( ^ω^)ブーンはつかれやすい体質のようです
- 2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:32:57.57 ID:Bxt+vv63O
伺かとか、テキストサイトみたいなモンだよ。
バーチャルネットアイドル・ペニサス伊藤(自称22歳)
(地味 川
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:34:14.39 ID:Bxt+vv63O
第五話「といれの ―黒歴史をアンインストールしたい―」
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:35:35.97 ID:Bxt+vv63O
- 一階の教室を出たブーンは、ドクオが言ったカメラを探している。
盗撮に用いたカメラで一悪霊の怒りが鎮まるとは到底信じられない。
…だが、今のブーンにはそれしか手段が無いのだった。
(;^ω^)「ひぃ………ふぅ……やっぱ都会の学校は広いお」
階段を昇りきり、三階に着いたブーンは両手で膝を押さえた。
それを見て、ブーンの肩に止まるドクオが口を開く。
('A`)「…今の階段、いつもより二段増しだったぜ」
分かり易過ぎる怪異現象である。
( ^ω^)「で?」
普段より段数が増える、これしきの事、ブーンにとって日常茶飯事だ。
少しも恐怖を感じないブーンにドクオはため息を吐いた。
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:37:25.19 ID:Bxt+vv63O
- ('A`)「で? ってお前の頭ん中はどうなってんだ……」
その言葉を聞いたブーンは首を動かせてドクオを横目で睨む。
( ^ω^)「ロリコンに言われたくないお」
ドクオと出会った教室の光景をブーンは忘れられずにいた。
小学生のリコーダーをドクオが舐め尽くしていたのだ。
きっと、如何なる人間が見ても恐怖で竦み上がる事だろう
(*'A`)「フヒヒ! サーセン!」
( ^ω^)(きめぇな、こいつ)
言葉に詰まるかと思いきや、ドクオは開き直った様子だ。
この変態の為だけに除霊術を学ぼうかとブーンは真剣に思う。
('A`)「あとはこの階のトイレだけだと思う」
( ^ω^)「お」
- 7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:38:47.10 ID:Bxt+vv63O
- ブーンは闇雲に動かず、ドクオの記憶を頼りに校内を探索していた。
ドクオがカメラを落とした事に気付いた場所から盗撮現場まで。
残す場所は伊藤の本拠地と言える三階の女子トイレだけだ。
( ^ω^)「ドクオ、伊藤さんの気配はあるかお?
('A`)「いんや、全く感じないな」
( ^ω^)「うーん……」
伊藤は今まで一度もブーン達の前に姿を現していない。
そして、学校という霊が好む場所な割に、悪戯もほとんど無かった。
怒り狂っている筈の悪霊にしては手口が随分と生ぬるかった。
( ^ω^)(本当に怒ってるのかお?)
('A`)「そろそろ行こうか」
- 8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:40:09.60 ID:Bxt+vv63O
- いつまでも此処でこうして駄弁っている訳にはいかない。
疲労感を覚えているブーンだが、気力を振り絞って歩く事にする。
( ^ω^)「おk」
('A`)「女子トイレウマー」
( ^ω^)(……)
ドクオがどうして現世に留まっているかが分かった気がした。
一生成仏しそうにない煩悩の塊と共にブーンは薄暗い廊下を進む。
ふと、ブーンが窓の外に目を遣ると、空には暗雲が立ち込めていた。
不気味に渦巻く雲は伊藤の怒りの表れだろうか。
夕刻に近い時間、暗く静まり返っている廊下に靴音が響く。
一人の悪霊もブーン達の後方につきながら歩を進める。
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:41:24.46 ID:Bxt+vv63O
- ( ^ω^)「ここかお」
('A`)「うむ、育ち盛りの女子が来る穴場だぜ」
( ^ω^)「警察の人呼んでー!」
ブーン達は廊下の北側にある女子トイレの前に辿り着いた。
中を覗き込むと、左側に個室が五個、右側に洗面台が確認できた。
おそらく、奥から三番目の個室が伊藤の棲みかなのだろう。
( ^ω^)「女子トイレなんて入れないから、ドクオが見て来いお」
(;'A`)「や、やだよ! もし伊藤が居たらどうすんだよ!!」
( ^ω^)(死ねば良いのに)
怯えるドクオは全く使い物にならない。
ブーンは一応、周囲に人が居ないかを確認してから、
女子トイレにそろりと足を踏み入れた。
('A`)「頑張れよ」
- 10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:42:48.75 ID:Bxt+vv63O
- 何が起きても逃げられるよう、ドクオは入り口に残った。
ドクオの成仏を願いつつ、ブーンはトイレを調べていく。
( ^ω^)(…ん?)
トイレを調べているとブーンはおかしな点に気が付いた。
他の扉は開けっ広げなのに対し、三番目の個室だけ扉が閉じられている。
今日は祝日。つまり、この扉の向こうには何者かが居るということ。
( ^ω^)(……)
(;'A`)「ど、どうしたんだ……?」
入り口で待機するドクオは、急に動作が止まったブーンが気になった。
ブーンはドクオに顔だけを向けて、沈黙しながら扉を指差した。
それを理解したドクオの顔から血の気が失せていく。
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:44:25.47 ID:Bxt+vv63O
- どうするべきか迷うブーンだが、怪しい場所はもう此処だけだ。
息を整えて、ブーンは扉をノックした。
コンコンコン。
――ガタッ。
( ^ω^)(なんかおる)
個室の中から物音が聞こえた。
もう後には退けないと、扉の向こうの悪霊に声を掛ける。
( ^ω^)「伊藤さん? 伊藤さんかお?」
「そ、その声はブーンか……?」
( ^ω^)「……Qoo?」
帰ってきた声は酷く震えていて、そして聞き覚えのある声だった。
確認の為、ブーンはもう一度名前を呼んだ。
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:45:30.03 ID:Bxt+vv63O
- ( ^ω^)「クーかお?」
「………ふふ、大悪霊の名前を軽々しく呼ぶ物では無いぞ」
先程とは一転して、ハキハキとした声が返ってきた。
そして、返事の内容が何やら偉そうだった。
ブーンは扉の向こうに居る悪霊はクーだと確信する。
ガチャリと鍵が開けられ、扉の中から半泣きの少女が姿を見せた。
川 ゚ -゚)「やぁやぁ、驚かせてすまなかったね」
( ^ω^)(……)
川 ゚ -゚)「この学校に無差別に人間を襲う悪霊が棲んでいると聞いた。
誇りの欠片も無い…。私はソイツを懲らしめに来たんだよ」
( ^ω^)っ□「はい、ハンカチーフ」
川 ; -;)「こ、怖かったよぅ」
- 17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:46:28.46 ID:Bxt+vv63O
- 緊張の糸が解け、クーはブーンの体に腕を回して抱きついた。
泣きじゃくるクーの頭を撫でながら、ブーンは心の底から思う。
( ^ω^)(服に鼻水が)
やがて、泣き止んだクーはブーンからサッと体を離した。
目を擦ってクーは気まずそうに声を沈ませて言う。
川つ -゚)「……目にゴミが入っただけなんだからな」
( ^ω^)「はいはい。で、何でクーが此処に居るんだお?」
川 ゚ -゚)「ハインに此処へと連れて来られたんだ」
( ^ω^)「ああ、ハインに」
ハインという名前が出ただけでブーンは直ぐに理解に至った。
どうせ、ロクでもない遊びにクーは付き合わされたのだと。
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:47:35.58 ID:Bxt+vv63O
- ( ^ω^)「…あ、そうだお。新しい仲魔を紹介するお
あんまり気が進まないけど」
川 ゚ -゚)「新しい? お前は本当に憑かれやすいんだな」
( ^ω^)「ドクオ、この子はクーって言うんだおー」
ブーンは入り口で待機しているドクオへと呼び掛けた。
それに釣られてクーも恐る恐る入り口へと視線を遣った。
('、`*川「よろしくね、クー」
川 ゚ -゚)「……女なのに名前がドクオとは」
( ^ω^)「ド……ク……オ…………?」
入り口にはブーンよりも頭一つ分背が高い女性が立っていた。
まさか、ドクオの正体は女性だった?
いやいや、馬鹿な。彼はあんなにも変態だったではないか。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:48:50.05 ID:Bxt+vv63O
- ('、`*川「やっほー、遅れてごめんね。邪魔が入ってさ」
待ち合わせに遅れたかのように謝って、長身の女性はブーン達に近付いて行く。
女性の顔は一言で言えば地味で、特筆すべき部分は無いのだが…。
赤いスカートに白いブラウス、大きく膨らんだ左胸には黄色い名札。
右手にはモップを、左手にはバケツをそれぞれ持っている。
見た目、二十歳を越えている女性は、小学生のような格好をしていたのだ。
( ^ω^)「痛ぇ」
('、`*川「何か言った?」
( ^ω^)「いえ、何でも」
女性はブーン達の前で立ち止まった。
ブーンはこの悪霊は何者だろうかとジロジロと顔を見つめる
( ^ω^)「あのー、君は誰ですかお?」
('、`*川「人に名を尋ねる前に、まず自分から名を言えーい」
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:50:06.20 ID:Bxt+vv63O
- 地味な顔付きだが、言葉には棘があった。
ブーンは頭を掻きながら自分の名前を告げる。
( ^ω^)「内藤ホライゾン。あだ名はブーンですお」
('、`*川「ブーン…。なんて発音しづらいあだ名」
( ^ω^)「君は?」
('、`*川「私の名前? 聞きたい? ねぇ、聞きたいの?」
( ^ω^)(うっぜ)
川 ゚ -゚)「ドクオではないのか?」
('、`*川「私はそんな弱弱しい名前じゃない。
私の名前はペニサス伊藤。ドクオはコイツ」
女性はブーンの胸へと持っていたバケツを軽く放り投げた。
それを受け取り、中を覗くと、気絶している生首が入っていた。
女性に殴られたのだろう、ドクオの目の周りには丸痣が出来ている。
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:53:31.87 ID:Bxt+vv63O
- 川 ゚ -゚)「ドクオってどんな奴なんだ? 見せてくれよ」
( ^ω^)「やめといた方が良いと思うお」
川 ゚ -゚)(バケツに入る大きさ…。かわいい動物霊に違いない)
川 ゚ -゚)「ブーンだけで独り占めなんてずるいぞ!」
( ^ω^)「気持ちの悪い事言わないでくれ……」
背伸びをしてクーはバケツを奪い取ろうとする。
ブーンはそんなクーの頭を押さえ付け、バケツを死守している。
('、`*川(おかしな人間に憑いちゃったな……)
( ^ω^)「…あれ? さっき伊藤って言ったかお?」
そう、伊藤とはブーンとドクオの命を狙っている悪霊の名前だ。
ブーンは思い出したかのように気を引き締めて、真剣な顔を作る。
('、`*川「やっと気が付いた。私こそがトイレの伊藤さんだよーん」
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:54:49.45 ID:Bxt+vv63O
- 川 ゚ -゚)「トイレの伊藤だと!?」
クーは上ずった悲鳴を上げてブーンの後ろに隠れた。
今も尚、名を刻み続ける有名な悪霊、伊藤の力は計り知れない。
口だけは強気で臆病なクーでは太刀打ち出来そうにない。
( ^ω^)「これはこれは……僕達を帰してはくれないッスよね」
('、`*川「当たり前じゃないッスか。何の為に憑いたと思ってるんスか」
( ^ω^)「ッスよね!」
('、`*川「ッスよ」
やはり、伊藤は悪霊らしくブーンを殺す気でいるようだ。
カメラは見付からず、他の策も無い、加えて逃げ場が無い。
四面楚歌、そんな現状を打破するには頭を働かすしかないのだ。
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:56:27.46 ID:Bxt+vv63O
- ('、`*川「あ、そう言えばカメラを探してるんでしょ」
( ^ω^)「だお。でも、そんなの返しただけじゃ鎮まらないお?」
('、`*川「当たり前。それと、カメラなら私が見付けちゃったし」
( ^ω^)「なるほど」
ドクオが盗撮に使用したカメラは伊藤が拾ったというのだ。
これで、カメラでは鎮まらないと自動的に証明された。
ほら、と伊藤はポケットから薄型のデジタルカメラを取り出した。
[◎]('、`*川「よくもまぁ、ふざけた真似してくれたわね」
( ^ω^)(最近の悪霊って良い物持ってるなぁ…)
[◎]('、`*川「こんなモンで怒りが治まるワケないっつーの」
伊藤はカメラをギリギリと力強く握り締める。
潰すくらいならくれと、ブーンは言い出しそうになるが堪えた。
やがて、伊藤は力を緩め、ふとブーン達に向けてカメラを構えた。
- 34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:57:38.91 ID:Bxt+vv63O
- [◎]('、`*川「……二人とも、笑って笑ってー」
( ^ω^)「お? 分かったお」
学校での記念撮影か、そういった物だろうとブーンは笑顔を作る。
そして、無防備にピースをしようとするブーンをクーが慌てて制止した。
川 ゚ -゚)「待て!」
('、`*川「! …あっはっは、流石は悪霊。バレちゃったか」
へらへらと笑い、伊藤はカメラを下ろした。
クーが間に立って伊藤を睨み付けるが、やはり怖くない。
川 ゚ -゚)「そのカメラに私達を閉じ込める気なんだろ!」
( ^ω^)「そんな……ひどいお! 信じてたのにッッ!!」
('、`*川(何が?)
- 36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 00:59:00.03 ID:Bxt+vv63O
- ('、`*川「あったりー……というか、アンタも人間の味方をするのね」
伊藤は深いため息を溢してモップを肩へと携えた。
珍しく恐れをなさずにクーが強い口調で口を開く。
川 ゚ -゚)「…ブーンと口裂け女の間に子供が出来たらしいのでね。
二人の幸せな未来を壊す様な真似は絶対に、させない」
( ^ω^)「おい、そんな話初耳だぞ」
- 38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:01:04.60 ID:Bxt+vv63O
- クーの話を聞いた伊藤は驚いたようで目を見開いた。
('、`*川「へぇ…。あの小賢しい赤い奴だけでなく、口裂け女まで憑いてるんだ」
川 ゚ -゚)σ「電子世界の大悪霊、このクー様も居るぞ」
抜け目無く、クーは自身の存在を誇張気味に補足した。
一方、ブーンは今し方伊藤が言った言葉が気になっている。
( ^ω^)「……赤い奴?」
('、`*川「赤い和服を着た女だよ。
アイツがいきなり襲って来た所為で遅れたんだ」
川 ゚ -゚)「ハインか? アイツの口車に乗せられた所為で……ああああ」
クーの言う通り赤い和服の女とは十中八九、ハインの事で間違いないだろう。
ハインに妨害されていたが故、伊藤は姿を中々見せられなかったのだ。
( ^ω^)「……もう一つ聞いて良いかお」
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:02:41.40 ID:Bxt+vv63O
- ('、`*川「何よ」
( ^ω^)「クーから聞いたお。無差別に人間を襲う悪霊が居るって。
…それって伊藤さんの事かお?」
('、`*川「……そうよ。それは私の事で間違いないわ」
( ^ω^)「僕が昔読んだ本じゃ、伊藤さんはそんな悪戯」
('、`*川「うるさいな」
伊藤はブーンが言い終える前に怒気を含ませて一喝した。
ブーンは神経を逆撫でしないよう、黙って伊藤の言葉を待つ。
長い沈黙の後、伊藤は肩をわなわなと震わせて唇を動かせた。
('、`*川「私が愛くるしい霊? 人間を守る? ふざけるな。
人が大人しくしてやってりゃ……愚かな人間共め」
手に握られているモップがギリギリと音を立てて軋む。
今にも襲い掛かってきそうな雰囲気が伊藤から伝わって来る。
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:04:22.04 ID:Bxt+vv63O
- ('、`*川「いつまでもトイレで燻っていたくない。
私は外の世界に出て、ヤりたいように、ヤる」
今まで学校に棲んでいた伊藤は、人間からの捉われ方に不満があるようだ。
本来の自分の在り方を捨ててまで外に出たいと、伊藤が言う。
( ^ω^)「それで外に住む僕に憑いたのかお」
('、`*川「アンタは栄えある学校外の犠牲者第一号。
光栄に思いなさい。そして―――」
伊藤はギュッと唇を一文字に結んで言葉を溜めた。
一時、トイレ内が息遣いの音すら聞こえない無音状態になる。
…ブーンが欠伸をしたのと同時、伊藤は両腕を広げて叫んだ。
(゚、゚#川「日本中…いや、世界中の人間共を憑き殺してやる!
私をゾンザイに扱った人間共よ! ふるえるがいい!!
私は、私は世間を騒がせる存在となるんだ!!」
川 ゚ -゚) ビクッ
( ^ω^)(アイドル志望の女の子みたいな事を…)
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