( ・∀・)は人類牧場を経営するようです
- 20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:30:09.10 ID:4f3vaV6hO
- 第一話
「最初の実験」
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:32:57.16 ID:4f3vaV6hO
- 「いつも悪いねぇ、ただで薬を都合して貰って………へへへ」
中年の男がシワだらけの顔を歪め、ニタニタと笑いながら僕から薬が入った袋を受け取った。
彼の顔は笑っているが目は全く笑っておらず、疑心と警戒をしている事が伺える。
でも僕はそんな彼を皮肉るかのように同じ言葉を言ってやるのだ。
( ・∀・)「困った時はお互い様。人なら当たり前の行動だよ。助けあいって良いことだよね」
彼がある行動を開始する頃まではこの言葉で彼の顔は僅かに歪んだものだったが、最近はまったく微動だにしない。
おそらくもう割り切ってしまったのだろう。
- 22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:36:28.30 ID:4f3vaV6hO
- 彼、そして彼らの村があるこの地方に住み着いてもう二十年になる。
彼らの村がある土地の少し離れた所で居を構え、この地方の人々の民族性や性格を観察するための拠点としたのだ。
だが村の外れとはいえ、近くによそ者が来たことを彼らは好としなかった。
この地に留まり、観察を続けるためには餌が必要だった。
この地では医学がそう発展していないことに目を付け、餌は人の病を治す薬とした。
まだ観察の初期の段階だったため、勝手が分からず警戒や疑念をもたれ、一時は計画失敗かと思われたが、彼、いやニダーという男のおかげで計画は断念せずに済んだ。
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:39:23.42 ID:4f3vaV6hO
- <ヽ`∀´>「皆が警戒するのは当然ニダ、でも彼の薬の力は本物ニダ」
<ヽ`∀´>「だからどうニダ?村の人が病気になった時ニダーが彼の所に薬を貰いにいって上げるニダ」
その言葉に村の人も僕も納得し、以後病に倒れ、薬が必要になったときは彼が自分の所に薬を都合しにいくという契約がなされた。
彼らは閉鎖的で排他的な所があるが、契約を重視するという非常に良い面も備わっていたため、ここ二十年約束が破られる事は当然無かったのだが………問題が起きたのだ。
- 27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:42:14.64 ID:4f3vaV6hO
- 彼、即ちニダーは僕が作った薬で村人から金銭を要求するようになったのだ。
しかもその金銭は僕が要求した事になっていたのだ。
そして彼は受け取った金銭をまったく使う事無く自分の家に溜め込み、貯蓄し始めた。
ニダーに埋め込んだ生体カメラからその情報はすぐさま自分の元に届いた。
彼にこの事を問いただすべきか自問したが、この事実を何故自分が知っているのかという疑問が彼に残るだろうし、そもそも彼が認めるとも思えない。
だからあえて彼の行動を黙認し、彼の行動の結果がどの様に物になるか観察する事にした。
そして今日、彼のある計画の結果を今自分は待ち望んでいる。
- 28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:44:32.43 ID:4f3vaV6hO
- <ヽ`∀´>「はい、薬を貰ってきてあげたニダ。薬代は三十モリタポニダよ」
「高いねぇ、また値上がりしたのかい……本当に私達の弱みにつけ込んでせこい商売して……憎らしい余所者だねぇ」
<ヽ`∀´>「本当ニダね、でもこんな小さな村にお医者なんてくるわけないし多少の金銭は仕方ない事ニダ。いつかニダーがガツンといってやるニダー」
「頼んだよニダー、さて、娘に薬を与えてやるかね……」
( ・∀・)「…………………」
僕は知っていた。ニダーが与えたのが自分が調合した薬ではない事を……
僕は知っていた。彼が密かに毒草を溜め込んでいたのを……
彼の計画は今の所順調なようだ。
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:46:34.02 ID:4f3vaV6hO
- 「グギ、グギギギギ、痛い、痛い、痛い」
「ママー!目が見えないよぉ!痛い痛い痛い痛いー!」
「お父さーん、お母さんが動かないよーお父さん?……お父さーん!」
ニダーが与えてやった薬を飲んだ者が原因不明の症状で苦しみだしたのは丁度太陽が沈み、夜の闇に包まれた時だった。
一人は働き盛りで、翌年結婚し、一男を儲けた村の若者
次はまだ十にも満たない幼い幼女
そして最後は夫婦共に持病を抱え、僕の薬に頼っていた五歳の子供を持つ夫婦
以上この四名が今日、もがき苦しみながら死んだ。
- 31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:48:05.62 ID:4f3vaV6hO
- 勿論彼等は薬を運んできた人物、ニダーに詰め寄る。
一体どういう事かを彼に問いただすだろう。
そこで彼はなんと答えるのだろうか。
<;`∀´>「ニダーは知らないニダ!本当ニダ!なんでニダーが村の皆にそんな事しなきゃならないニダー!」
あたかも自分も被害者であるかのような迫真の演技で!彼は村人達を説得する!
そして!彼は言う!
<ヽ゜∀゜>「きっとあの余所者の医者が毒を盛ったに違いないニダー!皆であいつの家に行くニダ!八つ裂きにしてやるニダー!」
- 33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:49:56.77 ID:4f3vaV6hO
- ∩( ・∀・)∩「アハハハハハハ!凄いニダー!凄い凄い!君はこの世界で最初の特異人物だ!負の側面の英雄だ!」
とても嬉しかった。彼は町外れに住むしがない医者になっている自分を、村の人間を毒殺した憎い敵に仕立て上げたのだ。
村人達は憎悪という意思を背負いながら自分を殺しにやって来る。
僕の名前すら知らない者達が僕と繋がりにやってくるのだ。
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:52:17.06 ID:4f3vaV6hO
- 家の外から松明の明かりが見える。村の人達は憎悪で顔を歪めながらここにやって来る。
ニダーの姿が無いのは手込めにした村長の娘と隠していた財産と共に村の外にとっくに逃げてしまったからだろう。
村人達が僕の家に到着した。彼等は僕の家の扉をおそらく恐怖心を与える為だろう、斧でズタズタに切り裂き、わざと大きな音を立てながら部屋に入ってくる。
- 37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:54:03.12 ID:4f3vaV6hO
- 「やい!この毒医者!あんただね!家の旦那を殺したのは!この人殺し!」
「よくも娘を殺してくれたね!あんたも娘と同じように散々苦しませた後殺してやる!」
旦那を、そして娘を殺された二人の女性を筆頭に村人達が僕を取り囲み、詰め寄る。
そうだ……いいぞ!僕に手を出してみろ………
だが僕の願いも虚しく、思わぬ邪魔が入る。
- 39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:55:42.99 ID:4f3vaV6hO
- ( ФωФ)「少し待つのである」
彼の名はロマネスク、村の中で切れ者として知られる若者だった。
不味いなと思った。彼の母親は重い病気にかかっていたが、僕の薬によって完治したおり、そのことに非常に感謝して自ら自分の元にお礼を言いに来たという前例がある。
そして彼の友人や、恋人も僕の薬で命を救われているため、自分を擁護する要因はいくらでもある。
彼は僕を村に住まわせようともした男だ。
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:57:12.72 ID:4f3vaV6hO
- 「なんだ!ロマネスク!何か文句あるのか!」
村の男が吠える。
( ФωФ)「あぁ、大いにあるとも」
ロマネスクが答える。
( ФωФ)「あなた方はニダーに騙されているのです」
彼は真実を吐いた。気に食わない
( ФωФ)「彼は今日まで薬にお金を要求してなんていません」
そうだよ、うん、そうだよ
- 42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/23(水) 23:58:39.48 ID:4f3vaV6hO
- ( ФωФ)「私は今日聞いたのです。今日、この家でニダーが彼にいつも薬をタダで貰って悪いねといっていたのお」
( ФωФ)「彼はそれに対して人は助け合うのは当たり前だと答えました。」
村人「…………………」
( ・∀・)「………………」
- 45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:01:11.32 ID:fMzeGFnLO
- ( ФωФ)「彼は二十年にも渡り我々を治療してくれました。
また彼のお陰で何人病気の人が救われました?症状をニダーの口伝てだけで彼はいとも簡単に病気の正体を突き止め、我々を救ってくれたのです」
( ФωФ)「そんな彼に対してこれが我々の答えなのですか?彼の二十年に渡る我々に対しての善意はこんな結果でおわっていいのですか?」
( ФωФ)「彼は私の母、恋人、友人皆救ってくれました。貴方達にも彼に命を救われた人だっているはずだ」
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:03:15.99 ID:fMzeGFnLO
- ( ФωФ)「そんな彼に私達は何をしてきました。礼を言うわけでも無く、ただ何時の間にか彼の力に頼る事を当たり前と考え、何一つ彼にしてあげなかった」
( ФωФ)「ニダーは何処です?彼はどこに行ったのですか?長年親交のある彼を犯人に仕立て上げ、彼はどこにいったのですか」
黙れ…………黙れ………
( ФωФ)「私は村人の半分を村に送り、ニダーの家の捜索を進言します。もしかしたら村の金品も幾らか無くなっているかも知れませんよ」
そうだよ、彼は村で金品を盗み出し、村を去っていったさ……彼の家には毒草の残りだってある。
- 47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:05:02.09 ID:fMzeGFnLO
- ( ФωФ)「もし事の真相が彼の薬のせいではなかったとした場合、我々は彼に大きな過ちを侵した事になります。そしてこれは彼と我々がお互いを知らない事で起きた不幸な出来事だと考えています」
( ФωФ)「我々はニダーにのみ彼と面会する身分を与え、そしてそれは彼の暴走に繋がりました」
( ФωФ)「最初はニダーも私と同じ様に彼に救われ、そしてそれは感謝という言葉と共に始めは純粋だった筈です」
( ФωФ)「しかし、いつしか、1人にだけ与えられた特権によって彼の心すら変えてしまったのです」
- 50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:07:13.77 ID:fMzeGFnLO
- ( ФωФ)「だから我々は…………」
もういい、もう聞きたくもない!
(#・∀・)「お前!本当、黙れよおおおお!」
僕は彼のそばに走り寄るとそのまま彼の頭を床に叩きつけてやった。
すると彼は小さく呻き声を上げその場で気絶した。
(#・∀・)「さっきから聞いてりゃ下らない持論をぐだぐだと並べやがって!間違ってるんだよ!さっきから!」
そう………彼は間違っていたのだ。
真実を伝えてやらねば……彼らに
(#・∀・)「お前らの汚くてどぶ臭いお仲間どもを毒で清めてやったのは僕だ!」
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:09:13.84 ID:fMzeGFnLO
- さっきまでロマネスクの話を黙って聞いていた村人達が自分を一斉に注視する。
我が子を、旦那を殺された二人の女性はやはりそうかと言わんばかりの目で自分を睨み付ける。
(#・∀・)「お前らの汚い面なんて見たくもないわ!
早くお家に帰って死んだ旦那のチンポ舐めるか、どんどん犯って新しいガキでもつくっていやがれ!このゴミ共が!」
(#・∀・)「あ?何みてやがる!俺を殺すか?やれるもんならやってみやがれ」
- 55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:10:45.44 ID:fMzeGFnLO
- あえて彼らをたきつけるような言葉を吐き、僕は彼らに本来の目的を思い出させた。
ニダーの言っていた事が嘘ではないと僕の口から確認された今、彼らは本来の目的を遂行するために行動を起こすはずだ。
僕を殺すという目的を
- 58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:12:55.11 ID:fMzeGFnLO
- 案の定、村人の一人が目を血走らせながら僕の頭めがけて斧を振り上げてきた。
別に避けるつもりもなかっため斧は僕の頭を真っ二つに切り裂いた。
( ・\/・)「……………」
事を成し遂げた村人は、娘を殺された妻の旦那だった。彼、そして彼らは散々僕に暴言を吐きながら次々と思い思いの武器で僕に襲いかかる。
( )「…………………」
肉塊となった僕に満足し、村人達は僕の家から早々に立ち去る。
だがそこで彼は気づいたはずだ。
いつの間にか僕の家の周りが高い土壁に覆われている事を
彼らに逃げ場はない………
さぁ狩りの始まりだ。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:14:56.88 ID:fMzeGFnLO
- ( ・∀・)「アハハハハハハハハハ!ねぇ、怖い?ねぇ、不思議?ねぇねぇねぇ!」
彼らは驚愕している。彼は呆然としている。
彼らの顔を眺め、彼らの声を聞くだけで心が喜びに溢れてくる。
先程まで憎悪に歪んでいた彼らの顔は今は恐怖と不安に書き換えられている。
- 62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:17:43.19 ID:fMzeGFnLO
- ( ・∀・)「君達が悪いんだよ!僕に手を出したから!僕は今から君達を殺すよ!さっき僕にやったみたいにぐちょぐちょにして殺すよ!」
僕は背中から手を六本生やした。
僕は足を六本に増やした。
僕はお腹に大きな口を取り付けた。
そうすると化け物が出来上がった。
- 64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:19:23.26 ID:fMzeGFnLO
- ( ・∀゜`)「ねぇ、僕のこと好き!?死ぬのは怖い?肉は好き!?血は幸福?」
僕は支離滅裂な言葉を唱えながら化け物となった姿で彼らにのそりのそりと近づいて行く。
彼らの恐怖の顔はとても美しかった。無駄だと分かっていても逃げ場などないと分かっていながら右往左往する彼らを可愛いと思った。
- 65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:23:33.43 ID:fMzeGFnLO
- 運悪く捕まった一人を背中の手で引きちぎり、お腹の口に運んでやる。
バリバリと肉を噛み砕く音と共にけたたましい悲鳴が聞こえてくる。
( ・∀゜`)「今どんな気分?今どんな気分?」
人の肉が内蔵が辺りに飛散する。
血と肉で汚れた床を人々が逃げまどう。
( ・∀゜`)「痛い?怖い?悲しい?悔しい?憎い?アハハハハハハハハハ好きだよ!皆好きだよぉぉぉ!」
- 69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:26:29.91 ID:fMzeGFnLO
- まさしく阿鼻叫喚の地獄となった僕の家は、まさしく食い散らかされた食卓のようだった。
( ・∀゜`)「行きは良い良い帰りは怖いー行きは良い良い帰りは肉片ー」
今考えついた替え歌を歌いながら、僕は陽気に彼らを殺し続ける。
彼らは土着宗教の最高神である大VIP神なる者に祈りを捧げながら死んでいくのが殆どだった。
- 73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:30:45.95 ID:fMzeGFnLO
- この世界においても、やはり人は宗教と密接に関係しているようだった。
神なんて助けに来るわけはないのに……
( ・∀゜`)「神、か………」
何か掴めそうな気がしてきたが、今は彼らと遊ぶ事の方が重要だった。
( ・∀゜`)「アハハハハハハハハハ、皆殺し――――!ってあれ?」
いつの間にか皆いなくなっていた。
- 76: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:33:21.93 ID:fMzeGFnLO
- ( ・∀・)「………つまんない、つまんないなぁ」
いつもこうだった。気がついたら皆居なくなっていた。
こうやって皆僕から離れていくんだ。
(;ФωФ)「ぐ、んあ………」
ロマネスクが目覚めた。そういえば殺していなかった。
彼の目が完全に開き、この惨状を目の当たりにして、彼は一体初めに何を言うのだろう。
(;ФωФ)「ん?な、何だこれは………」
- 82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:38:07.14 ID:fMzeGFnLO
- ( ・∀・)「平凡な奴め………」
何かガッカリしたような気分にさせられたが、とりあえずじっと彼を眺めてみた。
すると彼も僕の事に気がついたのか僕に視線を向ける。
体を元に戻したため、恐れられる事は無いだろうが、血まみれの僕を見て彼は何を言うのだろう。
とりあえず……二話に続く
- 89: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/24(木) 00:44:12.48 ID:fMzeGFnLO
- (;ФωФ)「あなたは清廉潔白な人だった!尊敬していたのに!」
「皆を返せ!この悪魔!」
( ・∀・)「世界が僕を認めないならこの世界を僕が食らってやる!あの時のように………」
次回第二話
魔人の証明
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