( ФωФ)さとりごころのようです

113: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:20:36.78 ID:AkLWUr3d0
   



  六章 遥か彼方


     四話 ポップアウト




114: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:24:16.70 ID:AkLWUr3d0
椎名家からの帰り道。
彼らは星をみながら駄弁っていた。

季節は夏。
九時を過ぎた程度で、放射冷却されていてもまだ空気が生ぬるい。
朝に近づくほど肌寒くなっていくが、この時間にその冷気は期待できない。

……はずだった。


( +ω+)「そういえばさっきのお前の笑顔、なかなか可愛らしかったぞ」

彼の何気ない一言だった。
それが一瞬だけ空気を凍らせた。
シューはすばやく夜空から彼に視線をシフトする。

lw;‐ _‐ノv「おい」

(;Фω+)「ぬ?」

彼女の声は震えていた。
その時になって、彼はとんでもないボタンを押してしまったのでは、と不安になった。
ナイス直感、それ正解。

lw;‐ _‐ノv「わわ、わ、わたしうまくわらえてたの?」

(;ФωФ)「あ、ああ」

lw*‐ _‐ノv「マジ?!表情作れたの?!」



115: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:27:57.77 ID:AkLWUr3d0
  


lw*‐ _‐ノv「ィヤッホオオオオォォォォォォォイッッ!!!!」



彼女は喜ぶ。
しかし無表情。
いや、興奮しているのか、頬が少し赤みを帯びている気がする。
辺りは暗いので見間違いかもしれないが。
そしてシューよ、今が夜だということを忘れているだろう?

(;+ω+)「ヒートじゃあるまいし」

lw*‐ _‐ノv「いやだって、嬉しかったもので。
       私、顔パターンが脳にないから、自分で思った通りの表情できないのよ。
       それなのに笑えた!
       しかも可愛いって言ってもらえた!!
       私、進歩している!
       もう鉄仮面って馬鹿にされたり、冷徹だって言われずに済むんだ!
       これでニコニコ顔をマスターしたら、今後、嵐だってやり過ごせる!
       ざまあみろ、運命 ( バーカ ) !!
       これで私に襲いかかる数多の災難を乗り切れるぜぃっっ!!」


ここにヒートがいなくてよかったと、彼は心から思った。
もしいたらどうなったか、容易に想像できた。



116: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:31:50.41 ID:AkLWUr3d0
その後、砂尾家に帰ったシューはヒートに報告した。
当然、彼女は笑顔のことも話してしまった。
ヒートは我がことのように喜んだ。
彼は耳をやられた。

そして明くる日の朝、砂尾家の居間にて。

lw´‐ 皿ノv「笑えてる?」

( ФωФ)「悔しがってる」

lw;‐ _‐ノv「ノー……」


結論からいえば、あの時の笑顔は偶然だったらしい。
流石にかわいそうに思い、彼は慰める。

( +ω+)「まあ偶然にせよ、表情を出せたのだ。
        練習すればいつか顔の筋肉がほぐれるだろうよ」

lw´‐ _‐ノv「おい、筋肉がほぐれるってなんだよ?
       私の顔はそこまで鉄製なの?」

(;ФωФ)「すまん、失言だった」

lw´‐ _‐ノv「許さん。
       それに失言ってなんだよ、本心ではそう思ってるのかよ?」

とっさの問いに思わず彼は、心の中で肯定してしまった。



119: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:35:55.37 ID:AkLWUr3d0
(;ФωФ)「ぐわあああああああああああっっ!!」

lw´‐ ,‐ノv「ほれほれ」


シューは彼の腕を掴んでいる。
そしてそこにあるツボを押している。
そこは筋肉のつかない部分なので、はっきりいうと押すと痛い。
上から押されて、彼は立ち上がることができなかった。

lw´‐ ,‐ノv「ごめんなさいはー?」

(;ФωФ)「ご、ごめんなさい」

lw´‐ ,‐ノv「うん、分かった。絶対許さないけど」

(;ФωФ)「ぎゃああああああああああああっっ!!」




ノパ听)「……今日も平和だねえ」

('A`) ソウダネ


離れたところでヒート ( と余分な何か ) は眺めていた。



121: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:40:58.61 ID:AkLWUr3d0
ノパ听)「さてと」

ヒートは立ち上がり、外出の準備をする。
そして戯れている二人に声をかけた。

ノパ听)「ちょっとお墓参りいってくるね」

lw´‐ ,‐ノv「む」

ヒートの一言にシューは敏感に反応した。
彼もようやく解放されて、一息ついている。

lw´‐ _‐ノv「私もいったほうがいい?」

ノハ*゚听)「いやいや、今日のところは私だけでいいよ。
      簡単な掃除だけだし、お供え物も用意するのに時間かかりそうだしね」

lw´‐ _‐ノv「分かった。
       んじゃ明日からいくことにするよ」

ノハ*゚听)「うん、それでお願いね」

(;+ω+)「ふぅ……ふぅ……。
        しかしなんでまた墓参りに?」

彼の疑問に姉のほうは呆れ顔に、妹のほうは無表情ながら眉間を押さえた。
シューには「なんて駄目な子」なんて言われる始末だ。
ヒートはため息を吐いて、彼に教える。

ノハ;゚听)「一応、今日からお盆なんだけどね」



124: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:45:34.66 ID:AkLWUr3d0
( ФωФ)「……ああ、忘れてた。
        そういえばそんな時期か」

lw´‐ ,‐ノv「ロマが今、すっげえ罰あたりな発言したよ」

罰あたりだろうが、彼は気にしない。
どう頑張っても墓参りなどできないのだから。
そこでヒートは問うてきた、「……もしかして私がここにとどめたから?」
もちろんそれは関係ないので、彼は否定した。

( +ω+)「いや、私の祖先がどこで眠ってるか分からないだけだ。
        だから私には関係のない行事だと思ってたのだ。
        どこかに墓があろうと、どうせ今年も帰れないからな」

ノハ;゚听)「さらりと重いこといったよ、この人っっ!!」

( Фω+)「まあ世間では重い話題だろうが、慣れたしな」

だから彼はこの話題をあまり話さない。
慣れるだけ多くの反応をみてきたからだ。
それらの相手をするのも面倒になってしまったのである。

彼の肩に手が置かれる。
シューだ。

lw´‐ _‐ノv「同情してやろう。
       私の境遇を聞いた時と同じくらい同情してやろう」

……こいつ、意外に根に持つタイプかもしれない。



125: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:48:59.13 ID:AkLWUr3d0
ノハ*゚听)「んじゃいってくるねー」

ヒートは手を振り、居間を後にする。
少しして、玄関の戸の開閉する音がきこえた。
さて、残された者たちはなにをして時間を潰すのだろうか。

lw´‐ _‐ノv「んじゃちょっくらイメトレしてるわ」

( ФωФ)「暇だから後でみてもいいか?」

lw´‐ _‐ノv「邪魔しなければ別にいいよ」



(*ФωФ)「……そういわれるとしたくなるな」

lw´‐ _‐ノv「……気持ちは分かるけどその場合、パワーをメテオに変えるよ?」


邪魔した時は命がけで制裁するらしい。
刀でも振り回すのだろうか?
まあシューの冗談なのは分かるけど。

lw´‐ _‐ノv「んじゃ部屋にいってイメトレしてるよ。
       勝手に入ってきてもかまわないから」



127: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:53:06.15 ID:AkLWUr3d0
シューは断りをいれて自室へ向かう。
こうして居間には彼一人だけが残った。
……いや、もう一匹余分なのがいるのだが。

('A`) ヒマダー

( +ω+)「ふむ」

彼もやることがなく横になろうとしたが、ふと、いいアイディアが浮かんだ。
彼とこの霊ならば、出来る遊びがあるのだ。
ありがたいことに半透明の男も空気を読んでくれた。

('A`) アーアー…  ……アー


('∀`) オーケーデス

( Фω+)「よし!」


彼らは目を輝かせる。
ヒートやシューがいたら絶対できないであろう遊びをしようというのだ。
志の高い兵どもを止めるものは誰もいない。


――――― さあ、全力で戯れようか。



130: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 22:59:08.99 ID:AkLWUr3d0
('A`) 『何ダ貴様ハ! 何者ダ!?』

( ФωФ)「『よくぞ聞いた。
         我輩は宇宙大魔王杉浦ロマネスク!
         この地球を征服しにB78星雲からやってきた悪の帝王だ!!』」

('A`) 『フザケルナ!
     コノ正義ノひーろー、ますく仮面ガイル限リ、ソンナ悪事ハ許サンゾ!!』

( ФωФ)「『何ィ、正義のヒーローだとぉ!?
         それはいい! ならば今ここで貴様を倒せば、我輩の悪のステータスも上がるというものだ!!』」


(;+ω+)「ククククク……
        行くぞ、マス……グファッッ!!!!」

(;'A`) ッ !


台詞が途切れた。
彼の頭めがけてメテオが降ってきて、床に落ちたそれは勢いよく跳ねた。
当然、彼は無事では済まない。
頭を押さえてうずくまっている。

やがてメテオらしき物は動きを止め、その正体を知ることができた。……目覚まし時計だった。
転がったそれを拾い上げ、魔導士は言った。


lw;‐ _‐ノv「悪寒を感じて駆けつけてみれば……なにやってくれてんのさ?」



133: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:02:56.24 ID:AkLWUr3d0
(;+ω+)「いいではないか。
        暇だったのだから」

lw#‐ _‐ノv「黙れ。
       こういうのはいろんな方面で怖いんだよバカアホマヌケっ」

(;+ω+)「大丈夫だ。
        誰もみてないから。
        お前も何かになりきってみればいい……例えばラスカとか」

lw#‐ _‐ノv「あんな T シャツ持ってないよっ。
       これ以上そういう話続けるなら、脳削るよっ!!」

(;'A`) マアマア、オチツイテ

lw#‐ _‐ノv「貴方はちょっと生きてた時の痛みを思い出せよコラっ」

(;'∀`) ア、ア、ケラナイデ


そこからはもう散々だった。
シューが暴れ、彼はフルボッコにされた。
霊の男は何度も蹴られていたが、なぜか嬉しそうだった。


ほんの十分程度で嵐も治まってくれた。
ただ、彼はシューの部屋に強制連行されることとなった。



136: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:07:31.64 ID:AkLWUr3d0
lw;‐ ,‐ノv「ったく、意識を集中させようってときに」

(;+ω+)「……っつぅ、頭が痛い」

lw;‐ _‐ノv「ほれ、これで冷やしてな」

(;+ω+)「ん、ありがとう」

シューは自分の部屋に戻ってくる前に、台所から氷をとってきていた。
ビニール袋に入れられたそれを彼にわたす。
彼は受けとった氷袋を頭に押し付ける。

( +ω+)「ひんやりしていて気持ちいい〜」

lw´‐ _‐ノv「そこらへんで横になって休んでるといいよ。
       んじゃ私はイメトレしてるから」

言われたとおり、彼は横になる。
シューはニット帽を脱ぎ、畳の上に半跏趺坐で座りこむ。
そして彼女は目を閉じる。
いつも薄目の彼女が目を閉じたところで、違いはあまりみられないのだが。

遠目だと坐禅にしかみえない。
しかし、やっていることは瞑想だ。

シューの部屋は、外から入ってきた蝉の鳴き声しか聞こえなくなった。



137: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:12:00.31 ID:AkLWUr3d0
lw´‐ _‐ノv

( Фω+)(……ふむ)

彼はこっそり感覚の目を開ける。
白は紅く、灰色は黄色く、黒は緑に。
色は混ざり、そして分かれ、滲み、点在する。
この異状な視界で、彼はいつも心霊現象を読みとってきた。

シューを見る。
イメトレを始めて一分も経たないのに、彼女の周りで変化がおきていた。
それは昨日、寺で彼女に起こったのと同じ現象だった。


……色の薄色化だ。


実は彼自身、この視界を覆う混色フィルターの正体を正確に理解していない。
だが、彼はこれまでの人生で多くの心霊現象に触れてきた。
それ故なんとなくではあるが、色がどういうものなのか考察できている。

霊たちは色を強くもっていたから。

シューの少女っぽい地平線がゆっくりと膨らんでは元に戻る。
その呼吸にあわせて、彼女自身から色の粒が放出された。


おそらくだが、彼女は周囲の何かをとりいれている。
彼が色と認識できるような何かを。



139: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:16:30.99 ID:AkLWUr3d0
lw´‐ _‐ノv

( Фω+)

十数分ほど経過した。
色の粒が出たり入ったりを繰り返している。
さすが神通力なだけはある、と彼は思う。
こういう現象は彼とて滅多にお目にかかれないのだ。

lw´‐ _‐ノv

( Фω+)(ん?)

彼は横になってずっとシューをみていた。
そしてシューは今、ニット帽を被っていない。
だから彼女より早く異変に気づけた。

今日の彼女の T シャツには 『 老人に席を強請ろう!! 』 と書かれていた。
読みが “ ゆすろう ” なのか、 “ ねだろう ” なのか迷うところだ。
だが今は、席の字が黒く塗りつぶされていた。

つまり 『 老人に■を強請ろう!!』になっているのだ。
“ ゆすろう ” でも “ ねだろう ” でも、潰されたところに入る文字によっては危険ワードになる。
黒塗りされた席の字に視線をむけると、 黒い部分は徐々にだが広がっているようにみえた。
この現象は彼にも覚えがある。


数日前の黒い少女が、彼の頭の中に現れた。



141: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:20:27.58 ID:AkLWUr3d0
(;ФωФ)「おい、シュー」

lw´‐ _‐ノv

彼は起き上がり、すぐにシューに近づく。
ニット帽をしてないので、今日の彼女は倒れていない。
が、彼のよびかけにも反応を示さなかった。

(;ФωФ)「シューっ!」

揺すろうとして、彼はシューの肩に手を置こうとする。
その直前で彼は空気が振動していることを知った。

lw´‐ _‐ノv「     ブツ…   ブツ… 」

(;Фω+)「……あの時の呪文か?」

彼女は何かをいっている。
しかしほとんど声になっていない音なので聞きとれない。
いよいよまずいと思った彼は、強く彼女の肩を叩く。

と同時に彼女も彼の手を掴んだ。


lw;‐ _‐ノv「……」

(;+ω+)「目が覚めたか?」

彼は問いかけた。



142: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:23:03.97 ID:AkLWUr3d0
シューは彼に視線を送る。
表情が若干強張っているように感じた。
触れた彼の手のひらから、彼女が震えている事実を知った。

なにかよくない記憶でも見たのだろうか?
彼は再度問いかけようと顔を近づける。

(;Фω+)「大丈夫か?」

lw;‐ _‐ノv「っ!」

シューは後ろに身を引いた。
その様子をみて、彼は黒い少女の言葉を思い出す。

『 怖いんですよ。顔の見えない人たちが怖いから嫌いなんです 』


( Фω+)「……怖かったのか?」

lw;‐ _‐ノv「そりゃあ、顔なんてワケワカランものが視界を占領してたらね。
       集中してたわけだし、ロマに注意むけてなかったし」

( +ω+)「すまん」

lw;‐ _‐ノv「頼むから予想外の行動をとらないでおくれ。
       心臓とまるから」

誰よりも早く記憶をみる少女がいう。
そんな力をもつ者に対して、予想外の行動なんてそうそうとれるものではないのだが。



143: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:26:53.49 ID:AkLWUr3d0
lw;‐ _‐ノv「それよりどうしたの?
       ちょっかいかけるためとか言ったら、全力で警察呼ぶからね」

(;ФωФ)「呼ぶな呼ぶな。
        それよりお前、自分の腹をみてみろ。
        墨が湧きでてるぞ」

lw;‐ _‐ノv「え……あ、ホントだ」

( ФωФ)「軽くシャワーでも浴びてこい」

lw´‐ ,‐ノv「……そうだね」


そんなわけでシューは着替えを用意して、風呂場へ向かった。
T シャツは無地の黄緑のものを選んでいった。

目の前で替えの下着を押入れからとりだしてたが、本人は気にしていなかった。
まあ洗濯では一緒に洗ってるみたいなので、いまさら羞恥心も湧かないのだろう。
シューがシャワーを浴びている間、彼は彼女の部屋で待機していた。

しばらくして、再びシューがこの部屋に現れた。


( +ω+)「体から墨が出ていたのだろう?
        黒の T シャツは着ないのか?」

lw´‐ _‐ノv「これから暑い時間をすごすのに黒はないよ。
       さすがの私でも熱中症になりかねないから」



146: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:30:52.74 ID:AkLWUr3d0
( Фω+)「……今みた感じでは、墨がでてないな。
        止まったのか?」

lw´‐ _‐ノv「一時的なものだったみたい。
       こういう症状は始めてだよ」

( ФωФ)「そうなのか?」

lw´‐ _‐ノv「うん」

シューが言うには、墨がでるのはいつも力が暴走する直前らしい。
暴走のプロセスは次の通り。

1.体から墨がでる
2.力が暴走、記憶の海へようこそ
3.力が治まる
4.墨が止まる
5.“ 私 ” をリカバリー


lw´‐ ,‐ノv「つまり、体から墨が出たらしばらく出っぱなしなんだよ。
       すぐ止まるなんてこれまでなかったよ」

( ФωФ)「……イメトレが成果を出したのか?」

結論はでない。
しかし、シューの力は少しづつ変化をみせているらしい。



147: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:35:17.73 ID:AkLWUr3d0
lw´‐ _‐ノv「墨を抑えたとも、暴走しかけたとも考えられるね」

( +ω+)「喜んでいいかどうか迷うところだな。
        そういえばまた何か呪文唱えてたぞ」

lw´‐ ,‐ノv「……それは知らなかったよ」

気づかないほど集中していたのか、それとも記憶の海に溺れかけたのか。
やはりここでも結論はでない。
それより、と彼は疑問に思ったことを聞いてみた。

( ФωФ)「あの呪文はいったい何なのだ?」

lw´‐ _‐ノv「さあ?
       適当に記憶を読みあげちゃったんじゃない?
       記憶の海に溺れかけると、自分の思考なんて彼方へ飛んじゃうからね」

( Фω+)「そんなものなのか」

だから呪文を唱えているとき、シューにその記憶が残らないのだ。
そう彼女は話した。

つまり、そのときの彼女はトランス状態になっているのだ。
その状態の彼女ならば、物の記憶も容易に吸いとれるだろう。
誰かの生前の記憶を読むのもかんたんだ。


……シューの力は、彼女すら知り得ない情報をもってくるだろう。
彼はそこに危険を感じた。



149: ◆pGlVEGQMPE :2010/12/31(金) 23:39:56.44 ID:AkLWUr3d0
lw´‐ ,‐ノv「しっかしさあ。
       ただでさえおかしな刺青してるのに、さらに墨の紋様が浮かんでくるって……。
       本当に女の子としてどうなのよ、これ。
       私はどこぞのシャーマンかよ?」

( ФωФ)「シャーマンキングの妻になれるのではないか?」

lw´‐ _‐ノv「……気味が悪いのは自覚できてるから一生独身でいい。
       将来の夢は石女なわけだしね」

なかなか悲しいことをいう。
素材が素材なのだから引く手数多だろうに。
児童ポルノ規制がどうとか騒がれているしな、と彼は思い、シューを憐れんだ。

そこでシューが一言。


lw;‐ _‐ノv「頼むからそんな怖いこと考えないでおくれよ」









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