( ФωФ)さとりごころのようです

366: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:35:43.62 ID:bk6Zvl/A0
(*´∀`)「おっちゃーん、あつ缶ー」

(*ФωФ)「なら私はカクテルを適当に」

(`・ω・´)「ウィスキーをロックで」

(‘_L’)「私は見回りがあるのでウーロン茶でお願いします」

从 ゚∀从「生くれ、生」

ノハ*゚听)「カルアミルクの牛乳抜きでー」
  _、_  
( ,_ノ` )「あいよ」




(;+ω+)「……今、なにかおかしな注文なかったか?」




地元の祭りにあわせて飲み会を始める六人組。
この場にある種のカオス空間が出来上がるわけだが、それはもう少し先の話。
余所の飲み会など見てて疲れるものである。

なので、視点を変えることにする。



370: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:42:37.51 ID:bk6Zvl/A0
   



  五章 異界の理


     五話 宴



372: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:46:52.56 ID:bk6Zvl/A0
さて、シューが訓練をはじめてめてから二日後の夜。
予定通り、砂尾神社の石段の下に様々な屋台が出店していた。
そして石段の上のとある姉妹の家には、五人の若者が集っていた。

lw´‐ _‐ノv「さて、戦利品を確認しようか」

lw´‐ _‐ノv「まず私から。
       焼きそばにたこ焼き、それぞれ五つずつ」

(´・ω・`)「焼きそば、三。
      綿菓子、一。
      ラムネ、三」

(*゚ー゚)「お好み焼き二つ、アメリカンドック二本、ラムネ二本」

(・∀ ・)「たこ焼き、いか焼き、玉コン、チョコバナナ、焼きとうもろこしが一つずつ。
     あとは千本引でよく分からないおもちゃが二つ」

(*゚∀゚)「スーパーボール十一個、ヨーヨー五個、狐のお面三つ」




lw´‐ _‐ノv「うーむ、勝てたと思ったのに」

(;゚ー゚)「釣りすぎじゃない?」

(*゚∀゚)「姉ちゃん、戦いとはヒジョ―なんだよ?」



376: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 18:52:12.45 ID:bk6Zvl/A0
夕暮れ時にしぃとつーの姉妹が現れた。
シューは三人だけだとさみしいんじゃないかと思い、予め二人の男を呼び寄せていた。
そうして五人になった彼らだが、さて何をして遊ぶか決めていなかった。
まあせっかく祭りもやってることだし、下に降りて屋台で何か買ってこようということになった。

そのときシューは言った、「みんなで勝負しない」


そんなわけで彼らは競争していた。
ルールは 『 手持ちの五千円でどれだけの商品が買えるか 』 である。
型ぬきによる錬金可。
金魚すくい等の生き物は自分で育てる前提での自己責任で。
金額が五千円と決まったのは、つーがその分のお金を親に貰ったからである。

順位は
五位、しぃ。
三位、ショボン、またんき。
二位、シュー。
一位、つー。

(・∀ ・)「でもさ、皆の戦利品は分かるとしてシューだけは分からん。
     そんだけ買えば、五千円なんてオーバーするはずだけど」

lw´‐ _‐ノv「型ぬきで稼いだに決まってるでしょ」

(*゚ー゚)「どれくらい稼ぎましたか?」

lw´‐ _‐ノv「差額で五千円分」

(;´‐ω‐)「……さすが、祭りの錬金術師と恐れられたことはあるね」



387: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 20:52:24.26 ID:bk6Zvl/A0
(*゚∀゚)「シューちゃんすげー」

(;゚ー゚)「よく出入り禁止になりませんでしたね」

lw´‐ _‐ノv「んー?
       なんか私がいるとお金払う以上に得するみたいだよ。
       『 型ぬきって案外簡単じゃね? 』 って周りが思っちゃうみたいでね。
       それで昔のショボンがワラワラ集まるんだよ」

(´・ω・`)「ああ……懐かしい。
      あの頃はシューに騙されて、凄い被害を被ったからなあ」

(;・∀ ・)「型ぬきに寄らなくてよかった。
      僕、絶対騙されてた」

lw´‐ ,‐ノv「人を詐欺師みたいに言うのはやめてくれないかなー?」

唇を尖らせて文句をいうシュー。
またんきは逃げるように距離を置き、ショボンは無理やり話を逸らす。

(;´・ω・)「そ、そういえば皆、晩御飯まだだよね?
       これらの戦利品でお腹膨らませない?」

(*゚∀゚)「さんせー」

(*゚ー゚)「分かりました」

lw´‐ ,‐ノv「……まあいいけどさ」

椎名姉妹の賛同の声に、シューもしぶしぶ文句を納める。



389: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 20:57:41.91 ID:bk6Zvl/A0
(´・ω・`)「それじゃ、いただこうか」

(・∀ ・)「ですね」

(;゚∀゚)「のわあああああっっ!!
     そういえば食べ物買うの忘れてたあああああっっ!!」

(*゚ー゚)「はいはい、私のを分けてあげるから」

lw´‐ _‐ノv「それなら私のをあげるよ。
       どうせ一人じゃ食べきれないし」

(*゚ー゚)「でも……」

lw´‐ _‐ノv「気になるならトレードで。
       焼きそば&たこ焼き一つずつと、つーちゃんの狐のお面でどう?」

(*゚∀゚)「いいの?」

lw*‐ _‐ノv「いいのいいの、時間がなかったからお面買えなかったしね」


交渉成立。
シューはこういう事態も起こりえると考えていたため、手際よく籠絡できた。
一応、ショボンにも相談してある。
ラムネの本数より、彼も彼なりに考えて買っただろうことが窺える。

lw´‐ _‐ノv「ショボン、そのラムネとたこ焼きを交換しようか?」

(´・ω・`)「おーけー、それで手を打とう」



390: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:03:58.08 ID:bk6Zvl/A0
そんなわけで食べ物のトレード合戦が始まった。
それなりの時間を経て、最終的には皆が満足できる程度に分配された。

(・∀ ・)「ところで何して遊ぶ?」

lw´‐ _‐ノv「またんきくんとショボンには遊び道具を持ってきてもらったわけだけど」

砂尾家にはそういうものが極端に少なかったりする。
ヒートは幼いころは ( 隠しているが今も変わらず ) 本の虫であったわけだし。
シューは無趣味であったわけで。

そんなわけで男二人に頼んでみた。
結果、集まったものはスーファミ、UNO 、トランプ、花札、オセロ、人生ゲームだったりする。

lw´‐ _‐ノv「レトロなのが今のブームなの?」

(´・ω・`)「皆で遊べるものはこれらしかなかったんだ」

アナログ担当のショボン氏のの弁明。
ディデタル担当のまたんき氏の弁明は以下の通り。

(・∀ ・)「最近はゲーム買わないからね。
     昔の奴もけっこう面白いよ」

lw´‐ _‐ノv「…… DL 厨のパソゲーオタに頼むんじゃなかったよ」

(;・∀ ・)「ちょっ!ここでそれバラさないでっ!!」

容赦のないシューであった。



392: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:12:00.80 ID:bk6Zvl/A0
持ってこられた遊び道具を用いて、皆で遊んでみた。
スーファミでは、またんきとつーが異常に強かった。
カードゲームでは、シューの圧勝であった。
オセロでは、なんの活躍もないショボンが頑張ってみたり。
人生ゲームでは、予想通りというかなんというか、品行方正なしぃが強かった。

(‐∀ ‐)「うへぇ、ビリだぜー」

(*゚∀゚)「またんきのお兄ちゃん、気を落とさないでっ」

(´・ω・`)「人生ゲームって運のはずなんだけどなあ。
      案外、しぃさんの人生ってイージーモードなんじゃない?」

(*゚ー゚)「いえいえ、まだまだ人生の “ じ ” の字すら味わってませんので。
     正直、分かりかねますよー」

lw´‐ _‐ノv「それよりも私としてはあのトランプに文句を言いたい。
       うちにだってトランプくらいあるっつーのにわざわざ持ってきちゃってさ。
       だいたいなんだよ、あの暑苦しい絵柄は?」

(;´‐ω‐)「父さんから渡されたものだよ」

lw´‐ _‐ノv「……ごめんなさい」

(;´‐ω‐)「いいよ」

私たち二人の間に微妙な空気が流れた。



394: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:17:17.92 ID:bk6Zvl/A0
その後も五人は遊ぶ。
なにもないシューの家でも簡単にできる遊びなどを。
トランプではいろんなゲームをした。
五割ほどがシューの勝利で終わった。

(*゚ー゚)「シューさんってカードゲーム強いですよね」

(´・ω・`)「……記憶を?」

lw´‐ _‐ノv「なるべく見ないようには」

(*゚ー゚)  「?」  (*゚∀゚)


王様ゲームもやった。
もちろん「エッチなのは NG ね」と、シューが男たちに忠告した。
刀 ( 当然刃引きしたものだが ) を持ちだして言ったので、脅したといってもいい。
そのかわり、罰ゲームで胸に秘めておきたいモノを暴露させられたり。

(*゚∀゚)「本名はツカサだけど、それがあだ名の由来じゃないの。
     ここらじゃ椎名って名字珍しいし、それで姉ちゃんはしぃって呼ばれてたんだ。
     だから 『 私はしぃ 2 だあああ 』 って言ってたら、つーって呼ばれるようになったの」


(*゚∀゚)「きゃー、はずかちーっ」

(;・∀ ・)「……くねくねが現れたっ!!」

そんなこんなで夜も更けてゆく。



395: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:22:00.19 ID:bk6Zvl/A0
…………
……



lw´‐ _‐ノv「さて、一通り遊んだね。
       次、なにやる?」

(´・ω・`)「僕はなんでもいいよ」

(*゚ー゚)「私も」

(・∀ ・)「僕は人生ゲームでリベンジしたい」

(*゚∀゚)「ねー、怖い話きかせてくれないー?」


lw´‐ _‐ノv 「え?」 (´・ω・`)


lw´‐ _‐ノv「ハモんな、ハゲ」

(´・ω・`)「そっちこそ」


シューは一応、そういう案が出るのも考えていた。
なんせ寺の子と、今は機能してないが神社の子が集まっているのである。
季節は夏で時刻は夜、まさにピッタリのセッティング。
外の祭囃子もいい感じに怖さを緩和してくれる。



396: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:27:06.18 ID:bk6Zvl/A0
とはいえシューは霊媒体質。
あまりそういう話をすると変なのが寄ってくる。
まあどんな輩でもそういう話で霊は寄ってくるのだが、シューの場合気づいてしまう。
そして気付かれてしまう。

lw´‐ _‐ノv「うん、じゃあ怖い話でもしようか」

(*゚∀゚)「やたーっ!!
     うはぁ、本業の人の怖い話なんて楽しみだあ」

lw´‐ _‐ノv「……ショボン」

(´・ω・`)「……ん」

ショボンが立ち上がり、部屋の四方のお札を貼る。
ついでに塩も盛る。
危惧してたので、実は準備もしっかししていたのだ。

そしてシューは記憶を見る。
こういうケースは慣れているし、怖いのは優先して見ていたりする。
怖い話は聞くのも話すのも趣味ではないし、そういう話を集めるのも好きではない。
ただ、先人たちと同じ轍を踏むのを避けたいだけなのである。

だから話のネタは尽きなかったりする。
それが良いことなのか、悪いことなのか、シューは考えないようにしている。

考えても落ち込むだけだろうから。



399: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:32:20.78 ID:bk6Zvl/A0
明かりはつけっぱなしにしておく。
「暗い方が雰囲気が出る」とまたんきは言ったが、その意見は押さえこんだ。
ヒートたちが帰ってきたらびっくりするからとそれっぽい理由で。

シューは思う。
暗いと余計変なのが来てしまう、と。
現に変なのが一匹、この部屋にいるのだ。
誰も知らないがたしかにいるのだ。

('A`) デラレナイ…

lw´‐ _‐ノv「……ざまあ」

(´・ω・`)「どうかした?」

lw´‐ _‐ノv「いや、なんでもない。
       誰から話す?」

(*゚ー゚)「私はあまり知りませんので、あとでお願いします」

(・∀ ・)「僕もあまり知らないから、寺と神社のコラボレーションを楽しむよ」

(*゚∀゚)「二人の話、ききたーい」


lw´‐ _‐ノv「やれやれ、じゃあ私から」



401: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:36:59.20 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「これはロマから聞いた話」

断りを入れるシュー。
念のため、前日に彼からネタを仕入れていたのだ。
あの時のことを思い出し、シューの背中に冷たい電気が走る。
その話はシューとしても他人事ではなく、聞いてて怖かったのだ。

lw´‐ _‐ノv「皆、ロマが幽霊を見られるってこと、知ってるね。
       同じ原理で生き物の魂も見ることができるんだよ。
       肉体が死んで、それでもこの世に留まる魂が霊の正体だからね」


lw´‐ _‐ノv「留まる魂はこの世に強い念を抱いている。
       怒りだったり、悲しみだったり、憎しみだったり……。
       ま、今挙げた感情を強く持ってたら、いつかは悪霊になるでしょうね」


lw´‐ _‐ノv「だけどそんな念を持ってるのと比べ物にならない奴もいるんだ。
       もしかしたらそれが “ 神 ” と呼ばれるものかもしれない、ってロマは言ってた」

彼は「個人的には全力で否定したいが」、とも付け加えていた。
彼自身、あれを神と認めたくないようだ。
あまりに醜く感じたからだろう。
あの時の彼の心を読んで、シューはそう思った。

私もそういうのに出会いたくない、と彼女は強く思う。



402: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:42:42.57 ID:bk6Zvl/A0
(・∀ ・)「……」

(*゚ー゚)「……」

(*゚∀゚)「……」

(´・ω・`)「それはどんな奴なんだい?」


lw´‐ _‐ノv「この世にノスタルジーを感じている奴。
       そういうのがとても危ない霊らしいよ」

(*゚ー゚)「あれ?意外と普通?」

lw´‐ _‐ノv「いや、全然普通じゃないんだ。
       実は純粋な魂ってのは、限りなく透明らしいんだ。
       ロマが魂を見られるのは、その魂に念が宿っているから。
       正確にいえば彼はその念を認識しているにすぎないんだ」

そこあたりは私と似ている、とシューはぼんやり思う。
彼女も魂というより、それに宿る記憶を見ている。
そしてたくさんの記憶が固まって一つの球体のようにみえる。
シューはそれを魂だと認識しているのだ。

lw´‐ _‐ノv「噛み砕いていえば、どいつもこいつも煩悩だらけなんだよ。
       で、ノスタルジーを感じている奴は大抵、限りなく透明に近い霊なんだ。
       この世自体に強い念を抱いて、しかも単一な感情しか持ちえないからなかなか消えない」



406: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:46:50.39 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「だから霊能者でも浄霊できない場合が多い。
       そしてそういうのは手当たり次第、この世の念を集めようとする。
       そこらへんの人間に波長を合わせて、憑き殺すんだ」


lw´‐ _‐ノv「……ウツロがどういう奴か、ここにいるメンバーは皆知ってるはず。
       どうして現れるかはさておいて、だけど。
       あれは生霊に近いとロマは言ってた。
       ドッペルゲンガーの亜種じゃないかとも言ってたね」


lw´‐ _‐ノv「その神はウツロよりも危険なんだ。
       人の魂を取り込んで、自分を満たそうとする。
       でも取り込んで足した念はノスタルジーの念以外、ほとんど霧散するらしい。
       だから取り込む、霧散する、また取り込む……」


lw´‐ _‐ノv「そうして集合霊になって、霊能者にも浄霊できない神が出来上がる。
       そうなれば誰にも手に負えない。
       せいぜい、生贄を貢いでしばらく大人しくしてもらうしかないでしょうね」






lw´‐ _‐ノv「さて、前置きはこのくらいにして」


(;´・ω・)(;・∀ ・)  「  え  ?  」  (;゚ー゚)(;゚∀゚)



407: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:52:07.23 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「ん?どうしたのみんな?」

(;゚ー゚)「いやー、なかなかのホラーだったのに前置きって……」

lw´‐ _‐ノv+ 「まだまだこれからじゃよ」



lw´‐ _‐ノv「子供たちの話をしよう」


lw´‐ _‐ノv「それは子供たちの集合霊だった。
       十歳に届くか届かないかの者もいれば、生後まもなくの者もいた。
       昔、生贄の風習があったところじゃないかと言ってたね。
       そんなのが集まって、皆一緒の念を抱いていた」


lw´‐ _‐ノv「子供を狙うこともあった。
       その子供は体の前半分が消えていた。結局見つからなかった。
       大人を狙うこともあった。
       その大人は体の下半身を持っていかれた。当然見つからなかった」


lw´‐ _‐ノv「喰ってたんだよ、魂だけじゃなくて文字通りに。
       霊たちはあまりに幼かったから、お経も理解できない。
       強力すぎたからまじないの類も効かない。
       どうすることもできず、一人、また一人と消えていった」



410: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 21:57:36.86 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「誰もいなくなった。
       でもどこからか誰かがやってくる。
       少子高齢化と体がなくなる連続事件のせいだと思ったんでしょう。
       その土地を開発しようと思った人もいた。
       現場の人はみんな餌食」


lw´‐ _‐ノv「やがてロマと彼の師が呼ばれた。
       調査し、悪霊がいるならやっつけてくれと。
       彼らはその地を歩きまわった。
       何日か歩いて歩いて……そして子供たちに出会った」


lw´‐ _‐ノv「おぎゃあと泣く赤ん坊がいた。
       ひもじいと嘆く幼女がいた。
       苦しいと唸る少年がいた。
       大きな人型のそれは、全てが顔で形成されていた」


lw´‐ _‐ノv「皆の視線が二人を刺した。
       皆が呪いの言葉を合唱した。
       皆が全身を使って、彼らを喰らおうとした」


lw´‐ _‐ノv「……結局、彼にはなにもできなかった。
       彼の師も封印するのが関の山だった。
       けっこう前の話らしいけど、案外、まだ蠢いてるかもしれないね」



413: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 22:03:06.14 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「これでおしまい」

(;´‐ω‐)「……」

(・∀ ・)「……期待していたけどあんまり怖くなかったな」

(;゚∀゚)「うん、うん、怖くなかったよっ!!」

(;゚ー゚)「私はちょっと怖かったですけど……」

三人は口々に私の話の感想をいう。
ショボンだけは何も言わない。
どう思ってるのかこっそり覗いてみた。

lw´‐ _‐ノv「……ショボン、あなた」

(;´・ω・)「なあシュー。
       情けない話だけど、一つお願いがあるんだ」

lw´‐ _‐ノv「分かった。
       シャキンさんには電話入れておく」

(;´・ω・)「それくらいは自分でやるよ」

lw´‐ _‐ノv「いや、私も少し張り切りすぎたと思い始めてるからさ。
       ここは謝罪の意味も込めたいの」

その言葉に、ショボンは「頼む」と答えた。
シューがこの話を聞いて怖かったのと同じように、ショボンも怖かったのだ。



414: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 22:06:53.67 ID:bk6Zvl/A0
ショボンのお願いは、今晩泊めてほしいということだ。
そこまで怖がるというのなら、おそらくオチも読めてるのだろう。
そう思った彼女は、他の三人をみてさらに思う。


――― さて、そろそろ何も分かってない人たちにそのオチを聞かせようか。



lw´‐ _‐ノv「そういえばさ、言い忘れてたんだけど」

(・∀ ・)「ん?」

(*゚ー゚)「はい?」

(*゚∀゚)「へ?」



lw´‐ _‐ノv「分雲町ってもともと子捨て山だったんだよね。
       それに姉者山ではたしか荒神を祀っているわけなんだけどさ」

(;・∀ ・)「……」

(;゚ー゚)「……」

(*;∀;)「   」


lw´‐ _‐ノv「案外、こういうのってどこにでもあるのかもしれないね?」



415: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 22:11:48.75 ID:bk6Zvl/A0
彼らは静かになった。
身近なリアルにけっこうな恐怖感がきてしまったのだろう。
外から聞こえる祭囃子がひどくむなしく感じられる。

lw´‐ _‐ノv「次、話す人ー」

促す意味でシューは挙手のジェスチャーをする。
だが誰からも挙がらない。
ビビらせすぎたようだ。
気付けば、手を挙げている者はシューしかいなかった。

lw´‐ _‐ノv「んじゃ、続けて語るとするか。
       そうだなあ、次はもっと気合い入れた怪談にしようか。
       んじゃ、今のに関連したジャパニーズホラー的なものとして “ 無縁仏 ” なんかの……」

(;・∀ ・)「そうだっ!!
      今こそ人生ゲームをやろうっ!!」

(;゚ー゚)「そうですねっ!!
     全力でやりましょうっ!!
     怖いことなんて忘れるくらいにっ!!!!」

(*;∀;)「……エグ、……ヒクッ」

(;´‐ω‐)「怖い話はここまでだね」

lw´‐ _‐ノv「……そだね」

彼女はちょっと疎外感を感じたが、こういうのはあまり話しすぎるものではない。
結果オーライということでシューは納得した。



417: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/30(木) 22:17:02.14 ID:bk6Zvl/A0
lw´‐ _‐ノv「でもなんだろ。
       なんだかさみしいような」

('A`) ゲンキダシナヨ

lw´‐ _‐ノv「……」

('A`) アトデキレバヘヤノオフダ、ハガシテクレナイ ?

lw´‐ _‐ノv「……」



彼女だけ余裕があったので、一人でこっそり片づけた。
ヒートがいたら心配するであろう後ろ姿だった。










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