ξ゚听)ξツンが地上を目指しているようです

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:00:01.39 ID:XVFpphqwO
食料保存用の機械を横から殴り付ける。
故障して動かなかった箱型の機械は、ギリギリ電気が通っていたようだ。
狂ったように、非常食である缶詰を吐き出した。

ξ゚听)ξ「……腐ってる」

蓋をあけた少女は、途端に目を背ける。
苛立ちを隠そうともせずに、乱暴に投げ捨てた。

ξ゚听)ξ「電気は通ってても……この辺ももうダメね」

天井の低い廊下を、頼りない照明が照らす。
未だに缶詰を吐き出す機械に一瞥をくれて、女は歩きだした。



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:05:35.93 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「G-16……」

壁に書かれた記号数字。
それを読み上げた声に合わせるように、物影で何かが動いた。

ξ゚听)ξ「ッ!?」

咄嗟に身構える。
右手が、左の腰に下げた刀へと伸びる。

「おいおい……物騒な姉ちゃんだな。俺は敵じゃねぇよ」



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:10:37.99 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「五秒待つ」

「ちょ、そんな怒んなって!!わかった、今出るよ!!」

両手を上げて姿を表したのは、まだ若そうな男だった。

年は16〜18といったところか。
ボロ布を身に纏っているが、不衛生な感じはしない。

「ここら辺は女一人じゃキツいぜ?なんか探しモンか?」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:14:33.78 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「……」

「そんな警戒すんなってば!!ホラ、丸腰だよ俺は!!」

ボロ布を外し、男はそのままくるりと回ってみせる。

「俺も仲間とはぐれて困ってたんだよ。よかったら一緒に行かないか?」

笑みを浮かべて、歩み寄るが、女は未だに体勢を崩さない。

ξ゚听)ξ「……仲間ってのは?」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:20:00.23 ID:XVFpphqwO
「衛生局の連中だよ。いけすかねぇ奴らだが、残念ながら俺もそこの一人ってわけだ」

胸元には衛生局の証である十字マークが見える。
それを確認した女は、刀から手を話した。

ξ゚听)ξ「襲撃にでもあったの?」

「ああ。相手は二人組だったよ。おれ等は五人からいたのにあっという間に……」

ボカンだ、といって両手を広げる。

ξ゚听)ξ「やっぱりこの辺も警戒地区なのね」

「ああそうだ。この先に行けば集落があるけど……それ、日本刀か?」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:24:47.40 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「……ええ」

「ちょっと見せてく……ってオイ、どこ行くんだ」

ξ゚听)ξ「集落。お腹空いたの」

「ああ、食料なんかは大分やられてっからな。俺も腹減ったわ」

女の後を、男がポケットに手を突っ込みながらついていく。
無言でひた歩く女に、ひっきりなしに話し掛けていた。

「なぁなぁ。あんた一人だけでうろついてんの?男とはぐれたとか?」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:28:46.32 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「……ん?」

狭い狭い廊下に、今はもう動いていない発電機が並んでいる。
その影から伸びる、頑丈そうなブーツを履いた足。

「おーい、ちょっと聞いてんの?ツレなくすんなよぉ」

ξ゚听)ξ「……」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:33:01.54 ID:XVFpphqwO
ξ゚听)ξ「あたし一人よ。仲間はいない」

女は立ち止まり振り向かずに言った。

「……へぇ。そりゃ物騒な。で、その日本刀は値打ち物??」

ξ゚听)ξ「さぁ、どうかしら。あんたに渡す気はないけど」

「……あちゃ〜。もう少しちゃんと隠しとくんだったな」

ブーツの主は、上半身裸の状態で息絶えていた。



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:39:14.74 ID:XVFpphqwO
腰に下げた刀に手が伸びる。
女が振り向く前に、男は指をぱちんと鳴らした。

途端、廊下の壁が盛り上がる。
爆発したかのように穴が空き、中からは通常の人間よりも大きな手が伸びてきた。

ξ゚听)ξ「くっ!?」

女を握り潰そうと迫る手をかわし、距離を取るため前へと跳んだ。
ゆっくりと大きな手の主が現れる。

ソレは、男よりも二倍近くの体積を持ち、機械仕掛けのスーツに身を包んでいた。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:45:00.17 ID:XVFpphqwO
「悪いねお姉さん。衛生局の人間なんて、もうここいらにゃ残ってねぇよ!!」

ξ゚听)ξ「……あっそ」

男の言葉を聞く前に、女はスーツの大男との距離を縮めていた。
地面スレスレを滑空するように走り、一息で間合いに入る。

大男は慌てて拳を振るが、力強く空を切った勢いで体勢が崩れた。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:50:28.76 ID:XVFpphqwO
よろめく大男に、女が腰から腕を振るう。
咄嗟に腕でガードしようとしたが、切られた感触はどこにもない。

「……!?」

呆気に取られている大男には目もくれずに、男に詰め寄った。

背中を見せた女に、巨体が再び立ち上がる。

その瞬間。

バランスを失った頭部は、ごろりと床に転げ落ちた。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:56:05.17 ID:XVFpphqwO
「うわああ!!なんだ!?なにしやがった!?」

ξ゚听)ξ「あなた丸腰でしょう?で?どうするの?」

「……!!な、なんだソレ……刀がないぞ!?」

女が持つ刀。
それには、本来あるはずの刀身がなかった。

ξ゚听)ξ「……五秒、待つわ」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 01:59:00.56 ID:XVFpphqwO
「珍しいモン持ってやがんな……レーザーブレードか?」

ξ゚听)ξ「一」

「なぁ、それどこで手に入れたんだよ?譲ってくれとは言わねぇからさ、情報売ってくれよ」

ξ゚听)ξ「二」

「……だああ、わかった!!わかったよ!!俺の負け!!降参だよ!!」

ξ゚听)ξ「……」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 02:02:22.78 ID:XVFpphqwO
「もう金輪際手は出さねぇよ、頼む!!見逃してくれよ!!」

ξ゚听)ξ「……失せなさい」

「……へへ、ありがとよ」

女は男に背を向け、ゆっくりと歩きだした。

「……へへ」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 02:07:26.85 ID:XVFpphqwO
男の顎がめくりあがる。
赤い液体と共に、太い砲身が伸びた。

先端がエネルギーを帯びて光りだす。
その標的は、気付かずに歩く女だった。

『ひゃはっ!!死ねぇっ!!』



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 02:10:43.25 ID:XVFpphqwO
砲身から高速で射出された光弾に、女は振り向きざまに右手を振った。
その手には、柄だけの日本刀。

破裂音が響き、激しい発光と共に弾が消え去った。

『……はぁぁ?』



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 02:15:33.94 ID:XVFpphqwO
居合いの勢いを殺さず、一瞬で距離を殺す。
男は反応すら出来ずに、上半身を切断された。

ξ゚听)ξ「……ふぅ」

女は柄だけの刀を腰の鞘に納める。
男から少しの食糧を探り出し、再び歩きだした。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/02/28(木) 02:22:15.07 ID:XVFpphqwO
続く



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