('A`)が神を認めないようです。

3: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:18:43.72 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「それじゃあまた明日ね!」

( ^ω^)「おっおっお! また明日だお!!」


ブーンの笑顔が好き。
見てるととても穏やかで暖かい気持ちになる。
すっごく落ち着くし、なんだかこっちまで笑っちゃう。

私はそんなブーンと…ずっと一緒にいたい。


ξ///)ξ(こんなこと口が裂けても言えないけど…。)




  『ツンは神を許さないようです。』



4: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:20:07.48 ID:QUZVBcma0

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ξ゚听)ξ「ただいま〜。」

玄関のドアを開けると同時に、今家の中にいる家族に帰宅した事をアピールする。
時間はもう5時半だ。
そろそろお母さんが晩御飯のしたくを始めてるはずだ。


ξ゚听)ξ「…………あれ??」


しかし、その日はいつもと少し違った。
誰も返事をしてくれないし、晩御飯の匂いがしないのだ。



7: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:21:13.57 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「…………。」


ここで疑問に思っていてもしょうがない。
とにかく台所までいってみることにした。


ξ゚听)ξ「ね〜、おかあさん??」


だが、やはりそこに母の姿は無く、帰ってくるのはただ沈黙のみ…。
少し不安になった。


ξ゚听)ξ「…どこかにでかけてるのかしら?」



9: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:22:24.66 ID:QUZVBcma0

そう思ってはみるけど、普段から専業主婦の母はこの時間帯に外出していることはあまりない。
なんだろう…、なんだか不安になる。

約半年前、神という男が現れ、能力を使える人間[ゼロ]が誕生した。
そして世界は壊れはじめる。
ゼロの中には神軍、人軍という派閥が生まれ互いに争っているし、
能力の無い人間は神軍に惨殺される。
警察は内部分裂が起こり、ゼロとそれ以外に別れ対立している。
つまり、私達を守ってくれものはもう何もない。


ξ゚听)ξ「でも、お母さんはゼロだし中立の立場だから大丈夫よね…。」



10: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:25:45.24 ID:QUZVBcma0

母は神軍でも人軍でもなく中立の立場だ。
私も父もそう。
中立のゼロは神軍からも人軍からも手を出されることはなかった。


ξ゚听)ξ「お父さんに…電話してみよっかな。」


それでもなんだか胸騒ぎが消えない。
母の携帯は電源が入ってなかった。
しょうがないし、仕事中かもしれないが、一度父に連絡してみよう。
そう思い電話を手にとった。



11: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:27:38.80 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「あ、もしもし?お父さん?」

父「ツンか? もう帰ったのか??」

ξ゚听)ξ「あ、そうなんだけどお母さんが…」

父「母さんなら今九州だ。 テン姐さんが亡くなったらしくてな。」

ξ;゚听)ξ「え!?テン叔母さんが…??」

父「あぁ。 とりあえず仕事が終わったら一度帰るが、俺も夜中に九州に行く事になると思う。」

ξ゚听)ξ「あ…、私は…?」

父「どちらでもいいが…、学校があるだろう?」



12: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:29:19.23 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「そうね…。じゃあ留守番してるわ。」

父「あぁ。とりあえずもうすぐ帰るから待っててくれ。」

ξ゚听)ξ「うん、わかった。」


そう言い終わり電話を切った。
テン叔母さんとは何度か会った事がある程度で、私自身はほとんど覚えてないくらいの付き合いだったが、
やはり亡くなったと聞くと寂しいし悲しい。


ξ゚听)ξ「…お母さん大丈夫なのかな?」



14: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:30:30.22 ID:QUZVBcma0

なくなった理由はわからない。
病気かもしれないが…、違うとしたら?
九州に住む人のほとんどはゼロではなかった。
テン叔母さんもきっと違うだろう。

もし、神軍に殺されたのだとしたら?

お母さんも危険なんじゃないだろうか??

ξ゚听)ξ「お母さん…。」



15: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:31:55.73 ID:QUZVBcma0


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「…ン……。 ツン…。  ツン!!!!」

ξ;゚听)ξ「え…!? あ、はい!!」

父「ツン、こんなとこで寝てたら風邪をひくだろう。」


周りを見渡すと、どうやらここは家のリビングのようだ…。
私は父を待ちつかれて机に伏して寝てしまっていたらしい。


ξ゚听)ξ「あ…。お父さんおかえりなさい。」



17: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:33:08.15 ID:QUZVBcma0

父「お帰りじゃないだろう。 ちゃんとベッドで寝ないとダメじゃないか。
  …いや、俺が帰ってくるのが遅かったせいか。すまんな。」

ξ゚听)ξ「ううん。いいの。 お父さんご飯は??」

父「何か出前をとってくれないか? なんだか向こうで親戚達が大分混乱しているみたいでな。
  今から行かなくちゃいけないんだ。」

ξ゚听)ξ「そう…。 わかったわ。」

父「お前も来るか? 学校も一日くらい休んでも構わんだろう。」

ξ゚听)ξ「……ううん。 留守番してるわ。」



18: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:34:16.72 ID:QUZVBcma0

父「そうか。 いつも優等生でいないくてもいいんだぞ?
  …とりあえず、お金はそこに置いてあるからな。」

ξ゚ー゚)ξ「うん。 ありがとう、お父さん。」


父のことは好きだった。
同世代の女の子達の中には父親の事が苦手、というより嫌いな子も多かったが、
仕事も頑張ってるし、家庭の事もないがしろにしない父を尊敬していた。
母のことも私の事もちゃんと見てくれていたのを知っていたから。

そして母の事も好きだった。
一緒に買い物に行ったり、ご飯をつくったり。
家族仲は回りに比べて良好だったと思う。

私はこの家が好きだった。



19: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:35:28.45 ID:QUZVBcma0

父「じゃあ行って来るから、留守番頼むな。 明日には帰ってくるから。」

ξ゚听)ξ「は〜い。」


父を見送って、ご飯を適当に済まし、テレビを見たりお風呂にはいったり。そして寝る準備を整えて早めに寝る事にした。
そして翌朝、不愉快な目覚ましの音に起こされ、リビングへ向かう。


ξ゚听)ξ「…まだ、かえってないか。」


だがそこには誰もおらず、昨日の晩のままの状態だった。
さすがに朝帰ってくるだろうとは思っていなかったのでそのまま学校へ行く準備をすました。



21: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:36:43.57 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「朝ごはんは…、今日はいっか。」


食べなければ太る、というのを以前テレビ番組で見たが、
どうにも食欲がわかなかった。

そのまま戸締りを確認して家を後にした。


ξ゚听)ξ「ブーン…今日も待ってくれてるかな。」


ブーンとは毎朝一緒に学校へ行く事を約束してるわけじゃない。
だけど、付き合い始めてから毎朝近所の公園で待ってくれていた。
その事が私は本当に嬉しかった。



22: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:38:58.32 ID:QUZVBcma0

( ^ω^)「ツーン!! おはようだお!!」


今日も待ってくれてた。
嬉しい。顔が少しにやけてしまう。
朝から満面の笑顔のブーン。
釣られて。やっぱり顔がゆるんでしまう。


ξ゚听)ξ「今日も朝から元気ねー。 ちゃんと顔洗ってきた?」

( ^ω^)「もちろんだお!! ツンと付き合ってから、毎朝の洗顔と歯磨きは欠かしてないお!!」



24: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:40:22.72 ID:QUZVBcma0

本当に嬉しいのに私の口から出てくる言葉はこんなもの。
そっけない言葉だけ。
本当は顔を洗ったかどうかなんてどうでもいいのに。
心の中では、待っててくれてありがとうって、ブーンの笑顔が好きなんだって、
ちゃんとそう伝えたいのに。


ξ;゚听)ξ「…てか、あんた今私と付き合ってからって…。」

(; ^ω^)「お!冗談だお!アメリカンジョークだお!!」

ξ#゚听)ξ「嘘つくんじゃないわよ!!!!」

(; ^ω^)「ひいっ! ごめんだお!!!!」


そうやってブーンを追いかけながら学校へむかう。
これがいつものパターンだ。



29: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:41:30.86 ID:QUZVBcma0

('A`)「朝から元気だねぇ。」


この不健康そうな人はドクオ。
たまにブーンと一緒に朝から公園で待ってくれてる。
ブーンと一緒に学校へ行くようになってしばらくしてから、
元々私とブーンが付き合うまではドクオとブーンで一緒に学校へいってた事を聞いて、
朝は三人で学校へ行こうと誘ったんだけど…。
やっぱり気を使ってくれてるらしく、なんだかんだ理由をつけて三人揃って学校へ行く事はあまりない。


ξ゚听)ξ「あらドクオ。今日は下痢でも頭痛でもないの?」


それなのに私の口からはこんな言葉しかでてこない。
仮病を理由にブーンと二人きりにしてくれてるってわかってるのに。



30: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:42:45.36 ID:QUZVBcma0

('A`)「あぁ。たまにはブーンとお前の仲良しオーラをわけてもらおうと思ってな。」

ξ///)ξ「ちょ! 誰が仲良しよ!!!」

( ^ω^)「おっおっお。 いくらでもわけてあげるお!!」

ξ*゚听)ξ「も、もう! ブーンの馬鹿!」


それでも二人とも怒らないで私と一緒にいてくれる。
私は、本当に周りの人間に恵まれてる。



そのあとはいつもどおり学校生活を堪能し、
ブーンと一緒に二人で帰った。
ドクオは授業が終わると同時に先に帰ってしまったそうだ。
本当に優しい。



33: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:44:12.39 ID:QUZVBcma0

ξ゚听)ξ「ただいま〜。」

玄関のドアをあけながら恒例の帰宅アピールをするも、やはり返事はなかった。
まだ帰ってきてないのか…。 少し遅い。


ξ゚听)ξ「あれ?? お父さん…。」


誰もいないと思っていたのだが、リビングへ向かうと父が一人で机に伏して寝ていた。


ξ゚听)ξ「ちょっと、お父さん。昨日は私にベッドで寝ろって…」


そこで私は気付いた。
父の周りにあるたくさんの空き瓶。
どうやら大分飲んでいるようだ。



37: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:45:38.62 ID:QUZVBcma0

ξ;゚听)ξ「お父さん!? いくらなんでも飲みすぎよ!!」

父「ん〜…、ツンか。」

ξ゚听)ξ「テン叔母さんが亡くなったのはわかるけど、こんなに飲んだらお父さんも体壊しちゃうわ。」

父「ツン。落ち着いて聞いてくれ。」

ξ゚听)ξ「なによ?自分は酔っ払ってるくせに。お母さんは?まだ九州?」

父「母さんは…死んだ。」

ξ゚听)ξ「……え?」



39: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:47:28.20 ID:QUZVBcma0

父「死んだんだ。 もう帰ってこない。」

ξ゚听)ξ「どういう…こと?」

父「神軍が…、テン姐さんを殺したらしい。
  怒った親戚一同は神軍に対して反抗した。 それを母さんが抑えてたんだが…。」


神軍はみんなすごい能力が使えるという話だ。
私達でも対抗できないし、能力を持ってない人達もそれは変わらないだろう。
母さんが止めるのも当然だ。


ξ )ξ「…神軍のやつらね。」



40: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:48:56.46 ID:QUZVBcma0

悔しかった。
テン叔母さんだけじゃなく、きっと母さんまで神軍に殺されてしまったんだろう。
親戚一同を一人でおさえきるきとなんかできないだろうし、
そうなれば神軍に虐殺されるのは目に見えてる。


父「…………。」

ξ;;)ξ「どうして!? どうして母さんが死ななきゃならないの!? 私…、神軍を絶対に許さない!!!」

父「…………。」

ξ;;)ξ「お母さん…。お母さん…。」

父「…………すまん、ツン。」

ξ;;)ξ「やだよ…お母さん…。」

父「…………。」



42: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:50:41.61 ID:QUZVBcma0

父はそれきり何も喋らなかった。
私は自分の部屋に戻って一人で泣き叫んだ。

涙が枯れることはなく、夜が明けはじめるころようやく頬は乾き始めた。


ξ゚听)ξ「…………。」


何も考えたくなかった。
だけど、それじゃいけないこともわかる。
私がじっとしていても母は帰ってこないのだ。



43: ◆2tIpUAdHJU :2007/09/23(日) 23:51:54.89 ID:QUZVBcma0


ξ゚听)ξ「…顔洗わなきゃ。」


ブーンに会いたかった。




番外編 「ツンは神を許さないようです。」



戻る