('A`)ドクオはキラーマンのようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:39:07.81 ID:a2PHxeAa0
第一話「朝のコーヒーはブラックで」
('A`)「むあぁぁぁ……エンッ!」
ジリリリリリ! という目覚まし時計のけたたましい音で目が覚める。
のろのろとパジャマを脱ぎ、私はいつものようにいちご柄のスーツを着る。
チンっという音が鳴った。
香ばしいかおりを放つ、小麦色のトーストが焼けたようだ。
朝、私が最初に口にするのは決まってコーヒーだ。
砂糖は入れないブラック。
('A`)「んー、ナイスな香りドェス」
大人の私には甘いものなど合わない。
私はこくりとコーヒーを一口ふくんだ。
- 4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:40:47.91 ID:a2PHxeAa0
('A`)「苦い、間違いなく苦いぞマイコーヒー」
いくらブラックとはいえこれはおかしい。
苦さのあまり顔がゆがみそうになる。
だが、この私がたかがコーヒーごときで表情を崩すのはポリシーに反する。
豆が古いのか? そう私は思い賞味期限を確かめる。
('A`)「賞味期限は……1年前か。まあ豆は古いほうがかえって渋みがでて……」
そんなわけないだろう。
('A`)「うぇー!! ごほごひぃひぃ!!!ボェェ! ガハ!」
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:43:32.35 ID:a2PHxeAa0
('A`)「あー、にがかった。もう、サイテー! なんなの!!」
私は嫌な事があるとオカマ口調になってしまうのだが、こんなこと人には言えない。
あくまで自分の心の中にしまってある。
プルルルッルル!!
('A`)「む、久々にベルがシンキング!」
電話が私を呼んでいる。
何故、よりにもよって靴下を履いているときにかかってくるのだ。
('A`)「エンッ!」
靴下は少し小さく、思ったように入ってくれない。
しかたなく半分ほど入ったところで電話へと向かう。
('A`)「はいはいちょっと待って下さいよん。……あ?」
電話のある廊下に向かう途中、恐ろしい激痛が走った。
足の小指を、タンスのカドにぶつけてしまったのだ。
('A`)「ッア……お、ほほほほ……。な、なるほど。アァ……ンッ!」
あまりの痛さに地面をのた打ち回る。
くそ! 靴下が脱げてしまった! 早く電話に出ないと切れてしまう!!
私はほふく全身しながら受話器をとった。
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:45:46.25 ID:a2PHxeAa0
('A`)「もしもし」
受話器からは低い男の声が聞こえてきた。
( ∵)「私だ」
その声を聞いた瞬間、私の体が強張った。
(;'A`)「ボ、ボス! なんでしょうか?」
この声を聞いたのは3ヶ月ぶりだ。
なにを隠そう私は殺し屋コロスーゾ(株)に勤めるごく普通の殺し屋なのだ。
ヒットマンbV 鬱田ドクオ 22歳独身
私は大学を中退し、この会社に入った。その選択は正しかったと思っている。
クールで美しい私には、この職業が一番にあっていると思ったからだ。
( ∵)「おい、聴いているのかドクちゃん」
私はハっと自分の世界から舞い戻った。
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:49:44.88 ID:a2PHxeAa0
(;'A`)「は、はい。なんでしょうか?」
あわてて返事をする。
危ない危ない。また自分の世界に酔う所だった。
( ∵)「仕事だ。ある女性を殺害してほしいと依頼がきた。」
血の気が一瞬にして引いた。
それは、予想してなかった言葉だったからだ。
(;'A`)「ま、まってください!!私はまだ人を殺すなんて無理です!!」
取り乱す私に対し、低い声が受話器から聴こえる。
( ∵)「甘えるな。いつまでもノミやゴキブリの殺人などやっているレベルじゃないだろう?」
たしかに私は入って1年がたつが、未だに人は殺したことが無い。
今まで受け持った仕事は、せいぜい害虫駆除やヘドロ掃除など、その程度だ。
( ∵)「いいか、詳しいことはファックスで送る。期間は1週間だ。わかったな」
ガチャン、という受話器を切る音が聞こえ、私はその場でしばらく放心していた。
- 13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 01:56:29.97 ID:a2PHxeAa0
('A`)「……お」
10分ほどしただろうか。
ガガガガ……という機械音と共に、ファックスが送られてきた。
私はそれを手に取って、内容を見る。
『
名前 荒巻 デレ
年齢 14
住所 ポコペン横丁3区27−05
彼女は3日前、ポコペン銀行強盗の犯人の顔を見てしまったらしい。
依頼人は犯人から。警察に言われると面倒なので消して欲しいとのこと。
これが成功したあかつきには200万の報酬 』
(;'A`)「200万だって!?」
私は驚いた。
いままでの報酬は最高でも500円であった。
200万なんて大金は、はじめてのことだ。
(*'A`)「何というビッグチャンス……。やるっきゃない! やるっきゃない!」
俺の心は、完全に200万という大金に奪われていた。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 02:01:44.31 ID:a2PHxeAa0
※
ポコペン横丁は典型的な繁華街だ。
繁華街から少し離れたところに3区はある。
そこは繁華街のにぎやかさをまるで感じさせない……というか、微塵も感じさせない場所だった。
(;'A`)「もう、なんなのこの暑さは……。スーツがぐしょぐしょだわ」
3区は都市部と違い、畑がほぼ5割以上を占めている地区だ。
辺りにコンビ二など無く、神社や河原などが目に付く、いわゆる田舎だった。
(;'A`)「あー、セミがうるさいでやんす」
セミの泣き声が耳を噤む。
私はファックスにかかれた住所へ、やっとたどり着いた。
時刻は午後3時。
平日のこの時間だ。
ターゲットのデレは中学生、おそらく学校だろう。
私は資料を元に、彼女の通う学校へと足を運んだ。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 02:06:12.30 ID:a2PHxeAa0
(;'A`)「ぐはっ! 疲れた……。ちくしょう、小説だからって歩くシーンを省略しやがって」
おっと、口が滑ってしまった。
それはさておき、田んぼ道を2時間ほど進むと、学校が見えてきた。
見たところ、緑にかこまれた田舎の学校といった所だ。
私はさっそく、校門で下校途中の生徒に聞き込みを始めた。
('A`)「ねぇ、きみたち。ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
なるべく怪しまれないよう、自然に話しかける。
聞き込みの際は、オカマ言葉を心の中にとどめて置くのがコツだ。
(*゚ー゚)「なにー?おじさんここらじゃ見ない顔だね。」
田舎だからかわからないが、人当たりが良い。
これはやりやすくて助かる。
('A`)「荒巻デレさんって人に用があるんだけど、君達知ってる?」
生徒達は顔を見合わせ、
(*゚ー゚)「あの子がデレだよー。おーい! デレー!」
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 02:13:03.82 ID:a2PHxeAa0
ζ(゚ー゚*ζ「なーにー? 聞こえなーい!」
('A`)「……はうっ!?」
指差す先には小柄な少女がいた。
身長154センチといったところか。
肩までのサラサラの髪、大きい二重の目、小さな顔に美しい眉毛。
('A`)「あ、あ、あ……!」
私の胸に何かが走った。
電撃、いや雷撃といっても良い。
昔封印した感情が蘇ってくる。
('A`)「こ、これはまさか……!」
そんなこととは裏腹に、デレという少女は笑顔で近づいてきた。
ζ(゚ー゚*ζ「どーしたの、しぃ? この人どなた?」
彼女の大きな瞳が私の目を捉えた。
ドキッ、と胸が鳴る。
な、なんだこの雑念は、顔が徐々に熱くなる。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 02:14:04.91 ID:a2PHxeAa0
(*゚ー゚)「デレに用があるんだってー」
ζ(゚ー゚*ζ「なーに? おじさん。私になにか用?」
デレという少女は、笑顔で私に話しかける。
その表情は、天使の笑顔。
私はその笑顔を、エンジェルスマイルとその場で名づけた。
(*'A`)「あ……お……」
私は必死に答えようとしたが、頭の回路がパンクしていた。
何故なら、殺す相手に一目ぼれするなんて予想できない出来事だったのだから。
第一話 おしマイケル
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