( ФωФ)さとりごころのようです
- 26: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:06:44.76 ID:XvyFleB90
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二章 走る幻、仄めく面輪
二話 シューと竹刀と
- 27: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:10:08.60 ID:XvyFleB90
- 石段を上り、神社を素通りして家にたどり着く。
中に入ると静寂が耳を突く。
ヒートはまだ帰ってきてないようで、彼らは二人で朝の残りを食した。
昼飯を食べ終えるとシューに引っ張られて外に出た。
家の裏のプレハブの前で彼女は立ち止り、手にしていた鍵で扉を開ける。
ここで待つように、と男に告げ、ニット帽が中に消えた。
彼女はすぐに出てきた。
その両手には、通常のものより短いであろう竹刀が握られていた。それも四本。
そんなにたくさんの竹刀を何に使うのだろうか、疑問に思ったので尋ねた。
単語が一つだけ返ってきた、「訓練」
淡白な様子に、男は思わずオウム返ししてしまった。
( ФωФ)「訓練?」
lw´‐ _‐ノv「そ。一応ロマも覚えた方がよさそうだからね」
シューは手にしているそれを二本、投げて渡した。
慌てながらも受けとる様子を認めると、彼に背を向け歩き出す。
渡された物を握りしめ、男はニット帽を追いかける。
境内に入ると再び歩みを止めた。
- 30: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:13:56.49 ID:XvyFleB90
- ニット帽がくるりと回れ右をして男と向き合う。
手の中にある竹刀の感触を確かめ、風の匂いを嗅ぐ。
彼は自分でもよく分からない心の波を感じた。
lw´‐ _‐ノv「昨日ウツロの倒し方を教えたよね?」
( +ω+)「……バシュッとやってドバッと切り込むのだろう?」
昨日の町案内の時に聞かされた文章をそのまま吐き出す。
それを聞いて、ニット帽のぼんぼんが縦に揺れた。
lw´‐ _‐ノv「そうそう。んじゃ始めよっか」
(;ФωФ)「いや、だからジェスチャーとか効果音だけじゃ分からないんだって」
lw´‐ _‐ノv「え?」
「予想外」と顔に書いてあるニット帽を見て、彼はがっくり肩を落とす。
力の入らない声で「丁寧に説明してくれ」と頼むと、シューは体の力を抜いた。
彼女の無表情からため息が漏れた。
つまり面倒らしい。
- 32: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:17:31.28 ID:XvyFleB90
- その様子に彼がジト目で無言の抗議をする。
それを認めてニット帽がフルフルと横に揺れる。
言葉が出てこなかったが、もしそこで何か喋るとしたら彼女はこう言っただろう、「やれやれだぜ」
lw´‐ _‐ノv「何が知りたい?」
( ФωФ)「ウツロの倒し方と今からすることについて」
「おk」、彼女は了承すると不意に黙り込む。
魂やウツロの説明をした時と同じで、どう話すべきか考えているようだ。
蝉が喧しく鳴き、しばらくしてそれらとは別の音が空気を震わせた。
lw´‐ _‐ノv「ロマの力は例外だから除くとして……ウツロを倒す方法は三種類あるんだ。
一つは『枝折詩』。これは私たち砂尾神社の領分だね。
言葉の力を用いて、ウツロに聞かせて祓うものなんだよ。
まあお経の亜種みたいに考えればいいよ」
( ФωФ)「お前も歌えるのか?」
lw´‐ _‐ノv「モチ。
砂尾家はウツロが出始めたときからそれで祓ってるんだから、私だけ使えないわけないよ。
とても長いから覚えにくいだろうけど……ロマも覚える?」
( +ω+)「いや、いい」
彼には力があり、そんなものを覚えなくても祓えるのだ。
だから彼の返事は自然なものであり、シューは「ですよねー」と納得する。
彼女は祓い詩の話を引っ張らずに、次の説明に移った。
- 33: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:21:48.06 ID:XvyFleB90
- lw´‐ _‐ノv「あとね、『結界』で祓う方法もある。
ここでいう『結界』っていうのは誰も中に入れない、まんま漫画のアレみたいなのだから。
ただこっちはショボンの寺の技法だから詳しい方法は私も分からない。
……彼らの扱う結界の性質で、どうやって祓うことができるのか疑問だけどね」
( ФωФ)「ほうほう……よく分からんな」
lw´‐ _‐ノv「ですよねー」
お天道様の下で頭に「?」を浮かべる二人。
鏡映しで首を傾げる様子は微笑ましいものがあり、もしヒートが彼らを見てたらニヤついてたかもしれない。
シューは説明を続ける。
lw´‐ _‐ノv「ま、結界張るにもひどく手間がかかるらしいよ。
さあここでクイズだ。この二つの祓い方の問題点は?」
(;Фω+)「え?…………うーん?」
いきなり質問されて男は悩む。癖で思わず片目を閉じる。
今までの話を聞いて、情報を整理する。
- 34: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:25:05.01 ID:XvyFleB90
- 『枝折詩』。ウツロに聞かせて祓う、いわばウツロ専用のお経。
『結界』。寺の秘伝らしく詳しく理解できなかったが、手間がかかるらしい。
そして『ウツロ』。
魂から切り離された記憶が、この町の人と同調して現界するもの。
それらは人に憑き、人の肉体と魂の情報を半分奪う。
しかし肉体も魂も一個が最小値なので、本来半分にできるものではなく、結果、人もウツロも不安定な状態になる。
そして時間が経ち、憑かれた人は衰弱死する。そうでなくともウツロが我慢できなくなって身魂の情報を奪いに来る。
ここまでの考えを頭の中でまとめて、男の口から一文字漏れる、「……あ」
lw´‐ _‐ノv「気づいたみたいだね」
(;ФωФ)「ああ。確かにそれは致命的だな」
さて、答え合わせだ。
彼の口から解答が出された。
(;+ω+)「……襲ってくるかもしれないウツロの対処に時間がかかってはな」
- 35: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:28:42.79 ID:XvyFleB90
- 男は気まずそうに顔を伏せる。
反対に彼女は空を仰ぎ、諦めの吐息を天に送る。
lw´‐ _‐ノv「そうなんだよねぇ。
加えて言えば、理性を失ってる人のウツロ相手だと、枝折詩はほとんど効かないし、結界も効きづらい。
枝折詩というのはウツロに“ここにいちゃいけない”と悟らせるものなんだ。
結界も視覚 ・ 聴覚に訴えて、誰も近寄らせない、または誰も外に出さない手法だからね」
小難しいことを淡々と話すシュー。
男はその意味を理解しようと思わずに、音として漏らさず記憶しようと目をつぶる。
そして「簡単に言ってしまうと」と前置きして、シューはまとめる。
lw´‐ _‐ノv「カラクリを少しも理解できないと誰にも効果がないわけで」
( +ω+)「問題ばっかだな」
彼は思わず文句を言った。
それすら予想していた彼女は無視して説明を続ける。
ただ、これから説明することを考えてか、無表情の顔に影が差す。
lw´‐ _‐ノv「そんなわけだから最終手段が存在する。
それが三つめの方法……なんだけど個人的にあまりやりたくないものだね」
( ФωФ)「それは?」
- 36: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:33:42.60 ID:XvyFleB90
- lw´‐ _‐ノv「ウツロは肉体・魂の情報を半分貰う。
だから一時的に現世の住人になれる。
だったら強制的に現世から退場させればいい。物理的な方法で」
(;ФωФ)「……」
事もなげに話した彼女を見る。
個人的にやりたくないのもわかる。おそらく普通の人間なら誰もやりたがらないだろう。
ウツロというのは分雲町だけに存在するのだ。場合によっては知ってる顔に対して強制退場させなければいけない。
彼女たちはウツロを祓う。
それは町を守るためであり、何十年、何百年続いたか分からない使命を今も全うする。
その歴史の中で物理的に現世から追いやった人物は何人いただろうか。
知るすべはない。そしてその方法で祓った人物に去来する想いがどんなだったも分からない。
それでも彼女らはやらなければならなかった。
やらなければ、誰かが死んでしまうから。
隣人を守るために手を汚す。
それを想像し、彼は悲しくなった。
( +ω+)「……お前はその方法でウツロを祓ったことがあるのか?」
lw´‐ _‐ノv「いや、ないよ」
( +ω+)「そうか」
いくらか気が楽になる。
しかし、いつかはそれをしなきゃならない時が来るかもしれないと考え、すぐに気が重くなった。
- 37: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:37:18.97 ID:XvyFleB90
- lw´‐ _‐ノv「ま、物理的な方法は本当に危機的状況にしか使えないから置いておいて。
それを抜きにしても、私たちは武器を持たなきゃいけないんだから。
時間がかかるっていう弱点があるわけだしね」
ニット帽がわずかに揺れる。
彼女はいつもの無表情で説明を続ける。
今の彼には、そんな彼女の態度がありがたかった。
lw´‐ _‐ノv「襲いかかられても理性が残ってるときがある。
そのときは枝折詩も効いてくれる。
また、詩を聞かせているときに抵抗されるときだってある。
そんなときに自分の身を守るために武器は必要なんだよ」
「というわけで」、そこで言葉を区切る。
シューは男から数歩分、距離をとり、それぞれ竹刀を持っている両腕を上げる。
左腕は体の前に出し、竹刀の先で彼の喉仏を指す。
右腕は肘を折り曲げ、額の辺りに柄を握り締めた手を固定させる。
lw´‐ _‐ノv「構えて。
砂尾流の戦い方を教えてあげるから」
彼女の声に、いつもと違う色が混じってるのを感じた。
- 38: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:40:29.74 ID:XvyFleB90
- シューを見つめて、構えを真似る。
体のところどころでぎこちなかったりフラフラしている部位があるが、そこはご愛敬。
lw´‐ _‐ノv「はじめに言っておく。
これから教える砂尾流武術というものは、武術と名乗るにはあまりにお粗末なんだ。
『対の武器を使え』『他者を傷つけるよりもまず自分の身を守れ』
……この基本概念さえ押えとけば武器は何だっていい、構えもどんなものでもいいって具合なんだよ。
ヒー姉はトンファー使ってるし」
(;ФωФ)「む?」
シューが右の竹刀をゆっくり薙ぐ。
具体的に何をやるか聞いてない彼は少し焦る。
とりあえずこちらも右の竹刀で受けておこう、と考え右腕を動かす。
なぜかシューに合わせてしまい、動作がゆっくりになってるが。
lw´‐ _‐ノv「この武術はあくまで時間稼ぎでしかない。
だから器用に動き防御するため、二本の武器を使うんだ。
もし、もっと二刀流を上手く扱いたいと思ったなら、あとで剣道場行くことを勧める」
竹刀と竹刀が合わさり、コン、と音が鳴る。
受けられるとシューは腕を引く。
そしてまたもゆっくりな竹刀が彼に迫ってくる。
今度は上段からだ。これも受け止める。
- 39: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:44:13.49 ID:XvyFleB90
- lw´‐ _‐ノv「今やってるゆるい動きで、どう受けるか考えて。
とりあえずそれで動き方を徐々に覚えていってね。
あ、そうそう」
( ФωФ)「?」
下からゆっくり竹刀が迫る。これも受け止める。
シューはそれを確認して腕を引き、浅く息を吐く。
それを合図に、竹刀が男を断ち切らんとするが如く速度で迫ってきた。
(;ФωФ)「っ」
唐突だったが、なんとか左で胴を狙う様を捕らえた。
男は左の竹刀で受け止める。先ほどまでとは違う、大きな音が響く。
だがシューは止まらない。
その勢いを殺さず、左の竹刀に力を込めて彼の左を封じる。
同時に右の竹刀を素早く振い、
音が響く。
- 40: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:48:03.68 ID:XvyFleB90
- 「たまに速いやつ出すから気をつけてね」と彼女は言った。
その発言はもっと早くにするべきだし、彼もそのように思っていた。
lw´‐ _‐ノv「受けられると思うものは存分に受けてくれていいよ。
ただし、無理ぽと思うものは迷わずよけてね。
私が教えてるのはあくまで護身であり時間稼ぎなんだから。
最終的にどんな攻めも受け流すことが理想」
(;Фω+)「……おk」
額を押さえて把握する。
痛みは脳に響くようなものではなく、肌を熱するような軽いものだった。
彼はすぐに立ち直る。もしかして手加減されたのかな、と内心思う。
lw´‐ _‐ノv「……そうだ、私に仕掛けてくれない?
多分それでなんとなくだけど理解できると思うから」
(;ФωФ)「む?いいのか?」
lw*‐ _‐ノv「ダイジョーブ、今のロマにはやられはせんよ」
無表情ながらも楽しそうな空気を発するシューを見て、男は少し腹立たしく感じた。
いくら彼が素人だからといっても、体格も性別も違う。
それなのに大丈夫と言い張り、しかも先ほどの手加減の件も考えると、彼はなめられてるとしか思えなかった。
( +ω+)「あい分かった」
返事とともに彼は構える。個人的に大人げないと思うぞ。
- 41: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:51:20.97 ID:XvyFleB90
- lw´‐ _‐ノv「さあこい」
シューは始めとは違う構えをとる。
半身で右腕を水平にし、男の眉間を指す。
対して左腕はだらりと垂らす。下段ともいえない力の抜きようだ。
また何より歩幅が狭い。それでは踏ん張れないのではないだろうか。
力任せに打ち込めば、吹っ飛んでしまいそうである。
だから彼は力任せに攻めようと思っている。
(#ФωФ)「はっ!!」
息を強く吐き、お返しとばかりに頭を狙う。
シューは右手で竹刀を迎えうつが、力負けして吹っ飛んだ。
いや、後方へ跳んでた。
lw´‐ _‐ノv「うんうん、やっぱり男の人は力が強いね。
でも有効打は浴びせられなかったと。
もっとやる?」
(#ФωФ)「もちろん!!」
しばらく境内に竹刀を打つ音が響いた。
- 42: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:54:54.18 ID:XvyFleB90
- 太陽の輝きが微妙に変わり始めたあたりで二人に声がかけられた。
ノハ*゚听)「お、やってるね」
lw;‐ _‐ノv「あ、おかえり」
(;ФωФ)「お、おかえり」
二人の挨拶を受け、ヒートは笑う。彼女の後ろにはショボンもいた。
ヒートたちは老婆のウツロの調査をしていたが、今はひとまず小休止といったところか。
そしてシューたちも休もうという流れになった。
lw;‐ _‐ノv「そうだ。
ヒー姉、ちょっと相談が」
ノハ*゚听)「おkおk。でも暑いから中で話を聞こうか」
lw;‐ _‐ノv「把握した」
姉妹はその場を離れて、自分たちの家に入った。
そうして残ったのは男二人。
(;+ω+)「ふぃー……」
そのうち一人はへばっていた。
- 43: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 18:58:09.69 ID:XvyFleB90
- 彼らは近くの木陰の中で腰を下ろした。
男は一応「家に入ればいいのに」と言ったが、ショボンは一言。
(´・ω・`)「女二人のところに男一人だけが混じると不安になるよね?」
まったくもって。
ショボンの言葉を聞いて、ここ数日の心の淀みを思い出し、頷く。
そんなわけで彼らは木の下で言葉を交わす。
まず、分雲町のいろいろな面で初心者な彼はショボンに質問する。
(;+ω+)「シューと特訓してたんだが……なにあれ?」
先ほどまでのやりとりをまぶたの裏で再生し、首をひねる。
彼はシューに何度も打ち込んだが、彼女に有効打を浴びせられなかった。
それ自体は問題ない。彼は竹刀を持つのも初めてだったし、彼女は経験者だ。
ただそれらを使った動きが、とても剣道や剣術にあるようなものとは思えなかった。
竹刀で受けられたのはまだいい。
しかし流石にスウェーで避けられたり、足払いされたり、投げ技で返されたりしたのには納得いかない。
(´・ω・`)「ああ……砂尾流武術だっけ?
あれ、武器使うから武術って言ってるだけで、実際のところ武術に含められるか怪しいよね」
(;+ω+)「剣術に投げ技はない。
そう考えてた時期が私にもありましたよ……ええ」
(´・ω・`)「なんでもありだからねえ。あと剣術じゃないと思うよ」
たしかにあんなものを剣術に含めたら失礼だろうな、他の剣術に。
- 44: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 19:01:26.82 ID:XvyFleB90
- 「砂尾流武術とはどんなものか?」、男は考えてみたが止めた。
考えても分からないと思ったからだ。
俗にいう思考停止である。
(;ФωФ)「あ、そういえばショボンに聞きたいことがあるんだが……結界ってどんなの?」
(´・ω・`)「ああ、シューから聞いたのかな?
簡単にいえば立入禁止の看板みたいなものだよ。
『結界』といえば聞こえはいいけど、所詮その程度だから」
話題を変えるため、結界に関することを聞いてみた。
どうやら“誰も結界内を行き来できなくする”ものではなく、“結界内を行き来してはダメと教える”ものらしい。
だから結界の出入りは自由にできるとのこと。
(´・ω・`)「例えば、犬のフンで線を作ったとする。
ロマさんはその境を超えたいと思う?」
(;ФωФ)「当然、超えたくない」
例えは下品だが、よく理解できた。
- 45: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 19:04:41.28 ID:XvyFleB90
- (´・ω・`)「ぼくら芭盆寺の結界は、基本的にウツロの隔離しかできないんだよ。
だから普通に考えてに砂尾神社の補佐だね」
( +ω+)「ああ、それで」
ショボンはヒートに付いていってるわけだな、と納得する。
と、すぐにあたらしい疑問が出てきた。
( ФωФ)「シューは結界でウツロを祓えるといってたぞ?
……いや、あいつもよく分からないと言ってたが」
(;´・ω・)「うーん……それは僕もよく分からないだよね。
できるっぽいけど、秘伝らしいから教えてもらってないんだ。ごめん」
( +ω+)「いや、いいよ」
ショボンも知らなかった。
ウツロを祓うのにも命がけの時があるのだから、ショボンにも教えればいいのに。
これは大人の事情が関係しているのだろうか?よく分からないな。
齢二十の子供がそんなことを考えてると、家の方から姉の声がした。
- 46: ◆pGlVEGQMPE :2009/03/07(土) 19:07:53.59 ID:XvyFleB90
- ノハ*゚听)「おーい!そこの男衆ー!ちょっとこーい!!」
玄関から顔を覗かせるヒートの声は大きくてとてもよく通った。
やれやれと彼らは腰を上げる。
(´・ω・`)「近所に家がなくて本当によかったよ」
( +ω+)「……むしろ家がないから大声出せるのではないのか?」
(;´‐ω‐)「そんな気遣いできるのなら、僕はもっと楽に生活できてるよ」
(;Фω+)「同情しとこう」
(;´・ω・)「お互いさまだよ」
そろって出た吐息を一つ、彼らはヒート目指して歩き出した。
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