('A`)に彼女ができたようです
- 3: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:33:30.62 ID:D25zO5WK0
- 毎日のように吐かれる暴言。
クラスの仲間からのシカト。
親からの学業に対する過剰な期待。
川 ゚ ー゚)「今日もお疲れ様」
その一言が嬉しくて、生きてる気がした。
いくら罵倒されても、テニスが上手くならなくても、
君がいればそれでいい。
- 5: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:37:27.82 ID:D25zO5WK0
- 「目に見えない君」は、とっくに俺の中で大きくなっていた。
少し時を戻すが、二年の春終わりくらいから、俺は週に一度出かけるようになっていた。
時間は決まって土曜の午後。土曜は昼から部活がない。
彼女を連れて、カセットウォークマンから流れる曲を聴きながら、自転車で隣町へ。
('A`) 「今日はどこ行くかな…」
川 ゚ -゚) 「どうせまた本屋でしょw」
('∀`)「お見通しだったかw」
- 8: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:39:58.66 ID:D25zO5WK0
- 別に口に出すわけでもなく、俺と彼女は会話する。
誰といるより楽しかった。心が安らぐってこういうことなんだな。
片道一時間かかる道を、毎週のように本屋へ行っては帰ってくるだけ。
一人でそんなところへ出かけて、何が楽しいんだ。
みんなそう思うだろう。
他人と比べておかしいことくらいわかってる。
でも、彼女といる時間が、彼女が言う慰めが、励ましが、
…どれほど俺の力になってくれたことか。
- 9: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:41:16.71 ID:D25zO5WK0
- まったくと言っていいほど車が通らない田舎道を、俺と彼女はゆっくり進んだ。
綺麗な夕焼けと、青い稲穂のにおいを運んでくる風。
夕陽は一人分の影しか映さない。
だけど、流れてくるミスチルの曲が、妙に合ってる気がした。
『さぁ 手をつないで 僕らの今が途切れないように』
この曲みたいに、君と手はつなげないけど
ずっと一緒に、笑って過ごせたらいい。
本当にそうやって考えていた。
- 10: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:42:38.07 ID:D25zO5WK0
- …話を戻そう。
二年の11月ごろ、そろそろ寒さも厳しくなってきたころ、
部活のメニューをこなしている最中に、事件が起きた。
( ゚∀゚) 「オラオラもうちょっとまともに玉出しできねーのかwwww」
('A`) 「…(横にいるお前に出してるわけじゃねえだろ)」
( ゚∀゚) 「シカトー?」
('A`) 「…なんだよ」
( ゚∀゚) 「うっせえなwwしゃべんなwwww」
猛スピードで玉が吹っ飛んでくる。
それをなんとかよけて、さすがに俺も文句を言った。
- 11: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:45:32.26 ID:D25zO5WK0
- ('A`;) 「や、やめろよ。メニューが進まねえだろ」
( ゚∀゚) 「うっせwwメニューに出るお前が悪いwwwww」
また何発か玉が飛んでくる。
これは…いつもよりひどいな。
……今日はメニューが終わったら帰ろう…
そう思っていたら、一発だけ避け損ねて、それは顔の側面に当たった。
ものすごい激痛が走る。
当たった瞬間に頬の内側を噛んでしまったのか、血の味を感じた。
('A`;)「…いってぇー…」
- 12: ◆dIeazkfFEk :2006/10/11(水) 23:47:47.76 ID:D25zO5WK0
- ( ゚∀゚) 「ヒャハハハハwww大当たりーwwww」
('A`) 「…」
ヒャハハハハ
ヒャハハハハ
…
('A`) 「このゲス野郎が」
あんまり考えてなかった。
DQNの頭上には、俺の右手に縦に握られた黒いラケット。
こうすれば、テメーの不快な笑い声も出なくなるだろ!!!!
思い切り振り下ろした。
ごしゃっ、という鈍い音がした。
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