( ^ω^)はネクロマンサーのようです

4: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:40:49.37 ID:Q3lWLxKL0
( ゚д゚ )「僕は、こうやって人と触れ合うのが好きなんだ。君はどう思うかい?
     気持ちと気持ちをぶつけあうのもいいし、お互いを認識しあうのにもピッタリだ。
     人と話す……。言葉、意思疎通。なんて素敵な響きだ。一生を費やして行きたいと思ってる」


死霊魔術師が出会った男は、言葉をこよなく愛している男であった。
うんざりしながらも、その主張に耳を傾けるブーン。ギシギシと宿の階段は音を立てていた。

宿のドアを開くと、そこはランプが輝く闇の市場。
それこそ、ミルナのような自作の詩から、いわく憑きの血塗られた剣――なんてものまで売っている時もある。

(;^ω^)「それはわかったお。でもどうして、こんな闇市なんかに?」

( ゚д゚ )「ここへ来たくて来た訳じゃ無いんだ。ついでというか、まあ欲しいものもあるかもしれないし……って事さ。
     人生は人の生きていく上で一本筋じゃ無いからね。寄り道や行き止まりがあってもいい」



5: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:43:50.95 ID:Q3lWLxKL0
口を開く度に少し理解しがたい言葉を出していた。
感性と言うのはこういうものなのだろうか。わからない世界だ。

( ^ω^)「じゃ、じゃあブーンはちょっと探し物があるから行くお」
( ゚д゚ )「わかったよ。また明日会おう我が友ブーン」
(;^ω^)「……」

……と、ブーンは少しだけ立ち止まる。

( ^ω^)「ミルナ」
( ゚д゚ )「なんだい?」

( ^ω^)「闇市で何を探すつもりなんだお?よかったら教えてくれお。
       ついでだお、見つけたら代わりに交渉しておいてあげるお」

( ゚д゚ )「はは、優しいな。さすが僕の見込んだ友なだけはある。
     でも優しさだけ受け取っておくよ。君の優しさでまた一つ、詩が紡げそうさ」



7: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:46:56.57 ID:Q3lWLxKL0
(;^ω^)「……そうかお。じゃあまただお」

ブーンの言葉を聞いて、ミルナはニコリと微笑むと、そのフードを深く被りランプの人ごみの中へと消えていった。
さあ、夜も無限ではない。早いうちに情報、それとローブを見つけないといけない。ドクオがまた怒ってしまう。

( ^ω^)「さあ、探すかお」

さて、噴水を取り囲むようにして展開されているこの"闇市"の中、どうやって的確に魔術師の情報を持っている者を探す事が出来るか。
正確に言えば絞り込むという事になるのであるが、ブーンを含め、魔術師には少数ではあるが魔力を嗅ぎ付ける事の出来る者がいる。
それはよく言えば繊細、悪く言えば魔術に依存している体質。という事になるのであるが、ブーンはそれに当てはまる魔術師。
魔術師、それに魔術師と深く関係のある人間程度であるならば、おおよそ感知出来るのである。

そうして、ブーンはあたりをキョロキョロと見回す。
魔力は炎のように映る。その本人が持つ本質によって色はまちまちなのであるが、大きさをその指標にしても問題は無いだろう。
ざっと見たところ、炎の数は約5つ。どれも小さく、いつ消えてもおかしくはない大きさであった。



9: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:49:11.49 ID:Q3lWLxKL0
( ^ω^)「望み薄……かお?」

フードをもう一回、被りなおすと、ブーンはとりあえず一人目に当たる事にした。
時を同じくしてミルナも、地べたに藁の敷物が敷かれたそこに、乱雑に並べられている書物に目をやっていた。

( ゚д゚ )「……ううむ」
『すまんが、本は何か尋ねられてもわからんからね……。取り壊した倉庫の中に積まれていたもんでの』

( ゚д゚ )「そうですか。それにしても多岐に渡る書物の幅。よほど本が好きと見ます。
     例えばこれとか。後期シャワトイレ文学の雄であるトトの出した詩集です。言葉遊びを覚えた文学者達のこうなんというか、荒削りな遊びを見ているだけで心が弾みますね。
     そしてこれ。ワクテカの一人、ウプレスの出した論集。この論集があるからこそ、人は今も己の思いを言葉にし、人に伝えようとするこの文化があるのですね」

『……は、はぁ。買っていってくれるのかい?安くしておくよ』

( ゚д゚ )「いえ、もう穴が開くほど目を通しましたので」
『……』



10: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:51:20.12 ID:Q3lWLxKL0
( ゚д゚ )「中々欲しい本が見つからないので、困っているのです。ではまた、ご縁があれば本を買わせてください」

そう言って、ミルナがその露天から離れようと立ち上がると、ドン、と誰かにぶつかる。
振り返ると屈強な男が三人ほど、ミルナをニヤニヤと笑いながら、睨んでいた。

(;゚д゚ )「……も、もう見つかっちゃいましたか」
( ▼W゜)「おいおい坊や……。どこほっつき歩いてたんだい?」

眼帯をした男が、ミルナの肩を強く掴む。
ギリッと音が鳴りそうな程、その静かな痛みはミルナを襲った。

(;゚д゚ )「…ぐっ」
( ▼W゜)「デカい声は出すなよ。こっちへこい」

闇市という、皆が皆、決まって黒のローブを着ている中で、男三人のボロは目を集めた。
その三人と共に、ミルナはプラスの路地裏へと入っていく。ミルナが何をしたのかは、当人を含む四人しか知らないようである。
当然、そのような形で連れて行かれたのであるから、何が行われるかは安易に予想がつく。



12: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:52:45.18 ID:Q3lWLxKL0
髪の毛を掴まれ、思い切り煉瓦の壁に顔をぶつけられる。
ふわりと意識が飛びそうになった途端、鋭い痛みが頭を襲い、吐瀉物が胸からこみ上げそうになった。

(;д )「うっぐあァッ……!!」
( ▼W゜)「てめェ……。てめえが何をしたかわかってんのか!?おい!!!」

二度、三度――。
抵抗できずにそのまま、同じ箇所を同じ所へ。

瓦礫には血がべっとりと滲みついているが、暗くて色まではわからない。
額から、自分の肌を伝う血の感覚がはっきりと受け取られた。

( @W゜)「兄貴。もう一思いに殺してしまいましょうぜ。殺した後でも本は探せる」
( ▼W゜)「いや……、俺らがかいた恥はこんなもんじゃすまねェ。いたぶってから殺す」



13: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:53:44.87 ID:Q3lWLxKL0
(;゚д゚ )「あ、あれは……。渡しませんよ、あなたたちみたいな賊にはね!!」
(#▼W゜)「ほう。口と逃げ足だけは達者じゃねえかよ」

深い音が鳴る。
棍棒が、ミルナの腹に勢いよくめりこんでいた。
口から固形と液体の中間の物を、だらしなく垂らしながら、その場に座り込む。

声にならない声。
ぜえぜえと、喉がひっかかるような息をする。

このまま殺されるのだろうか?
いや、殺されるのだろう。

そんな事を、ミルナは考えていた。
そしてもう一つ、自分の言葉へ対する愛を確信した。



14: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:55:56.74 ID:Q3lWLxKL0
( ▼W゜)「最後のチャンスだ。"心を与える書"はどこへやった?
      本当の事を言えば、命だけは助けてやる。俺も人殺しなんざしたくねェ」

(; д゚ )「言うと……。本当に僕が言うと、思ってソレを聞いているのかい?」
( ▼W゜)「……」

( ゚д゚ )「だとしたら、君は馬鹿さ。それも、大馬鹿だね。
     死の間際に言われたあの言葉、僕は忘れていないよ。今もこれからも、死んでもこの心に刻まれているからね。
     その刻まれた言葉、約束を守ってるんだ僕は。この書を託してくれた人への恩、愛……。全てが詰まってる」

震える足を正すように、気合を入れてゆっくりと立ち上がる。
その細い腕。剣術も、体術も何も知らないひ弱な体で、筋骨隆々とした男をキッと睨み、服の布を掴みあげる。

(#゚д゚ )「僕だって、今死にたいなんて思っていないよ。
      そして……、今死ぬとも思っていない!!!」



15: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 20:57:30.80 ID:Q3lWLxKL0
激痛が、右肩に走る――。
暗くて何も見えない中で、その刃は鈍く光っていた。
その刃の光に反射するように輝く、ミルナの赤。

(; д )「――ぁぐ!!!!」

そのまま口を押さえられ、声をあげる事も出来なくなる。
口の中に、鉄の味が広がっていく。あふれ出てくるドロリとした血が、口の端で泡を作り、音を少し立てながら、地面へと落ちていく。

(#▼W゜)「そうかい。じゃあ終いだな」

肩に突き刺さったナイフを男が抜くと、慣れた手つきで逆手に構え、胸の部分に目掛ける。
だが、先ほども言った通り、ミルナは自分の言葉に対する愛を確信していた。それは、自信にもなり、何よりも生に繋が

希望さえあれば、願望さえあれば、人は死ぬ事は無いと考える。

誰であっても、だ。



16: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:00:49.05 ID:Q3lWLxKL0
筋の通った、意思の強いその目で、今一度男を睨みつける。
そして、振り下ろされるナイフ。

目を見開いたままいたミルナは、動転してしまう。

(;゚д゚ )「……!!!」

なぜなら、大の男三人が、一斉にその場から吹き飛んだから。
突風が吹き荒れたようにその場は一気に寒くなる。背筋が誰かに直接舐められているような、喉仏を押さえつけられているような。

……悪寒というものだ。

『ドクオ、もうちょっと手加減するお……』
『久しぶりだろ。"3番"を使うのはさ』

悪寒の元である"殺意"は、自分に向けられたものでは無い、そうミルナは感じ取る。
だが、助けがきたという認識でもなく、感嘆することは出来ない。

暗闇のなか、一人が長い棒状の先に変わった形状の刃がついている武器を持っていて、
もう一人が壁に手をやりながら、こちらを見てニヤニヤとしていた。



20: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:11:49.23 ID:Q3lWLxKL0
( ^ω^)「ミルナ。何をしたんだお?」
(;゚д゚ )「え?あ……ブーン……?どうして?」

さっきまで話をしていた"友人"の頃のブーンはどこにいったのだろうか?
全く違う印象を受け、ミルナは驚く。

ジャリ……。
本能が働き、後ずさりをしようとした足が石を踏んづける。
左を向く。吹き飛ばされた男達。右を向く。不敵に笑みを浮かべる友人。

( ^ω^)「あの時、ちゃんと聞いておけばよかったお」
('A`)「……フン」

まだ震えが止まらないミルナの手を握るブーン。
……少し冷たい。やはり肩からの出血がひどいからだろうか。



23: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:14:21.37 ID:Q3lWLxKL0
( ^ω^)「安心するお。事情はまた後で説明するから、今は逃げるお」
(#▼W゜)「おいコラぁ!!!何、人を無視して話進めてンだぁ!?」

ムクリと、三人の男が立ち上がり、各々武器を構える。
ナイフと片手で構える程の剣が二本。

( ^ω^)「そこの賊共。よく聞け――」
( ▼W゜)「あ……?」

( ^ω^)「我輩の名は、ブーン。南はザツダンツより参った、死霊魔術師なり。
       この手より生み出されるは死、恨み、呪い。賊の体で受け止めてくれるのか?
       友に危害を加えたお前達に、この私の、お前達に対するこの深く、黒く、濃く、大きな恨みを」

右手を男達に翳す。
棺桶の中にしまってあった魔術書を取り出すと、パラパラとページがめくれていく。
ドクオはただただ、壁に背中を当てて、気だるそうにしていた。



24: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:16:08.47 ID:Q3lWLxKL0
ミルナの目の前で起こっている光景は、普通では無い。
異常であるし、理解しがたい世界。だが、そこには魅力がふんだんに詰め込まれていた。
瞬きをするのも忘れて、フラつく体を支えながら息を呑む。

(;゚д゚ )「な、何をしようとしてるんだい……?ブーン、ドクオ……」
( ^ω^)「えっと、魔法だお」

(;゚д゚ )「あっさり言うもんだね……」
('A`)「そういう奴だから、こいつ」

( ▼W゜)「やかましぃんだよ!!!」

ブーンの制止、いや忠告を振り払うかのように、男は飛び掛る。
だがその瞬間。男はある感覚が無くなったかのように感じた。それはもともと、あって当たり前だったものが無くなる。
そういう感覚。

( ▼W゜)「……な」
( ^ω^)「ブーンは注意をしたお」



26: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:17:31.40 ID:Q3lWLxKL0
男は振り返る。
仲間が、自分を見ている事に気づく。それも、畏怖の表情をあらわにして。
何が起こった?何をされたんだ?

視点を、下にやる。
右腕が……無かった。いや、腕はあった。地面に落ちていた。
痛みも何も無い。ただ感覚が、感覚が無くなっていただけ。

皮の肩当、布のボロ着。これらは全て傷一つ、汚れ一つ無かったのだ。

(;▼W゜)「な……!?」
( ^ω^)「さあ、これ以上やっても無駄だお。ミルナを仕留めないと、誰かが怒るのかお?」

毒。それもピンポイント、かつ強力な。
一瞬にして男の腕の根元にへばりつき、患部を腐らせ落としたのだ。
痛みも苦しさも何も無く、ただそこにあるものが無くなり、ただそこに無くなったという違和感が生まれる。
フォックス直伝の死霊魔術の基礎である"毒気"を応用した魔法。



28: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:19:16.06 ID:Q3lWLxKL0
( ▼W )「うあぁ……ぐっあ」
( ^ω^)「答えるお」

男がミルナにしたのと同じように、胸倉を掴み壁へと押し当てるブーン。
ニヤニヤとした表情とは全然違うその行動に、男達は本当の恐怖を抱く。
相手の腕を落とす事に躊躇いを持たず、命さえ奪うのも容易いとされるその姿勢がそこにはあった。

(;゚д゚ )「ぶ、ブーン……」
('A`)「黙ってな」

ミルナはドクオの体が異常である事にも気付く。
制止するドクオの腕。先ほどまでは、手甲のようなものを身に着けていると思っていたが、月夜に照らされた部分。
腕の継ぎ目には太い糸が縫いつけられてある。物語小説では何度も読んだ、まるでゾンビ。



30: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:21:46.64 ID:Q3lWLxKL0
その考えは正解であり、ドクオはゾンビ以外の何者でも無い。
少しの間ではあるが、ミルナは驚きと好奇心によって胸の気持ち悪さ、肩に走る激痛、頭を襲う鈍痛を忘れていた。

(#▼W゜)「てめぇ!!黙ってりゃ調子に乗りやがって!!わけわかんねぇ技使いやがって!!!」
( @W゜)( AW゜)「やっちまいましょう!!」

( ^ω^)「……!!」

黒い眼帯をした男がナイフを素早く振り回す。
ブーンはそれを急いで後ろに下がってかわすと、徐にしゃがんだ。
仲間の二人も猪突猛進と言わんばかりにブーン達へ襲い掛かる。しかしブーンはしゃがんだまま、動こうともせず静かに何かを呟いていた。

('A`)「さあ、お前もしゃがみな」
(;゚д゚ )「え?な、何が……何をするんだい?」

ミルナは先ほど強打した頭をドクオに掴まれ、強引にしゃがまされる。
ズキッと鈍い痛みをそのときに思い出した。薄目でドクオの方を見ると、胸の部分にある宝石、そして片手で持っていた刃のついた棒が輝いていた。



31: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:23:46.72 ID:Q3lWLxKL0
( ^ω^)「――3番、カゼナガマキ」

ブーンの目が怪しく輝く。
そして巻き起こる先ほどに似た、怖い風。

('A`)「あいよっ」

余りにも強いそれに、男三人はたまらず怯む。
もう男達に、未来は無い。
あるのは死だけ。

"カゼナガマキ"はそれ以外に見せないのだから。

ドクオがその手に持つ武器"3番"を、勢いよくレンガの壁へと突き刺した。
勢いよく、無数の刃が壁から飛び出す。
路地という壁と壁にはさまれた狭い空間。男達の意識はそこで途絶える。

残されたのは、白目をむき、体をビクビクと震えさせたまま地面に横たわった三つの死体。
そして血だまり――。



32: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:25:21.91 ID:Q3lWLxKL0
無言。


(;゚д゚ )「な……何が……。ブーン、君は一体……」


動揺。


( ^ω^)「あんまし、いい気分でも無いお」


少しの後悔。


('A`)「おい。ボーッとしてる暇はねえぞ。逃げねぇと」
( ^ω^)「だお。ミルナ、少し説明は後になるお。さあ行くお」


差し出された手。
ミルナは躊躇わなかった。



33: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:26:06.95 ID:Q3lWLxKL0
( ゚д゚ )「あ、うん……」

今目の前で、自分を助けてくれた友を、少しでも恐怖してしまった自分に苛立ちを覚えていた。
何者かもわからない。しかし、理由はそれだけでも十分だった。


( ^ω^)「とりあえずドクオは棺桶に戻るお。宿に戻るお!!」
('A`)「あいよ」


そしてミルナは、魔術師の運命という物に魅了されていく。
この神判都市プラスを巻き込んだ、大きな出来事に。

――――
―――
――



35: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:27:56.18 ID:Q3lWLxKL0
非常に量高い鎧を着た男が、一枚の紙を持ってその場を行き来していた。
一晩明けたプラスでは、三人の男の死体が見つかったという事で話題で持ちきりになっており、その処理に追われている様子であった。
男の名前はアニジャ。

プラス騎士団の"力を持つ三剣頭"の内の一つ。

( ´_ゝ`)「……うぅむ。これはどうしたものか……」

その重く大きな鎧を普段着のように扱うその姿は屈強な印象を受ける。
背中には背の小さい人程あるであろう剣を背負い、一歩歩くごとに金属の音をその部屋に鳴らしていた。
するとその部屋にノックの音が。

『アニジャ。アニジャはいるか?』

( ´_ゝ`)「ああいるぞ。入ってくれ」

ドアを開けて入ってきたのは、アニジャと瓜二つの人間。
ただ違うのは、アニジャとは違い武器が大きな戦斧である事。



36: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:29:28.09 ID:Q3lWLxKL0
(´<_` )「アニジャどうするんだ?」

( ´_ゝ`)「オトジャ。どうって……とにかく犯人を捕まえないとしめしがつかんぞ。隊長の耳に入る前にだな……」

オトジャと呼ばれたその男も"力を持つ三剣頭"の一人。
おそらく双子なのであろう、身長から声から、何から全てが似ていた。
アニジャが紙を見せる。殺された者達の特徴、傷口の詳細であった。

(´<_` )「この殺し方、普通じゃないな。狭い路地で両サイドから串刺し……。それも三人も」
( ´_ゝ`)「そうだ。普通じゃないんだ。だから故に……隊長には言い難い。あの"手"は嫌いな方だ」

(´<_` )「俺達もそうだ。理屈じゃわからん事はどうにも割り切れん」

鎧を着た男二人がこそこそと話をしていると、ドアが開く音が聞こえた。

(´<_` )「おい。ノックぐらいせ……」



37: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:30:36.21 ID:Q3lWLxKL0
そこにいたのは、男達とは違い、少し小ぶりな鎧を着た女性。
黒い髪を腰のあたりまで伸ばし、鋭い目つきをしていた。

(;´_ゝ`)「た、隊長!!!」
(´<_`;)「失礼しました!!!」

すぐさま敬礼をする二人。
ツカツカと真っ直ぐ二人の前へ行くと、口を開いた。

川 ゚ -゚)「状況はどうなっている?」

(;´_ゝ`)「い、今はとりあえず街の出入りを封じています。下水からの出口も兵士二人配置しました。
       おそらく壁をこえでもしないとこの街からは出られないかと……」

川 ゚ -゚)「封鎖は死体が見つかってからいくらほど時間が経ってからだ?」
(´<_`;)「おおよそ45分です。なにぶん深夜だったもので、少し配置に遅れてしまいました」

すると女は少しだけ微笑む。

川 ゚ -゚)「上出来だ。さあ行くぞ」
( ´_ゝ`)「行く……とは?」



38: ◆Cy/9gwA.RE :2008/03/29(土) 21:33:08.03 ID:Q3lWLxKL0
川 ゚ -゚)「勿論、このプラスの秩序を乱した屑を探しにだ」

それだけ言うと、女はすぐにその部屋を後にした。

( ´_ゝ`)「……素敵だァ……。クー隊長」
(´<_` )「おい勘違いをするな。クー隊長はさっき俺に微笑んだんだぞ」

( ´_ゝ`)「何を言う。俺に微笑んだのだ。もっと実績を積めば、俺はクー隊長の婿としてだな……」
(´<_` )「冗談も大概にしておけ。クー隊長は俺と添い遂げるのだ」

川 ゚ -゚)「何をしている?早く来ないか」
(*´_ゝ`)「はっはいぃ!!!クー隊長!!!」

(´<_`#)「おおおィ!!!抜け駆けは許さん!!!」


今、ここにプラス騎士団"力を持つ三剣頭"が揃った。
狙うは秩序を乱す悪の首。
狙われるは、死霊魔術師ブーン、そのゾンビドクオ。そして、書を持ったミルナ。


プラスの歯車が今、回りだした。


( ^ω^)はネクロマンサーのようです 第6話『恐怖絶望希望願望教室』 終



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