( ・∀・)は人類牧場を経営するようです

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:35:21.33 ID:Tk3UeGvRO
第六話


容易すぎる忌み人
油断により生まれた予期せぬ権力 二



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:37:53.35 ID:Tk3UeGvRO
川 ゚ -゚)「ここが,病人の所,です」


( ・∀・)「……………」
( ・∀・)「ねぇクーちゃん、一つ聞いていいかい?」

川 ゚ -゚)「何でしょうか?」

( ・∀・)「墓場と間違たわけじゃないよね?」

川 ゚ -゚)「間違えていません。ここが,病人の所,です」

( ・∀・)「……………」

彼女に,病人の所,として案内されたのは、二十人程の子供が地面の上に野ざらしにされている場所だった。

大半の子供がすでに息絶えており、おそらくは何日か放置されたのか、人の形をとどめていない者もいた。

,病人の所,と言うよりは腐った肉の貯蔵庫に近い状態だ。



13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:40:32.67 ID:Tk3UeGvRO
蛆、または蠅の生産工場と言ってもまだ納得は出来るだろう。


腐った子供達の体には表面がざわついて見えるほどの大量の蛆がわき、腐肉を食らっているからだ。

どう転んでもここが,病人の所,とは到底思えない。

これが彼女が言う,先送り,なのだろう。


( ・∀・)「ねぇ聞いて良いかい?」

川 ゚ -゚)「何ですか…」
( ・∀・)「君は医者は間に合っているって言っていたけど、ツンと言う子が医者が必要じゃないくらい軽い症状だから間に合っていると言ったのか………」

( ・∀・)「僕と言う存在を村に入り込ませない為にあの場でとっさについた嘘だったのか……」

( ・∀・)「君の心は前者、後者、どっち」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:42:45.12 ID:Tk3UeGvRO
川 ゚ -゚)「後者です」


彼女は何の迷いも無く後者だと言い放った。

そして言葉を続ける。


川 ゚ -゚)「たかだか一人の命の為に村の安全を脅かす訳にはいきませんでしたから、当然の決断です」


( ・∀・)「そう……………」


川 ゚ -゚)「別に軽蔑して貰っても構いませんよ?私は一向に気にしませんから」


それは嘘だ。

でなければ軽蔑しても構わないなどと言う言葉は出てこないだろう。

彼女は今悩んでいるのだ。

自分の境遇に、自分の環境に、自分の生き方に………


今の自分が憐れだと知っているから、今の自分の無力さを感じているから、部外者である僕に自分を憐れんで欲しいのだろう。



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:44:39.08 ID:Tk3UeGvRO
だが僕はそんなに優しくは無い。
彼女が見せた心の弱み………

利用させて貰うよぉ!

アハハハハハハハハハハハハハハハ


( ・∀・)「無理、しなくても良いんだよ……」

川 ゚ -゚)「えっ……」


( ・∀・)「君は優しい子だよね………そして強い」

川;゚ -゚)「えっ、あの何、を…………」


僕は彼女を軽く抱き寄せ、彼女の頭を優しく撫でながら言葉を続ける。

( ・∀・)「変えようと思って変えられない。
変えさせようと頑張っても、誰も変わってはくれない。
ただ毎日を無駄に過ごす仲間を黙って見ているしかない」


川;゚ -゚)「 !! 」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:47:51.36 ID:Tk3UeGvRO
( ・∀・)「それでも、それでも君はいつか皆が変わってくれる事を信じて君は行動していた」


川;゚ -゚)「ち、違う……違う違う違う違う!」

( ・∀・)「それでも変わらない毎日、それでも変わらない仲間…不安、恐怖、絶望、そして自分の無力さを感じながら生きている……理想とは違う自分」


川;゚ -゚)「やめて!聞きたくない!聞きたくない!」

彼女は僕から逃れようと腕の中で暴れるが、逃がしはしない……苦しいかい?でも黙って聞いていろ。

( ・∀・)「強く生きよう、皆とは違う人生を生きようと決めていた筈が、違うと思っていた筈の仲間達の人生と、いつしか絡み合っていく自分の人生……」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:50:20.99 ID:Tk3UeGvRO
川 ; -;)「やめて!やめて!違うから……違うから、やめて!お願いやめて!」


アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


そうだ!堕ちろ堕ちろ!僕に心をさらけ出せ!
救ってやるよ!分かってやるよ!
だから僕の駒になれ!

捨て駒にね!

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ


( ・∀・)「大丈夫だよ?弱くたって良いんだ……強がらなくたって良いんだよ…」


川 ; -)「う、あぁ………」


( ・∀・)「君は僕が救ってあげ………」


川 -)「そうやって私を懐柔して貴方は私を手に入れようというんですね……」



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:54:11.98 ID:Tk3UeGvRO
(;・∀・)「 !! 」


いま、いま彼女は何て言った?


川 ゚ -゚)「安い手だな?そうやって私の心を壊して私を都合の良い駒にしようってわけか………貴様、悪魔みたいな奴だな?」


何だ?何だこの子!

アハハハハハハハハハハハハハハハ

すごいじゃないか!すごいすごい!


( ・∀・)「あぁ、その通りさ………だがなぜ分かった?」


川 ゚ -゚)「私は貴様の心は聞こえんが、貴様のような真似をして人を陥れるような人の心を私は覗いた事があるからな」


ほぅ、つまり彼女は……

( ・∀・)「心が読める……エスパー、というわけか」



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:56:32.72 ID:Tk3UeGvRO
川 ゚ -゚)「エスパーと言う単語がどのような物かは分からんが、心が読めると言う事に関しては正解だな」


( ・∀・)「ほぅ……でもなぜ僕に話した。エスパーは自分の能力を絶対に他人に喋らないと聞いた。しかも僕は余所者、良いことなど一つもないぞ?」


川 ゚ -゚)「理由は三つあるが、一つは貴様が私と同じ化け物であると分かった事だ」


( ・∀・)「二つは?」


川 ゚ -゚)「貴様が暇そうだったからだ」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/14(木) 23:58:36.33 ID:Tk3UeGvRO
( ・∀・)「………何故そう思う?」


川 ゚ -゚)「こんな何もないゴミ溜より汚らしい我ら忌み人の村に、だれが好き好んで侵入しようなどするものか」

川 ゚ -゚)「そんなことをするのは余程の暇人か変人くらいしかいない。貴様はどちらにも当てはまるがな」


( ・∀・)「三つ目は」


川 ゚ -゚)「貴様が利用出来そうだったからだ」


( ・∀・)「へぇ、ていうか君ほんとにませたガキだねぇ?おじちゃん驚いちゃったよ」



39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:00:25.78 ID:BikxljeUO
川 ゚ -゚)「私はガキじゃ無い。もう56だ」


( ・∀・)「うそーん」


川 ゚ -゚)「嘘じゃないよ。我々忌み人は長寿なのさ、10歳で成長が止まりそのまま200まで生きる。まぁ大体病気でくたばるがな」


( ・∀・)「そりゃまた珍妙な」


川 ゚ -゚)「だろうな。して、貴様は幾つになる?私より年下、じゃないだろうな?」


( ・∀・)「僕は320歳だよ」

川 ゚ -゚)「ほう、私より年上だったか。流石は化け物だな」



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:02:35.27 ID:BikxljeUO
多少は動揺するかと思ったが彼女は僕の言うことを素直に信じた。

嘘は言っていない。だが少しは疑問を投げかけても良いだろう。

まったく肝の座った女だ。
今ままでの事は全て演技だったと言うわけか。
僕が使える人物なのか試していたのだろう。
化けの皮が剥がれるというのはこういう事を言うのだな。


さっきまであんなに可愛かったのに………

今はまったく可愛いく感じな………


( ・∀・)「……………」

川 ゚ -゚)「…なんだ?」



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:04:42.53 ID:BikxljeUO
( ・∀・)つ川;゚ -゚)「キャ!」ガシッ


( ・∀・)つ川;゚ -゚)サワサワモフモフ


( ・∀・)つ川;゚ -゚)サワサワモフモフ


∩川;゚ -゚)∩「や、止めろ!何をする!」

( ・∀・)「いや、やっぱり可愛いや、可愛い可愛い」


川;゚ -゚)「煩い!可愛いって言うな!可愛いって言うな!」

m9( ・∀・)「何故二回言った!何故二回言った!」


川;゚ -゚)「煩い!」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:06:34.93 ID:BikxljeUO
訂正しなければならない
彼女はやっぱり可愛い。

∩( ・∀・)∩「可愛い可愛い」


川;゚ -゚)「煩い!本題に入らせろ!」

( ・∀・)「ハイハイ」


川;゚ -゚)(くそっ調子の狂う男だ)


( ・∀・)「して、本題とは?」



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:08:44.92 ID:BikxljeUO
川 ゚ -゚)「私が言いたいのはだな………」


( ・∀・)「君達忌み人の意識改革、または発展に協力しろ?とか」


川;゚ -゚)「 !! 」


図星か。まぁ大体そうじゃないかとは思っていたが………

彼女は僕を使い村人を叱咤し、彼らの意識改革、または僕を自分の都合の良いように動く恐怖の対象に仕立て上げ彼らを上手い具合に操り、自分達の民族を変えるつもりなのだ。

医者だと言う僕の知識もまた利用するつもりなのだろう。


彼女は今賭けに出ているのだ。

僕という日常の中に現れた変化を使い、あてのない賭けを……


このまま腐るか……自らを動かし、変えていくかの賭けを……



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:10:26.82 ID:BikxljeUO
川 ゚ -゚)「……そうだ。私はお前を使い、我が民族を変える」


川 ゚ -゚)「私一人では出来ない事を私は思い知った。私は知識が少ない、威厳も無い。村の中では年も若い」


川 ゚ -゚)「でも変えたいんだ。私達を、我が民族を………」


( ・∀・)「ただでやってくれ……なんて言わないよねぇ」


川 ゚ -゚)「勿論だ……対価は用意している」


( ・∀・)「お金ならいらないよ?ってか持ってんの?」


川 ゚ -゚)「金なんかじゃないさ、私がお前にやる物は………」


( ・∀・)「………?」


川 ゚ -゚)「私がお前にやる者は………」



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:11:32.82 ID:BikxljeUO





川 ゚ -゚)「私自身だ」



70: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:13:04.47 ID:BikxljeUO
(;・∀・)「…はい?」

川 ゚ -゚)「聞いていなかったのか?私はお前に私を捧げると言ったんだ」

?????????

何だ?彼女は一体何を言っているのだ?

自分を捧げる?
理解不能理解不能理解不能


(;・∀・) 「…な、斜め上だ」


川 ゚ -゚)「何を迷っているのだ。とにかくお前が私に協力してくれれば私はお前に私を捧げる。私を抱くなり、殴ったりして遊べば良い」


(;・∀・)(この僕が思考エラーを起こすだとー!)



73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:14:20.56 ID:BikxljeUO
なんということだ………彼女の言うことを全く予想する事すら出来なかった………

もっと違う、権力、また権利的な何かだと思っていた。


それが、まさか………まさか自分を捧げるなんて言うなんて!


アハハハハハハハハハハハハハハハハハハ

これなんてエロゲ?

アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ



これだから……これだから人間は面白い!



78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:16:11.92 ID:BikxljeUO
( ・∀・)∩「よし!乗った!君に協力しよう」

川 ゚ -゚)「そうか、じゃあ私は今からお前の物な……そのかわりちゃんと村の発展に協力しろよ。ねぇ、ご主人様?」


( ・∀・)∩「君も僕の物になったんだからちゃんと僕の言う事を聞いてよ?クーちゃん」


川 ゚ -゚)「契約成立だな」


( ・∀・)「だねぇ?」



81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:17:34.75 ID:BikxljeUO
( ・∀・)「とりあえず………僕の言うことを聞いてもらおうか?」


川;゚ -゚) 「あ、ああ良いだろう。な、何でも言うが良い」


( ・∀・)「……………」

川;゚ -゚)「……………」

( ・∀・)「耳カミカミさせてくれない?」


川;゚ -゚)「は?」



86: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:19:05.38 ID:BikxljeUO
( ・∀・)川 ゚ -゚)カミカミカミカミ



( ・∀・)川 ゚ -゚)カミカミカミカミ


( ・∀・)川 ゚ -゚)カミカミカミカミ


( ・∀・)川 ゚ -゚)カミカミカミカミ



( ・∀・)川 ゚ -゚)「お前変態だろ?」カミカミカミカミ


第七話へ 続く



88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2008/08/15(金) 00:20:54.01 ID:BikxljeUO
次回第七話

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油断により生まれた予期せぬ権力 三



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