( ^ω^)ブーンはつかれやすい体質のようです

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:05:51.19 ID:Bxt+vv63O
ドクオの盗撮が引き金となったのか、又はそれ以前からなのか。
現在の自身の位置に対して伊藤は相当憤っているようだ。
放っておけば述べた通り、無差別に人々を憑き殺すだろう。

( ^ω^)「でも、残念だお」

(゚、゚#川「…?」

伊藤が両腕を下ろすと、ブーンは小さな声で呟いた。
ブーンに表情には失望の念が確かに刻まれている。

( ^ω^)「あの伊藤さんがそんな事をするだなんて」

見境なしに人間を憑き殺すのは、そこら辺に居る無名の悪霊と変わらない。
有名な怪談話の存在が堕ちた様を見て、ブーンは残念に思ったのだ。

('、`*川「……トイレの伊藤さんは引退よ。
     これからは世界の伊藤さんとなる」

( ^ω^)(ナベアツ?)



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:07:27.84 ID:Bxt+vv63O
('、`*川「さ、もう良いでしょ。死んで貰うわ」

そう言って、伊藤はカメラを構えた。

[◎]('、`*川「カメラに閉じ込められるって恐ろしいでしょ?
       これからはこの呪いで憑いて行こうと思う」

クーは反抗する勇気が無くブーンの後ろで震えている。
ため息一つ、ブーンは笑顔でピースサインを作った。

[◎]('、`*川「おい、人間。ブーンって言ったっけ」

( ^ω^)「ですお」

[◎]('、`*川「……期待に添えなくて悪かったわね」

一怪談の存在としての誇りを捨てた伊藤の小さな謝罪の言葉。
その言葉を聞いたブーンは笑顔を崩さずに言った。

( ^ω^)「同じように僕を閉じ込めた悪霊が居たお」

[◎]('、`*川「へぇ、ソイツはどうなったの?」

( ^ω^)「さぁー、どうなったかお?」



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:08:27.34 ID:Bxt+vv63O
[◎]('、`*川「……さようなら」

( ^ω^)「またお」


       ノ
    ( ^ω^) 
     ( (\ -゚)
     < \

そうして、ブーンとクーはカメラの中に閉じ込められた。


('、`*川(最期までおかしな人間だったな…)



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:12:05.70 ID:Bxt+vv63O
('、`*川(……でも、これで良いんだ)

事を終えた伊藤はカメラをポケットに仕舞い、洗面台に腰掛けた。
伊藤には達成感は無く、ただ疲労感だけが重く圧し掛かる。
彼女は長年居座り続けたトイレを出て外界で暴れるのだ。

('、`*川「行こう」

伊藤は床に足を下ろし、覚束ない足取りでトイレを出ようとする。
しかし、そんな伊藤を止める声が何所からか響いた。

「いや、勝利の余韻に浸るにはまだ早いぜ」

('、`*川「四乃森…じゃなかった。またアンタか」

伊藤が振り向くと、突然洗面台の鏡から腕が飛び出してきた。
上半身、下半身、とゆっくり姿を現し、ソレは床に降り立った。

从 ゚∀从「うらめしヤッホーーイ!!」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:13:21.37 ID:Bxt+vv63O
元気に挨拶をしたハインは、すかさず伊藤へと短刀を翳した。
伊藤は呆れた表情で体を前に向ける。

('、`*川「遅かったわね。ご愁傷様、あの人間なら始末しちゃったよ」

从 ゚∀从「始末、カメラに閉じ込めるのが始末と言うか」

普通の人間ならば死と同然の呪いの類いである。
従って、伊藤にはハインが言った言葉が理解出来なかった。
首を傾げる伊藤を余所に、ハインは誰宛にでもなく言った。

从 ゚∀从「凡そ千」

('、`*川「人の話を聞け……千?」

从 ゚∀从「ブーンにとり憑いてる悪霊の数だよ」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:15:02.05 ID:Bxt+vv63O
('、`;川「そりゃまた…。でも、今更それがどうしたって言うの」

从 ゚∀从「お前は"一"で、お前の相手は"千"なんだぜ」

お前は一騎当千の存在であるか。
ハインが言うが、伊藤の中ではブーンは既に過去の存在だ。
伊藤は不気味な薄ら笑いを浮かべてハインに反論する。

('、`*川「見てたんでしょ? それならあの人間がどうなったのか――」

从 ゚∀从「閉じ込めた世界はちゃんと真っ暗闇か? 気が狂う白一色か?
     …まさか、テキトー考えたお粗末なモンじゃないよな」

これには流石の伊藤も驚愕で両目を限界まで開かせた。
今まで一度も扱った事が無い方法で、二人を閉じ込めたのだった。

(゚、゚;川「まさか」



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:16:17.38 ID:Bxt+vv63O
伊藤は震える手付きでポケットからカメラを取り出した。
カメラを操作し、二人が映っている筈の画像を恐る恐る開く。

(゚、゚;川「!?」

画像にはブーンとクー……と、夥しい数の悪霊が映っていた。
ある者は喉を掻き毟り、ある者は床に這い、
またある者はナイフを手に、撮影者に襲い掛かろうとしている。

(゚、゚;川「ひ」

地獄絵図。
小さな悲鳴を上げて、伊藤はカメラを放り投げた。
カメラは床に叩き付けられ、ガキンと硬い音を立てた。

从 ゚∀从「まぁ、千の内、三十くらいしか味方してねーけどな」

だから、大丈夫大丈夫。ハインは真赤な袖で口を隠して笑う。
しかし、伊藤の胸中はざわつき、穏やかな物ではなかった。
一対三十、人間と同様に悪霊も数の暴力を覆す事は至難の技だ。



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:17:40.13 ID:Bxt+vv63O
呆然と立ち尽くす伊藤を前に、ハインはカメラを拾い上げた。
そして、映っている画像を眺めて大きなため息を吐く。

从 ゚д从「何だこりゃあ? お前の過去か何かかよ。
     あんまり慣れん事はするもんじゃねーぞ」

(゚、゚;川「あ……あ…………」

同じ悪霊稼業としてハインが忠告するが、伊藤の耳には届かない。
慣れない方法を取ったが故、閉じ込めた場所には欠陥があるようだ。
伊藤は血相を変えてカメラの中へと姿を消した。

从 -д从「ダサっ! これだからプライドの無い悪霊は……」

大袈裟に肩を竦めてみせ、ハインはカメラを懐に仕舞った。

从 ゚Д从「…つーか、俺は助ける気なんか無いっつーの」



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:18:52.42 ID:Bxt+vv63O
( ^ω^)「コープスktkr」

川 ゚ -゚)「よくこの状況で喜べるな」

二人は埃の臭いが充満している朽果てた木造の教室に立っていた。
窓の外は暗闇、教室を照らし出すのは黄色の光を放つ電球。
如何にも今から何か出ますよと言わんばかりの光景だ。

( ^ω^)「この勝負、圧倒的に僕が勝ったお」

綺麗な校舎よりも朽ちた校舎の方がブーンは居心地が良かった。
田舎育ち故にか、ただ単にこういった場所が好きなだけか。
定かでは無いがブーンは現状を楽しんでいるようだ。

川 ゚ -゚)「ほう、そう言うからには勝算があるのだな」

( ^ω^)「あるお」

ブーンは自信満々の表情でキッパリと言い切った。



63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:20:39.18 ID:Bxt+vv63O
( ^ω^)「コープスktkr」

川 ゚ -゚)「よくこの状況で喜べるな」

二人は埃の臭いが充満している朽果てた木造の教室に立っていた。
窓の外は暗闇、教室を照らし出すのは黄色の光を放つ電球。
如何にも今から何か出ますよと言わんばかりの光景だ。

( ^ω^)「この勝負、圧倒的に僕が勝ったお」

綺麗な校舎よりも朽ちた校舎の方がブーンは居心地が良かった。
田舎育ち故にか、ただ単にこういった場所が好きなだけか。
定かでは無いがブーンは現状を楽しんでいるようだ。

川 ゚ -゚)「ほう、そう言うからには勝算があるのだな」

( ^ω^)「あるお」

ブーンは自信満々の表情でキッパリと言い切った。



65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:22:36.72 ID:Bxt+vv63O
川 ゚ -゚)「して、此処から出る方法は?」

( ^ω^)「伊藤さんを倒せば良いお」

川 ゚ -゚)「ばか」

それが出来なかったから、今こうして閉じ込められているのだ。
文句の一つでも言おうとクーはブーンの顔を見上げたが、
全く諦めていない彼の表情を見て言葉を飲み込んだ。

川 ゚ -゚)「……伊藤を倒す方法があるの
だな」

( ^ω^)「そろそろ来ると思うお」

川 ゚ -゚)(…?)

憑いたばかりのクーには、ブーンの言葉が理解出来ない。
伊藤がハインに邪魔されていた事を知ったブーンは、
今までどのようにして生き延びて来られたのかを思い出したのだ。

( ^ω^)(フヒヒ! 上げてて良かった好感度!)



68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:23:59.01 ID:Bxt+vv63O
川 ゚ -゚)「なぁ、ブーン。それってどういう意味―――」

突如、電球が不規則に明滅を繰り返し始めた。
天井を見上げると教室中の電球が揺らめいている。
ブーンは竦み上がったクーを抱えて机の下に隠れた。

川 ゚ -゚)「なになに、ねぇ、なにこれ」

( ^ω^)(来たお)

明滅が止み、電球の動きがピタリと止まる。
一瞬の静寂、そして、鼓膜を突き刺す破裂音。
一つを残して、電球が一斉に砕け散ったのだった。

川 ゚ -゚)「うわわわ」

降り注ぐ破片が止んだのを確認すると、ブーンは机下から這い出る。
それから、背後に立つ女性へと話し掛けた。

( ^ω^)「ツン、今回の登場の仕方はどうかと思うお」

「あっそ。私はお姉さんみたく上品にする気はないから」



69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:25:38.52 ID:Bxt+vv63O
( ^ω^)「…………9?」

予想外の甲高い声にブーンは少し驚いたようだ。
そろりと振り向けば、淡いピンク色のパジャマを着た少女が立っていた。
キュー、彼女は凄まじくやる気の無さそうな表情をしている。

o川*゚―゚)o「いくら、お姉さんの頼みでも助けたくないよ…」

( ^ω^)「ツンの頼みかお」

以前、ツンに痛い目に遭わされてからキューは畏怖の念を込め、
ツンの事を"お姉さん"と呼んでいる。悪霊の世界にも主従関係はある。
キューは鋭く尖った爪で首筋を軽く掻いて口を開いた。

o川*゚―゚)o「お姉さん、今回は乗り気じゃないんだって」

( ^ω^)「何かあったのかお?」

o川*゚―゚)o「散歩に出る前に自分が言った言葉を思い出すと良いよ」

しかし、そんな細かい事など忘れてしまう程に色々起きている。
腕を組んで考え込むブーンへとキューが冷ややかな視線を送る。



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:26:55.18 ID:Bxt+vv63O
o川*゚ー゚)o「カワイソー、お姉さんカワイソー」

( ^ω^)「意味分からん。クーは覚えているかお?」

川 ゚ -゚)「知らん。早くソイツを追い払ってくれ」

ブーンが顔を向けると、クーは椅子を盾代わりにして構えていた。
臆病さもここまで来れば一種の才能と言える。

( ^ω^)「クー、この子はメンヘル…じゃなかった。キューって言うんだお」

o川*゚ー゚)o「メンヘル? 間近で見ると本当に面白いね」

自傷癖のある親不孝のメンヘ……キューがクーを見て言った。
"面白い"を良い風に捉えたクーは椅子を床に置いて鼻を鳴らす。

川 ゚ -゚)「クックック、照れるではないか」

o川*゚ー゚)o「……さってと、ブーンは伊藤を成仏させたいんでしょ」



75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:28:12.01 ID:Bxt+vv63O
クーから目を逸らしてキューは近くにあった椅子に腰掛けた。

( ^ω^)「いや、成仏までは……何か手があるのかお?」

偉そうに足を組み、キューは爪で一度だけ引っ掻く。

o川*゚ー゚)o「本当に気が進まないんだけどねー。
      "キュー様お願いします"って言ったら考えてあげるよ」

( ^ω^)「キュー様お願いします」

川 ゚ -゚)「お前にはプライドが無いのか」

( ^ω^)「クーに言われたくないおー」

川 ゚ -゚)「なんだと」

言い争いを始める二人。
若干の苛立ちを感じたキューは廊下側の窓を一枚割ってみせた。

( ^ω^)「サーセン」
川 ゚ -゚)「ごめんなさい」



76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:29:41.81 ID:Bxt+vv63O
o川*゚―゚)o「…伊藤がどうやって生まれたか知ってる?」

川 ゚ -゚)「聞いた事がないな」

怪談に於けるトイレの何某さんのやり方は地方によって様々だ。
出生に纏わる話もやはり様々だが、此処は有名な説を解釈して話を進める。
キューは一つ小さな欠伸をしてから笑顔で話を進めた。

o川*゚ー゚)o「ある所に学校が大好きな女の子が居ました。
      そしてある日、気が触れたお母さんに学校のトイレで惨殺されました」

( ^ω^)「……それで?」

o川*゚ー゚)o「それだけー」

短い説明にも関わらず重い話、明るい声で喋るキューにクーは身震いした。
だがしかし、腐っても悪霊のクー。同じ悪霊の伊藤の弱点を朧気に見出した。

川 ゚ -゚)「…学校好きで、学校生まれ、か」



77: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:30:59.19 ID:Bxt+vv63O
o川*゚ー゚)o「うん! 学校その物が伊藤の力!」

声の調子を上げてキューが勢い良く腰を上げた。
トコトコと歩き、教壇に立ったキューは教師のように振舞う。

( ^ω^)「キューせんせーい。僕達はどうしたら良いんですかお」

o川*゚ー゚)o「手を上げなさーい。…彼女が持つ学校の象徴を壊せば良いよ」

川 ゚ -゚)ノ「はい。学校の象徴とは?」

ブーンは一人ぼっちを思い浮かべ、クーは給食を思い浮かべた。
だが、そんな物が伊藤の原動力だとしたらあまりにもお粗末だ。
キューは欠けたチョークを掴み、黒板に何やら文字を書き始める。



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:32:25.62 ID:Bxt+vv63O
( ^ω^)「ああ、なるほ」

川 ゚ -゚)「そんな物もあったな」

キューが書いた文字を見て二人は感嘆の声を上げた。

      がくねん  6年2組      
      なまえ   ペニサスいとう      

o川*゚ー゚)o「名札を壊してしまえば良いんだよ」

学校好き、学校生まれ、学校に棲む悪霊らしい弱点だ。
しかし、名札を破壊するには大きな問題が一つ存在している。
今、ブーン達が居る場所が訳の分からぬ空間だと言う事だ。

( ^ω^)「でも、この世界から出ないと駄目だお」

o川*゚ー゚)o「それは大丈夫。伊藤は慣れない事をして大失敗してるから」

キューはそう言って古臭い木造の教室をぐるりと見回した。
その様子を見てクーはキューが言いたい事を汲み取った。

川 ゚ -゚)「……此処は伊藤の過去の世界か」



83: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:34:13.05 ID:Bxt+vv63O
o川*゚ー゚)o「70%正解かな。
      此処は伊藤が"おざなりに作った過去"」

o川*゚―゚)o「だから色々失敗してる。穴だらけなんだ。
      例えば―――過去の自分を消し忘れてるとか」

伊藤が作り出した大問題は、彼女自身の大失敗で打ち消された。
学校の大悪霊には絶大な力があれども、センスが著しく欠如していた。
こうして他の悪霊が入り込む隙間があるのもその一つ。

( ^ω^)(やっぱり普通の伊藤さんが一番だお)

川 ゚ -゚)「待て。もし、伊藤が気付いたら」
o川*゚―゚)o「…此処を出て右に直進、三番目の階段を昇る。
      三階まで昇ったら左に直進。突き当たりにトイレ。
      絶対に立ち止まらない、振り向かない。早く行って」

舌を噛んでしまいそうな早口でキューは二人に命令した。
突如、様子が豹変したキューにクーは眉を潜めたが、
ブーンは察したようで、クーの手を取って教室を出ようとする。



84: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:35:29.83 ID:Bxt+vv63O
( ^ω^)「キュー、ありがとうだお。無理するなお」

o川*゚ー゚)o「勘違いしないでね。これはお姉さんに頼まれてなんだから」

川 ゚ -゚)「え? もしかして伊藤さんが来たの?」

( ^ω^)「行くお」

ブーンはクーの手を引っ張って教室から出て行った。
一人残ったキューはため息を吐いて何処にでもなく声を掛けた。

o川*゚―゚)o「あんのヤンキー女は挑発しか能がないの…」

そして、チョークを握りつぶした。

o川*゚ー゚)o「ねぇ、伊藤さん、何して遊ぼっか」

o川*^ー^)o「私は殺戮ごっこが良いなー」

天井から垂れ下がっている顔にキューは微笑みかけた。



87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/29(日) 01:36:41.50 ID:Bxt+vv63O
ブーン達はキューに指示された通り、三階を目指している。
迫る来るおぞましい気配を背に、ブーンはキレながら走っている。

(#^ω^)「祝日ってなんだお! 殺されかける日かお!!」

無理もない。クーの罠に始まり、今日彼には何一つとして良い事がない。
学校に連れ去られ、変態に出会い、伊藤に狙われ、…腹痛もあった。
鈍くなった運動神経を無理矢理起こして三番目の階段を昇る。

川 ゚ -゚)「もう帰りたいよ………ん?」

ブーンに引っ張られるクーの体に妙な感覚が走った。
と思うと、直ぐにその違和感は何処かへと去って行った。

川 ゚ -゚)(……)

(#^ω^)「クー! もっと気合入れて走るお!!」

二人が駆け抜けて行った道は血だまりの道が侵食していく。



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