先生の援護も完璧だ…。)
初めて見る本気を出した荒巻とミルナの攻撃。
その連携は完璧で、いままでダイオードが見てきたものの中で最も隙のないものだった。
現代最強の契約者コンビと言われていたハインリッヒとヒッキーでさえ足元にも及ばないだろう。
引退宣言した荒巻もミルナもまだここまでの力を隠し持っていたのだ。
- 50: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:44:21.53 ID:4C9RyMjW0
- / ,' 3「どうやら…幻などではなく、倒す事ができたようじゃな…。」
( ゚д゚ )「…えぇ。 ですが…。」
子供達も自分達以外の職員も皆殺されてしまった。
契約者は生まれた瞬間に自分の空間に飛ばされ、
以降親と連絡を取れた者は皆無に等しい。
それは勿論親にとっても悲しい出来事であり、
契約者は子供を持たず一生を終える者も少なくない。
その為契約者の数は年々少なくなっていく。
- 51: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:45:42.95 ID:4C9RyMjW0
- そして今、3人の子供達はモララーによって殺されてしまった。
さらに職員2名と入り口の前で警備についていた2名も死亡した。
/ ,' 3「…モララーを倒したといっても、もう人間との関係を復興させるのは難しいじゃろうな。」
( ゚д゚ )「そうでしょうね。 もう、我々契約者の歴史は終わろうとしているのかもしれません。」
/ ゚、。 /「…そんなことありません。」
二人の会話を断ち切るように強く断言したダイオード。
彼には荒巻のように長い経験はなかった。
ミルナのように強い能力はなかった。
だが、だからこそ。
まだ若い彼だからこそ持てる強さがある。
- 52: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:47:21.43 ID:4C9RyMjW0
- / ゚、。 /「もう一度やり直しましょう。 人間との関係をとりもち、一からやり直すんです。」
/ ,' 3「じゃがのう…。 残った契約者も我々だけじゃ…。」
( ゚д゚ )「――そうか! 協会長。契約者は我々だけではありません。」
/ ゚、。 /「神についていた者。そして少し前に人間ともめていた人達が…。」
/ ,' 3「おぉ!! そうじゃった! 年はとりなくないものじゃな…。
少し苦しくなったらすぐ諦めてしまう。物忘れも激しいしのう…。」
荒巻の言葉に二人は微笑む。
弱気な発言とは裏腹にその表情は明るいものに変わっていた。
( ゚д゚ )「道は険しいかもしれませんが。」
/ ゚、。 /「もう一度頑張りまs――」
- 53: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:48:47.04 ID:4C9RyMjW0
- ダイオードが言葉を言い終える事は無かった。
それはゴオッという何かが燃え上がる音にかき消される。
背後から感じる熱気にあっという間に呼吸をする事すら苦しくなる。
「あっはっはっは。 本当にお前達は愚かだな。」
/; ゚、。 /「うそだ…。そんな…、そんな馬鹿なことが…。」
火柱が消えると中から一人の人間が現れる。
不自然な事に、その衣服はまったく燃えていないどころか傷一つない。
その軽い風貌も、泣きたくなるような威圧感もそのままに、その男はさも当然というかのようにそこに立っていた。
- 54: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:50:33.17 ID:4C9RyMjW0
- (・∀・)「まったく、ここまで馬鹿だとあまりに滑稽で逆に笑えないものだね。」
その男――神は、失礼と言葉を区切りタバコに火をつけた。
目を細め、何も言えないでいる3人の顔を見渡し煙を吐きだすとさらに言葉を続ける。
(・∀・)「表情から察するとやはり荒巻先生は知っていたのだね。ミルナもか。」
その言葉にダイオードは二人の顔を振り返る。
確かに、その表情は驚きというよりも、絶望に近いものだった。
/ ,' 3「やはり…。そうじゃったのか。」
- 55: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:52:40.92 ID:4C9RyMjW0
- ( ゚д゚ )「俺はハインリッヒとお前の戦いを見た後に協会長に教えていただいた。
あの地下書庫の存在をな。」
(・∀・)「ふむ。やはり貴方達はここで始末しておくべきらしいね。」
会話は進んでいく。
何も理解できていない青年一人を置き去りにしたままで。
/ ,' 3「ミルナ先生。ダイオード先生を頼みます。」
そう言い残し、荒巻は草薙の剣を具現化しモララーに――いや、神に立ち向かっていく。
その結末を見届けることなくダイオードはミルナの空間へと投げ飛ばされた。
一緒に転がり込むように入ってきたミルナに問い詰める。
- 57: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:54:26.05 ID:4C9RyMjW0
- / ゚、。 /「ミルナ先生!! いったいどういう事なんですか!? あいつは…なぜ生きているんです?
貴方達は何を知っているんですか!?」
( ゚д゚ )「…それは、私が生きて戻ったらお話しましょう。」
その言葉を残し、ミルナはダイオードを雷の能力で気絶させた。
これで現在生存している契約者は荒巻、ミルナ、ダイオードの協会の人間が3人。
神の配下についたギコ、そしてもう一人。
ドクオ達と共にいるクー、ショボン、つーの3名となった。
その残った数少ない契約者同士の、それもトップクラスの者達の戦いが始まった。
- 59: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:55:59.75 ID:4C9RyMjW0
- 現存する契約者の中で能力の高いトップ3。
近接戦闘で最強と謳われ、ギコの師でもあったミルナ。
その穏やかな人柄から協会長という役職につきながら、全ての能力のレベルの合計ならトップの荒巻。
そして、言うまでもなく最凶最悪の神、モララー。
いかにモララーといえど、相手は二人。
さすがに分が悪いと思えた戦闘だったが、
実際は二人がかりでも手も足も出ない状況に追い込まれる。
/; ,' 3「くぅ…。 やはり神獣と契約を交わしたのか。」
(・∀・)「えぇ。おかげ様で。」
肩で息をしている荒巻に対しモララーは息ひとつ切らしてはいない。
後ろから草薙の剣で切りかかるミルナも、その一閃は空振りに終わる。
- 60: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:57:41.37 ID:4C9RyMjW0
- (・∀・)「そろそろ本気を出しても構いませんか?」
(; ゚д゚ )「化…物め。」
右手をかざすモララーに対し、荒巻は全てを諦めた表情になる。
この男には勝てない。
格が…違いすぎるのだ。
(・∀・)「死ぬ前に答えていただけませんか?」
/ ,' 3「…なんじゃ?」
- 61: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 02:59:17.04 ID:4C9RyMjW0
- (・∀・)「あなた達以外にあの地下書庫の存在を知っているのは?」
/ ,' 3「おらん。知っておるのはここにいる3人だけじゃ。」
「安心しました。」
そう言い終わると同時に荒巻の足元から真っ赤な火柱が燃え上がる。
ただひたすらに赤いその炎は見るからに高温で、
全てを焼き尽くす地獄の炎にすら見えた。
(・∀・)「…逃がしたか。」
- 62: ◆2tIpUAdHJU :2008/11/12(水) 03:01:02.16 ID:4C9RyMjW0
- だが、火柱が消えたあとには燃えカス一つ残っていなかった。
後ろを振り返るとミルナの存在も見当たらない。
ギリギリのタイミングだったが、自分の空間へ逃げられたのだろう。
(・∀・)「まぁいい。地下書庫さえ破壊してしまえば老いぼれなどに用はない。」
そう言い終わるとあたり一面に炎が燃え上がる。
それらは全てを焼き尽くすように。
全てを破壊するように。
ただ赤く燃えさかっていた。
紅蓮の炎に囲まれながら壊れたように高笑いをする様は、
まさに神か悪魔がそこにいるかのようだった。
第32話 協会の裏
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