( ^ω^)ブーンが二者択一するようです

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:32:01.18 ID:lDyri4Ur0



やあ。ようこそ、夢の世界へ。
このプロテインはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。

うん、「強制」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

でも、この夢を見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「恐ろしさ」みたいなものを感じてくれたと思う。
平和ボケした日本で、そういう気持ちを忘れないで欲しい、
そう思ってこの夢を見せたんだ。

じゃあ、は じ め よ う か ?



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:33:10.41 ID:lDyri4Ur0

<第一択>



(*^ω^)「…ツン、そんな…大胆だお…」

( <●><●>) 「…」

(*^ω^)「こんなところで…ダメだお…」

( <●><●>) 「…」

(*^ω^)「ツ…」

( <●><●>) 「私がツンでは無いことはわかってます」

(;;°ω°)「UWAAAAAAAAAA!!!!」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:33:32.32 ID:lDyri4Ur0

( <●><●>) 「うるさいことをわかってください」

(;^ω^)「す…すみませんお」

( <●><●>) 「わざとでないことはわかってます」

( ^ω^)「優しいお」

くりくりとした、かわいらしい瞳をしているのに大人びた顔をしている。
女の子にも見えなくないけれど、声はしっかりと男の子である。
夢にしては珍しく、やけに視界がクリアで意識もはっきりしている。

夢の中で夢とわかる夢を、明晰夢と言うのだ、とドクオから聞いたことがあった。
曰く、夢とわかったなら思う存分遊んでおけ、とのこと。
ドクオは明晰夢を見ることが得意で(訓練でどうにかなる類のものらしい)、
空を飛んだり魔法使ったりとかなりエンジョイしているとのこと。

…でもなんだか、これはそんな雰囲気ではない気がする。かなり現実感がある。



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:34:01.84 ID:lDyri4Ur0

長いヒラヒラとした黒い服を翻し、くりくりくん(仮名)は歩き出す。
彼が歩を進めるたびに、足元から黒い粉のようなものが舞い上がっている。
彼なら魔法が使えそうだな。黒魔術。

ともかく彼に付いて行く。
ドクオが見たら殴られるのかもしれないけれど、まあ自分の夢だしな、と気軽に考える。
実際、付いて行こうが行くまいが、結果は変わらなかったのだろうけれど。

僕が歩いても、彼のように黒い粉は舞い上がらなかった。
やっぱり彼は特別なのだろう。それとも僕が異端なのか。
自分の夢なのにわからないことだらけなのは理不尽な気がする。



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:34:29.28 ID:lDyri4Ur0

いきなり、彼が振り返って、手のひらを僕に向けた。
彼の手のひらに例の黒い粉がくすぶっているのを確認した瞬間、僕は目を閉じた。
魔法だ!殺される!カーチャンツンドクオごめんおごめんお…

と驚異のスピードで懺悔していたら、声をかけられた。
ゆっくりと目をあける。

( <●><●>) 「ここです」

( ^ω^)「ここは?」

( <●><●>) 「選択の場です」

( ^ω^)「洗濯?」

( <●><●>) 「わざとなのは わかってます」

( ^ω^)「ごめんお」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:34:51.28 ID:lDyri4Ur0

僕達が居る場所を中心に、道が二つに分かれている。
先の方は、また例の黒い粉が霧のように隠していて見えないけれど、
そう長い道でもなさそうだ。

道自体になんの問題も無いけれど、
道以外の場所はすべておどろおどろしい色が渦巻いていて怖い。
何せ空もその色だ。絵の具を全部ぶちまけた色。

(;^ω^)「趣味の悪い場所だお…」

( <●><●>) 「…私もそう思います」

( ^ω^)「でも僕の夢だから僕のせいだお?」

( <●><●>) 「いいえ これは貴方のせいではありません」

( <●><●>) 「でも 決断したならば 全ては貴方の責任です」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:35:39.80 ID:lDyri4Ur0

( ^ω^)「…どういうことだお?えーと」

( <●><●>) 「私は ワカッテマス といいます」

( ^ω^)「変わった名前だお」

( <●><●>) 「貴方もですよ ブーン」

( ^ω^)「お…それは本名じゃないお」

( <●><●>) 「わかってます」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:36:07.03 ID:lDyri4Ur0

彼―ワカッテマスは手のひらを広げた。
例のk(ryが手のひらから湧き上がってくる。
手品を見る感覚で僕はそれをわくわくしながら見ていた。

やがてそれは何かを型どり始める。
うまい棒?いいえ、ナイフです。

( ^ω^)「ナイフ?」

( <●><●>) 「そうです」

典型的なナイフだ。ただ色彩センスが決定的に欠落している。
持ち手が例の12色ぶちまけMIX−僕の地獄に音楽を添えて−色なのだ。
刃の部分も微妙な色をしている。見る角度によってホログラムのように色が変わって、
綺麗だと思うのだが、どうにも好きになれない。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:36:29.01 ID:lDyri4Ur0

( <●><●>) 「これを あなたに」

( ^ω^)「くれるのかお?」

( <●><●>) 「…渡さなければなりません」

(;^ω^)「無理に渡してくれなくていいお…それ趣味悪いお」

( <●><●>) 「いいえ 渡します それが私の役目なのはわかってますから」

まあ夢だし銃刀法違反で逮捕されることも無いだろう、
と軽い気持ちで受け取ったそれは見た目より随分重かった。



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:37:42.91 ID:lDyri4Ur0

( ^ω^)「重いお」

( <●><●>) 「これからもっと 重くなるでしょう」

( ^ω^)「そんないわくつきいらないお」

( <●><●>) 「すみません 時間です マスター」

(´・ω・`)「やあ」

(;^ω^)「UWAAAAAA?!」

(´・ω・`)「ハハハ、良い反応だね、やらないか?」

(;^ω^)「お断りします!!!」

(´・ω・`)「冗談さ。ところで君、あまぁいチョコレートとにがぁいチョコレートならどっちを選ぶ?」

( ^ω^)「へ?」

(´・ω・`)「「掘るぞ」

(;^ω^)「あ、甘い方…」

(´・ω・`)「だよね、100人いたら99人はそっちを選ぶだろう。でもそんなのつまんない」

( ^ω^)「つまんない?」



32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:38:24.70 ID:lDyri4Ur0

(´・ω・`)「僕はね、わかりきった答えなんか欲しくないんだ。数学なんて大嫌い。答えがひとつしかないからね。
      僕が欲しいのは、血の涙を流して下した決断。決断したあともなお続く苦しみに悶える姿」

あ、ドSの方ですか。僕はドン引きしてその人から離れようとした。
けれど身体が動かない。急に怖くなって、震えが止まらなくなる。

(´・ω・`)「本当に大事なことには正しい答えなどないんだよ」

耳元で低く低く呟いたその声が、僕の身体に氷を落とした。
彼が僕から離れると、身体を取り押さえていたものが無くなって、僕はその場にへたり込んだ。
なんでか、涙が止まらない。

(´・ω・`)「夢の中とはいえ、生きている人間には僕の存在が強すぎるんだ。困ったものだね」

彼の一挙一動が、僕の身体から熱を奪っていく。
呼吸の仕方を忘れたみたいに必死に息をして、止まらない涙で視界がぼやけても、それでも顔を上げる。

(´・ω・`)「…いい顔だ。じゃあ、良い夢を。後は頼んだよ」

( <●><●>) 「…わかってます」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:39:29.23 ID:lDyri4Ur0

( <●><●>) 「大丈夫ですか」

( ;ω;)「う、うう…」
 
( <●><●>) 「…大丈夫じゃないのはわかってますが 時間がありません ―立ちなさい ブーン―」

( ;ω;)「うお?!」

意志とは無関係に身体が動いた。気分はマリオネット。

( <●><●>) 「さあ」

( ;ω;)「痛い痛い痛い」

夢なのに!理不尽だチクショー!



36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:40:11.41 ID:lDyri4Ur0

( <●><●>) 「道の先にそれぞれあるものがあります」

( ^ω^)「あるものとな」

( <●><●>) 「みればわかります それを刺してきてください そのナイフで 右のものか左のものか 選択するのです」

( ^ω^)「だから選択の場かお」

( <●><●>) 「そうです」

( ^ω^)「…もし嫌だと言ったら」

「永遠に覚めぬ夢と言えば聞こえはいいですね」

( ^ω^)「…」

僕の夢なのに決定権が僕にない。 これなんて理不尽?
…でも逆らうのも怖い。



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:40:59.10 ID:lDyri4Ur0

重い身体を引きずる僕の姿はきっと幽霊かゾンビだ。
ゆらぁりゆらぁり、まずは左の道をいく。
もし道を外れたらどうなるのかなど考えたくもない。

( ^ω^)「…お?」

…なんてこったい。

⌒*リ´・-・リ「…だあれ?」

よりによって幼女。いくら夢だからと言って幼女を刺すのは気が引ける。
別にロリコンってわけじゃあない。人間として当たり前のことだろう。

でもこの重い身体を引きずって戻り、さらに右の道に進む元気もない。



40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:41:33.72 ID:lDyri4Ur0

(;^ω^)「うーん、ごめんお」

ナイフで幼女の手をちょいと刺す。

⌒*リ´・-・リ「やっ!」

(;^ω^)「ご、ごめんお」

⌒*リ´;-;リ「おかあさーん」

(;;^ω^)「うおおおおお…ごめんおごめんおごめry」



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:42:37.54 ID:lDyri4Ur0

(#^ω^)「つうかもう十分さしたじゃねえかお!さっさとイベント起こせお!」

( <●><●>)「静かにしてほしいんです」

(#^ω^)「ワカッテマス!もう刺したお、これ以上は無理だお!」

( <●><●>)「…最初はそうでしょう では 私が手助けを ―ナイフを振り上げなさい」

クン、と見えない糸が僕の右手に巻きついて、勢いよく右手を―ナイフを振り上げた。

(;^ω^)「え?え?ワカッテマス?!まさ…」

( <●><●>)「哀れな少女の左胸を切り裂くのです―」

「い、いやだお!いやだお、いや―――



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:43:13.45 ID:lDyri4Ur0















( °ω°)「はあッ!!!」

(  ω )「は、は、は、は、は、ハアッ、は、は…は…」

(  ω )「は……っ、は…」

(  ω^)「……ゆ…め…」

( ^ω^)「ああ、なんだ、夢か…」

思わず右手を見る。いつものずんぐりとした手。血などついていない。
僕はそれを確認すると、布団に引き込まれるようにして、再び眠った。



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/06/23(月) 21:43:36.77 ID:lDyri4Ur0

(´・ω・`)「どこかで哀れな母親が泣いているねえ」

( <●><●>) 「…」

(´・ω・`)「ふふ…あせらないことがコツさ。君のときは少々あせりすぎた」



”それ”を見るのは、とっても楽しい。
本当に、楽しい。


<第一択・了 >



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