( ^ω^)は霊探偵になったようです
- 2: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:31:53.18 ID:g+2xAoCi0
- 5
僕は困惑した。
言い換えるならば、呆気に取られて動けずにいた。
男は無防備にも、警戒する僕の元へと歩み寄ってきた。
この状況をどう説明すればいいのか。
答えなど、僕の頭では弾き出せる筈もない。
手を伸ばせば、胸を裂く事が可能な距離にまで接近している。
なのに、何故か攻撃しようという気になれない。
戦意を感じ取る事が、どうしても出来ない。
熱が逃げていく。
目の前に、一時は殺そうとまで考えた敵がいると言うのに。
――――いや、違う。
眼前に立っている者を、今の僕は敵と認識する事は不可能だった。
- 3: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:34:34.03 ID:g+2xAoCi0
- ( ゚ω゚)「……一体、どういうつもりなんだお」
これまでに経験したことのない動揺。
精一杯、感情を押し殺した声で男に尋ねる。
男は返答代りに右手を上げた。
それが戦闘の鉦かと思い身構えるが、どうやら外れだった。
(´・ω・`)「喧嘩は終わりだ」
左手も上げ、「降参だ」とばかりにお手上げのポーズを取る。
僕は、余計に困惑した。
樹海を歩く冒険家のように、僕の思考は駆け廻り奥深くへと迷い込んだ。
( ゚ω゚)「何の真似だお。あんたの方が優勢だったのに、ふざけてるのかお」
(´・ω・`)「バカを言え、真面目も大真面目だ。
これ以上お前とやり合う必要性が無くなったんだよ」
( ゚ω゚)「必要性――――?」
- 5: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:37:25.76 ID:g+2xAoCi0
- 男の言葉を脳内で咀嚼する。
だが、やはり納得など出来なかった。
そうしているうちに、僕の警戒は思わずのうちに解かれ、
異形と化していた体は――――普段の自分のそれに戻っていた。
いや、自分では無意識のつもりだったが、恐らくは自らの意思で解放したのだろう。
(´・ω・`)「単刀直入に言おう」
爪を引っ込めた僕を見て、男が口を開いた。
態度から敵意は見受けられない。
羽虫が舞う街灯の光は、僅かにだが、闇に佇む二人を照らし出している。
用意された舞台上の演者を照らすライトのように。
(´・ω・`)「俺は、お前をスカウトしたい」
- 6: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:40:05.19 ID:g+2xAoCi0
- 男の言葉は端的で、それでいて、予想の数段上を行っていた。
(;^ω^)(何の話だお……)
解釈しようにも180度転換した話題に付いていけない。
けれども僕は今、その急展開した場面に立たされている。
(´・ω・`)「自己紹介だ」
男は胸ポケットから一枚の名刺を取り出し、こちらに投げてよこした。
受け取り、両面に簡単に目を通す。
古新聞で身に付けた、最低限の識字能力で――――僕はそれを読み上げた。
( ^ω^)「……『初本探偵事務所・所長 初本ショボン』……」
(´・ω・`)「俺の名前、職業。それで分かっただろう」
まだ何かを言いたそうに、男は答えた。
- 9: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:42:54.59 ID:g+2xAoCi0
- 何故、僕を付けていたのか。
何故、僕と戦ったのか。
何故、それを中断したのか。
不可解であった事。
質問する前に、解答が返ってきた。
(´・ω・`)「依頼があったんだよ、この辺りにいるやたら強い奴を調査してくれってな」
話は終わらない。
(´・ω・`)「調査を進めたところ、当初の予想通りお前に霊が憑いている事が分かった。
分かったのはそれだけじゃない。お前が無害である事もだ。
今日の結果から、霊の力を乱用するような人間ではないと、俺は判断した」
――――ようやく解決出来た。
止め処もなく浮かぶ疑問の数々を。
- 10: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:46:16.20 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「さて、ここからは個人的な話になるんだが……」
説明すべき点を伝え終えたのか、
男は堅苦しかった口調を若干和らげて、また違う話を切り出してきた。
僕達を包んでいるのは、熱とは無縁な静けさ。
いつの間にこのような空気が流れ出したのだろう。
例えるなら、夏から秋に変わる瞬間の、涼やかな風の中にいるような。
(´・ω・`)「俺の仕事は霊の憑いた人間の調査、
或いは、そうした者が起こす事件を解決する事。
それには少しでも多くの力が必要なんだ。
――――だからさっきも言ったが、俺はお前をスカウトしたい」
これだ。
突然すぎる申し出。
( ^ω^)「……ちゃんと説明してくれお」
そう、言葉にするしかなかった。
- 12: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:49:27.65 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「OK、詳しく聞かせよう」
男は――――ショボンは頷き、僕の要求に答えた。
(´・ω・`)「お前が無害であると判断したと言ったな?
実はこれは前もって考えていた事なんだが……、
もしそうであった場合、俺は所員として雇用しようと思っていた」
( ^ω^)「雇用……って言ったって、僕なんか雇ってどうするんだお?」
(´・ω・`)「人手は多い方が何かと助かる。
探偵業はな、調査と整理と解決の同時進行は出来ないんだ。
まして、俺達が請け負っている依頼では、な」
事も無げにショボンは答える。
その目、態度。全てが正論を述べる人間のそれに見える。
飲まれそうな、説得力。
(´・ω・`)「どうだ、うちで働いてみないか?」
- 13: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:52:10.30 ID:g+2xAoCi0
- (;^ω^)「…………」
僕は閉口した。
とは言え、返事など最初から決まりきっていた。
首を縦に振る訳にはいかない。
何故なら。
( ^ω^)「……悪いけど、僕は『はい』と言えないお。
僕にはストリートの生活があるお」
(´・ω・`)「ああ、生活面での都合か。
なら心配ない。うちの事務所は居住空間とセットになっている。
住み込みで働けばいい」
呆れた様子でショボンは言った。
何を呆れているのか――――僕の本意は、そんな事じゃない。
(;^ω^)「そういう意味じゃないお。
僕がいなくなったら、その、一緒に暮らしているみんなが困るお」
- 15: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:54:55.10 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「何だ、そんな事か」
ショボンはますます呆れた様子で、
いかにも「何を心配する事があるんだ」といった風に僕に向かって語った。
(´・ω・`)「その点でも問題ない。既に話はつけてある。
俺の相方が残された三人に説明しているだろうからな」
( ^ω^)「おっ?」
(´・ω・`)「お前が無害だったらスカウトしていた。
有害だったならば、警察に突き出していた。
どちらにせよ、戻ってくる事はないと伝えるよう指示しておいたんだよ」
驚く程あっさりと、僕にそう告げた。
身勝手な話を――――。
僕がいなくなったら、誰が彼らを守ると言うんだ。
(#^ω^)「ふっざけんなお!
僕の都合は完全無視かお!」
焦燥感が、僕を支配する。
- 16: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 22:58:17.11 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「……もう了承は取ってある」
ショボンが答える。
静かに、ぞっとするほど丁寧に。
(´・ω・`)「尾行している間に携帯で連絡を取ったところ、
『全員から理解が得られた』との報告が返ってきた。
むしろ、奴らもお前のストリートからの卒業を祝福していたようだぞ?」
( ^ω^)「…………」
(´・ω・`)「それにだ。守るだの守れないだの言っていたがな、それも解決してある。
相方がこの辺りのゴロツキに睨みを効かせておいた。
やり方は知らんが……アイツの事だから相当な手口だろうな……」
最後の言葉は独り言じみていてよく聞き取れなかった。
僕は思索する。
話が、僕の知らないうちにここまで進んでいただなんて。
不意に空が見たくなった。
月明かりはあまりに淡くて、僕を照らすには不十分過ぎた。
- 18: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:01:32.29 ID:g+2xAoCi0
- ストリートでの暮らしは幸福だった。
いつ頃から始まったのかも分からない生活。
先の見えない、留まり続けるだけの生活。
それでも楽しかった。
僕にとっては贅沢だった。
本質的な自由はなくても、感情による自由がそこにはあった。
思い出す程に確信できる。
僕は暫定的に幸せだったと。
それが今、目の前に立つ男によって終わらされようとしている。
僕自身の手で、終わりを迎えようとしている。
- 20: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:05:34.73 ID:g+2xAoCi0
- ショボンはすっと手を僕に差し出し、催促した。
(´・ω・`)「と言う訳で、後方の憂いは全て解消してある。
あとはお前の返事を待つだけだ。
出来る事なら、選択肢がイエスしか用意されていなければいいんだがな」
付け加えられた、正直な一言。
受諾などする筈がない。
そう、考えていた。少なくとも、この男の話を聞くまでは。
(´・ω・`)「俺はお前を必要としているんだ――――」
ネゴシエーターのように、徐々に僕を追い詰める。
男の熱望が、ひしひしと伝わってくる。
ますます僕は葛藤した。
ストリートでの生活は自分の全てだった。
その全て足り得るものが、崩れようとしている。
いや、そうじゃない。
崩れかけているのは自分自身の心だ。
根底から壊れて、再構築されているのは僕の考え方だ。
- 21: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:08:20.35 ID:g+2xAoCi0
- 僕はショボンの手を見た。
続いて、その顔を見た。
自分の意思による決断なのか、流されての優柔不断な回答なのか。
区別はつかない。
――――ただ、答えは一つに定まった。
( ^ω^)「……あんたに付いていくお」
(´・ω・`)「ありがとう、そう言って貰えて嬉しいよ」
「ありがとう」などと有り触れた感謝の言葉をショボンは述べた。
最初から、こう返答される事を分かっていただろうに。
僕が受け入れた瞬間。
長いストリートでの生活に終止符が打たれ、
これから先に待っているのは、未踏の世界である事が自動的に伝わった。
ショボンは歩き出した。
僕は、その見た目以上に広く思える背中を追った。
- 22: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:11:44.93 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「何か聞きたい事はあるか?」
ショボンの車が駐車してあるらしい裏路地に向かう途中、突然尋ねられた。
聞きたい事、と言えば長い間気になっていた事が一つだけある。
( ^ω^)「あるお」
僕は続きを話した。
( ^ω^)「時々眠っている時に誰かの声が聞こえてくるんだお。
だけど、何を言っているのかは全く分からないお。
……もしかして、それも霊のせいなのかお?」
(´・ω・`)「多分、な」
慌てる様子もなくショボンが答える。
その声は素っ気なくて――――逆に、安心できた。
(´・ω・`)「稀にだが、憑いている魂の思念が流れ込んでくる事がある。
俺とて例外ではない。
何を言っているかが不明なのは、獣の魂の思念だからだろう」
( ^ω^)「――――そうかお」
少しの沈黙の後、僕は頷きつつ相槌を打った。
- 23: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:14:45.60 ID:g+2xAoCi0
- 黒い――――ショボン曰く、セダンなる車に僕達は乗り込んだ。
車に乗るのは初めてだった。
ドアの開け方すら知らない。
そう告白すると、ショボンはおかしそうに笑った。
初めて見る、明快な笑顔だった。
(´・ω・`)「そう言えば、名前をちゃんと聞いていなかったな」
シートベルトの止め方を教えながら、男が話を切り出してくる。
(´・ω・`)「確か――――ブーンと言ったな。フルネームは何と言うんだ?」
名前も調べていたのか、と思った。
だけども、よく考えれば至極当然の事だろう。
ただ、答えようがない。
( ^ω^)「……分からないお」
(´・ω・`)「分からない?」
意外に思ったのか、ショボンは僕の言葉を反復して再度質問した。
- 25: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:18:47.56 ID:g+2xAoCi0
- ( ^ω^)「僕は赤ん坊の頃に捨てられたお。
それで、『ブーン』って名前は僕を拾った人達が付けたみたいだお。
……まあ、これも後から聞いた話だからよく分からないお」
(´・ω・`)「そうか、ならいい」
ショボンが短く返答する。
それ以上は追及されなかった。
僕が暮らす以前からあのストリートに住んでいた人達。
幼い僕を名付けたのも、育ててくれたのも、彼らだった。
今はもう、僕にリーダーの席を残して去っていった。
理由は様々で――――職に就いた人も、所帯を持った人も、流行病で死んだ人もいる。
それが大して珍しい事ではないのも、長くストリートで暮らすうちに嫌でも理解させられた。
誰がいたのか、何をしてくれたのか、正確には思い出せない。
現在を生きる事に必死で、過去の記憶があやふやになってしまっているからだ。
けど、確かに存在していた事は間違いない。
- 26: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:21:31.42 ID:g+2xAoCi0
- ぶるん、とエンジンの音が鳴り響き、
ショボンが思い切りアクセルを踏み付けると、たちまち車は走り出した。
(;^ω^)「うおぅ!?」
未体験の感覚と重力。
視界から瞬く間に消えていく窓の向こうの景色。
経験した事のない現象の数々に、僕は少しばかり戸惑った。
(´・ω・`)「ハハハ、やけに初々しい反応だな」
そんな僕の様を見て、ショボンはまたも笑った。
からかわれてるのかとさえ思えたが、ぐっと我慢した。
僕にとって堪えることは容易だった。自慢にもならないけど。
街が、見えなくなっていく。
あの場所から離れてしまったと、もう随分時間が経ってから実感した。
(´・ω・`)「もう聞きたい事はないのか? ないのなら、もう少し説明をしておこう」
僕の心情をよそに、ショボンは夜を彩る電光を眺めながら口を開いた。
- 27: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:23:59.27 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「霊は常識を捻じ曲げる力を与えると言ったがな、他にも効力があるんだ」
( ^ω^)「おっ? まだ何かあるのかお?」
(´・ω・`)「ああ。霊が憑いていると言う事は、魂が自分の物以外にもう一つあるって事だ。
一つの器に、二つの生命の源。
これが何を意味するか分かるか?」
( ^ω^)「分かる訳ないお」
本当に想像もつかなかったので、素直にそう答えた。
ショボンは「やはりな」とでも言いたげに、また話を続けた。
(´・ω・`)「オーバーしているんだよ。人間の体が持つ生命の許容量をな。
そして、溢れんばかりに湧き出す生命力は果たして何をすると思う?
――――器である肉体をそれに相応しい状態へと向上させるんだ」
そこまで言ったところでショボンはハンドルを切り、
僕達を乗せた車は右折して、見知らぬ街へと入っていった。
- 28: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:27:25.03 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「魂が生命力と肉体を釣り合わせようと働きかけた結果、
身体能力、動体視力、自然治癒力等が著しく上昇する。
副産物みたいなもんだな。こちらとしては喜ばしい事だが」
見れば、ショボンの肩の傷は大方癒えている。
その事実から話が真である事を瞬時に把握できた。
( ^ω^)「なるほど、何となく理解したお」
「それは良かった」と、ショボンは前を向いたまま言った。
(´・ω・`)「これで俺が知っている限りの説明はお終いだ。
仕事の詳細はまた後日伝えよう。お前が使う部屋も到着したら教えておく」
( ^ω^)「……分かったお」
僕が割り込む隙もなく、話がどんどん進んでいく。
まるで、この車のように。
走っている道路は、まさに僕が進む道を暗示しているかのようだった。
残したみんなの事を思うと、やはりまだ不安になる。
――――だけど、目を瞑れば彼らは笑っている。
それが都合の良い自分の願望である事など、分かり切っていると言うのに。
僕は安堵するのだった。
- 30: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:30:50.63 ID:g+2xAoCi0
- (´・ω・`)「到着だ」
一時間ほどのドライブの末、辿り着いたのは四階建ての、比較的新しめの建物。
白い壁が、あの街では薄く感じた月光を反射している。
掲げられた看板には、確かに「初本探偵事務所」と書かれてあった。
一階が駐車場になっており、そこにショボンはセダンを止めた。
周りを見ても、果たしてここがどこであるのかは分からない。
まあ、それは追い追い分かる事だろう。
ショボンの案内で、外付けの階段を使って上の階へと上がっていった。
車内で聞いたが、最上階が事務所になっているらしい。
(´・ω・`)「クソッ、鍵が掛かってやがる……不良所員め、先に帰ったな」
ショボンは何やら愚痴をこぼしながら、
ポケットから鍵を取り出し、慣れた手付きで開錠する。
(´・ω・`)「よし、開いたぞ。入れ」
先にショボンが室内へと入っていき、僕を呼ぶ。
――――中を覗いても、蛍光灯が点けられていないので暗くてよく見えなかった。
- 32: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:34:21.81 ID:g+2xAoCi0
- ショボンが明かりを点す。
久方ぶりの閃光に目が眩んでしまった。
部屋に足を踏み入れ、辺りを見回してみる。
まず最初に、入ってすぐの所にある黒檀の机に目が止まった。
両側には革張りの椅子。
立派な構えからして、きっと応接用のものだろう。
少し離れた所に並べられた数脚のデスク。
作業用だろうか。
更に、そのうちの一つにはパソコンが置かれている。
僕にはとてもじゃないけど扱えそうにないが。
広く見渡せば、いくつかの観葉植物が据えられている事に気が付いた。
予想よりも殺風景でなく、
それでいて整頓されていて、僕はストリートとのギャップに軽くショックを受けた。
そんなショックなど、これから起こり得る出来事に比べれば可愛いものだろう。
僕はただ、初めて見る光景に目を奪われていた。
- 33: ◆zS3MCsRvy2 :2007/09/07(金) 23:36:34.68 ID:g+2xAoCi0
- ( ^ω^)(これからは、ここが僕の生活区になるのかお……)
そんな事を感慨深げに考えていた。
ぽかんとしながら部屋を見る僕に、ショボンが話し掛けてきた。
何の気もなさそうに発せられた言葉。
だけど、今の僕にはそれがやけに印象的に聞こえた。
(´・ω・`)「ようこそ、我が探偵事務所へ」
通り過ぎた道は、あまりにも貴重で。
――――開かれた道は、あまりにも眩しかった。
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