( ^ω^)ブーンが自伝を書くようです
- 61: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 06:52:51.97 ID:ajCTwp4xO
- >>59
ツンってドクオの彼女とは違うツン?
- 64: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:14:48.99 ID:jk1Ncj+U0
- ( ^ω^)「僕が書いた自伝が月間誌に載ったお」
61「へー」
( ^ω^)「おっおっ、君は僕に唯一お便りをくれた人じゃないかお」
61「最後のとこがよくわからんかったから、聞きたかっただけだけどね」
( ^ω^)「その君のお便りのおかげで、ひとつの話が書きあがったので見てほしいお」
ξ゚听)ξツンは不倫をしているようです
- 67: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:19:47.78 ID:jk1Ncj+U0
- 残業残業残業残業残業残業残業残業。
女性短大を出て一年経ったが、入った会社は男尊女卑をそのまま形にしたようなところだった。
ξ゚听)ξ「あたしは女なんだから、ちょっとは考えて残業させなさいよね」
これがあたしの考えだったが、同僚のブーンからいわせれば、この考えは間違っているらしい。
( ^ω^)「男尊女卑をなくしたのが、この会社のシステムだと思うお。
性別の境をなくした雇用に、男女関係なく仕事を与えている。
だから女性の役員もいっぱいいるし、お茶組だって一番の下っ端がやってるお」
つまり、性別にかかわらずに出世ができる代わりに、女性にも残業をさせているのだという。
これがツンにはわからなかった。
ξ゚听)ξ「そんなこといったって女性は女性でしょ。
体力だって少ないんだから、そこのところを考慮してくれたっていいじゃない」
- 69: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:25:42.23 ID:jk1Ncj+U0
- ( ^ω^)「そこを考慮していたからこそ、女は家庭、男は仕事という形ができあがったんじゃないかお。
それを、女だって働きたいんだから、男も家事をしなさいよと言い出したのが某政治家だお」
女性を優先的に雇用する。ある割合で女性を出世させる。
( ^ω^)「そういっているのに、女子社員たちは残業はしたくないし、疲れる仕事もしたくない。
楽ばかりして、出世しようだなんて、女尊男卑じゃないかお」
そんなことをいわれたって仕方がないじゃない。
女は体力で劣るし、生理だってある。
男ばかり出世して、女にお茶くみばかりさせているのは許せないが、
かといってつらい仕事をさせるのは間違っている。
( ^ω^)「女ってのは結局わがままばかりいうお。そのくせ、権利だけ主張してる。
できないならしないで、家庭に引きこもってればいいじゃないかお。
こんなこというと、また男尊女卑とか騒ぎ立てるんだろうけどお」
- 70: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:30:09.99 ID:jk1Ncj+U0
- 結局、男と女では立場も考えも、肉体的にも生理的にも違うわけだから、
お互いがお互いを主張しあっていれば、話が平行線のままなのは仕方のないことだ。
とはいえ、男には男の考えがあるように、女にも女の考えがあることくらいはわかってほしい。
ξ゚听)ξ(まあどうしようもないんだけどね)
時計の針はすでに午後九時をまわっている。
ツンはため息をつきながら、目の前に積まれている膨大な書類をパソコンに入力していった。
ツンは既婚者だ。
結婚の条件にあたしが働くことを告げると、ドクオはあっさりと了承してくれた。
ドクオは結婚を機に仕事を止め、いまは家で主夫をしている。
- 71: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:33:59.92 ID:jk1Ncj+U0
- よくあるホームドラマのストーリーのひとつに、主婦が浮気をしているというのがある。
主婦は浮気をしている。
旦那は残業を繰り返しており、あまり主婦をかまってやれない。
主婦はそれが気に入らないので、あてつけに浮気をすることにした。
だが旦那が主婦の不審な行動に気づき、浮気を咎める。
主婦は知らん振りをする。
旦那の追及は弱まらず、逃げ場をなくした主婦は
「あなたが仕事、仕事でぜんぜん私をかまってくれないからじゃない」
というパターンだ。
ツンはそういうシーンを目にするために、旦那は馬鹿だなと思うのだが、
その旦那の気持ちが、いまの状況になってよくわかるようになってきた。
ξ゚听)ξ「ドクオ、家で大人しくしてるのかな」
- 73: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:37:47.94 ID:jk1Ncj+U0
- ツンもドラマの旦那と同様に、最近増えてきている残業に追われていてドクオをあまり構ってやれていない。
夜の営みどころか、会話すらまともにない状況だ。
ξ゚听)ξ「ドクオ寂しいかもしれないな。家事ばっかりで満足に話し相手もいない状況だし、
その唯一の話し相手であるあたしがつんつんしてるんだもんね」
書類の入力を終えると、ツンは帰り支度をはじめた。
今日は久しぶりに、ドクオと外食でもしよう。
そして、いろんなことをたくさん話そう。
プルルルル。
('A`)「はい?」
ξ゚听)ξ「あ、ドクオ? あたし」
('A`)「ツンか。仕事終わったのか?」
ξ゚听)ξ「うん、終わったよ。ねえ、あたし今から帰るから、その前にこのままどこかで食事しない?」
- 74: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:41:18.84 ID:jk1Ncj+U0
- てっきり食いついてくるかと思っていたが、ドクオの返事は歯切れの悪いものだった。
('A`)「いや」
ξ゚听)ξ「どうしたの?」
('A`)「お前の分の飯も用意できてるし、はやく帰ってこいよ」
ドクオの言葉が信じられなかった。
どうして? あたしがせっかく息抜きさせてあげようと親切にしてるのに、
なんでドクオはそれを受け取ろうとしないの? なんで。
('A`)「ツン? どうかしたのか?」
ξ゚听)ξ「別にっ。すぐ帰るから!」
ドクオの返事も待たずに電源を切る。
どうしてだろう。なにかずれてる気がする。
付き合ってたころは、あんなに気持ちが通じ合っていたはずなのに。
ξ゚听)ξ「どうしてこうなっちゃったんだろ
- 76: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:45:32.93 ID:jk1Ncj+U0
- あたしはドクオの息抜きと、日ごろの感謝の気持ちをこめて外食に誘おうとした。
ドクオは飯の支度ができているから、(無駄な金かかっちゃうし、作ったのが無駄になっちゃうから)
外食はしないで、家で一緒に食べようといっている。
二人ともお互いのことを考えているのに、どこかずれている感じ。
ツンはドクオの気持ちがわかっていながらも、それを素直に認めることができなかった。
二人のマンションは、最寄の駅から歩いて10分という好条件の場所に建っている。
ツンの勤める会社から最寄の駅まで電車で20分程度だから、本当ならもう部屋に帰っている時間だ。
それなのに、ツンはアパートに帰っていなかった。
- 77: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:49:53.96 ID:jk1Ncj+U0
- 会社を出て、そのまままっすぐにアパートへと向かったが、
アパートの前で自分の部屋を見上げた瞬間、このまま部屋へ戻る気が失せてしまった。
ツンはアパートの前で回れ右をすると、ドクオの待つ部屋から遠ざかるように足早で歩き始める。
ξ゚听)ξ(別にドクオのことが嫌いになったわけじゃないのに)
それなのに、部屋へ戻りたくない。
ドクオの顔も見たくない。
ドクオの作った料理なんて、こちらから願い下げだ。
ξ゚听)ξ「繁華街でなにか食べてから帰ろう。うん、そうしよう」
それだけのつもりだった。
それだけのつもりだったのに……どうして夜が明けても隣にドクオがいないんだろう。
どうして、見知らぬ部屋で眠っているんだろう。
- 78: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:54:13.58 ID:jk1Ncj+U0
- ( ^ω^)「おいすー」
ξ゚听)ξ「おはよ」
( ^ω^)「おっおっ。なんか顔が腫れぼったいお?それに、そのシャツ。昨日と同じやつじゃないかお」
ξ゚听)ξ「違うわよ。同じ種類のを持ってただけ。
このデザイン気に入っているのよ」
自分でもうまい嘘だとは思っていない。
ただの白いシャツにデザインなんてあるものか。
だけど、ブーンには家庭の事情は教えたくない。
ブーンはあたしの敵だ。
考え方が根本的に違う。
性別に関係なく違うのだ。
人種が違うとか、毛並みが違うといったことではなく、心の奥底のなにかが違うのだろう。
だけど、ブーンを嫌っているわけじゃない。
ブーンは頼れる上司であり、唯一ツンを色眼鏡でみない人間なのだ。
- 81: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 07:57:18.44 ID:jk1Ncj+U0
- へらへらと笑いながら自分の席に向かっていくブーンの背中に
ξ゚听)ξ「今日の夜、一緒にご飯食べない?」
といった。なぜだか知らないが、自然に口からでた言葉だった。
ブーンは不思議そうな顔を向けながらも、黙ってうなずいて椅子に座った。
その日も残業を終え、いつもと同じようにドクオに電話をかける。
('A`)「お疲れ様。今日はご飯どうする?」
昨日のことには触れずにそういったドクオ。
まるで昨日のことなど気にしていない素振りだ。
- 82: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:02:32.99 ID:jk1Ncj+U0
- だがドクオの心はよくわかる。
「今日のご飯はどうする?」という言葉は「今日は帰ってくるのか?」という言葉に他ならない。
だから「今日も外食していく」といえば、ドクオにも伝わっただろう。
あたしが今日もアパートに帰らないことを。
一足先に社を出たブーンに電話をして、玄関口に車を回してもらう。
ダイハツのブーンという可愛らしい車を運転しているブーンを見て、思わず笑みがこぼれた。
( ^ω^)「さてと。どこで食べるんだお?」
ξ゚听)ξ「おいしいところ見つけたんだ。VIPハウスっていうホテルに向かって」
( ^ω^)「はいお」
ブーンの運転は、とても心地よいものだった。
日ごろの残業でたまった疲れが、車の心地よい振動によって、ゆっくりと溶かされていくような気がした。
- 84: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:09:49.02 ID:jk1Ncj+U0
- ξ゚听)ξ「ごめんね。今日も外食してから帰るよ」
('A`)「そうか。わかった」
ブーンと景色のいいホテル最上階につくられたレストランで食事をしているときも、
ブーンの話に笑いながら、電話でのドクオの寂しそうな声が思い出される。
ξ゚听)ξ(それなのにあたしは、性懲りもなくまた不倫をしようとしてるんだよね)
ドクオは仕事をやめる前まで、現在ツンの勤務している会社に勤めていた。
さらにドクオとブーンは高校時代からの知り合いらしい。
ドクオとブーンがお互いを知っているということで、ブーンは人妻であるあたしの誘いに乗ってくれたのだろう。
別に社内恋愛は禁止されていないが、深夜にホテルのレストランで部下であり人妻である
あたしと一緒に食事をするなんてブーンが了承するはずがない。
- 85: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:14:41.49 ID:jk1Ncj+U0
- だから二人の間で交わされる話題も、ドクオのことが圧倒的に多い。
( ^ω^)「ドクオの主夫ぶりはどうだお?」
ξ゚听)ξ「うん。炊事に洗濯、掃除まで、女のあたしが驚くくらいしっかりやってるよ」
( ^ω^)「ドクオは昔から几帳面だったからお」
ドクオは無口で付き合いの悪い少年だったらしい。
友達と遊ぶより勉強を選び、友達と喋るより本を選んでいた。
( ^ω^)「そんなんだから、ドクオに友達と呼べるやつはいなかったんだお」
ブーンが楽しそうに続ける。
あるとき、ドクオが遅刻をしてきたことがあった。
ドクオが登校したとき、ブーンたちは課外授業のために学校にいなかった。
そしてブーンたちが戻ってきたとき、ドクオは教室で一人本を読んでいた。
事件が起こったのは、そのあとだった。
- 86: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:17:39.39 ID:jk1Ncj+U0
- 「俺の財布がない」
男の子がそう呟いた。
「おいおい、本当に持ってきてたのか? 家に忘れてたんじゃねーの」
「いいや、しっかり持ってきてたって。ほら、休み時間にジュース買いにいっただろ?
そのとき俺しっかり自分の金でジュース買っただろ」
ジュースを買いにいったのは、課外授業がはじまる前の休み時間。
そのときに財布は確かにあった。
それなのに課外授業から戻ってきたときには、財布はなかった。
「課外授業に財布もってったの?」
「いや、このかばんの中に入れっぱなしにしてたんだ。どうせ使わないと思ってさ」
- 88: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:22:20.12 ID:jk1Ncj+U0
- つまり課外授業のときにこの教室にいたものが犯人だ。
財布をなくした男の子がそう断言した。
この年頃の少年少女にありがちな被害妄想と、短絡な思考回路による結論だったが、
それを聞いていたのも同じレベルの思考能力しかないものたちばかりだった。
「おいドクオ。お前課外授業をやってるときこの教室にいたよな?」
('A`)「あ、ああ。確かにいたけど……」
「やっぱドクオか。怪しいと思ってたのよね」
「だな。教室にいたのが一人なら、犯人はドクオしかいないし」
「返せよ! 俺の財布持ってんだろ? ふざけんなよお前。返せ、早く返せ」
('A`)「い、いや、俺お、俺じゃないよ」
そういっても信じてもらえなかった。
結局数人の教師が集まってきてドクオの持ち物を検査したが、財布は当然出てこなかった。
「違う。こいつがどっかに隠したんだ」
クラスメートたちはそう断言していたが、結局財布は見つからぬまま、事件は迷宮入りした。
- 89: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:26:27.46 ID:jk1Ncj+U0
- (;A;)「お、俺じゃないもん。俺が財布取るわけないじゃん」
すぐに他人を疑うしか脳のない人間たちには、涙ながらに反論しているドクオがなおさら怪しく思えた。
その事件があってからというもの、ドクオはさらにクラスの中で孤立していった。
ξ゚听)ξ「そんなことがあったんだ」
ワイングラスを口に運びながら、ブーンが何度も首を縦に振る。
ξ゚听)ξ「それで? それでドクオは、どうなったの?」
ブーンがワイングラスをテーブルに戻して、大げさに両手を広げた。
( ^ω^)「そこで僕の登場だお。完全に孤立しているドクオ君を、クラスでも人気者だった僕が
さっと手を差し伸べたんだお。そしたら、あっという間にドクオの疑いも晴れて一件落着だおだお」
- 91: 以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします :佐賀暦2006年,2006/10/24(佐賀県警察) 08:31:19.79 ID:jk1Ncj+U0
- ξ゚听)ξ「もう、嘘ばっかり」
(;^ω^)「あうあう、ばれたら仕方ないお」
二人で笑いあいながらも、ツンの心境は複雑だった。
一途で、折り目正しい男。仰々しいくらい丁寧な人間。
それがあたしの中のドクオだ。
ξ゚听)ξ(やっぱりあたしが惚れた男に間違いはなかった)
ξ゚听)ξ(だけど……だけどあたしは、そんな人をまた裏切ろうとしているんだ)
急に黙り込んだあたしを見て、ブーンが首を傾げてみせた。
あたしはなんでもないよと笑いかけながら、それでもブーンと寝るつもりだった。
ξ゚听)ξ(だって仕方ないもん。もうあたしは汚れちゃってるんだから)
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