( ^ω^)達はタイムマシーンに乗るようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:06:58.00 ID:TrTOLdN90




「……私の名前は、杉浦」









男は一言自分の名前を名乗ると、手元の本に目線を移した。随分厚い本を手に取っているようだ。
ヘリカルは深呼吸をする。毛布の温みと部屋に漂うコーヒーの匂いが、彼女をリラックスさせた。
自分の体を貫いていた鉄の棒が、スッと今抜けていくような感じがして、
彼女は今一度、自分の置かれている状況を確かめようとする。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:10:08.75 ID:TrTOLdN90
*(‘‘)*「あ、あの…」

「なんだい?」

*(‘‘)*「…今、せいれきなんねんですか?」

*(‘‘)*(何きいてんだアタシ?)

しどろもどろなか細い声も、静かな書斎ではよく通った。男は後ろを向きながら、ある一点を指差す。
そこにはカレンダーが掛けられてあった。

*(‘‘)*(…げ、2年後じゃないか)

*(‘‘)*(目が覚めたらいつもの世界… いや、じだい…
     そんなふうにつごう良くはいかないよね)

*(‘‘)*(…はあ)



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:14:51.76 ID:TrTOLdN90
*(‘‘)*「…」

( ´ω`)「…」

男は、今にも何か言葉を呟きそうな面付きだった。
しかし、「なんでそんなことをきくんだい?」 
などと質問を質問で返されるのが嫌で、ヘリカルはおどけてみせた。


*(‘‘)*「あはは! そうですよね〜。 何言ってんだろワタシ〜!!」

*(‘‘)*「…」

( ´ω`)「…ふふ」

男は依然としてにこやかに本のページを捲る。
「なんか、ハズしてしまった」 そう思うヘリカルであった。



本当は、喉の奥あたりまで出かけている聞きたいことがある。
だけど、それは中々外に吐き出せない。

ヘリカルは鉄の棒が背筋へと再び差し込まれていくような気持ちになった。



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:19:13.97 ID:TrTOLdN90
悶々とした感情に挟まれながら、ふと、向こうに立て掛けられてあった時計に視線が飛ぶ。
短い針は1の数字を指していた。



*(‘‘)*(げっ! ”オトナの時間”じゃないか!)







ヘリカルは必ず夜10時までには寝るようにと、ブーン達に躾られている。
子供が寝静まり、親たちは何をするか… それは勿論、がった(ry 
夫婦ではないのだし、それはないだろう。
もう一つの可能性も考えられるが、仲が良い彼等だからこそ、そんなことは絶対ないだろう。いや、ないです。
実際はえっちぃな本を読んでいたり、酒を飲み交わしたり、飲みに出かけたり、酔っ払ってプロレスごっこをしたり、
それから… やっぱり酒を飲んでいる。



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:23:10.14 ID:TrTOLdN90
深夜1時。いつもはまさにノンレム睡眠の真っ最中の時刻。
実際の時間を認識した途端に、ヘリカルを再び睡魔が襲う。鉄の棒は瞬時に萎縮する。


*(‘‘)*「ふ、ふわぁ…」

( ´ω`)「ねむいのかい? 寝なさい… 今日はもう遅い」

*(‘‘)*「ども… ありがと… ございます…」


華奢な身体は、再び柔らかいソファーに沈んでいく。
ヘリカルは不思議と、自分が住んでいる研究所と同じような安らぎを感じながら、眠りに落ちるのだった。


(  ω )「さて、私もそろそろ眠るとするか」


杉浦は書斎を出る前に、ヘリカルの毛布を丁寧に掛け直した。
彼もまた、彼女に不思議な懐かしさを感じている……





――――――
――――



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:27:18.56 ID:TrTOLdN90



(;'A`)「ところでここはどこなんだ…?」

ブーン達の頭上に広がる青空を、煙が埋め尽している。
その隙間から見える空は、煙の灰色と相反して素晴らしき哉晴天だ。


2093年。 8月。 真夏の太陽は、彼等の困憊(こんぱい)した体を照らす。




(;^ω^)「あ、あづぃ…」

(;'A`)「軽装で来て… 良かったぜ… あつ」

('A`;)「そういえばこの年って三十年来の猛暑を記録したんじゃなかったか…? ショボン」

(;´・ω・`)「あっちーから喋りかけんな!」

(;^ω^)「あづぅいぁんあんぁあーーー!!!」

(´・ω・`;) 「工具でぶん殴るぞ!」

(;^ω^)「ゴメス」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:30:29.79 ID:TrTOLdN90
所々が凹み、削れてしまった機体の中。
ショボンは他二人よりも、何倍も発汗しながらメンテナンスを続けていた。
目的の時代にやって来たというのに、もう4時間ろくすっぽそこから一歩も出ていない。
乾いた風と砂の土、そして太陽光が彼等の体躯を焦がし、それはタイムマシーンにも影響を及ぼし… てはいないようだが


(;´・ω・`) 「…んがっ!」

(;;;´・ω・`;;;)「また配線が切れやがった! 一休みだ! あーもう!」




スパナを地面に投げ、不機嫌そうに座り込んでショボンは言う。


(´・ω・`) 「時間空間… 到達座標… 到着実際時刻 全て狂ってる!
      どこなんだよここは〜!!」


大地には岩や草が寂しく点在し、
遥か彼方には陽炎を伴って大型トラックやダンプカーが見える。



(;^ω^)「うーん。ラジオが辛うじて入るっつーことは日本だお
      とすれば、ここは寂れた僻地の工事現場ってとこだお?」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:35:06.87 ID:TrTOLdN90
(´・ω・`) 「いらいらいら…」

「いらいら」という擬音を口で発声するほどに彼は苛立っていた。
これはショボンの幼少の時からの癖で、他に「むかむか」「わくわく」「どきどき」等のバリエーションがある。


('A`)「まあまあ… ちゃんと俺らの時代から7年前にワープできただけいいじゃないか」

(´・ω・`) 「よかない! 出発前の微調整やエネルギー弁の調節を疎かにしたせいで
      機体にも相当負担がかかったんだぞっ! 見ろっ! この可哀想な姿を」

('A`)「うーん… おいたわしや」

するとその横で、タイムワープ失敗の原因が呆れたように呟く。

(;^ω^)「不機嫌になったショボンは手がつけらんねぇお」

「おめーが悪いんだろが!」('A`)つ)^ω^) ムニッ



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:37:48.04 ID:TrTOLdN90
( ^ω^)「えー、僕の性? 違うお! 元はといえばドクオの足が臭いからだお!」

('A`)「あほかっちゅーねん! なんでそうなる!」

(´・ω・`) 「大体おまえ目覚まし時計ちゃんと持ってきたんだろ!」

( ^ω^)「電池切れてたwww サーセンwwww」

('A`)「てっめええええええ」


ファイッ!


ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ
ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ
ヤイノヤイノヤイノズガボギドガッグシャヤイノヤイノ…
ヤイノヤイノ ヤイノヤイノヤイダヤイノヤイノ
ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ
ヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノヤイノ

…………



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:40:55.43 ID:TrTOLdN90
(#´・ω・`)「ムキーッ!」

(´・ω・`) 「…! おい、向こう見てみろ!」

     
     ( ´A`)<あん?
     /⌒    ヽ
    / /    ノヽ    _ー ̄_ ̄)',  ・ ∴.'  , ..     ∴.'.'  , .
    ( /ヽ   | ) --_- ― = ̄  ̄`:, .∴ '      ((( #)^ω^) .∴ '
    \ /  _, -'' ̄  = __――=', ・,' .r⌒>  _/ / ・,' , ・,‘
      (   _~"" --  _-―  ̄=_  )":" .' | y'⌒   ⌒i .' .   ’
      |   /,,, _―  ̄_=_  ` )),∴. ).  |  /  ノ | ∴.'∴.'
      |  / /   ―= _ ) ̄=_)   _), ー'  /´ヾ_ノ
      (  ) )      _ _ )=  _) ,./ ,  ノ  '
      | | /          = _)  / / /   , ・,‘
      | | |.               / / ,'  , ・,‘
     / |\ \            /  /|  |
     ∠/   ̄            !、_/ /   )
                           |_/

陽炎の向こうから、一台の中型トラックが近付いてくる。
ブーン達はそれに気付くと、大人気ない喧嘩を速やかに解いてタイムマシーンの中へと乗り込んだ。



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:43:21.19 ID:TrTOLdN90
(;^ω^)「蒸し暑っづぁああぁああぁああん!!」

('A`;)「てめえがいるとさらにそれはUP↑だ!!」

(;´・ω・`) 「ドクオ、上手く作動しそうか?」

('A`;)「ああ、ここらへんは無傷みたいだな」

(;´・ω・`) 「見つかって色々聞かれたら面倒だぞ! 早く!」


ドクオは汗ばむ指でコントロールパネルの裏にある突起を押し込んだ。
次の瞬間、タイムマシーンはその風景から無くなった。
いや、土や砂の色に擬態したと言った方が正しい。


'A` (トラックめ、ピッタリ隣に停まりやがった)

  ^ω^ (ふー… 間一髪だお)

 ´・ω・` (ステルス機能は正常… と)



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:47:29.44 ID:TrTOLdN90
「君、ほんとにここらへんなのか?」
「隊長! 私の調査に偽りは無いであります!」
「ふふふ。よし、掘って掘って掘りまくるのだ! 目指せ、科学王!」
「クエーッ! 腕が鳴りますな!」


  ^ω^ (それにしてもショボンはすごいお… こんなもんも開発できちゃうんだから)

 ´・ω・` (うーん。メタルギアソリッドやってたらなんか閃いてさ)

'A` (クックルのとっつぁんにも、これを使えば一発で撒けたんじゃないか?)

 ´・ω・` (いや、これもこれで機体のエネルギーを使うからね……)

 ;^ω^ (げっ! じゃあ僕がこの時代に着いてから、
       プログラムして蓄積させていたのは全部おじゃんだお!?)

 ´・ω・` (しょーがねーだろー)

   ゚ω゚ (むきゃー!)

姿を消してもなお小さな口論は続く。
トラックから降りた二人組は、先程からスコップで大地を掘っているようだ。
何を求めているのだろうか。興味が沸いたドクオはタイムマシーンの外へ出てその先を見つめる。

'A` (へえ、ステルスはマシーン外に出ても効いているのか)

 ^ω^ (外に出ちゃ駄目だお!)

 ´・ω・` (あいつは…… あの小太りの男は)



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:50:37.32 ID:TrTOLdN90
( ゚∋゚)「かーちゃんのためなら エーンヤコラ! エーンヤコラ!」

(;´ー`) 「ふうふう… 全然鉱石が出てこないぞ!」

( ゚∋゚)「隊長! まだ浅いですぞ! 穴掘りってのはここから勝負なのです!」


'A` (手前の奴、どっかで見たことがあるんだよな…)

(;゚∋゚)「ゼェゼェ…」

( ゚∋゚)「!!」

作業服を着た若い方の男が、何やら輝く鉱石を手にした。
太陽の光が反射して、男が手首を回す度にきらきらと瞬く。

( ゚∋゚)「クエッ! たたた隊長!! 発見しました!」


(;´ー`) 「なにぃ!? 遂にきた!! 我がチームの夢…
       いやっ全人類の夢”クロノストーン”が!!!!」


'A` (はあ? くろのすとーん?)



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:53:49.06 ID:TrTOLdN90
( ´ー`) 「よ、よこせっ!」

( ゚∋゚)「どうぞ!」

同行していた小太りの男は輝く石を受け取り、それを目から離したり近付けたりしてよく観察している。
最後に太陽へと石をかざし、そこで体は硬直した。


( ´ー`) 「…」

(;´ー`)ノシ■ 「こんなもん、ただのちょっと綺麗な石だーー!!!!」

ゴツッ

(#゚∋゚)「いだっ! す、すいませんであります!! クエッ!」

(;´ー`) 「タイムストーンというのはな! 太陽へ南南西120度の方向にかざすと七色に光るのだ!
       価値はダイアモンドより高いっ! それさえ見つけられれば…」

(*゚∋゚)「我々は大金持ちでありますっ!!」

(;´ー`) 「ばかもーーーん!! 人類の夢! 時間旅行が実現するのだぞ!!」



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 21:56:40.67 ID:TrTOLdN90
(;゚∋゚)「すっすいませんであります!」

(;´ー`)「はぁはぁ… 分かればよい」

発奮する彼らの前方で、ぽつりと声が落ちる。




『ぷっ、なにそれw』





( ゚∋゚)「!!! 何奴!」

'A` (やべっ!)


姿は見えないと分かっていつつ、ドクオは近くの大岩に姿を隠した。



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:00:53.51 ID:TrTOLdN90
( ´ー`) 「…? どうしたクックル」

( ゚∋゚)「今、どこからか声が聞こえたような…」

( ´ー`) 「聞こえなかったぞ?」

'A` (クックル? もしやあのトサカ頭、とっつぁんの若い頃か!?)


謎の声に警戒し、猟銃を構えて歩き回る青年期のクックル。
それを尻目に、彼から”隊長”と呼ばれている男は重い溜息を吐いた。


( ゚∋゚)「右よーし! 左よーし! 前よぉおおーし!」

( ゚∋゚)「敵兵よ! 来るなら来い! 武人クックルが相手になるクエーーッ!!」


荒地の四方に鉄砲の音が鳴り響く。弾の一発は、ドクオが隠れていた岩の上部をかすめた。


 ;'A` (どわっ! 相変らずクレイジーな野郎だぜ。 もっと遠くに行くか…)

 'A` (…ションベンしたくなってきたな)


押し寄せる尿意により、暫しドクオはその場を離れることにした。
その向こう、”隊長”は溜息を何度もついている。



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:05:38.53 ID:TrTOLdN90
 ^ω^ (ショボン、あいつらは誰だお?)

 ´・ω・`(痩せてるほうが若いときのクックル…
      そして太ってるほうが恐らく… 孫名野・白根世だ)

 ^ω^ (白根世!? 僕らの時代じゃ、科学庁の大臣だお!
      そんなめちゃんこ偉い奴がなんて穴掘りを…)


 ´・ω・` (細かい話は後にしよう。いいアイディアがある。
       ついてきてくれ)








( ´ー`) 「…ふぅ」

( ゚∋゚)「どうしたのであります隊長? 肩でもお揉みしましょうかっ!?」



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:07:20.30 ID:TrTOLdN90
( ´ー`) 「…いや、いい。私は、疲れた」

( ゚∋゚)「だがしかし採掘作業は途中ですぞ?」

( ´ー`) 「…バカな部下を持つと、疲れる」

( ´ー`) 「だから、私は、帰る」

( ゚∋゚)「そうですか! がははっ!」

クックルは銃をしまい、再びスコップを握る。

(*゚∋゚)「ならば私は日が暮れるまで採掘するとしますっww」


(#´ー`) 「ぶぁっかもん!!!! 車を出さんかあああ!!!!!!!!」

(;゚∋゚)「クエッ!」


”隊長”の怒声にたじろぎ、クックルは作業ズボンから車のキーを取り出しつつ
しどろもどろでトラックの方へと走って行った。
するとタイムマシーンが隠れている所から、二つの人影が浮かぶのを隊長は発見した。


( ´ー`) 「誰だぁ あいつらは?」



37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:09:56.86 ID:TrTOLdN90
( ^ω^)「すいませんですお!」

(´・ω・`) 「あの… あなたは、かの有名な白根世さんでは?」


浮かび上がった二つの人影は、勿論ブーンとショボンであった。
何かを懇願している様子である。


(;´ー`) 「――――!! 君たちッ! この、孫名野・白根世博士を知っておるのか!?」

(´・ω・`) 「ええっ! 勿論! 物凄い有名人ではないですか!(僕らの時代ならね)」

( ^ω^)「それで、そんな有名な博士に、一つばかしお願いがあるんですお…」

(*´ー`)「なんだね! 言ってみたまえっ!」

(´・ω・`) 「僕たちもここにクロノストーンを採掘しに来たのですが、
      車がエンコしちゃって…」

( ^ω^)「僕らの町まで、連れてってくれませんお? お願いしますお!」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:11:50.59 ID:TrTOLdN90
(;´ー`)「ほう、君達も私のクロノストーン説を信じるのかね!
      誠に感心な若者達だ!!!」

( ´ー`) 「だ、だがしかしトラックというのは勿論二人乗りだぞ…?」

ブーンが目の辺りに神経を集中させ、全力で微笑む。そのスマイルはまるで天使の如く。
手を摩り合わせ、顔を思い切り近づけ、そして隊長にとって最高に甘美な響きを持った言葉で、ノック・アウトする。

( ^ω^)「荷台で構いませんお!」

( ^ω^)「お願いしますお!」

( *^ω^* )「は、か、せ!」

隊長の頬が、まるで張り替えたばかりの弦のようにたゆんたゆんと緩む。

(*´ー`) 「ふふふっ! よかろう、荷台でよければどこへでも連れてってやろう!」

( ^ω^)b 「やったお!」

d(´・ω・` ) (ちょろいな)



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:13:10.64 ID:TrTOLdN90
遠くからクラクションが聞こえる。クックルが催促をしている。


「たいちょー!! はやくー、いきましょうよー!」


(´ー` ) 「おう、今行くぞい!」

( ´ー`) 「さて、どこまで連れてって欲しいのだ?」

ショボンがニヤリとしながら答えた。

(´・ω・`) 「サロン町の入り口までで構いません」

( ´ー`) 「ぬっ? サロン町? あの忌々しい杉浦めの本拠地か… いやなんでもない
       よかろう。それでは日が暮れる前に出発だっ!」

( ^ω^)「おーっ! だおwww」


'A` 「ふーい 気持ちよかった…」

'A` 「ん?」



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:15:29.18 ID:TrTOLdN90
隊長はトラックの助手席へ、ブーンとショボンはトラックの荷台へ。
エンジンが景気の良い音と共に稼動する。小さな振動が彼らの体と心を揺らす。荒涼としたこの地を越えればようやく目的地なのだ… と。
トラックは大きくターンをして走り出した。10キロ… 20キロ… 速度が増していく。それと合わせて彼らの心も高揚してくる。


( ^ω^)「ふい〜 なんとかなるもんだお」

(´・ω・`) 「偶然って素晴らしいね」

荒野に吹く乾いた風を隔てて、聞き覚えのある声が轟く。
二人は咄嗟に後ろを振り向いた。 汗かき走る男が一人。


「ちょっとまてぇえええーーい!!!!」



(  ゚ω゚)「アッー! ド、ドクオ!!!」




⊂ニニニ(;'A`;)ニニニ⊃ 「ぬぅおおおおおおおお!!!!!!!」





(;´・ω・`) 「やっべ! すっかり忘れてたぁああ!!!」



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:16:24.20 ID:TrTOLdN90
ドクオは走る。走りの基礎がなっていないほどに酷いフォームだが、とにかく我武者羅に走る。
汗は体の至る穴から噴出し、顔はただでさえ不気味なのに、まるで般若のような形相である。

(;'A`)「ふんがあああああ!!!!!!」

(;^ω^)「カマァーーン!!! カマァーーンドクオ!」

〜〜〜〜〜

( ゚∋゚)「車っ子一台として走っていないであります! トバしていいでありますか?」

( ´ー`) 「うむ」




だが無常、荒涼の大地をトラックはさらにスピードを上げて突っ走る。
見る見るうちに彼とトラックの差は開いていき… 
ブーン達から見て、ドクオが小人のようにまで見えた距離に達したとき、彼は走るのを止めた。




(;;;'A`)「ぜひゅ〜〜〜… ぜひゅ〜〜〜…」

(;;'A`)「畜生!」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/03/24(月) 22:20:34.92 ID:TrTOLdN90
(;^ω^)「てっきりステルスのまま一緒に乗り込んでいるのかと思ったお…」

(;´・ω・`) 「こいつぁヤバイ………」

思わぬ事態に、彼らの体は火照りを増す。握る拳には、汗が滲む。
だがしかし、トラックの快速度による爽やかな夏の風が四方からやってきたとなると、自然に二人の体からは力が抜けていく。。



(;´・ω・`) 「……っふう」

(;´・ω・`)「…涼しいね」

(;^ω^)「だお」

(;´・ω・`)「…」

(;´・ω・`)「なんとかなるかな」

(;´・ω・`)「………ドクオだし」

(;^ω^)「…だお」





ヘリカルを未来へと置き去りに、ドクオとタイムマシーンを寂寥の大地へと置き去りにして、時を超えた旅は続いていく。
ショボンとブーンは雄大な空に浮かぶ入道雲を眺めながら、”過去との対峙”が迫ってきたことを沸々と感じていた。



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