( ФωФ)さとりごころのようです

322: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:27:14.36 ID:bk6Zvl/A0
   



  五章 異界の理


     四話 和



323: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:31:52.05 ID:bk6Zvl/A0
時刻は十六時過ぎ。
千里眼の訓練は一時中断された。
  _,
lw´‐ _冂v「……」

( ФωФ)「大丈夫か?」
  _,
lw´‐ _冂v「……んーん」

シューは今、頭痛に悩まされていた。
いくらあのニット帽を被ってないからといっても、背中に刺青の結界を施してある。
力を使いすぎたおかげで、結界に叩かれたようだ。

( Фω+)「どれ、ちょっと手をどけてみろ」
  _,
lw´‐ _冂v「ん」

彼は軽く診てみる。
シューの左目を中心に霊気の渦が発生していた。
しかしその渦はなんらかの力に阻まれて、それ以上の拡がりはなかった。

( Фω+)「左目に集まる力が結界の上限に引っかかったのだな。
        今、楽にしてやる」

「私の人生に一片の悔いなし」、シューはおかしな意味で彼の言葉を受けとっていた。
というより意外に聡い彼女のこと、わざと言っている可能性すら感じる。
対処が面倒なので、彼は無視して己の力を揮う。


分解するイメージを以って、それを左目まぶたに触れている指先に流し込む。



326: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:36:55.39 ID:bk6Zvl/A0
( ФωФ)「どうだ」

lw´‐ ,‐ノv「……お?おお?
       なんか痛みがきえたよ。
       ありがとね」

( +ω+)「どういたしまして」

それにしても、訓練に結界が少しばかり邪魔な気がする。
まあ刺青だからどうしようもないが。
それにこういう異状に対処する術など、普通の人は知らないものだから。
シューに結界が張られる前に、彼がこの町に来れたらよかったのだけれども。

「それもいまさらだな」、彼は一人ごちる。


lw´‐ _‐ノv「それにしてもさ。
       何でいつも痛くなるのは左目の奥なんだろうね?」

( ФωФ)「力を使った反動の話か?」

lw´‐ _‐ノv「そうそう。
       なんか知らない?」

( +ω+)「そうだなあ。
        感覚脳とか霊能的な利き目とかじゃないのか?
        お前の力は視るのに特化してるから、あり得ない話ではないかと」



328: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:42:22.46 ID:bk6Zvl/A0
そう話しながら、彼は別のことを考えている。
今見たシューの力、シューの目、結界、頭痛。
力を暴走させたときの彼女の姿、黒い彼女、呪文、墨の呪術、人柱。

lw´‐ ,‐ノv「どうしたの?」

今の彼女はニット帽を被っている時のように、必要以上に力を使わないようにしている。
完全なコントロールはまだ無理らしい。
まだ力の強弱をつける程度にしか扱えない。
そのせいか、彼の考えが読まれなかったようだ。

だから彼は言って教える。

( +ω+)「いろいろ考えてたのだよ。
        そしたら納得いくところが多々あってな」

lw´‐ _‐ノv「ふーん?」

( ФωФ)「だからあの夜、シューもヒートもああ言ったのだな?」

ショボンと出会ったとき、なにも言わなれかったが思ったことは同じだろう。
シューは頷いて言う。

lw´‐ _‐ノv「うん、そうだよ。
       今なんの話をしてるかよく分からないけど」

(;+ω+)「それならなぜ肯定するのだ?」

分からないなら分からなりの態度でいてほしい。
彼はもうそれ以上口出しする気にはならなかった。



329: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:46:48.45 ID:bk6Zvl/A0
そしてしばらくの沈黙。
で、シューはいきなり口を開く。

lw´‐ _‐ノv「……ああ、なるほど。読ませてもらったよ。
       うん、たしかにその通りだわ」

( Фω+)「だろ?」

lw´‐ ,‐ノv「そりゃあ思っちゃうよね」

( +ω+)「私も初めてみたときはびびったからな」

lw´‐ ,‐ノv「ちなみにロマのって私と近い?」

( Фω+)「どうだろう?
        小さい頃からそっち方面もすごかったから、それだけとも思うがな」






ノハ;゚听)「……なにこのシンパシー」


そして帰ってきて、居間の様子を覗いたヒートは混乱してしまった。



333: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:52:31.32 ID:bk6Zvl/A0
( ФωФ)「お?今帰ってきたのか?
        まったく気付かな……ってどうした?」

lw´‐ _‐ノv「私は気付いてたよ、おかえりー。
       キリもいいとこだし今日はここまでだね」

( +ω+)「うむ」


ノハ;゚听)「……」




ノハ;゚听)「……落ち着け、落ち着くんだ。
      若い二人がただ心を通わせただけじゃないか。
      でも私がいない数時間になにがあったのだろう?
      いくらなんでもその数時間でここまで親密に慣れるのだろうか?
      ハリー ・ ポッターや西の魔女が何かしでかしたのだろうか?
      しまった、席を外すんじゃなかったっ!
      何が起きたか見たかったっ!
      いや待て、落ち着けっ。
      ここは私の妄想力の出番ではないかっ。
      落ち着くんだ、落ち着いて考えるんだっ。
      考えろ、考えろ、考えろっ…………ちくしょうっ、たすけてマグガイパーっっ!!」


(;+ω+)「まずお前が落ち着け」



335: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 16:57:06.07 ID:bk6Zvl/A0
シューは素早くニット帽を被る。
彼は簡単に弁明する。

( ФωФ)「ただシューに力を使わせてただけだ」

ノハ;゚听)「あ、ああ、そういうことね」

落ち着きを取り戻しながら、ヒートは彼の言葉をきいた。
軽くシンパっていたのも、心を覗かれていたからというので納得してくれた。
ヒートは気持ちを入れ替えて、シューの様子を訊ねてきた。

ノパ听)「それで、シューの具合は?」

( Фω+)「あまり変化がなかった気がするが……まだ一日目だからな。
        シュー的には手ごたえあったか?」

彼らの質問にシューは腕を組む。
どういったらいいのか迷っているようだ。
やがて、ゆっくりと考えごとを口にする。

lw´‐ ,‐ノv「うーん……何かは掴めそうなんだよ。
      でもその何かがなんなのか、が分からん。
      なんだろこのモヤモヤ感は?」

( +ω+)「まあ所詮イメージだからそんなものだろうな」



336: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:01:58.76 ID:bk6Zvl/A0
ノパ听)「ふーん。
     そっち方面に関して私にできることはないからねえ。
     チョイ早いけどご飯の準備してくるっ!」

ヒートは一人、台所へ向かう。
「シューをよろしくね」とすれ違いざまに、彼に伝えて。
もちろんよろしくする。

lw´‐ _‐ノv「ただ今ニット帽かぶっているシューちゃんですが、なぜか身の危険感じます。
       ロマっち変なこと考えてない?」

( ФωФ)「疾しいことは考えてないぞ」

ホントだぞ。
ただお前の力になりたいだけだぞ。

lw´‐ _‐ノv「それならいいか。
       まあよろしくされとく」

「……ニット帽被ってるのに力使っていいのか?」、彼は思う。
しかし、おそらくは彼女の意志によるものではないだろう。
例え見ないようにしてても、勝手に見えてしまうときもある。
だから少しだけなら被ったままでも、力は使えるらしい。

結界とはそういうものだと、彼は以前教わった。      

ところで、もし今心を読まれなかったら、シューの返事はどんなものになっていたのだろう。
臆病少女だけに警戒されていたかもしれない。



338: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:07:12.31 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「警戒してるよ、すっごいしてる」

(;+ω+)「……お前、絶対意図的にみてるだろ」

lw´‐ ,‐ノv「見ないと始まらないんだよ、ばーか。
       男の子はみんな狼だから危険なんだよあほたれ」

( +ω+)「はいはい、馬鹿とか阿呆とかでけっこう。
        だが、結界があるのを忘れるなよ」

相手にするのも面倒になったので、テレビをつける。
地方番組からは数年前のヒット曲が流れていた。
懐メロ特集かなにかだろう。

( ФωФ)「そういえばテレビあまりみなかったが、ここではこういうのがやってるのか」

lw´‐ _‐ノv「アニメでもみたかったの?
       もしかして大きなお友達というやつ?」

(;+ω+)「違う」

シューの冗談を否定しつつ、音楽に耳を傾ける。
最近の音楽に疎い彼にとって、この特集は少しありがたい。
まあ昔の曲にも疎いのだが。

lw´‐ ,‐ノv「お」

( ФωФ)「ん?」



340: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:11:56.23 ID:bk6Zvl/A0
ある曲が流れだした途端、シューの反応が消える。
目は画面にくぎ付けになり、熱心に聴いている。
どうも彼女の好きな曲が流れているらしい。

サビだけ流して次の曲に切り替わる。
シューは動き出す。

( ФωФ)「さきほどの曲はお前が生まれる前の曲じゃないのか?」

lw*‐ _‐ノv「音楽の好き嫌いに時代は関係ないのさ。
       んっふふ〜ん♪」

サビだけだとしても彼女はご満悦の様子。
彼はさきほどの曲を頭の中でリピートしてみる。
シューが好いてるのは、ある意味で皮肉であった。

lw*‐ _‐ノv「いいんだよ。
       いい曲はいいって言わないと」

( Фω+)「案外、曲とシューの考え方が合致したのか?」

ノパ听)「あー、シューはあの曲好きだからねえ」

lw´‐ _‐ノv「あれ?
       料理はもういいの?」

ノハ*゚听)「今日はすじ肉の煮込みだからいいの。
      どうせ一時間は火通さなきゃいけないし」

(*ФωФ)「おおー」



342: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:17:19.32 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「ところで祭りの準備は大丈夫そう?」

ノハ*゚听)「もう当日まで仕事ないよん」

( Фω+)「そういえば夏祭りの件で町内会によく顔を出してたのだったな。
        いつ催されるのだ?」

ノパ听)「二日後の夜からだよ」

lw´‐ _‐ノv「ちょうどしぃちゃんたちと遊ぶ日だね」

( ФωФ)「……あれ?」

二日後の夜ときき、彼は疑問を覚えた。
というのも祭りが開催されるのは砂尾神社の下であり。
また、今日までそういう飾り付けを見た覚えがないわけで。
だから彼は聞いてみたのだが、ヒートはからから笑って答えた。

ノハ*゚听)「どーせちっちゃい町の祭りなんだし。
      別の場所で作った飾り付けをこっちに持ってくるだけだからね。
      持ってきて飾るだけなら、一日で終わるんよ」

( ФωФ)「ふーん」

lw´‐ _‐ノv「でも明日あたりからテントが張られると思うよ」

ノハ*゚听)「なんかワクワクするよね」


ノパ听)「でも」



344: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:22:46.72 ID:bk6Zvl/A0
( ФωФ)「?」

lw´‐ _‐ノv「?」


ノハ´凵M)「祭りが終わったら、学校行かなきゃいけないー。
      だるいんですけどー」

(;ФωФ)「え?」

なんか聞き捨てならない単語が混じってた。
シューは姉の言葉に納得の様子だが、反対に彼は混乱した。
恐る恐る聞いてみる。

(;ФωФ)「ヒートって学生……なのか?」

ノパ听)「あれ?言ってなかったっけ?
     私、今大学四年生。
     専攻は人間文化で、今回の祭りを理由にしばらく休ませてもらってたの。
     フィールドワークうまー」

(;+ω+)「でも二十三歳なんだよな?」

ノハ;凵G)「ウツロとかで忙しかったんだよばかやろおおおおおおおおおおおっっ!!
      一年ダブらなきゃやっていけなかったんだよこのやろおおおおおおおおっっ!!」

ヒートが泣いた。いや啼いた。
横でシューが耳を塞ぎつつ、助け船を出す。



346: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:27:17.42 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「去年まで私、中学生だったから夜間外出しにくかったんだよ。
       だからあの時は毎晩ヒー姉が見回りしてくれたから。
       たまにバイトもしてたし」

(;+ω+)「ああ、うん、なるほどな」

くらくらする頭で話の内容を考える。
大学生である以上、中学生に無理をさせられない。
中学生がクラスチェンジするまでヒートは頑張ったのだろう。
まあ高校生が夜歩きしていいのかとは思うが。

( ФωФ)「しかしよく大学にいけたな」

ノハ;凵G)「バカだと思ってるのか?
      バカだと思ってるんだろっ?!
      ちくしょうっ、バカにしてっっ!!!!」

(;+ω+)「いや、金銭面の問題で訊ねたつもりだが」

彼女らの親はすでに故人だ。
収入はほとんどないはずである。
彼の疑問に気付いて、ヒートは落ち着きを取り戻して言う。

ノパ听)「ああ、そのことね。
     親はもういないけど、遺産があるし。
     それにシャキンさんとか町の皆が助けてくれたしね。
     だから私も大学に通えるんだよ」

( Фω+)「なるほど、お前も大変だな」



347: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:31:56.91 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「大学に進学する前に一悶着あったけどね。
       『高卒で働くっっ!!』って言ってきかないヒー姉を、シャキンさんが説得したり。
       最終的には町のお爺さん方 vs ヒー姉の大乱闘になったり」

ノハ*゚ー゚)「結局、私が折れたんだけどね。
      でも大感謝だよ、ホント」

しみじみと当時のことを思い出すヒート。
そのお爺さん方はおそらく、彼女たちが町を守っているのを知っているのだろう。
だから善意で協力してくれたと思われる。
「借りたお金は働いて返さないとねえ」、澄んだ目で昔を振り返りながらヒートは言う。

( ФωФ)「ところで人間文化って何をやるのだ?」

ノパ听)「まあいろいろあるけど、私は土着信仰についてあれこれやってるね。
     あの町ではこういう神を祀っている、この町ではこういう信仰がある。
     遠くの町ではおかしな童歌がある、知らない町ではこんな禁忌がある。
     エトセトラ、エトセトラ……ってな具合かな?」


その説明をきいて、ピンと来た。


( Фω+)「……もしかして、ウツロの発生原因の手がかりでも探してるのか?」

ノハ*゚听)「うん、そうだよ。
      色々調べていると、案外不自然なところが見えてくるしね。
      意外と役立っているかも」



348: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:37:55.33 ID:bk6Zvl/A0
「まだ仮説程度だけどね」、ヒートは笑う。
そして人さし指を一本だけ立てて、コホンと咳払いする砂尾家の姉。


ノパ听)「例えばウツロの発生場所。
     彼らはなぜ、この町でしか現界してこないのだろうか?
     この答えはおそらく “ 結界 ” が関与してると思うんだ」

lw´‐ _‐ノv「へえ」

シューはヒートの言葉を聞きながら、ニット帽を脱いだ。
見る気まんまんである。
ということは、これから話すことはシューも知らなかったのだろうか。

ノパ听)「この町は盆地であるせいで、町の出口は西と南にしかない。
     そしてその両方の出口には道祖神が祀られている。
     道祖神ってどういう神様か知ってる?」

( ФωФ)「交通安全の神と記憶しているが、他にもあったよな?」

lw´‐ _‐ノv「……へえ、それは面白い考えだね」

シューは一人だけ先に理解したようだ。
彼はずるいと思ったが、文句は言わないでおいた。
そして彼女は彼女で、それ以降なにも言わないで姉の話を聞く姿勢だ。

ノパ听)「平たくいえば道の神だけど、村の守り神とか子孫繁栄とかもあるね。
     だから村の中心か、村と村の境に祀られることが多かったんだ。
     それゆえ旅の神とか交通安全の神などともいわれるようになったし……」



349: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:41:47.98 ID:bk6Zvl/A0
  


ノパ听)「一部では結界神ではないか、という声もある」



( Фω+)「ぬ?」

「道祖神が結界神?」、彼は反応する。
もし結界神ならウツロを外に出さないようにしているのだろうか。
だからこの町でしか、ウツロは現界しないのか。

少し考えて、彼は否定する。


( +ω+)「仮に結界神だとしても二柱では無理じゃないのか?
        それだと界より線を結ぶといったほうがニュアンスとして正しいと思うが」

いくら町の出入り口を封鎖したとしても、山から外へ出ることも考えられる。
ウツロは人間の姿をしているが、幽霊に近い。
肉体の限界などあって、ないようなものだ。
ヒートは頷く。



352: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 17:48:02.82 ID:bk6Zvl/A0
ノパ听)「ロマさんがそういうなら結界に道祖神二柱だけだと弱いんだろうね、普通は」

( Фω+)「普通じゃない要素があると?」

ノパ听)「……あるのよ、これが。
     道祖神の “ 道 ” は女、 “ 祖 ” は男を表わすんだ。
     だから村の守り神とか子孫繁栄とか言われてるんだろうね。
     その神だけで男女、つまり家族を表わすのだから」

ノパ听)「そして、この町で家族を表わすものは他にもある」

(;ФωФ)「あったか?
        ……いやまて、まさか」

この町で家族を表わすもの。
それは町に住む人々ではない。
大きく、常に腰を下ろしている。
それらは一つ一つに名前があり、いつも人々を見下ろしている。

つまり、



ノパ听)「そう、分雲町を囲む山々だよ」



357: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:14:29.64 ID:bk6Zvl/A0
分雲町。
この町は大小様々な山で囲まれている。

北に、神社のある 『 兄者山 』 。
東に、住宅地がある 『 弟者山 』 。
北西に、麓に役場やバス停がある 『 姉者山 』 。
南西に、寺がある 『 父者山 』 。
そして北東に、 『 妹者丘 』 、その奥に全ての山々を見下ろす 『 母者山 』 。


その全てに家族を構成する名がついている。
これは偶然なのだろうか。

ノパ听)「これらの名の山々があって、町の出入り口を男女の神で塞ぐ。
     そうすればどこよりも立派な家族の和ができあがるんだ」

(;+ω+)「しかし、それで結界ができるものなのか?」

ノパ听)「それは私には分からないよ」

なんともいい加減な答えが返ってきた。
ツっこむべきか迷う彼に、ヒートは続けて言う。

ノパ听)「結界とか霊能力とかは私、門外漢だからねえ。
     シャキンさんにこのことを話したら、『調べてみる価値はある』って言われちゃったよ」


ノハ*゚听)「以上、砂尾ヒトミの大胆仮説でしたーっ!!」

lw*‐ o‐ノv「わー、ぱちぱち」



361: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:22:43.55 ID:bk6Zvl/A0
( +ω+)「ふぅむ、大変興味深い内容だったな」

ノハ*゚听)「でしょでしょ?」

山は昔、とても神聖な場所であったとされる。
もしくは山を神と見立てた信仰もあっただろう。
ならばこの町は神に囲まれていると考えられる。

となれば、それを利用して昔の法術師が結界を張ったかもしれない。
または、そう利用するために山に名を与えたのかもしれない。
彼やシューが自身の力に名をつけるのと同じように。


ノハ*゚听)「っと、お肉どのくらい煮えたかなー?」


ヒートは立ち上がり、台所へ向かう。
今日のご飯もおいしいのだろう。
さきほどの仮説を頭の隅に追いやり、彼は晩御飯への期待に胸を膨らませた。






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