( ^ω^)ブーンはつかれやすい体質のようです

54: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:04:22.22 ID:ekrPZlV6O
ξ;゚ ゚)ξ「違うって言ってるでしょうに……」

だが、クーは聞く耳持たず、自分の世界に入ってしまった。
感慨深げに目を瞑って形の良い顎を手で撫でる。

川 - -)「悪霊と人間の恋には障害が多いだろう。
     山あり谷あり……二人の行着く先に何があるのか。
     そんな二人が挙げる結婚式、いや、血痕式を見たい物だ」

从*゚∀从「いいぞ、もっとやれ」

ξ;゚ ゚)ξ「付き合ってられないわ」
( ^ω^)「散歩に行くお」

クーの独り言についていけなくなり、二人は部屋を出ていった。
しかし、クーの妄想は留まる事を知らず続いていく。
丁度、ブーンの葬式にまで話が進んだ頃、漸く目を開いた。

川 ゚ -゚)「ブーン、お前は特別に殺さずにおいてやろう。
     何、気にする事はない。人間の一生など悪霊からすれば一瞬で――」


川 ゚ -゚)「いない」



56: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:06:20.98 ID:ekrPZlV6O
クーは部屋を見回すが、二人の姿がなくなっていた。
不思議に思い小首を傾げるクーにハインが言葉を掛ける。

从 ゚∀从「あいつらなら外に出て行ったぜ。…多分ラブホ」

川 ゚ -゚)「なんと。祝日の昼間から破廉恥な」

クーは嘘を素直に信じきってしまう性格のようだ。
こういったタイプは悪戯好きなハインには良い遊び道具である。

从 ゚∀从「お前、結婚式とか言ってたけど、ツンの腹ん中には子供が居るんだぜ」

川 ゚ -゚)「…………何だと?」

从 ゚∀从(wwwwwwwwwwwwww)

川 ゚ -゚)「コーラで洗えば良かったのに」

从 ゚∀从「は? コーラとか都市伝説だろ」

川 ゚ -゚)「え? 常識だろ?」

从 ゚Д从



58: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:08:38.21 ID:ekrPZlV6O
クーは人を疑うという事を全く知らなかった。
流石のハインも呆れ返って物が言えなくなる。

川 ゚ -゚)「しかし、思わぬ暇が出来てしまったな」

クーはブーンが死ぬまで、その生涯を見続けるつもりのようだ。
従ってその間、人を死に誘う"遊び"が出来ない長い暇を得た。
同じ悪霊をしているハインはクーの胸の内を汲み取った。

从 ゚∀从「人間をビビらせて遊べば良いじゃん」

川 ゚ -゚)「………」

人間が恐れおののく様子は悪霊達にとって極上の悦びである。
しかし、クーには大きな問題があった。
口では強く言うが、自身の臆病さを彼女は理解していた。

川 ゚ -゚)「……実は、余り自信が無い」



60: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:10:00.43 ID:ekrPZlV6O
从 ゚д从「あのなぁ」

ハインは茶化そうとしたが、クーの真剣な顔を見て口を閉じる。
ネットで生まれたという事は、悪霊としてはまだまだ新米なのだ。

从 ゚∀从「……そんなら修行すれば良いんじゃね?」

川 ゚ -゚)「修行、とは?」

从 ゚∀从「誰もがビビるような悪霊になる修行だよ」

川 ゚ -゚)「そんな物があるのか?」

从;-∀从(……)

その場限りのノリで生きているハインにそんな策がある筈もない。
妥当な策を考えるが脳内の処理が追い付かなくなる。
やがて、面倒臭くなったハインは極めて単純な方法を口にしたのだった。

从 ゚∀从b「今から人間共を驚かせに行くぞ!」



63: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:11:37.17 ID:ekrPZlV6O
川 ゚ -゚)「待て」

从 ゚∀从「あ?」

川 ゚ -゚)「昼間に出ても怖くないだろ」

その通りだった。
人々が多く闊歩し、太陽が昇っている日中では恐ろしさが半減する。
ハインは根本的な事を指摘され、再び頭悩ませた。

从;-∀从(夜まで待つのもめんどくせーしなぁ……)

川 ゚ -゚)「君は馬鹿か」ボソリ

从 ゚∀从「何か言った?」

川 ゚ -゚)「いいや、何にも」

从 ゚∀从「んー……なら、悪霊でも驚かせに行くか」

川 ゚ -゚)「…?」



64: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:13:19.97 ID:ekrPZlV6O
初め、クーはハインが言った事を理解出来ずにいた。
悪霊を驚かせる。何度か脳内で反芻して漸く理解に至る。

川 ゚ -゚)「そんな事―――」

从 ゚ 从「やるんだよ」

川 ゚ -゚)「!」

ハインはベッドからクーまでの距離を一瞬で詰めた。
クーの両肩をギリギリと音を立てる程に掴み、顔を間近に寄せる。
双眸に映る恐怖から逃げるようにクーは体を必死によじらせる。

川  - )「やめ……」

从 ゚ 从「悪霊の癖に悪霊にビビってんじゃねえよ。
     ……お前が憎くてこんな事をしてる訳じゃない。
     俺は、お前を、クーを大悪霊にしてやりたいんだよ」

心臓に響く低い声でハインはクーに強く言い聞かせる。
クーは体を硬直させ、ハインの前髪の隙間から覗く赤い眼と視線を合わせた。



67: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:15:08.03 ID:ekrPZlV6O
从 ゚ 从「強がってるだけでは何も変わらんぞ。
     先ずは、てめぇの足で一歩を踏み出すんだ。
     俺はその手助けをしてやる―――」

川 ゚ -゚)「…………………ああ」

クーのため息に似た声を聞くとハインは両手から力を抜いた。
重圧から解放されたクーは覚束ない足取りで歩き、壁に背中を預ける。

川 ゚ -゚)(…私はなれるだろうか。誰もが恐れを抱く大悪霊に)

从 ゚∀从「ま、そう言う訳で今から行くか」

明朗な雰囲気に戻ったハインは目に掛かった髪の毛を掻き分ける。
クーは青白い顔を少しだけ上げて小さな声で聞く。

川 ゚ -゚)「…何処にだ」

从 ゚∀从「この近くの学校に新参の悪霊が棲み着いたらしい。
     今からソイツをシメに行こうか」

因みに、ハインは自分が楽しむ為に焚き付けただけで、
クーを大悪霊にする等、素晴らしい考えは一切持ち合わせていない。



69: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:17:28.78 ID:ekrPZlV6O
****

川 ゚ -゚)「おい、こんな所に本当に悪霊が居るのか」

クーはハインに連れて来られた学校を見上げた。
ブーンが住むマンションから一歩裏通りに入り、少し南に下った場所。
そこにハインが言った、新参の悪霊が棲み着という学校があったのだが…。

川 ゚ -゚)「平和その物ではないか」

上空から見ればL字型をした三階建ての小学校は、
新築なのか改装を施したのか、外装が真新しく輝いている。
悪霊が潜んでいるとはクーには到底思えなかった。

从 -∀从「あー、やだやだ、やだねー。これだから素人は」

ハインがクーの頭をポンポンと軽く叩きながら嫌味ぽく言う。
クーは少し苛立ちを覚えたが、先輩悪霊の次の言葉を待つ。



71: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:18:55.52 ID:ekrPZlV6O
从 ゚∀从「近頃、この学校じゃ生徒が突然倒れる事件が続発している。
     その倒れた生徒達の首を見れば、あるらしいじゃねーか」

川 ゚ -゚)「何が?」

ハインは顔を手のひらで隠してケケケと不気味に笑う。
そして、

 ―――首を絞められた跡が、だよ。

はっきりと聞き取れる明るい口調で言った。

从 ゚∀从「両手でこう……クイッとね」

クーに解りやすい様にハインは首を絞めるフリをする。

川 ゚ -゚)(……)

どうやら件の悪霊は無差別に人間を襲っているようだ。
今時珍しいタイプ、クーは気持ちを引き締めて学校の玄関に向かう。
玄関は"L"という文字の丁度角にあたる部分にある。



72: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:20:06.57 ID:ekrPZlV6O
川 ゚ -゚)「ふむ」

ガラス張りの大きな玄関扉から見える学校の内部には異常は無い。
電気が点いていない暗い空間に鼠色の下駄箱が並べられている。
その向こうに見える廊下にも不審な点はない。

川 ゚ -゚)「ハイン、行こう」

从 ゚∀从「はいはい」

クーが扉を引いたが、やはり祝日故に鍵が掛けられていた。
因って、悪霊らしく扉をすり抜ける手段を取る事にする。
侵入を拒む物など無かったかの様に二人は扉を通り抜けた。

从 ゚∀从「渡辺よりは賢いのな」

川 ゚ -゚)「渡辺?」

从 ゚∀从「いや、こちら事」



73: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:21:15.06 ID:ekrPZlV6O
ハインはキョロキョロと辺りを見回した。
綺麗な学校とはいえども、やはり下駄箱付近は埃臭い。

川 ゚ -゚)「何処から探そうかな――」

二人が下駄箱を抜けて廊下に入った時、突如異変が起こった。
玄関扉が叩き付けられる激しい音が響いたと同時、
廊下に並ぶ窓ガラスから射し込む光が失せてしまったのだ。

从 ゚∀从「何だか知んねーけど、奴さん相当お怒りらしいな」

これは学校に棲む悪霊による闖入者への警告である。
警告と言っても、帰す気が全く感じられないのは非常に悪霊らしい。
怖くなったクーは隣にいるハインの手をギュッと握り締めた。

从;゚∀从「おいィッ!?」

川 ゚ -゚)「無理やだ、怖い」



75: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:23:28.35 ID:ekrPZlV6O
表情は至ってクールなのだが、全身は恐怖で竦み上がっている。
ハインは髪の毛を掻いて心底呆れ返った。

川 ゚ -゚)))「かかかか帰ろう」

从;-∀从(こんなガキのお守りなんぞやってられっか)

从 ゚∀从「……………ハッ!?」

川 ゚ -゚)))「どどどどどうした」

从 ゚∀从9m「あれを見ろ!」

身体にまとわりつくクーを引き離して、ハインが廊下の奥を指差した。
クーがその指の示す先へと恐る恐る視線を這わせていく。
しかし、そこには何も無く、ただ突き当たりの壁が見えるだけだ。

川 ゚ -゚)))「なななな何も無いではないか」

文句を言って顔を戻すとハインの姿がなくなっていた。

/川 ゚ -゚)\



77: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:24:47.41 ID:ekrPZlV6O
騙された事を知ったクーは玄関扉へと急いで走り出した。
扉をすり抜けようと勢い良く飛び込む。
しかし。

川  - )「っ!?」

何者かの力に妨害されて扉をすり抜ける事が出来なかった。
盛大に弾き飛ばされたクーが地面に身体を打ち付ける。

川メ゚ -゚)「なんでやねん……なんでやねん……」

クーは腰を擦りながらユラリと起き上がる。
制服にこびり付いた埃を払って鋭い視線で玄関扉を睨む。

川 ゚ -゚)(脱出は不可能、か……)

学校に潜むモノは悪霊すら見逃すつもりがないみたいだ。
余程、力に自信がある悪霊なのだろう。
クーは圧倒的な力の差に絶望に打ちのめされそうになる。

川 ゚ -゚)(……)



79: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:26:22.09 ID:ekrPZlV6O
だが、ハインに言われた通りクーは怖がりな自分を変えたかった。
誰もが悲鳴を上げて逃げ出す、そんな悪霊になりたいのだった。

川 ゚ -゚)(……ヤるか)

時間が一分程経過し、決意を固めたクーは漸く行動を開始した。
此処から無事抜け出すには悪霊を倒すしか方法はない。
今まさに、勝利への誓いを立てたクーの勝負が始まったのだ。

川 ゚ -゚)「ん?」

廊下に戻ると遠くから靴音が聞こえた。
コツコツ、と靴音は少しずつ大きくなって来ている。
正体不明の誰かがクーの居る場所へと近付いて来ているのだ。

川 ゚ -゚)「あわわわ」

クーはその場から一目散に逃げ出した。

\川 ゚ -゚)/「わー」



80: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:27:41.82 ID:ekrPZlV6O
( ^ω^)「今、クーの声が聞こえたような…」

ブーンは階段を降りきって一階の廊下に出た。

ブーンとツンは部屋を出た後、N居にある大きな公園を散歩していた。
春の暖かな風が吹く中、子供逹が遊んでいる風景を眺めていると、
急に腹痛を起こし、ツンを置いてトイレへと駆けたのだった。

( ^ω^)(これはないな)

用を足してトイレの扉を開ければ、そこは見知らぬ場所。
ブーンが悪霊にとり憑かれた分かり易過ぎる瞬間だ。

( ^ω^)(また脱出する作業かお)

未知の場所に踏み込んだブーンは自分が居る場所を先ず調べた。
教室の存在で学校と直ぐに知るが、何処の学校かまでは分からない。



81: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:29:03.50 ID:ekrPZlV6O
( ^ω^)「んー」

ブーンが廊下の窓を開けようとするが、鍵は固く閉じられていた。
窓からの脱出は不可能。この調子ならば玄関にも期待出来ない。
学校に棲む悪霊と穏便な会話をして出して貰うしかない。

( ^ω^)(……)

前回に続き、しつこい様だがブーンには封霊する技術などない。
実際、悪霊に会って巧みな話術で頼み込むしかないのだ。
その為には先ず悪霊の正体を知って弱点を握る他ない。

( ^ω^)(教室を調べてみるお)

ブーンは側にある教室へと足を踏み入れる事にした。
教室の扉には鍵が掛かっておらず、すんなりと中に入る事が出来た。

(;^ω^)「うわっ…………」



83: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:30:23.34 ID:ekrPZlV6O
肝が座っているブーンも、流石に教室内の光景には恐怖の声を漏らした。
首より下の無い霊が教室の隅でゴソゴソしている。
所謂生首が必死の形相で見るに耐えない事に及んでいるのだ。

('A`)「ハァハァ……」

ソイツは女子生徒の物と思わしきリコーダーを舌先で舐めている。
この光景に恐怖を覚えぬ人間など居るものか。

(;^ω^)「へ、変態!」

(;゚A゚)「な!?」

ブーンの叫び声に驚いた生首がリコーダーを床に落とした。
床をコロコロと転がって行くリコーダー。
やがてその動きが止まった時、生首はブーンへと顔を向けた。

(;゚A゚)「見たな!?」



84: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:31:39.77 ID:ekrPZlV6O
生首は目を大きく開いて冷や汗を垂らしている。
ブーンはその必死さに掛けるべき言葉を迷った。

( ^ω^)「……そんな事したくなる日もありますよね」

(;'A`)「やめろ! そんな目で俺を見るな!!」

生首の霊は取り乱しながらブーンから離れて行く。
しかし、ブーンはそれを許さず生首へとジリジリと迫った。
この生首が学校に棲む悪霊だとブーンは勝手に判断した。

( ^ω^)「どうでも良いからここから出せお」

(;'A`)「そんな事言って言いふらすつもりだろ!
    お、俺には分かってるんだからねっ!」

('A`)「…………あ?」



87: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:33:12.57 ID:ekrPZlV6O
途端、生首の顔から焦りの色が消え、笑みを作り始める。
そして、ブーンの顔に近寄り馬鹿にする口調で言った。

('A`)「何だ。よく見りゃ人間じゃねーか」

( ^ω^)(うぜえ)

('A`)「あーあ、ビビって損しちまったぜ」

( ^ω^)「さっきの事は誰にも言わないから、さっさと此処から出せお」

('A`)「……此処から?」

生首は頬をピクリとさせてブーンを睨んだ。

( ^ω^)「そうだお」

('A`)「あー、それ無理」

つまり、学校から出すつもりはないという事だろうか。
生首はブーンから離れて学校机の上にその身(顔?)を下ろした。



89: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:34:23.87 ID:ekrPZlV6O
('A`)「俺が閉じ込めた訳じゃねーし」

( ^ω^)「…?」

生首の仕業だと思っていたブーンは頭上にクエスチョンマークを浮かべる。
そんなブーンへと生首は静かに口を開いた。

('A`)「俺は最近ここに来たんだ。名前はドクオ、お前は?」

( ^ω^)「え? あぁ、僕の名前はブーンだお」

何のつもりか、突然の自己紹介にブーンの声が少々上ずった。
だが、その理由は次の言葉で判明する事となる。

('A`)「長い憑き合いになりそうだし、な」

( ^ω^)(……チッ)

ブーンは自身の体質を思い出した。
ドクオという生首も例外なくブーンに憑いたのだった。



91: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:35:35.86 ID:ekrPZlV6O
( ^ω^)「で、一体誰の仕業なんだお?」

ブーンが話を戻した。
ドクオは窓の外に目を遣りながら物憂げな表情をする。

('A`)「――――トイレの伊藤さん」

( ^ω^)「伊藤さんって、あの伊藤さんかお?」

此処がブーン系小説という誌面上名前を変えたが、
トイレの某さんとは、有名過ぎる怪談の霊である。
こう言った話とは切っても切れない縁のブーンも勿論知っていた。

('A`)「そう、そいつが怒り狂っている」

( ^ω^)「どうしてだお」

彼女は最近のメディアに於いて愛くるしい姿で登場する事が多い。
そちらの印象が強いブーンには、伊藤が悪質な霊だとは思えなかった。



93: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:37:05.01 ID:ekrPZlV6O
( A )「…………それは」

ドクオの元より血の気が無い顔が一層白くなっていく。
どうやら、伊藤が怒っているのには深い訳がありそうだ。
聞き逃さないよう、ブーンは耳を澄ませて待つ。

ドクオは、ゴクリ…、と唾を飲み込んで重々しく口を開いた。

('A`)「……伊藤さんのトイレ姿を盗撮してたのがバレたんだよ」

( ^ω^)「退くわ」

真剣になった自分が馬鹿らしくなり、ブーンは教室から出ようとする。
学校の悪霊の正体を突き止めた今、変態に付き合ってる暇はない。
しかし、ドクオがブーンを悲痛な面持ちで引き止めた。

('A`)「ま、待ってくれ! このままじゃ殺されてしまう!!」



95: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:38:31.75 ID:ekrPZlV6O
( ^ω^)「口を慎めよ、変態」

ブーンが振り向いて蔑んだ視線を送る。

('A`)「伊藤さんは無差別に人を襲う程怒っている。
    お前みたいな人間が不用意に近付けば殺されるぞ」

( ^ω^)「……」

ドクオの言葉に嘘偽りはなかった。
どんな理由だろうと怒り狂った霊は悪戯だけでは済まさない。
ドクオは小鳥のようにブーンの肩に止まって耳元で囁く。

('A`)「俺に良い方法がある」

( ^ω^)「肩に止まんなお。……良い方法?」

ドクオは気取った気持ちの悪い笑みを浮かべた。

('∀`)「盗撮したカメラを返せば鎮まるだろ!!」
   _,、_
( ^ω^)(……そうか?)



97: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:40:02.28 ID:ekrPZlV6O
釈然としないブーンではあるが、今はそれしか方法が無いようだ。
仕方なく、ドクオの言葉に耳を貸した。

( ^ω^)「で、カメラは? 伊藤さんはどこにいるお? やっぱトイレ?」

('A`)「いっぺんに聞くな……カメラはどっかに落としちまった」

ブーンはガクリと肩を落とした。
この広い校内を探索しなければならないというのだ。
そして、ドクオは緊迫した声で伊藤の居場所を告げる。

(;'∀`)「…そんで、伊藤さんは――丁度、この上の教室に居るみてぇだ」

ブーン逹は速やかに教室から退散した。




無事、ブーンはカメラを見つけ出し、伊藤を鎮める事が出来るだろうか。
そして、クーの安否や如何に。



つづく。



98: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:40:34.34 ID:ekrPZlV6O
****




\川 ゚ -゚)/「わーわー」



100: 愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中 :2008/06/18(水) 03:42:15.99 ID:ekrPZlV6O
今回のあとがき。


俺がプレイしているシムピープルのブーン&ツン一家は非常に仲が悪い



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