( ФωФ)さとりごころのようです

161: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:17:23.48 ID:0oJIG6LT0
   



  六章 遥か彼方


     五話 カクテルパーティ




162: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:21:44.41 ID:0oJIG6LT0
町のスピーカーが十二時を知らせる。
そのブザー音はシューの部屋にも届いた。


四枚。
その数字はシューが今日着た T シャツの枚数だ。
二人はそれらを畳に並べて観察していた。
文字入りのものは今日のはじめに着ていたものだけだ。
それ以降は無地のものになっている。

( ФωФ)「ふむ、やはり墨が少なくなっているな」

lw´‐ _‐ノv「やっぱり私の力、変化してるのかな」

これは彼が思いついたことだ。
二枚目の T シャツでシューが再びイメトレしていたら、また墨が湧きでたのだ。
再びシャワー浴びようと風呂場へむかう彼女に、彼は待ったをかけた。
もしかしたらまたすぐに止まるだろうと考え、それならどのくらい墨がでるかみてみようと提案したのだ。

そして腹と背中の部分が黒ずんだ T シャツが四枚できた。
これに対し、シューは「ひどいじゃなイカ!!」とか意味不明な供述をしており。
……まあ犠牲になったものたちを思い、悲しんでいたっぽい。

lw´‐ _‐ノv「二枚目からは止まるまで着てたせいで、墨の着色部分が大きいね。
       三枚目、四枚目とつづくにあたって、着色部分が小さくなってるのはどうしてだろう?」

( Фω+)「イメトレが原因だとしても、すぐにいいイメージに変えるなんて無理だからな。
        お前……もしかして力の制御のコツでも掴んだのか?」



166: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:26:16.20 ID:0oJIG6LT0
lw´‐ _‐ノv「うーん、実感湧かないわ。
       単純に異状への慣れとかじゃないのかな?」

二人は顔を見合わせ、首をひねる。
ちなみにお昼時だが、彼らは昼飯の準備はしていない。
ヒートが弁当を買ってくると連絡してくれたためだ。


( +ω+)「今日は他にもおかしな点があったな」

lw´‐ _‐ノv「なになに?」

( Фω+)「墨がでるのは暴走の前兆っていったよな?
        そのわりには今日、お前が頭を押さえる姿をみていないのだが」

lw´‐ _‐ノv「そういえば今日はそんなに痛まないね。
       でも一応、刺青の結界は働いているよ。
       少しクラクラするだけで、頭痛はないけど」

( +ω+)「……今日のお前の力は色々ちぐはぐな点があるな」

lw´‐ _‐ノv「つまりどういうこと?」

( ФωФ)「不安定なりに制御出来てきてる、というところか?」

lw´‐ ,‐ノv「……その答え聞いて、私、どんな反応をすればいいんだろうね?」

知らんよ。
お前が考えろ。



167: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:29:13.61 ID:0oJIG6LT0
彼らが腕を組んで考えていると、遠くのほうから玄関の戸を開ける音がきこえた。
ヒートが帰ってきたようだ。

lw´‐ _‐ノv「とりあえずお昼にしようか」

( +ω+)「だな」

部屋をでて、居間へ向かう。
廊下の途中でヒートと顔をあわせた、「ただいまーっ」「おかえり」
三人で居間に入り、ヒートは両手にもっていたビニール袋の片方をテーブルに置く。
もう片方は床のすみに置いた。

ノハ;゚听)「いやあ、今日もあっついねー」

( ФωФ)「この家は涼しいのだがな」

lw´‐ _‐ノv「周りに緑が多いからじゃないの?
       一応神社だったのがすぐそこにあるしね」

ノハ;゚听)「それだけが救いだよ本当に」

lw´‐ _‐ノv「弁当はなに買ってきたの?」

ノハ*゚听)「じゃじゃーんっ!!」

ヒートはテーブルに置いたビニール袋の中から、容器を三つとりだす。
そして得意げに彼女はいった。

ノハ*゚听)「温泉卵弁当、三人前、おまちっっ!!」



171: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:33:06.35 ID:0oJIG6LT0
( ФωФ)「……なんだそれは?」

lw´‐ _‐ノv「あー、ロマは知らないんだっけ。
       妹者丘で経営している温泉で買えるんだよ。
       ぶっちゃけちゃうと温泉卵入り牛丼みたいなの」

ノハ;゚听)「いや、それはいわないであげて。
      ただでさえ田舎の温泉なんだから。
      外から来た人をガッカリさせたら営業妨害で訴えられるよ」

lw´‐ _‐ノv「大丈夫、牛丼もおいしいから」

( Фω+)「なるほど、牛丼か」


ノハ;゚听)「……」


ノハ*゚听)「ま、いっか。
      それなら早く、この牛丼を食べましょう!!」


三人に牛丼が行き渡り、そして手を合わせる。
そしてそれぞれの口を合わせて、「いただきます」



173: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:37:32.19 ID:0oJIG6LT0
三十分程度で皆、昼飯を食べ終えた。
牛丼を入れてきたビニール袋に、空の容器をいれる。
ごみも片付け、三人は冷蔵庫で冷やしていた麦茶に口をつける。
コップ片手にヒートは思いだしたように言った。

ノパ听)「そういえばさ、シューになにかあったの?」

( ФωФ)「ん?」

ノパ听)「だって着ている T シャツ、朝と違うよ」

lw´‐ _‐ノv「あー……そうだね」

今、シューは薄紅色のものを着ている。
もちろん無地のものである。
さきほどの墨が原因だ。

黒い T シャツなら、たとえ体から墨が湧きでても気にならない。
しかし暑い時間帯に黒い服など着られるわけがない。
なので、汚れても問題ないと思われるものをチョイスしたのだ。

もちろんシューのチョイスだ。
ことごとく無地のものを選んだのだ。
よほど文字入り T シャツが大切なようだ。

それをシューに読みとられると彼女は反論した、「それらはオシャレだから」
彼は彼女の感性を疑った。

大丈夫かこいつ、と。



175: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:42:33.86 ID:0oJIG6LT0
とりあえず彼らは朝からこの時間までの出来事を簡潔に話す。
ヒートは黙ってきいてたが、彼らの話が終わったところで疑問をぶつけた。

ノパ听)「でもさ、ロマさんが教えてからまだ一週間も経ってないよ。
     そんなに早く変化するものなの?」

( ФωФ)「ああ、それか。
        まあそういうものだからな」

そもそもなんらかの力なり験なりを身につけるのは大変なことだ。
昔はそれこそ荒行なんてものもあった。
そういう修行はたしかに長い時間がかかるのだろう。

なぜならば、その人たちは力を持っていないから。
持ってない験を得ようとする修行は、人生を費やしても得られないかもしれない。


だが、シューは違う。
さまざまな偶然により、験と呼ばれるようななにかをすでに持っている。
ならば後はそれに気づき、コントロールするだけなのだ。


( +ω+)「自らの内にある力ならば、あとは本人の努力次第だからな。
        シュー自身、昔から霊の類がみえたのであろう?
        コントロールしようとしてなかっただけで、記憶をみる力とも付き合いが長い。
        だから順応性も高いのだろう」

才があるということだ。
とても嫌な才だが。



177: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:47:41.81 ID:0oJIG6LT0
lw´‐ ,‐ノv「なるほどなるほど。
       シューちゃん、スーパーヒロインか」

( Фω+)「なんだそりゃ?」

lw´‐ _‐ノv「私、神様に愛されガールってことでしょ?」

ノハ*゚听)「ま、実際そうなんじゃないかってくらい天才少女だったりするもんね、シューって。
      私が高校三年の頃、よく受験勉強につきあってもらったしね」

(;+ω+)「……おい、流石にそれはおかしくないか?」

普通に考えればありえないことだ。
もし本当ならば、シューの頭脳は同世代よりずば抜けているといっていい。
以前、シューは学年成績一位だと教えてもらったが、それほどのレベルだとは思いもしなかった。

lw´‐ _‐ノv「そのころあたりから記憶をみる力を授かったわけでね。
       だから手探りでいろいろみてたわけなんだよ。
       それで受験シーズンの頃になってヒー姉が困ってたから、力を使ってみたの。
       私はみた記憶を覚えて教えただけだよ」

(;+ω+)「……たしかにお前の力は天から授かった才みたいなものだが。
        それを天才と表現していいのか?
        というかテストの時、カンニングとかしてないだろうなお前?」

lw´‐ _‐ノv「むしろカンニングしたら間違うでしょうが。
       なんで九十未満の点数の奴らをみなければならんの」

大真面目な声で言ってのけた。
記憶をみて不正をしているのではなく、本当に頭がいいらしい。



179: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:52:00.64 ID:0oJIG6LT0
( ФωФ)「……ちなみにいつもどのくらいの点数なのだ?」

lw´‐ _‐ノv「中学校の百点満点のテストでたまに満点とってたよ。
       今までの最低点は九十ジャスト。
       現国の小論文には消えてなくなってほしいね」

(;ФωФ)「まじか?」

lw´‐ _‐ノv「大マジ」

ここで高校のテスト結果をあげなかったのは、まだ二回しか受けていないからとのこと。
それでもいままでの高校のテストでも平均点九十以上だったらしい。
なんなのだろう、こいつ?


( +ω+)「人は見かけによらないのだな」

lw´‐ _‐ノv「私の見かけはアホの子か?」

ノハ*゚听)「大丈夫、人間アホの子にみえるくらいなのが可愛いんだよっ!!」

lw´‐ _‐ノv「……ヒー姉、それフォローになってないッス」

まああれだ、天才と変人は紙一重だということだ。
シューは紙一重で変人なのだが。
それで自らを「神様に愛されガール」といってしまう痛い子なのだ。

lw´‐ _‐ノv「変人と思われるのはいいけど、痛い子と思われるのはいやだなあ。
       そういう悲しいこと考える人にはちょっとご褒美をあげないと」



181: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 00:55:59.15 ID:0oJIG6LT0
( Фω+)「どんな褒美だ?」

lw´‐ _‐ノv「選択できる権利を与えようか。
       右脳と左脳、次に目覚まし時計をぶつけられるならどっちがいい?」

(;ФωФ)「どっちもお断りだっ」

彼は思わず、朝の戯れの時に当てられた部分をさする。
不自然な膨らみがあり、触れると痛い。
こぶができていたことを今はじめて知り、彼は落ち込んだ。


それから特にやることのない三人は適当に駄弁った。
この番組の司会者がどうだとか。
晩飯なににするかとか。
次に雨が降るのはいつなのかとか。

ノハ*゚听)「五日後に雨が降るらしいよ。
      多分そこあたりですずしくなってくるでしょうね」

lw´‐ ,‐ノv「それはありがたいね。
       私、夏は本当に苦手だから」

( Фω+)「ニット帽だからな」

ノハ*゚听)「私は夏、好きだけどねえ。
      夏生まれだってことが関係してるのかな?」

lw´‐ _‐ノv「私は秋生まれだから秋が好き」



183: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:00:34.78 ID:0oJIG6LT0
( ФωФ)「そうだったのか」

ノハ*゚听)「意外だった?」

( +ω+)「いや、けっこう予想通りだ。
        シューなんて名前からすぐ分かるものだしな」

ノパ听)「あ、そういえば。
     シュー、貴方、宿題やってる?」

lw´‐ _‐ノv「夏休みのはじめの一週間で大体は。
       残るは読書感想文だけだよ」

(;Фω+)「……お前が優秀だと違和感あるな。
        まあいい。ところで読むものは決まっているのか?」

lw´‐ _‐ノv「うん。
       『 タイムマシン論 』 にしようと思ってる」

ノハ;゚听)「……以前読んだことあるけど、あれって学術書の類じゃなかったっけ?」

(;+ω+)「なんの感想を書く気なのだ?」

lw´‐ _‐ノv「夢があっていいじゃん。
       特異点さえあればワープできるなんてすばらしいと思わない?」

まずデロリアンみたいな乗り物を作ってくれ。
「それ、再提出くらいそうじゃない?」、ヒートはぼそりと呟いた。



187: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:05:20.21 ID:0oJIG6LT0
そうこう話しているうちに、いつのまにか十三時を回っていた。

lw´‐ _‐ノv「さて、ちょっくらイメトレしておこうかな?」

ノハ*゚听)「私はやることないから自室で本でも読んでるよ」

( ФωФ)「それなら私は全力で戯れるとしよう」

ノパ听)「?」

lw´‐ ,‐ノv「……ロマは黙って私についてこい」

午後からそれぞれが予定を述べる。
そしてこの場は解散しようという流れになった時、玄関の戸が開く音がきこえた。


「ごめんくださーい」
「ごめーんくださーいっっ!!」
はじめにそれなりの音量で、次いでヒートっぽい元気はつらつな大声がした。
彼らには聞き覚えのある声だった。

lw´‐ _‐ノv「はいはい、今行きますよー」

ノパ听)「どうしたんだろ?」

( ФωФ)「さあ?
        遊びに来たとか?」



189: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:10:16.94 ID:0oJIG6LT0
シューは訪問者を迎えるため、玄関へゆく。
そこには三人の子供たちが立っていた。
一人は中学生の女の子。
一人はその妹。
そしてもう一人は、同じく中学生の男の子。

(*゚ー゚)「すみません、いきなり押しかけてきて……」

(*゚∀゚)「遊びにきたよ!!」

lw´‐ _‐ノv「うん、用件は分かった。
       まあ三人とも上がりなよ」

どうせ午後にやることといえばイメトレくらいしかなかったのだ。
遊びにきてくれたならどんな子でも歓迎してやらねば、と彼女は思う。
二人は言われたとおり、靴を脱いだ。

lw´‐ _‐ノv「貴方も上がりなよ。
       あ、でもそのバットは玄関に置いておいてね。
       室内では野球出来やしないんだし」

(,,゚Д゚)「……」

「別にとって食おうとしてるわけじゃないのだけど」、シューは彼の肩に腕をかけてこっそり言う。
少年は慌てたが、彼女は特に気にしなかった。
そのまま内緒話を続ける。

lw´‐ _‐ノv( 貴方は殺人犯になりたいの? )

(,,゚Д゚)( …… チッ )



190: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:12:30.63 ID:0oJIG6LT0
しぃたちとギコは幼馴染なのだ。
家もわりと椎名家の近くにある。
だから少年は彼女たちと外でばったり会うこともあるらしい。
今回はそのように彼女たちに会い、シューに遊びにゆく旨を聞いて、少年もついてきた。

砂尾家のニット帽少女は素早くギコから情報を読みとった。

lw´‐ _‐ノv( 私を恨んでるのはわかるけど、最近過激じゃね? )

(,,゚Д゚)( 普通に飛びかかっていったら、いつも返り討ちにされたじゃねえか…… )

だから過激にならざるを得ないとギコは思う。そしてシューは読みとる。
シューは記憶を読み、そして心を読む。
故にこの少年がとる過激な方法にも対処できる。


なんらかの武器を持っていたら投石する。
投石されたらよける。
どこを殴ろうとしていても避ける。
奇襲されそうになってもすぐ察知する。

だからギコはシューに勝てない。
まあ、なんらかの格闘技をやっていたなら話は変わるが、少年は素人なのである。

(*゚∀゚)「あー!!なに内緒話してるのーっ!?」

lw´‐ _‐ノv「ん、ギコくんがね、こんなこと言ってるんだ。
       『 くやしい、でも男一人だと疎外感感じちゃう、ビクビク 』 ってね。
       だから他にも男友達呼んでみようかと思ってね」



193: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:16:50.29 ID:0oJIG6LT0
(;゚Д゚)「俺はそんなこといってないっ!!」

lw´‐ _‐ノv「だいじょーぶだいじょーぶ、お姉さんは分かってるって。
       ギコくんを一人ぼっちにしないからさ。
       でもここでダダこねちゃったら、ギコくんの好きな子バラすぞー?」

(*゚ー゚)「あ、それちょっと興味あります」

(;゚Д゚)「……え、あんた知ってるの?」

lw´‐ _‐ノv「ギコくん、耳を貸しなさい」

こうしてシューはうまく話をそらした。
そして少年の想い人の答え合わせをする。
記憶をみたので正解率 百パーセントなのが、ギコの不幸だろう。

(;゚Д゚)「ぎゃあああああああああああああっっ!!」

lw*‐ ,‐ノv「ふぉっふぉっふぉ、わったしーはなーんでーもしっているー♪」

(*゚ー゚)「シューさん、気になるので教えてください」

(*゚∀゚)「私にも教えて!
     私もギコをつつきたいのっ!!」

(;゚Д゚)「お前ら、聞いたら承知しねえぞ!!」


lw´‐ _‐ノv「……まあ男はショボン一人呼べばいいかな?」



194: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:23:00.00 ID:0oJIG6LT0
シューは客人を居間に招いた。
ギコをみた居候の彼が眉をひそめたが、シューが招き入れたなら、と深く考えなかった。
ヒートは純粋に遊びにきてくれたことを喜んでいた。

その後、シューは寺に電話した。
ショボンは「寺を抜ける良い言い訳になりそうだ」と少し嬉しそうだった。
昨日の結界の修行でもやってたのだろう。
とりあえずシャキンからオーケーが出たようで、すぐ向かうと言っていた。

そうしてシューが電話を終えて、今。


(*゚ー゚)「実は昨日の御礼に伺いました」

ノハ*゚听)「へえ、こんなに野菜をくれるとは。
      これは助かるよ」

(*゚∀゚)「そして遊びにきました!」

ノハ*゚听)「おー、それはありがたい。
      なにもないところだけどゆっくりしていってねっ!」

(,,゚Д゚)「……」

lw´‐ _‐ノv「でも本当になにもないんだよね。
       なにしてあそぼっか?」

( ФωФ)「缶けりとか体を動かす類がいいのでは?」

ノパ听)「うーん、今の時間帯だと外で走ったりすると日射病になりそうだけど?」



197: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:28:38.80 ID:0oJIG6LT0
lw´‐ _‐ノv「日陰でひっそり遊べるのがいいのかな?
       それともカードゲームやる?
       七人だから配られる枚数少なくなるだろうけど」

(*゚∀゚)「みんなでキャッキャッウフフしたい!!」

ノパ听)「ふーむ、それなら……」



ノハ*゚听)「花火でもやる?」



こうして彼らは明るいうちから花火をすることになった。
「貰いものだったんだけど夜はやる暇がなくてね」、ヒートは花火をとりだしてきた。
外は日差しが強かったので、シューが家の麦茶をもって家を出た。
彼は人数分の紙コップをもち、シューのあとにつづいた。

花火は下でやることになった。
下とは、砂尾神社の石段の下の空き地である。
ここの神社が機能しなくなる前は駐車場や催し物として使っていた。
先日は祭りの出店もこのあたりで営業していた。


彼らは木の影に水の入ったバケツを設置する。
シューと彼は日の当らないベンチに麦茶とコップを置く。
ヒートはチャッカマン片手に皆に注意事項などを話しはじめた。



198: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:32:43.49 ID:0oJIG6LT0
ノパ听)「火を誰かに向けないこと。
     草木やゴミを意識的に燃やさないこと。
     火の消えた花火はバケツの中に入れること」


ノハ*゚听)「守らなかったら鉄拳制裁ね。
      んじゃみんなーっ、たのしめーっっ!!」

(*゚∀゚)「おおおおおおおおおおおおおおおっっ!!」

ヒートのかけ声に答えたのはつーだけだった。
そも、夏の一番暑い時間帯に外で花火をやるのはおかしいと思わなければいけなかった。
「ヒートの提案に賛同したの誰だよ」、彼はげんなりしながら呟いた。

lw´‐ ,‐ノv「私だ」

(;+ω+)「なんだお前か」

ノハ*゚听)「暇を持て余した」

(,,゚Д゚)「神々の」


(*゚∀゚)「??……なにそれ?」

(*゚ー゚)「なにかの合言葉ですか?」

椎名シスターズの言葉が四人に突き刺さった。
真面目っ子と元気少女は、そのタイプの知識に疎いようだった。
なぜだろう。なにも間違えていないはずなのに、敗北感が彼らを包みこんだ。



202: ◆pGlVEGQMPE :2011/01/01(土) 01:36:56.62 ID:0oJIG6LT0
ノハ;゚听)「ま、まあギャグはこのへんにしておいて。
      みんな、好きなものをとるんだっ!!」

さきほどのやりとりをなかったものにしたいがため、ヒートは花火をやるよう促す。
皆は言われたとおり、それぞれ好きなものを手にとる。

しぃ、つーはオーソドックスなものを。
ギコは爆竹を。
ヒートは仕掛けのある花火を。
彼は紙コップを。
シューは煙玉を。



むし暑いお盆の十四時。
砂尾神社の石段の下で白っぽい煙が上がった。











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