( ^ω^)は('A`)とのダブルスを貫くようです
- 4 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:11:35.05 ID:uQzEfX9AO
( ^ω^)が('A`)とのダブルスを貫くようです。
VIP高校、テニス部部室。
ブーンは迷っていた。
俯く目線の先には虚に映るコンクリートの地面。腰を落ち着けた長椅子はどこか冷やかさを感じる。
( ^ω^)「…僕は…どうすれば」
無意識ながら出た自らへの問い掛け。その答えは無く、その声はただ、孤独の空間に響くだけだった。
悩みの種が出来たのは、ほんの一時間前に遡る。
- 5 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:12:32.84 ID:uQzEfX9AO
(´・ω・`)「―――君は、ダブルス1からシングルス2への起用をさせてもらう」
( ^ω^)「…どういうことですかお」
顧問に呼び出されて部室に来てみれば、こんなことを言われてしまった。
ブーンはその言葉を聞いた瞬間呆気にとられた。
動揺するブーンとは対象的に目の前に仁王立ちするその男、顧問ショボンの表情は冷静な面持ちだった。
ブーンは何とか思考を働かせ、口を開いた。
( ^ω^)「…ドクオはどうなるんだお」
- 6 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:13:39.75 ID:uQzEfX9AO
- (´・ω・`)「……レギュラー落ちになる。そして代わりにタブルス1にはイヨウ・ジョルジュ組が入ることになる」
( ^ω^)「ふざけるなお!」
ブーンは瞬発的にショボンにつかみ掛かった。
興奮状態のブーンを宥めるわけでもなく、ショボンは淡々と言葉積む。
(´・ω・`)「君の気持ちはわかる。でも、今はこれが一番有効なんだ」
( ^ω^)「でもっ、ドクオの気持ちはどうするんだお!」
声をあらげるブーンにショボンは静かに言い放つ。
(´・ω・`)「なら、皆の気持ちはどうするんだい」
- 7 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:15:07.97 ID:uQzEfX9AO
- ブーンは押し黙る。
彼の裾を掴む手は徐々に力を無くし、最終その手は降ろされた。
やり場の無い怒りに耐えるように、ブーンは拳を握りしめ、俯く。
その様子にショボンは心を痛めた。いくら正しいと考えた決断とはいえ、少し彼への良心が胸を突く。
しかし、皆からの顧問としての信用を裏切ってしまうことは避けたい。
ショボンは静かに瞳を伏せ言った。
(´・ω・`)「…とにかく。ちゃんと考えておいてくれ」
そう言い残し、ショボンは踵を返し、部室を後にした。
残されたブーンは脱力したように椅子に腰を下ろした。
- 8 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:16:25.13 ID:uQzEfX9AO
( ^ω^)「…」
そして現在に至る。
冷静に考えてみれば、確かにドクオとのダブルスには憤りを感じていた。
彼はボレー技術はあるが前衛に置いて必要な積極性が無い。ポーチボレーにしろサービスラインを越えるロブに対するスマッシュにしろ、彼は余り行わないのだ。
それによって、中々前衛での得点をドクオは取れていなかった。
そのせいで、モチベーションが下がったことがあるのは確かだ。
対して、ブーンは技術はドクオに劣るが、そのかわりに積極性はもちろん、それに加え超人的なフットワークがあった。その足で何度もドクオを助けて来た。
そして、シングルスの実績も十分にあった。去年の大会でも、本選の2回戦まで上り詰めていた。それに対して、タブルスではブロック決勝敗退。
数値的に見てもその差は歴然。
- 10 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:17:29.67 ID:uQzEfX9AO
( ^ω^)「…僕は」
言いかけて、は、とする。そして、首を振り、考えを吹き飛ばし、思考を中断する。
何を考えたんだ自分は!
拳を膝に打ち付け、目を強くつむった。瞬間、
ガチャ。
ノブが回される音。ブーンは目を開き、ドアの方へと視線を傾ける。
ドアがゆっくりと開かれる。そしてその間からは人影が伺えた。
( ^ω^)「…ドクオ」
('A`)「よう」
- 11 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:18:49.39 ID:uQzEfX9AO
- そこには、ドクオが立っていた。
その表情は相変わらずのクールな笑みが浮かんでいる。
( ^ω^)「…ドクオ…僕は、僕は…」
('A`)「…隣、いいか?」
何かいいたげなブーンの言葉を遮るようにドクオは優しい口調で言った。
( ^ω^)「…うん」
ブーンは、ゆっくりと頷いた。
ドクオは頬を吊り上げにっ、と笑い、ブーンの隣に腰を降ろした。
少し間を開け、ドクオは口を開いた。
('A`)「ショボン先生から聞いたよ。お前、団体でシングルスに入るんだってな」
( ^ω^)「…ごめんだお」
('A`)「何謝ってんだよw …俺は嬉しいんだぜ? お前がこのチームの要になってくれてさ」
- 12 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:20:34.01 ID:uQzEfX9AO
思いの外、明るいドクオにブーンは戸惑いながらもブーンは問うた。
( ^ω^)「…ドクオはレギュラー落ちして悔しくないのかお?」
('A`)「そら、悔しいにきまってる。でもそれ以上に嬉しいんだよ」
言った後、ドクオは見上げる。そして、続けた。
('A`)「…前から感じてたんだ。お前との実力の差、て奴をさ」
( ^ω^)「ドクオ…」
('A`)「それで、お前の足を引っ張って。迷惑を掛けて、苛立たせてた事も」
否定をしなかった。というより出来なかったのだ。事実ではあったのだから。
正直な自分の性格を恨んだ。
- 13 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:21:47.40 ID:uQzEfX9AO
- ( ^ω^)「ドクオ…」
('A`)「それで、お前の足を引っ張って。迷惑を掛けて、苛立たせてた事も」
否定をしなかった。というより出来なかったのだ。事実ではあったのだから。
正直な自分の性格を恨んだ。
('A`)「だから、さ」
ドクオの腕がブーンの肩を叩く。
('A`)「俺の分も、頑張ってくれよな!」
( ^ω^)「…ドクオ」
明るい声で励ますドクオの表情は晴れやかだった。
しかし、ブーンは感じていた。
ドクオの手から感じる、確かな震えを。
('A`)「じゃ、俺は先に校門で待ってるから、早く来いよ!」
そう言って、急いでドクオは部屋を後にした。
- 15 : 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 21:24:47.21 ID:uQzEfX9AO
( ^ω^)「……」
ドクオが去り、静寂が戻った。
ブーンはドアを見つめた後、自分の掌を見つめた。開き、そして握りしめた。
ブーンの中で静かな決意が宿っていた。
To be continued
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