( ^ω^)は('A`)とのダブルスを貫くようです

  
88: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:21:56.92 ID:uQzEfX9AO
  




第九話




ドクオの心の中には不安も、増してや慢心もなかった。
ただ、自分の力を、二人の力を信じる気持ちだけが満ちていた。
しかし、そんな真っすぐな気持ちとは裏腹に、頭の中は冷静に流石ペアを倒すための過程がパズルのように組み上がっている。


89: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:23:35.07 ID:uQzEfX9AO   
地面を踏みならした後、トスがあがる。
規則正しいフォームで上がったボールが捕らえられる。
狙いは、ブーンへの負担の少ないセンター。
ただでさえ、今まで先のゲームで無茶に粘らせて来てしまっているこの状況。このゲーム、最低でも30で、

('A`)(あわよくば、ストレートだ)

レシーバー、兄者は無難にクロスに返してくる。
構えるドクオ。ちらりと相手を見遣れば、流石ペアは平行陣へと移行していた。

('A`)(…なら)

ドクオは上手くセンターのサービスライン付近に低く入れる。予定通りにそれを引っかけ、ブーンがそのボールをコートにねじ込む。
15―0。ラスト、3ポイント。



  
91: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:24:34.53 ID:uQzEfX9AO
  
('A`)「フィフティン、ラブ」

ポイントを読み上げた後、再び規則正しいフォームから、サーブが打たれる。スピードは遅いが、コントロールの定まったセンター狙いのボールは弟者のフォアに飛ぶ。

(´<_` )(…よし、行ける!)

弟者は上手くそれに体を入れ、思いきり上にラケットを跳ね上げた。ストレートに早いポールが上がる。
瞬間、ドクオは理解する。

('A`)(やばい、トップスピンロブかっ!)

ボールが落ちる。そう思ったドクオは一度は追い掛けた足を止め、諦める。
しかし、この男は諦めなかった。



  
93: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:25:49.37 ID:uQzEfX9AO
  

( ^ω^)「ぶうううううううううん!!!」

飛び上がる、小さな身体。後に、インパクト音。
ボールが、流石ペアの間を抜ける。

( ^ω^)「ブヒイッ!」

瞬間、ブーンの悲痛な声が響く。ドクオは慌ててブーンの元へと駆け寄った。

('A`)「ブーン!」
( ^ω^)「…つつつ」

どうやら右足から着地したらしく、痛そうに屈んでいた。
ドクオは呆れとともに怒鳴り込む。

('A`)「バカヤロウッ! 無茶すんなよ!」( ^ω^)「ブーンはまだまだ頑張れるお」

しかし、そんなドクオを気にせず、ブーンは笑顔と共に口を開いた。



  
95: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:27:01.93 ID:uQzEfX9AO
  

( ^ω^)「だから、僕を庇いながらの勝つ方法じゃなくて、僕ら二人で勝つ方法でよろしくボンバーだお」
('A`)「……ブーン。……はあ、わかったよ」

言い放つブーンにドクオは浅くため息を吐き、手を差し延べる。それをブーンは満足そうに取った。
30―0
ラスト、2ポイント。

('A`)(…よし、後2ポイント)

ドクオは心の中で意気込み、ボールを数回付く。

('A`)「サーティ、ラブ」



  
96: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:28:05.91 ID:uQzEfX9AO
  

トスが上がり、サーブが放たれる。
次は精一杯切り詰めたクロス狙い。一応、ブーンによるボレーフィニッシュが通常目的だが、あわよくば、エースを狙いたい。
しかし、そのボールはサービスラインを外れ、フォルトとなる。
ドクオは、一度首を捻る。

('A`)「…欲張りすぎたかな?」

一応、エースも狙っていたので、ギリギリのところで外れたのだろうと思い、今度は普通にセンターへとサーブを放つ。しかし、

( ´_ゝ`)「ダブルフォルッ!」

それも外れ、タブルフォルト。一点失点。
再び、ドクオは首を捻る。

('A`)「…け、俺らしくもない」

ぶっきらぼうに言い捨てるドクオ。



  
97: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:29:16.16 ID:uQzEfX9AO
  
30―15。まだ、ブーン達のリード。

('A`)「サーティ、フィフティン」

今度はバックサイドへのサーブ。今度は始めからセンター狙い。
しかし、また、ラインをズレるボール。

('A`)(……あれ?)

ドクオの中に焦りが生まれる。
そして頭の中である仮定が浮かんでいた。
もう一度、センターへと打つ。




バスッ





  
98: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/27(佐賀県と汚職) 23:30:21.89 ID:uQzEfX9AO
  
今度は、ネットにかかった。

(´<_` )「ダブルフォルト」
('A`)(っ――――――!?)

抑揚の無い声と共に、仮定が、確信に変わった。
そんなドクオに異変を感じて、駆け寄ってくるブーン。

( ^ω^)「どうしたんだお、ドクオ?」
('A`)「ブーン…」

ドクオは震える唇を静かに動かす。

('A`)「俺のコントロールも、…限界らしい」
( ^ω^)「…お?」

降り出した小雨が、二人を濡らした。




To be continued



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