('A`)は川 ゚ -゚)と繋がるようです
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:20:38.79 ID:LTHS9D+k0
- 第一話
(;'A`)「ぬおおおう!」
朝。夜中までパソコン遊びをしていた所為か、見事に寝坊をしてしまった。
必死で俺は自転車をこぐ。乱れる髪や制服。頬を伝う汗。 校門の前の信号機で立ち止まると、女生徒の俺を笑う声がした。
チクショウ、現実世界なんかクソくらえだ。
('A`)「あぁ〜… だるいっ」
('A`)「だるいっ、だるいっ、だるいっ」
ぶつぶつと独り言を呟きながら教室へと向かう。
廊下を爽やかに歩く奴らがなんだか憎らしい。
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:26:43.59 ID:LTHS9D+k0
- ('A`)「おはようさん…」
教室の中は今日も今日とて賑やかだ。
何故に君達は、朝もはよからそんなに楽しく話ができるんだい。
「やっぱ西高の女はちょろいわ。すぐヤレる」
「二時間目フケるべ?」
「これマジかわいくなーいwwww」「カワイーwww」
「ヘイヘイヘイ見たー? KATTENでてたよぉ!!」
「えー!? ショックなんだけどぉ……」
('A`)(あーうざいうざいうざいうざい……)
なんて低俗な連中だ。 しかし、心のどこかでは少し羨ましがっている。
結局はそんな自分が一番嫌いなのだ。
- 18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:31:29.24 ID:LTHS9D+k0
- 賑やかな雰囲気を抜けて、窓側の後ろから二番目の席に座る。一番後ろの席は今日も空いている。
ペニサスっていう地味な女の子がそこに座っていたけど、しばらく前に自殺して死んでしまった。
「この前工業の1年の奴らうぜぇからよ、田中とかと組んでボコってきたわ」
「まじでwww "死ぬ"んじゃねそれww ってか"死"んだろwww」
「ああ、"死"んだ! ぶっ"殺"してきたわ」
('A`)「…」
だけどまあ、この賑やかさ。 みんな彼女のことなんかすっかり忘れて、低俗な話題に夢中だ。
彼女は学校に一人も友達がいなかった。
いつもぼうっと空を眺めているか、ノートに向かっているか。
一度偶然に彼女のノートの中身を見たことがある。 格好いい男がマントを羽織って剣を携えていたな。
多分、漫画を描くことがとても好きだったんだ。
- 19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:36:08.42 ID:LTHS9D+k0
- ところで、クラスメイトの歓談は耳障りだけど、時に便利でもある。
例えばこんなとき。
「三時間目生物追試だってよー」
「え、マジぃ?」
('A`)「なるほど」
三時間目は追試か。 確か一時間目は英単語のテストなんだ。
しかし、机に単語帳を出している奴なんか僅かしかいない。 だからお前らはバカなんだよ。
ああ、俺もその集団の中の一人だと思うと嫌気がさす。 俺はこんな奴らとは違うんだ。
俺はおまえらと違って特別なんだ。
何がどう特別かと言われると困るけど、
とにかくそんな意識が入学の頃からずっと渦巻いている。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:38:20.37 ID:LTHS9D+k0
- ('A`)「確か範囲は…」
キーンコーン…
('A`)「はぁ」
俺は机の中から生物のノートを取り出した。
しかし、それと同時にチャイムが鳴り、苦虫を噛んだ。
('A`)「今日も面倒な一日の始まりか」
('A`)「ふぅ」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 :2008/04/26(土) 22:40:28.29 ID:LTHS9D+k0
- ('A`)「ちっ。もうちょっと早く知っていれば…」
('A`)「ん?」
おもむろに覗いた窓の向こう、校庭の真ん中、一人の女生徒が立っていた。
スカートから伸びる足は長く美しく、顔は横を向いているから分からない。
だけど、その横顔を覆う髪は艶やかな黒のロング …あれ?
('A`)「あ、こっち向いた」
川 ゚ -゚)「…」
「まじかよ」 思わずそう小さく呟いてしまった。
それは、単純な驚き、感嘆。それ以外の何でもないだろう。 暗雲漂う梅雨の季節だった。
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