('A`)ドクオはキラーマンのようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:34:48.28 ID:r5AlfnmJ0

第2話 胸の痛みと少女の笑顔


思えば、私が恋という感情を捨てたのは小学校6年生の時だ。
当時、私はある少女に恋をしていた。名前はもう覚えていない。

私は恥ずかしがりやだったので、告白なんてとてもじゃないが不可能に近かった。

しかし、私はどうしてもその少女に思いを伝えたかった。
だから私は、ラブレターを書くことにしたんだ。

今時そんなもの古いと馬鹿にされるかもしれないが、
それが私の考えられるたった一つの方法だったのだ。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:36:40.12 ID:r5AlfnmJ0

('A`)「で、出来た。最高の恋文だ……!」

放課後、私は彼女の下駄箱に手紙を入れ、急いで掃除用具入れに隠れた。
彼女が私の手紙を読んで、どんな表情をするか見届けたかったのだ。

数分後、彼女は赤いランドセルを背負い下駄箱へやって来た。

川 ゚ -゚)「……む?」

('A`)(気付いた!)


そして、彼女が私の手紙を見つけた瞬間。

――――私の希望は、絶望へと変わった。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:38:23.18 ID:r5AlfnmJ0

川 ゚ -゚)「誰だ? 私の下駄箱にゴミなんて入れた奴は……」

彼女は手紙を見て、それをあろうことかゴミ箱に捨ててしまったのだ。

('A`)「お、おぉぉぉぉ……」

私はその場に泣き崩れた。
付き合おうなんて、高望みはしていなかった。

ただ、自分の気持ちを伝え、それに答えてもらいたかった。

しかし、彼女にしてみれば私など相手にする価値すら無いということなのだ。
その日から、私は恋という感情を心の奥底に封印し続けてきた。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:41:04.30 ID:r5AlfnmJ0

――…

私の意識が、空想から現実に戻ってきた。

しかし、この気持ちはなんだろう?
私は目の前にいる少女に対し不思議な感情を抱いている。

ζ(゚ー゚*ζ「ねぇ、おじさんどうしたの?」

ハッと現実へ引き戻された。
そうだ、私はこんな感情に振り回されている暇などない。
200万を手に入れるために、この少女を殺さなければ。

んもぅ、やんなっちゃうわぁ。……っていかん、せっかくかっこよかったのに。

('A`)「あ、私は君のお父さんの古い友人なんだ。
    3年ぶりに会いに来たんだが、家の場所を忘れてしまってね」

自分ながらうまい理由だ。
もちろん、頭のいい私だからできるハッタリである。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:42:43.27 ID:r5AlfnmJ0

ζ(゚ー゚*ζ「そうだったんですか。私も今、家に帰るところなのでご一緒にどうぞ」

少女はニコっと笑顔を浮かべながらそう言った。

('A`)「じゃあ、悪いけどご一緒させてもらうよ。ありがとう」

うまくいったな、とさりげなくガッツポーズを決める私であった。


厳しい陽射しの下、私は汗をたらしながら長い坂道を登っていた。
サァァァァァ、とたまに涼しい風が葉を揺らし、なつかしい気分になるような感じを覚えていた。

ζ(゚ー゚*ζ「どうぞ、あがって下さい」

しばらく坂道を進んだ先に、彼女の家はあった。
彼女は玄関を素早く上がった。私は靴を脱ぎ、家へと入ろうとする。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:44:51.03 ID:r5AlfnmJ0

(;'A`)「ぐぅおおおおおお!!!!!!」

私の尻に激痛が走った。
あまりの痛さに、キチガ○的声を発してしまう。

その叫び声に、何事かと彼女が走ってきた。

(;'A`)「な、なにかが私の尻に・・・・」

後ろを振り向くと、そこには白髪のジジイが私の高貴な尻に竹やりを突っついているではないか!!

/ ,' 3「よくも、ばあさんを殺したなぁ!!!」

ジジイはわけの分からんことをほざいている。
な、何故私が襲われなければいかんのだ……。

ζ(゚ー゚*ζ「おじいちゃん!!!その人はお客さんだよ!!」

ジジイはほえ? といった顔をして、竹やりを私の尻からどけた。

/ ,' 3「そりゃどうも。ワシはデレの祖父のスカルチノフと申しますわ」

いきなり竹やりをぶっさして申しますわじゃねぇだろジジイ!!
……と、いいたかったが、ここは穏便にすませなければ私の計画がおじゃんだ。



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:46:28.82 ID:r5AlfnmJ0

クソ、痔になったらこのジジイ墓穴に埋めてやる。
心に誓った。

(;'A`)「い、いえ、こちらこそよろしく・・・」

彼女はごめんなさい、と深々と謝り、私を家の中へ案内した。

('A`)「いやー、全然変わってないなーこの家は!!いやぁ気持ちいいなぁ」

もちろん、この家に来たことなど無い。
だが、怪しまれないよう私は迫真の演技を決める。

ζ(゚ー゚*ζ「あの、先ほどは祖父が失礼しました。おじいちゃん、ボケが始まってるみたいで……」

少女は再び深々と頭を下げた。なんか私のほうが悪いみたいだ。

('A`)「い、いえ。いいんですよ。ところで家族の方々は……?」

父の古い友人という言い訳をしてしまった以上、こう聞かないと不自然だ。
適当に中学校の時の同級生とでもいえば、話が合うだろう。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:49:39.89 ID:r5AlfnmJ0

ζ(゚ー゚*ζ「あの、すいません……。父は……」

彼女の顔が急に曇り始めた。
うつむきながら、寛恕はそっと呟く。

ζ(゚ー゚*ζ「父は、1年前に病気で亡くなりました」

('A`)「え……?」

なんということだ。なんてかわいそうなんだ。
この年で父親を亡くすとは……。

私は、彼女の心の傷を掘り返すようなことをいってしまったのだ。

('A`)「そうですか……。すいません、悪いことを聞いてしまって」

彼女はつくりわらいを浮かべながら、「大丈夫ですよ」と言った。

私はこんな彼女の命を奪おうとしている。
胸が苦しくなった。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:50:51.20 ID:r5AlfnmJ0

沈黙の中、ガラガラという音が玄関から聴こえてきた。

ζ(゚ー゚*ζ「あ、母です。買い物から戻ってきたみたいですね。ちょっと待っててください」

そういうと、彼女は裸足の足でパタパタと廊下を走っていってしまった。
私は大きいため息をつき、ふと時計を見る。

時刻はもう夕方の6時だった。

('、`*川「すいません、お待たせしました」

母親らしき人物が現れた。
やさしそうな、だけど根っ子は強そうなお母さんだ。

('A`)「どうも、初めまして。えーっと、ドクオと申します」

しまった、つい本名を言ってしまった。
まぁ、どうせ後で殺すんだ。特に気にする必要は無い。

('、`*川「ごめんなさいね。こんな遠いとこまでいらっしゃったのに夫がいなくて……」

私はいえいえと言いながら、つじつまを合わせる。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2007/11/05(月) 19:52:09.60 ID:r5AlfnmJ0

('、`*川「もうこんな時間でしょう。今夜は泊まってってください。」

私は、これはチャンスとばかりに言う。

('A`)「申し訳ない、お言葉に甘えさせていただきます。」


こうして、私の一日目の夜が始まった。



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