( ^ω^)ブーン達はマインスイーパに集められたようです

2: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:34:49.53 ID:P4z+mn3E0
登場人物紹介

( ^ω^)内藤ホライゾン。通称ブーン。
      中学三年生という年齢故に、精神が不安定。
      摂取したヴィプクオリティは一錠。マインスイーパは趣味程度。
      初級・初級をクリア。現在中級に挑戦中。
      愛知(名古屋)在住。ツンとイヨウという友人がいる。

川 ゚ -゚)素直クール。通称クーさん。
      薬学部を卒業し、研究職に就く。普段は落ち着いているがピンチに弱い。
      ヴィプクオリティ(抗ガン剤のようなもの)の提供者(善意からの提供)。
      定石を外し、初級を失敗。最初の失格者。
      広島(呉)在住。ヒートという妹がいる。

('A`)鬱田ドクオ。通称ドクオさん。
      今をときめく職業:NEET。プレイヤーの中では割と年上に属する。
      冷静に見えて、一番混乱していた人。マインスイーパはかなりの腕。
      中級をクリア目前でわざと失敗し、自殺に近い失格となる。
      北海道(札幌)在住。唯一の肉親はカーチャンという母親。

( ´∀`)古猫モナー。通称モナーさん。
      実家の借金を切欠にスカルチノフ財団にカウンセラーとして勤めていた。
      恩人の死と共に定年退職。退職後は無職。マインスイーパは暇潰し程度。
      上級の予定を崩して挑んだ中級を失敗。三人目の失格者。
      新潟(新潟)出身。恩人とは東京の荒巻スカルチノフ(故人)



3: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:36:09.60 ID:P4z+mn3E0
('、`*川伊藤ペニサス。通称ペニサス。
      年齢・職業不詳。自らの裏切りという行為を擁護しようとした女。
      誰よりも利己的で、生き残ることだけを考えてプレイしていた。マインスイーパは上級者。
      裏切ってプレイした上級をクリア。直後の初級で失敗。四人目の失格者。
      京都(舞鶴)在住。鈴木ダイオードという恋人がいる。

从 ゚∀从高岡ハインリッヒ。通称ハインさん。
      東北地方の国立大学生。やや感情的だが、それ故に脆さもある。
      頭は悪くなく、マインスイーパの腕も平均以上ではある。
      「絶対の生」と気付いた上で上級をプレイし、二巡目の初級で失格となる。五人目。
      宮城(仙台)在住。渡辺アヤカ教授のゼミ生である。

( ゚∀゚)長岡ジョルジュ。通称ジョルジュ。
      公安機動隊隊員。単純で熱血な性格だが、今回は彼の弱さが露呈した。
      マインスイーパは趣味でやる程度。しかし中々の腕前。
      一巡目は裏切りによって上級をクリア、二巡目で反省し、初級を選び失敗する。六人目。
      千葉(銚子)出身。東京の元機動隊長の杉浦ロマネスクに恩がある。



5: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:37:24.47 ID:P4z+mn3E0

(´・ω・`)下眉ボーノン。通称ショボン君。
      小学6年生。12歳とは思えないほど落ち着いた物腰で、冷静に判断していた。
      マインスイーパの腕もジョルジュやハイン以上であるように見受けられる。
      一巡目は宣言とは異なる初級をクリアし、二巡目はブーンによって中級しか選べない状況になり、失敗する。七人目。
      山梨(甲府)在住。上繭シャキンという兄がいる。

( ・∀・)苛猫ウララー。通称モララーさん。
      会社員。冷静に物事を見て、正しい判断を下してきた、頼りになる存在。
      以前にもマインスイーパに集められたことがある。その時の生き残り。
      一・二巡目は中級をクリアし、三巡目も中級に挑むが、終盤になってヴィプクオリティの副作用によって苦しんでいる所を、ブーンに殺される。八人目。
      福岡(福岡)在住。上司の東風ミルナに恩を感じている。

(*゚ー゚)箱捨シィ。通称シィ(裏切り前は「しぃ」)
      女子高生。不安になるともろい。故に、他のプレイヤーを裏切って逃げた。
      オリジナル盤をクリアする程の腕と根気を持っている。
      クリアした後はリスクをギリギリまで減らしてコンクリート部屋に戻ってきた。
      出身地不明。箱捨ギコという兄がいる。



6: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:38:53.08 ID:P4z+mn3E0
フローチャート
――――――一巡目始まり―――――――
从 ゚∀从上級○
川 ゚ -゚)初級×
( ^ω^)初級○
( ・∀・)中級○
('A`)中級×
( ´∀`)中級×
( ゚∀゚)上級○
(´・ω・`)初級○
('、`*川上級○
(*゚ー゚)オリジナル開始※1
―――――一巡目終わり―――二巡目始まり――――
('、`*川初級×
( ・∀・)中級○
从 ゚∀从初級×
( ゚∀゚)初級×
( ^ω^)初級○
(´・ω・`)中級×
―――――二巡目終わり―――三巡目始まり――――
( ・∀・)中級×
( ^ω^)中級
(*゚ー゚)オリジナル終了※2

シィは※1〜※2の間、指名を受ける立場に無かった。



10: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:44:47.69 ID:P4z+mn3E0
( ^ω^)

まさにクライマックス。
8人のマインスイーパが死に、残ったのは2人。
僕と、シィ。

僕は中で葛藤しながら。
彼女は外で僕らを嘲り笑いながら。
生き残ってきた。

僕の生は彼女の生でもある。
だからといって、僕の死は彼女の死では無い。
彼女を殺すために僕が死ぬことはできない。本末転倒だから。

(*゚ー゚)

シィ。
裏切り者の烙印を押された女。
何を思って、僕のプレイを見てるんだろうか



11: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:46:24.11 ID:P4z+mn3E0

(´<_` )

執行人もこの部屋にいる。
『すぐに執行できるように』と言ったが、真の目的は違うだろう。

( ´_ゝ`)

僕が激怒してシィに襲いかからないか、その監視。
それが第一の目的だろう。

(-_-)

前回のマインスイーパではプレイヤー同士の殺し合いが起きた。
そのため、サダコさんというカリスマがいなければゲームが成り立たなかったという。
だから、ゲーム崩壊を防ぐために。

(`・ д・´)

クライマックスでの殺し合い。
監視する側からすればオモシロイのかも知れないが、残り二人となっている今としてはゲーム性が低くなる。
マインスイーパ本来のゲーム性の維持を図るために、執行人がこの部屋にいるのだろう。

(メ^Д^)

第二の目的を挙げるとすれば。
彼ら自身が、個人として、このゲームの行く末を生で見たかった。かな。



12: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:47:33.73 ID:P4z+mn3E0

思えば、こんなにも本気でマインスイーパをプレイすることなんて無かった。
当たり前だ。『命を賭けたマインスイーパ』なんて。
Tシャツにジーパンで、地雷原を歩くのと変わらない。

そう思うと、この状況の異端さが分かった。
というか、このゲームのモデルが分かった。
リアル・マインスイーパ。ということか。

こういう妄想は、確かにありふれているものなのかも知れない。
『マインスイーパ失敗したら地球滅亡』とかいう前提で暇つぶしをしたことくらい、僕にもある。
それでも、失敗したらF2を押して「今のナシ」と言ってやり直した。
だが、今回はそういうことができない。

地雷を踏めば命が吹き飛ぶ。



15: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:48:43.69 ID:P4z+mn3E0

自分でいうのもアレだが、僕は所謂「ゲーム脳」なんだと思う。
たくさんのゲームを持っているし、多くのゲームは飽きるほどやりこんだ。
ィョウから貰ったり借りたりしたゲームも多い。
そしてその影響を少なからず受けている。

中学生にはあちがちなことなのかも知れない。
架空の世界の危機なら楽しめる。
それが、現実にも起きたら楽しいのに。という考え。

( ^ω^)夢見がちだったお

それはやっぱり、架空の世界だから楽しいんだ。
こうして、『失敗で地球滅亡』の条件を突きつけられると、やはり違う。

大好きなゲームだと、主人公には108人の頼れる仲間がいる。
大好きなゲームだと、クエストを失敗しそうになってもリタイアできる。
大好きなゲームだと、仲間が死んでもザオリクという魔法で蘇生させてくれる。

ゲームをプレイしていても、画面の前のプレイヤーは死なない



17: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:50:52.27 ID:P4z+mn3E0

( ^ω^)死んじゃうから、本気で生きなきゃいけないんだお

ドクオさんは、自分の命を軽んじて、自ら命を断った。
それも良いと思う。彼が見切りを付けたのなら。
本気で生きることに疲れたのだったとしたら。

( ^ω^)…………

ドクオさんの顔は、一番あやふやな記憶になっている。
リタイアが早かったのもあるが、誰よりも『本気では無かったから』。
彼の生きるための意志は、非常に薄弱だった。

最初はそんな風では無かった。
むしろ明るい人のようにすら見えた。

ルールの説明を受けて、絶望の淵に立った。
理不尽な死を前提としたマインスイーパに集められたことを、知ったから。



19: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:51:47.29 ID:P4z+mn3E0







           ( ^ω^)ブーン達はマインスイーパに集められたようです











21: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:53:30.59 ID:P4z+mn3E0

( ^ω^)

序盤の危機を乗り切った。
初手で「1」が出たが、二手目は定石を打ち、なんとか乗り切った。
二手目でも「1」が出たため、三・四・五手目はセーフ。

もちろん三・四・五手目は二手目の下とその左右のマスだ。
つまり、五手目まで開くと、「T」を上下逆にした形に開くことになる。

悪い形では無い。
単純に縦に伸びきったりしても、ヒントは少ない。
途中で曲がり、いろんな方向へのアンテナを伸ばさなければならないため、この形は悪くない。

さらにいえば、三・四・五手目で空白マスが出る可能性もある。
中級盤のこの段階で空白マスが出ても、クリアは確実とは言えない。
それでも、終盤まではかなり楽になるだろう。



24: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:55:34.96 ID:P4z+mn3E0
確定セーフの三手目に――二手目の真下に――出たマスは「2」。空白では無い。
四手目(三手目の右)。「1」。空白では無い。
五手目(三手目の左)。「1」。これも、空白では無かった。

( ^ω^)よし。上々だお。

それでも、充分だった。
ベストでは無いがワーストでも無い。

さらにもう1つの確定セーフを呼び寄せることに成功した。
三手目の回りには5つの未開拓マスがある。
その内4つは二分の一の確率でアウトだが、1つだけ確定セーフがある。

三手目の、真下だ。
そこが地雷ならば、三手目に「2」が出て、四・五手目両方に「1」が出ることなどあり得ない。
つまり安全なマス。

六手目もセーフを打てる。
ここまで、グレーに挑んだのは二手目だけ。



25: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 11:57:48.65 ID:P4z+mn3E0

六手目も(当たり前だが)セーフ。
そして空白は(これも当たり前だが)出ない。
出てきたマスは「1」。

「1」という数字は、この場においての最高の数字だ。
(六手目の下とその左右が確定セーフとなるため。)
運が完全に僕に向いてきた。

さらに、初手の左右も確定セーフとなっている。
僕は5つの確定セーフを持っている。
この内の1つでも大きな空白マスがあれば、このマインスイーパは勝ったも同然だ。

5つもあれば空白マスが出てくる可能性はかなり高い。



28: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:00:19.30 ID:P4z+mn3E0

(メ^Д^)(一つ気になるとすれば、未だに確定地雷が一つも出ていないことか)

(`・ д・´)(これ、クリアされちゃうんじゃ無いかな)

(´<_` )(ほう。運に恵まれたな)

( ´_ゝ`)(……序盤は、乗り切られたか)

(-_-) (確定セーフが多いな。序盤で死ぬことは無くなったか)

息を吐き、後を向くと、6人がこちらを見ていた。
声を発することができない彼らは、彫像のようだった。

プレイ中に孤独を感じることは無かったが、その気持ちは分からなくも無い。
コンクリート部屋で動いているのはプレイ画面だけで、
コンクリート部屋で音を立てているのもマウスだけなのだから。

(*゚ー゚)…………………………

シィは、申し訳なさそうな表情で見ていた。
プレイ画面を、なのか、僕を、なのかは分からない。
気になったが、僕は再び画面を見る。



31: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:03:18.51 ID:P4z+mn3E0
( ^ω^)……イケるお。
      これなら、序盤から中盤にかけて、楽勝だお

勝ち取った確定セーフを全て開く。
すると、いくつものマスが開いた。
待望の空白マスを引き当てたのだ。

( ^ω^)よっし!!!!だお!

空白マスの重要性について、今さら触れるまでも無いだろう。
初手からのピンチを、相殺するほどの影響力を持つマスだ。
流れが完全に僕のものになった。

優位に立った。
この地雷原に対して。
僕の死に対して。

もちろん勝利の確定では無いが、五分五分以下だった戦いを、ひっくり返した。
後は落ち着いてやりさえすれば、なんとかなるのでは無いだろうか
モナーさんのような、基本的なミスをしなければ……



32: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:05:41.71 ID:P4z+mn3E0
基本的ミスを回避すれば……と言ったが、実はそういう訳でもない。
モララーさんの最後のプレイがそうだった。
不可予知を、最後に二つも出してしまった。

どちらが地雷なのか察知しようの無い、不可予知。
それが、このプレイ画面にいるかどうかは、まだ誰にも分からない。

( ^ω^)…………これだけの空白マスがあれば、イケるお

イケる。
何度も口にし、この気分の高揚を保っておきたい。
不安を覆い隠しておきたい。



34: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:07:13.53 ID:P4z+mn3E0

出てきた空白マスは、中々の大きさだった。
やや縦長の楕円形に広がり、数字も1〜3がまばらに見られる、良い開き方だった。
正直、普段のプレイなら十中八九クリアできる状況だ。

緊張していないといえば嘘になるが、かえって慎重になるだけ、クリアの可能性はあがる。
本当に、不可予知さえ出なければ、クリアはできる。

( ^ω^)…………バシバシ開いていくお

言葉通り、クリックしていく。

カチ
カチカチ

絵にならないんだろうな、この戦いは。
それもそうだ。ひたすらディスプレイを見つめて、クリックしているだけ。
しかし、どのスポーツより、ゲームより、真剣にプレイする。



37: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:09:00.97 ID:P4z+mn3E0

盤面は三分の二ほど開いた。
開始した場所は上辺中央。
そこから下へ。そして左へと、マウスカーソルは動いて行き、左半分は開ききった。
右半分も、ノーヒントという状況では無い。まだまだ進める。

旗は22個立った。
つまり、残っている地雷は18個。

折り返し地点だ。
ここまで、危なげなく来た。
序盤を乗り切ってからは、本当に楽だった。
後は正方形の盤面の、右半分を崩していくだけだ。

そんな僕の考えを読み取ったかのように、嫌な声が聞こえた。



39: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:10:57.57 ID:P4z+mn3E0

「マインスイーパは、そんなに甘いゲームじゃない」

スピーカー男が言葉を発した。
何の前触れも無く、だ。
しかも内容の無い言葉。

彼もまた、切羽詰まっている。
このままでは面白くないから。
せっかく全国から誘拐までしてきたのに、このまま返してしまっては、つまらないから。
たぶん、そんなところだろう。

だが、僕からしたら、ゲームは簡単であれば簡単であるほど良い。
当たり前だ。面白さよりも容易さ(生き残りやすさ)の方が大切だ。

だから、スピーカー男の要望には応えない。
このまま無難なプレイを続け、あと18個の旗を立て終わる。
そして、生き残るために全てのマスを開ききる。



41: ◆Dti7WkoCEo :2009/10/26(月) 12:12:58.00 ID:P4z+mn3E0

………………無難なプレイが続く。
















そうするつもりだったし、そうなると思っていた。

『地雷原には、悪魔が住んでいる』

誰かが言っていた。


(ブーン中級編(最終戦その3)・終わり)



戻る