( ・∀・)は人類牧場を経営するようです
- 3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 00:49:53.82 ID:8O1sjnQ6O
- 岩窟森の忌み地
周りを険しい岩山に加護されているかのように囲まれている森
周囲の部族や国から忌み人が住む忌み地として代々避けられており、土着宗教の最高神が忌み人を封じる為にこの地を造ったといわれている。
周囲に存在する岩山には豊富な鉱石が含まれている。
( ・∀・)のノート
- 5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 00:52:14.83 ID:8O1sjnQ6O
- ( ^ω^)( ´_ゝ`)(´<_` )( ゚∀゚)(*゚∀゚)(*゚ー゚)/ ,' 3川 ゚ -゚)他
( ・∀・)「…………」
( ・∀・)∩「よっ!」
(;^ω^)(;´_ゝ`)(´<_`;)(;゚∀゚)(;*゚∀゚)(;*゚ー゚)/;,' 3他
わあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
川 ゚ -゚)「……………」
(;・∀・)つ「まてまて!他はともかくそれ意外は半分残れよ!」
川 ゚ -゚)「……………」
( ・∀・)「…………」
( ・∀・)∩「よっ!」
川 ゚ -゚)「ふんっ」
( ・∀・)「…………」
- 6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 00:53:20.36 ID:8O1sjnQ6O
- 第五話
容易すぎる忌み人
油断により生まれた予期せぬ権力
- 9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 00:55:05.34 ID:8O1sjnQ6O
- 非常に困った事が起きた。
この村にいた村人達が、彼女以外一斉にどこかへ逃げ出してしまったのだ。
まさか彼らがここまで臆病だとは思わなかった。
さて、どうするべきか………
( ・∀・)「…………」
川 ゚ -゚)じぃー
川 ゚ -゚)「すいません」
( ・∀・)「ん?」
川 ゚ ー゚)「もしかして困っているんですか」
- 14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 00:57:24.73 ID:8O1sjnQ6O
- 彼女は実に嬉しそうな表情を浮かべながら、こちらに笑いかけてきた。
彼女の顔から、してやったりと言う言葉が聞こえてくるぐらい彼女はニヤニヤ笑っている。
川 ゚ ー゚)「協力してあげても良いんですよ」
( ・∀・)「本当かい?」
川 ゚ ー゚)「ええ、先程あなたが私にした屈辱的行為を土に手をつけて謝ったらね!」
- 15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:01:11.56 ID:8O1sjnQ6O
- ( ・∀・)「……うーん」
川 ゚ ー゚)「どうです!どうしました!グーの音も出ませんか!」
川 ゚ ー゚)「私を敵に回すとこういう事になるんですよ!さぁ謝ってください!さぁさぁ!」
( ・∀・)「…………」
- 16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:03:12.72 ID:8O1sjnQ6O
- 彼女は実に恍惚とした表情を浮かべながら両手を腰にあて仁王立ちし、天上に来たるべき勝利の口上を捧げるためか、僕にアゴをさらけ出し仰け反っている。
簡潔に言うとしたなら、僕にえっへんをしているのだ。
川 ゚ ー゚)「ふふん!」
彼女はどうやら僕が先程した行為を、相当根にもっているようだ。
17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:05:13.38 ID:8O1sjnQ6O
- 彼女の見事なまでのえっへんは、侮るべからず、侮るべからずという彼女の心情を、僕の心に直接伝えているかのようだ。
だが一つ注文をつけるとしたら、明らかに僕の方が身長が高いのだから、
無理に足のつま先を立て、自分を大きく見せるような行為は辞めたほうが良いだろう。
ただ可愛いだけだ。
- 21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:11:03.69 ID:8O1sjnQ6O
- あと、僕は彼女に謝る気は無いし、彼女が今の彼女であるかぎり、彼女は僕に勝つ事は出来ない。
そして彼女は非常に大事な事を忘れている。
いなくなったなら………呼べば良いだけだ。
( ・∀・)∩「おーい!ブーンくーん!ツンちゃんを治療しなくて良いのかーい!お薬一杯入った荷物も持ってきてるんだよー」
僕は声を張り上げて、僕をこの村に導いてくれた少年を呼んだ。
彼の名前は彼女が教えてくれた。
するとあーそうだったおー!という声と一緒に、何かがこちらに近づいてくる。もちろんブーン君だろう。
川;゚ -゚)「あー!!」
- 24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:13:46.97 ID:8O1sjnQ6O
- 川 ; -;)∩「うわぁぁん!おのれー!」
負けを確信した彼女は負け惜しみを吐きながら、尻尾をフリフリさせどこかへ走り去ってしまった。
立ち去る姿もまた可愛らしい。
しかし惜しい………彼女は交渉事の才はあるのだが、彼女の大きな欠点がそれをすべて壊している。
非常に残念な人物だ。
まぁ、彼女はまだ若いのだから訓練次第で何とかなるだろうが、その訓練を遂行する人物がいないのであればただの宝の持ち腐れだが…
- 29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:19:22.25 ID:8O1sjnQ6O
- (;^ω^)「お、お医者さーん」
おや、帰ってきた帰ってきた
(;^ω^)「 ご、ごめんなさいだお、つい」
良いよ、もう馴れてるから
( ・∀・)「別に僕は気にしてないよ!さぁ患者のところへ!」
(;^ω^)「そ、その前に村長に村に入る許しを得なきゃならないお」
- 30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:21:53.22 ID:8O1sjnQ6O
- 村長、つまり村のトップか……
とするとやはり他の住人達とは違う、多少は気骨ある人間なのではないだろうか。
もしかしたら先程の彼女の肉親という可能性も出てくる。
彼女のような聡明な人間なら、やはりそれなりの人物に扶養されなければあのような性格は形成されはしないだろう。
彼女は少々高飛車な所があったし、他の使者達を指示していた事を考えれば、わりと可能性が低い話ではない。
- 32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:23:13.23 ID:8O1sjnQ6O
- もし彼女が村長の娘だとしたら、その親たる村長に彼女の事をいろいろ聞こうではないか………
彼女は僕を人ではないことをこの世界で初めて見抜いた人物だ。
彼女には興味がある…………
アハハハハハハハハ!
( ・∀・)「して?村長はいずこに?」
- 35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:26:11.33 ID:8O1sjnQ6O
- (;^ω^)「 そ、村長ですかお!」
( ・∀・)「うん、村長さんは?」
(;^ω^)「み、皆と一緒に森の中に逃げちゃったお」
(#・∀・)「あぁ!?」
(;^ω^)「ひぃぃ!すいませんすいませんお!」
( ・∀・)「…………………」
- 40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:28:07.16 ID:8O1sjnQ6O
- 逃げただって?村民を守るべく、戦う定めを背負っている集団のトップが、他の者と一緒になって逃げ出したというのか!?
なんて事だ!あまりに脆弱すぎる。この村に戦士はいないのか?
いくら忌み人として他国から嫌われ、宗教という概念の中である意味安全を保証されているからといって、一人くらいは村の為に、
同族の為に胸を張って僕と対峙する人物がいたって良いはずではないか!
- 41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:30:54.95 ID:8O1sjnQ6O
- 嫌………一人だけいた。
彼女が……
彼女だけは村の為に、そして同族の為に幼いながらも僕と対峙し、僕と勝負したのだ。
その結果はけっして誉められたものではなかったが、彼女は戦った。
皆の為に…………
そう、彼女はこの村の正の英雄だ。
彼女は疑うこともないこの民族の特異人物だ!
- 43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:33:06.60 ID:8O1sjnQ6O
- この村の村長は脆弱な臆病者………
村人達も全てを投げ出す臆病者
そしてたった一人だけの幼い英雄
あぁ何故だろう……妙に恍惚としてきた。
喰らいたい……彼らを……
何もしていないのに逃げ惑い、戦う気も、何かを守る気もない彼らは、どんな風に死んでいくのだろう。
引き裂かれ、苦痛にのたうち回る仲間をどんな風に眺めるのだろうか。
そして一人残された彼女はどんな感情を僕に抱き、そして生きていくのだろうか!
- 46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:34:27.74 ID:8O1sjnQ6O
- アハハハハハハハハハハハハハハハハ!
知りたい!知りたい!知りたい!知りたい!
…………でも駄目だ。
まだ僕と彼らは知り合ったばかりじゃないかぁ………
もっと…もっと!彼らを知ってからじゃなきゃ駄目だ。
楽しみは取って置かなくちゃ………ふふふ
- 49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:36:38.48 ID:8O1sjnQ6O
- (;^ω^)「……あ、あの……」
( ・∀・)「ん、なんだい?」
(;^ω^)「そ、村長を呼んできた方がいいんですかお?」
( ・∀・)「……そりゃ……そうでしょう。呼んできてちょうだいよ」
(;^ω^)「わかったお!では呼んできますお!」
( ・∀・)「…………」
- 51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:38:36.75 ID:8O1sjnQ6O
- そんな事も自分で判断出来ないのか?彼は………
もしかして彼以外の村人も、彼と同じ様に自分で判断する事ができず、
先の交渉のようにぐだぐだと先を伸ばし、決断を下す事が出来ない民族なのではないだろうか?
だとしたら、彼らはこの忌み地という檻に飼われた、ただの家畜だ。
広い世界を見ようともせず、この狭い森の中でいつも何かに怯えながら一生を過ごしていく。
高い山と森に囲まれた自然の檻の中で飼われている哀れな牧畜達
彼らの人生はなんと陳腐なのだろう……
- 53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:43:23.09 ID:8O1sjnQ6O
- そんな人生から彼らを解き放ってあげたい!
救ってあげたい!
彼らという存在に死という救いを!
彼女という存在を一人だけ残して!
皆!皆!
あぁでも駄目だ!僕!落ち着け!落ち着け!
まだ早いじゃないか!
(;・∀・)「平常心、平常心!」
- 56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:45:43.38 ID:8O1sjnQ6O
- 僕が自分の心の欲求に苦しんでいる中、思わぬ人物が僕に話しかけてきた。
川 ゚ -゚)「……すいません」
( ・∀・)「おや?何かようかな?」
小さな英雄が僕に話しかけてきた。
あれだけ虐められても、まだ僕と対峙するというのか………
うん……良い子だ。
- 59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:48:19.47 ID:8O1sjnQ6O
- ( ・∀・)「なーにかな?」
川 ゚ -゚)「………病人の所に案内します」
( ・∀・)「?村長の許しは?」
川 ゚ -゚)「たぶん村長は誰があなたに会って村の通行許可を出すか、くじで決めていると思いますから村長含め二日は帰って来ません」
( ・∀・)「……二日も?森の中で?」
川 ゚ -゚)「出来るだけ嫌な事は先送りしたいんですよ……」
( ・∀・)「……君は、違うの」
川 ゚ -゚)「私は……違います」
どこか哀しげな表情を浮かべながら、彼女は僕を村の中に案内してくれた。
- 63: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:52:06.44 ID:8O1sjnQ6O
- さて、ようやく彼らの村の中に入る事ができたのは良いが、
村の外で嗅いだ臭いで大体見当はついていたのだが、この村の不衛生ぶりと未開ぶりは非常に目に付く。
トイレに入る習慣が無いからなのか、汚物が辺りに散らばっているし、
周囲に点在する水たまりはどうやら全て小便などの汚水の溜まりのようだ。
村には悪臭が漂い、付近の汚水や汚物には虫が集っている。
また、体を洗う習慣が無いからなのか、
僕の所に訪れてきた使者達、そして彼女もどこか薄汚れていて、髪も少々脂ぎっていた。
- 67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:53:41.53 ID:8O1sjnQ6O
- 動物の皮だけで胸と下部を保護している彼女の服装から見て取れるように、繊維、また糸などは村で作られてはいないようだ。
そして彼らの住居も土壁の上に葉を乗せただけの非常に簡素なつくり
外部から隔離された環境にいたからとはいえ、これは少し酷すぎではないだろうか?
- 68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:55:27.47 ID:8O1sjnQ6O
- ( ・∀・)「…………」
川 ゚ -゚)「…………」
( ・∀・)「…………」
川 ゚ -゚)「酷いでしょ?この村」
( ・∀・)「うん、ひどいね?とても不衛生だよね」
川 ゚ -゚)「……正直なんですね」
( ・∀・)「僕に嘘をつけと?」
川;゚ -゚)「そ、そういうわけでは無いですけど……」
- 70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:57:23.06 ID:8O1sjnQ6O
- 僕の言葉が予想外だったのか、また彼女は言葉を濁し混乱しだした。
川;゚ -゚)「えっと、あの………」
( ・∀・)「そういえば名前を聞いていなかったね?」
川;゚ -゚)「え?あ、あのわ、私のクーと言います」
( ・∀・)「私はクーでしょ?……ところでクーちゃん一ついいかい?」
川;゚ -゚)「え、あの何ですか?」
- 72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 01:59:48.73 ID:8O1sjnQ6O
- 僕はなんとなく気に入ってしまった彼女の為に一つ助言をする事にした。
彼女を強くする助言を…
( ・∀・)「君は、相手が自分の想像していない行動、または言葉を言われると頭の中が止まっちゃうくせがある。それは自分でもわかるね?」
川 ゚ -゚)「え?あっ…………そうかも」
( ・∀・)「だから頭の中が止まっちゃったら、無理に動かそうとしないで、ゆっくりと相手に返す言葉を頭の中で考えた方が良いよ」
川 ゚ -゚)「………頭の中で?」
( ・∀・)「そうそう」
彼女は何か思う事があったのか沈黙し、僕の方を訝しいげに眺めた後、口を開いた
- 75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 02:01:40.17 ID:8O1sjnQ6O
- 川 ゚ -゚)「助言ありがとうございます……でも」
( ・∀・)「でも?」
川 ゚ -゚)「私はあなた以外は無敵ですから、あなたの助言はあなたにだけ使う事にします」
( ・∀・)「どういう事?」
川 ゚ -゚)「とにかくそうなんです」
( ・∀・)「……そうなんだ」
川 ゚ -゚)「そうです。あなた以外は…みんな聞こえる人ばかりですから」
( ・∀・)「…………?」
- 79: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 02:04:56.95 ID:8O1sjnQ6O
- あなた以外は無敵
あなた以外は聞こえる
あなたは人間ですか
彼女は僕の心にたくさんの疑問符をつける。
聡明かと思えばドジで、ドジかと思えば聡明で………そしてミステリアス
一体彼女は何なんだろうか?
まぁ、それは後々彼女から直接聞くとしよう。
とにかく今は、彼らからの信頼を得なきゃね。
そしてその信頼の先に、彼らの絶望が待っていたとしても、それは僕には関係のない事だし……ね
第六話へ 続く
- 81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/07/28(月) 02:06:19.40 ID:8O1sjnQ6O
- 次回第六話
容易すぎる忌み人
油断により生まれた予期せぬ権力 二
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