( ^ω^)ブーンはつかれやすい体質のようです
- 2: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:21:29.65 ID:ekrPZlV6O
- これは、私が小学生の頃の話です。学校からの帰り道、真っ黒な髪を腰まで
のばした女の子が、公衆電話の前に立っていました。その子が振り向いて
話かけて来た時に、その目が白く濁っていた事から、私は彼女が盲目である事
を知ったのです。その子は透き通った声で言いました「美加ちゃん、お葬式の
最中に悪いんだけど、私の代わりに電話をかけてくれる?」わたしは(何か
誤解されてるな)と思い乍らも、そこは突っ込まずに、それよりも彼女が何故
まよう事なく私の名前を言い当てたのか、知りたいと思いました。「どこか
で、会ったかしら?」すると彼女はクスクスと可笑しそうに笑い、本を
読むように饒舌に語り始めたのです。「クラスが違うから、知らなくても
無理はないけど、アナタの同級生よ。貴方は一組で私は六組。廊下の端
と端ですものね。でも私は、ずっと前からアナタを知っていた…。
- 4: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:22:51.28 ID:ekrPZlV6O
- 目の悪い人間ほど、声には敏感なものよ。アナタはとても綺麗な声で、クラス
の人望も厚くて、よく皆の話題になってた・・・。だってアナタは優等生の
見本のような人ですものね。きっと私の頼みを聞いてくれると思ったの。
エゴイスティックな他の人たちとは大違い……」
なにかが狂ってるような気がしました。それでも私は、その少女の
いう通りに、ダイヤルを回し(当時はまだダイヤル式の公衆電話でした)、
少女のいう通りに、受話器を渡したのです。
女の子は、電話の向こうの誰かと声を潜めて話しては、時々こちらを見て、
にっこりと笑いました。その電話が終り、少女が去った直後でした。私が、
途方も無くおそろしいものに取り憑かれていた事に気付いたのは。
理由を詳しく説明する事はできません。私の
つまらない文章の意味を理解した者だけが、とり
かれる。そ
れが、この少女の呪いの
ルールなのですから
- 5: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:23:47.26 ID:ekrPZlV6O
長い、産業でよろしく。
川 ゚ -゚)+
- 6: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:24:23.92 ID:ekrPZlV6O
第四話「で、どこを縦読み?」
- 8: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:25:47.89 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「エロ画像ktkr」
GWに突入したというのに、ブーンは自室に篭って昼間からネットをしていた。
前回、入学式を欠席した彼は不安が的中して人間とは上手くいっていない。
ぼっち生活の恐怖から逃げるように、エロ画像うpスレと戦っているのだ。
( ^ω^)「フヒヒ!」
部屋にはツンとハインが居るが、そんなのは煩悩に火が点いたブーンには関係ない。
更新を確認する度、マウスを握るブーンの手に力が入る。
ξ゚ ゚)ξ「キモッ」
隣でブーンの様子を見ているツンが退き気味に言う。
しかし、そんな非難は耳に入れず、ブーンは画像を開いて行く。
- 10: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:26:57.48 ID:ekrPZlV6O
- 从 ゚∀从「んなの、ツンに見せて貰えば良いじゃん」
ξ#゚ ゚)ξ「誰が見せるか」
ベッドに寝そべって携帯ゲームをしているハインが口を開いた。
ツンが睨み付けるが、ハインはゲームの画面から目を離さない。
( ^ω^)「うおおおおおおお!!」
そんな中、突然ブーンが奇声を欲して両腕を天井に振りかざした。
ツンが見るブーンの横顔は、この上なく嬉しそうだ。
きっと、ブーンの趣向に合った素晴らしい画像を踏んだのだ。
ξ;- -)ξ(あほくさ)
馬鹿馬鹿しくなり、ツンがそそくさと部屋から出て行く。
( ^ω^)(神よ)
ブーンは幸運をもたらしてくれた神に祈りを捧げている。
- 12: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:28:22.17 ID:ekrPZlV6O
- 从 ゚∀从(……)
ゲームに興じていたハインが電源を落として立ち上がった。
懐に忍ばせていた短刀を抜き出し、ブーンの無防備な背中に近付く。
それに全く気付かないブーンは煌々と光る画面を見続けている。
( ^ω^)「もっと無いのかお」
ブーンの背後で短刀が空気を斬って振り上げられる。
そして、振り下ろされた短刀の刃が首筋ギリギリの所で止められた。
ブーンは全ての動作を止め、目だけを動かせて短刀を見遣った。
( ^ω^)「ハイン」
ブーンが呼び掛けると、ハインは明るい声で返事をした。
从 ゚∀从「何だよ」
- 14: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:29:41.77 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「僕はまだ、一度もハインの質問に答えてないお」
ハインはプライドが高い悪霊である。
"赤い服を着たい"と答えていないブーンを死に至らしめる筈がない。
渡辺然り、ハインにも都市伝説に生きる者としての誇りがある。
从 ゚∀从「いや」
そう短く言うと、ハインは短刀をそっと引いて懐に戻した。
ブーンが後ろを振り向くと、やはり明るい口調で口を開く。
从 ゚∀从「そんな無防備だから憑かれるんだぜ」
( ^ω^)「???」
ここ最近、ブーンは怪談物の本を読んでいないし、曰く付きの場所には行っていない。
キューに入学式を欠席させられてから、気を付けて暮らしている。
まぁ、ブーンが住んでいる666号室が曰く付きの最たる物ではあるが。
- 16: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:31:06.22 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「憑かれた感じはしないけど」
从 ゚∀从「まぁ、見てろって。お前に心休まる日々なんざねぇ」
ハインはニヤリと口元を歪ませて姿を消してしまった。
部屋に一人残されたブーンが首を傾げる。
……が、そんな事よりも画像収集の続きである。
(*^ω^)「フヒヒ!」
ツンは居間に行き、ハインも何処かへと消えた。
邪魔者が居なくなり、ブーンは自身が持つ全てを解放し始めた。
enjoy&exciting. そんな精神で最後のレスに貼られているアドレスを開いた。
( ^ω^)「ん?」
そこにはエロ画像ではなく、部屋でパソコンをしている男の後ろ姿が表示された。
…釣られた。ブーンは真っ先にそう思い、デスクの薄板を叩き付ける。
だが、よくよく見れば写真には覚えのある物が映っているではないか。
- 17: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:32:17.10 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「ハイン、かお?」
ベッドで寝そべる、女性の物と思しき下半身が写真端に映り込んでいる。
真赤な服、その裾から覗く足がまるで死人のように青白かったのだ。
そして、写真の部屋の様子がブーンの自室とそっくりであった。
( ^ω^)(……)
ハインが言っていた通り、いつの間にかブーンは憑かれていたのか。
ならば一体何時? ブーンは写真をジッと見つめて考える。
しかし、最初は真剣に考えていたブーンだが、徐々に怒りが姿を現せる。
(#^ω^)「エロ画像を返せお! wktkを返せお!!」
これ以上、写真を見ていると精神衛生上に悪い。
ブーンはウィンドウを閉じて写真のアドレスをキッと睨み付ける。
( ^ω^)「…これは?」
ブーンはアドレスの下に長い文章が添えられているのを発見した。
これも悪霊の悪戯かと、ブーンは無防備にもその文章を読み上げる。
- 18: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:33:59.27 ID:ekrPZlV6O
- すると奇怪な文章にも意味がある言葉が出来上がって行く。
―――この話を最誤まで読無と目の見エない少女に途理つかれル
( ^ω^)「あ、しまった」
実を言うと、文章を読む直前まで、ブーンには何者もとり憑いてはいなかった。
写真を見せたのは悪霊による茶目っ気溢れる悪戯だったのだ。
まんまとハインに騙され、未知の悪霊に嵌められたブーンは頭を抱える。
( ^ω^)「くやしいのう……くやしいのう……」
ぶつぶつと呟くブーン。
だが、そんな事などお構い無しに憑きたてほやほやの悪霊が牙をむく。
- 19: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:35:10.72 ID:ekrPZlV6O
- 突然、パソコンの電源が勝手に落とされた。
それから、部屋に体温を奪うような冷たい風が吹く。
( ^ω^)(パソコン壊れたら弁償して貰うお)
ブーンしか居ない部屋にコンコン、と壁をノックする音が響いた。
それを皮切りに、悪霊が部屋を荒らし始める。
時計の針が高速で逆回転、机に置かれたコップは粉砕し、
窓は割られそうな勢いでバンバン、と叩き付けられる。
ブーンは無惨を極めた部屋を見回して大きなため息を吐いた。
( ^ω^)「これはひどい」
壁に大きく書かれた"死ね"の赤い文字を見、修繕費に恐怖を覚えた。
やがて怪異現象が収まった頃、ブーンは部屋の真ん中に立った。
- 21: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:36:38.56 ID:ekrPZlV6O
- 悪霊というモノは、こういった状況では人の背後に立ちたがるモノだ。
経験により悪霊の心理を知り尽くしている彼は、後ろに向けて話し掛ける。
( ^ω^)「えっと……、僕の後ろに立っている人」
「お前、何者だ」
若干、驚いている少女の高い声がブーンの背後から聞こえた。
( ^ω^)「掃除、きちんとして貰うお」
語気を強めて言い放ち、ブーンはくるりと後ろに振り向いた。
そこにはセーラー服を着た中学生ぐらいの少女が立っていた。
腰まで無造作に伸びた黒い髪の毛、生気が全く感じられない真っ白な肌。
盲目なのだろうか、ブーンに向けられた眼は白く濁っている。
だが、悪霊には珍しい整った顔付きの為、恐怖は微塵も感じない。
川 ゚ -゚)「何故、お前は怖がらないのだ」
- 24: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:38:09.67 ID:ekrPZlV6O
- 少女霊は怖がらせる自信があったのだろう、強気に突っ掛かる。
しかし、ブーンはそれを無視して再び強い口調で言い聞かせる。
( ^ω^)「掃除お願いするお。管理人さんに怒られるんで」
川 ゚ -゚)「……悪霊の私がどうして掃除などせねばならんのだ」
( ^ω^)「頼むお」
川 ゚ -゚)「いや」
( ^ω^) キッ!
川 ゚ -゚)「……………分かった」
一歩も譲らないブーンを前に、結果、少女霊の方が折れてしまった。
少女霊は床に散らばったコップの破片を空中に浮かべた。
そして、念じるがまま動かせてゴミ箱へと捨てて行く。
( ^ω^)「……壁の文字どうするかお」
- 25: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:39:34.94 ID:ekrPZlV6O
- ガチャリ。
(´・ω・`)「くねくね」
川 ゚ -゚)「ん?」
ブーンが赤い文字を確認しているとショボンが部屋に顔を覗かせた。
どうやら、ツンに頼まれて夕飯は何にするか尋ねに来たようだ。
( ^ω^)「なめこの味噌汁」
(´・ω・`)「くね。…………?」
ドアを閉じようとするショボンが部屋の異変に気が付いた。
荒らされた部屋にスラリと立っている少女霊の姿にも。
(;´゚ω゚`)「!?」
川 ゚ -゚)「くねくね……だと……?」
ショボンは一目散に逃げ出し、少女霊は急いでベッドの下に隠れた。
何が起こったのか理解出来ないブーンは眉をひそめて立ち尽くした。
- 27: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:42:04.05 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「なんぞ?」
ベッドの下を覗き込むと少女霊は肩を震わせて丸くなっていた。
少女霊が体勢はそのままにドアを指差し、小さな声を漏らした。
川 - )「……悪霊だ。この家には悪霊が居るぞ!」
( ^ω^)「は?」
川 ゚ -゚)「気付かんのか……お前は呪われているのだ!」
( ^ω^)(……)
年がら年中呪われているブーンは、少女霊が言った事を理解出来なかった。
手を差し伸べて下から出させようとするが、全く出て来たがらない。
怯えきった少女霊は放っておき、ブーンは掃除を始める事にした。
( ^ω^)(その内出てくるお)
- 29: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:44:03.70 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「あ、取れるかも分からんね」
ブーンが気になるのは、やはり壁に書かれた赤い"死ね"の文字だ。
指でなぞると意外とあっさり取れた。ブーンは安堵する。
格安で住ませて貰っているが故、いらぬ騒ぎは御免なのだ。
「ぎゃ」
突然、ベッドに頭をぶつける音と小さな悲鳴が聞こえた。
ブーンが振り向くと頭を押さえて少女霊が這い出して来た。
そして、物凄い勢いでブーンの側に駆け寄る。
川 ゚ -゚)「あそこにも悪霊が……!」
ブーンの腕に必死にしがみつく少女霊がベッドの下を指差す。
そこから青白い手が這い伸びてきた…間違いなく悪霊である。
( ^ω^)(もしかしてこの子、怖がりなのかお)
从 ゚∀从「ソイツ、本当に悪霊かよ」
- 30: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:45:59.07 ID:ekrPZlV6O
- ベッドの下から出てきたのは赤い服を着た悪霊、ハインだった。
ハインはぽんぽん、と服に付着した埃を払って少女霊を見た。
从 ゚∀从「どんなのが来るのか期待してりゃ……只の怖がりなガキじゃねーか」
その言葉を挑発として受け取ったのか、少女霊はブーンから離れて前に立つ。
そして、出来る限り恐ろしげな形相を作って凄んだ。
…が、元の整った顔付きが邪魔して恐怖とは程遠い物であった。
川 ゚ -゚)「ふ、ふん、私を誰だと思ってるんだ? あのクーだぞ」
"あの"がどの事を指すのかは分からないが、
クーと名乗った少女霊は怖がりだが自信家らしい。
胸を張ってハインを挑発する……が、しかし両足は震えている。
从 ゚∀从「へー、俺とやろうって言うのか」
川 ゚ -゚)「私の手にかかれば悪霊の一人や二人なんぞ……一瞬だ」
声が震えていなければ決まっていた言葉をクーが吐く。
その言葉を聞いたハインは全身から力を抜いて床に視線を落とした。
- 31: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:47:59.71 ID:ekrPZlV6O
- 川 ゚ -゚)「敗けを認めたか? 今なら謝れば許してやるよ」
ハインの様子を降参と決め付けたクーがツカツカと歩き出す。
ゆらゆらと揺れるハインの肩にクーが小さな手を置いた。
川 ゚ -゚)「私の力にひれ伏したようだな。
見たまえ、人の子よ。これが私の真の力だ」
( ^ω^)(……)
調子に乗ったクーがブーンに顔を向けて自慢気に口を開く。
すると、ブーンが黙ってハインへと指を差した。
川 ゚ -゚)「なに?」
真の力を発揮した悪霊が再びハインへと顔を戻した。
そこには、絶対に人前には出せないハインの顔があったのだった。
「ぎゃー」
- 32: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:49:50.01 ID:ekrPZlV6O
- ****
ξ゚ ゚)ξ「悪霊を恐がる悪霊って何なの? 死ぬの?」
あれから悪霊のクーは、同じ悪霊に驚いて気絶したのだった。
今は、壁以外綺麗になったブーンの自室の隅で三角座りをしている。
悪霊にも色々なのが居るのだな、と思いつつブーンは前々からの疑問を口にした。
( ^ω^)「ツン。僕が大学に行ってる間、2ch見てないかお?」
ξ゚ ゚)ξ「見てない」
( ^ω^)「ふぅん」
"ゆとり"だの"携帯厨"だのを流暢に喋るツンが気になっていたのだ。
パソコンに座るブーンは疑いの視線を、隣に立つツンに向ける。
ξ゚ ゚)ξ「な、何よ」
( ^ω^)「……書き込みのログ、見てもおk?」
ξ;゚ ゚)ξ「駄目! ………ジャナイワヨ」
- 40: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:54:42.95 ID:ekrPZlV6O
- ( ^ω^)「……まぁ、良いお」
ブーンは椅子を回転させて部屋の隅に居るクーへと体を向ける。
意気消沈したクーは顔を伏せて塞ぎ込んでいる。
川 - )(…………)
从 ゚∀从「しっかし、情けねぇ悪霊も居たモンだな」
川 ゚ -゚)「なっ」
ベッドて胡座をかいているハインがクーを小馬鹿にした。
クーは顔を上げて反論をしようとするが、
恥ずかしい場面を目撃されているので言葉を飲み込む。
从 ゚∀从「おらおら、早く真の力を見せてみろよ」
( ^ω^)「いじめは良くないお」
ヤジを飛ばしまくる不良をブーンが制止させた。
ハインはせせら笑いながら壁に書かれた文字に目を向ける。
- 42: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:56:28.54 ID:ekrPZlV6O
- 从 ゚Д从「……今時"死ね"は流行らねーだろ」
( ^ω^)「それは僕も常々思ってるお」
陳腐過ぎてイマイチ恐怖心を煽られない。
人間を恐怖に叩き落とす良い言葉は無い物かと二人は首を捻る。
从 ゚∀从「"尻に気を付けろ"ってのはどうよ」
( ^ω^)「駄目だお。下品過ぎる」
从 ゚∀从「なら、"お尻にお気を付け下さい"で」
( ^ω^)「優しくしただけじゃないかお」
从 ゚д从「そう言うお前には良い案があんのかよ」
( ^ω^)「………"股間に気を付けろ"」
从 ゚Д从「ああ、そう。お前頭良いね!」
ξ゚ ゚)ξ「あんた達ねぇ……」
- 45: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 02:58:01.09 ID:ekrPZlV6O
- ツンの声でブーンは下品な話題から現実へと引き戻された。
今の会話はダメ出しという形でクーを著しく傷付けてしまった。
クーは先程よりも酷く凹み、悲壮感を全身から放っている。
( ^ω^)(やべっ)
( ^ω^)「クー、落ち込むなお。君は凄く恐いお」
人間に言えば怒るに違いないが、"恐い"は悪霊にとって誉め言葉だ。
クーのような弱気だが自信過剰な悪霊には良く効く事だろう。
川 ゚ -゚)「……本当か?」
ゆっくりと顔を上げてクーが微かな声で問い掛ける。
ブーンは一瞬迷ったが、一度だけ大きく頷いて返事をした。
川 ゚ -゚)「……ククク、やはり人間とは脆い物だな」
不気味に笑ってクーが立ち上がった。
ブーンとハインは、態度の変わりように唖然としている。
- 47: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:00:19.06 ID:ekrPZlV6O
- 川 ゚ -゚)「人間……ブーンと言ったな。
成る程、悪霊を引き寄せる特異な体質のようだ」
川 ゚ -゚)σ「―――私がその体質に終止符を打ってやろう」
ピッとブーンに指を向けてクーが殺意を露にするが、
普通の女子中学生に狙われているようで余り恐くはない。
クーは大きく息を吸い込み、ブーンへと両手を伸ばして飛び掛かった。
( ^ω^)「おお?」
ξ゚ ゚)ξ(…)
ツンは床に転がっているティッシュの箱を浮遊させる。
そして、間髪入れずにその箱をクーの頬目掛けて放ったのだった。
川 - )「痛っ!?」
ティッシュの箱はクーの頬に見事直撃。
予期せぬ攻撃に驚いたクーは動きを止めて目を白黒させる。
从 ゚∀从(やまだのじゅつとかあったよな)
- 50: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:02:11.56 ID:ekrPZlV6O
- 川 ゚ -゚)「……何故、人間の味方をする」
クーは頬をさすりながらツンに怪訝な視線を向ける。
悪霊とは、ある日突然人間に取り憑き、死なせて喜ぶのが当然。
なのに、悪霊が人間を庇った。クーには信じられない光景だった。
ξ゚ ゚)ξ「何となく、よ」
ツンは曖昧に答えるが、横から見ていたハインが口を挟む。
从 ゚∀从「そいつら恋人同士なんだよ」
( ^ω^)「ねーよwwwwwwwww」
ξ;゚ ゚)ξ「そんな訳ないでしょ!」
二人の声が綺麗に溶け合った。
クーは恋仲を否定する二人を見て殺意を消した。
川 ゚ -゚)「……悪霊と人間の恋か。一昔前の小説みたいで素敵だな」
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