('A`)が狭間で生きるようです

2: ('A`)が狭間で生きるようです :2009/02/28(土) 22:16:55.50 ID:MWBpUl+u0
西暦と呼ばれた20xx年。
世界は核の炎に包まれた。

社会主義国家として成功していたシーナ国。
その繁栄は国民の犠牲の上に成り立っていた。
情報統制され、仮想敵国を作り国民の不満を国家に向けさせないようにしていた
。しかし、その政策も情報の波には逆らえず、シーナ国の人間は遂に革命を成功
させた。

民主国家となったシーナ国を世界は喜んでいた。シーナ国の財政が傾くまでは。
全政権の有力者を死刑に処した民衆、しかし愚民として教育された彼らは国の運
営に失敗した時を、シーナ国は最も愚かな経済政策を打ち出した。

―戦争―

最も愚かな政策を打ち出したシーナ国は最も愚かな相手に戦いを挑んだ。
当時、世界で繁栄を謳歌していたシーナ国の同盟国アルメリア。
シーナ国はあろうことか、宣戦布告をせずに核ミサイルを発射した。



3: ('A`)が狭間で生きるようです :2009/02/28(土) 22:18:52.36 ID:MWBpUl+u0
軍事衛星により、情報を掴んでいたアルメリアはミサイル迎撃システムを作動さ
せた、してしまった。
それ故に核ミサイルは上空で爆発し、アルメリア全域は核の汚染に曝された。

その後は語ることが少ない。
第三次世界対戦に突入した人類。

アルベルト・アインシュタインが語った言葉に次のがある。「第三次世界対戦は
どうなるか分からない。しかし、第四次世界対戦は石とこん棒で戦うだろう」

誰もがそう思っていた。
しかし、人類はしぶとく生き延びた。
非常用に設置された核シェルター。人類以外を犠牲にした第三次世界対戦が終結
した後に人類はまた地上に上がった。生活は原始時代でありながら、知識はその
ままに。
そして、100年余り。人類はかつての栄華を取り戻した。

ビルが立ち上り、国家は前時代とほぼ変わらずに人類は世界をもう一度作り上げ
た。
それどころか、知識を受け継いだ人類は更なる発展を遂げていた。

電気に変わる新しいエネルギー、暗黒物質と呼ばれたものをエネルギーとするこ
とに成功した。
その天才の名前は、ハインリッヒ高岡。
彼女の発見は、エネルギーに留まらなかった。



4: ('A`)が狭間で生きるようです :2009/02/28(土) 22:20:55.41 ID:MWBpUl+u0
「ソウル」―魂―と名付けられたそれが、人間の脳に流れていることを実証した。
それも人の思考により変容し周囲の大気の「ソウル」に影響すら及ぼすことを。

世界は「意思」「心」の存在をそれだと認識した。
電気ではなく「ソウル」が意思や心の正体だと。

しかし、ハインリッヒの研究はそれだけに留まらなかった。彼女は森羅万象全て
のものが、人と同じように意思があるかのように「ソウル」の変化を見せること
を解明した。
人々はその事実を当初受け入れようとはしなかった。

自分達が勝手の限りを尽くしてきた自然が自分達と同じように意思を持つ。良心
の呵責どころではなかった。
しかし、そんな人々を嘲笑うかのように自然と「対話」する人間が現れ始めた。
そして、それは「対話」だけに留まらなかった。

自分の心―「意思」―をソウルに乗せ、己のソウルと自然のソウルを融合。
そして、自然と自分が融合した幽体を呼び出すことが出来る人々が現れたのである。
その人々は人口の約10分の1を占めるようになっていた。
その幽体を民衆はいつしかその人の剣「ソード」と呼ぶようになった。

「ソード」使いは、その特性により火を操り、嵐を起こし、また力が強いだけで
何の能力も持たないものもいた。
ソードを持たない民衆は恐れた。彼らが自分達を迫害するのではと。
そのために、各国は前時代の忌むべき発明「武器」を配備した。



5: ('A`)が狭間で生きるようです :2009/02/28(土) 22:22:31.41 ID:MWBpUl+u0

しかし、ソード使いはソードを持たないものとの争いを望まなかった。
前時代の惨劇を知っていたからだ。
むしろ各国の争いの際には自分達が面に立ち、武器を使わせないようにしていた。

民衆はそんな彼らを自然と対話出来るから優しくなれるのだと呟いた。
彼等は惨劇を繰り返したく無かっただけなのにも関わらず。

また、ソード使いは遺伝によるものでは無くコミュニティを作ることも無かった。
そうして、各国の争いが治まり更に100年の月日が流れた頃から物語は始まる。

自然と人との狭間の存在であるソード使い逹。
前時代の惨劇を忘れ始めた民衆。

そんな世界で、一人の青年もまた一つの狭間に生きていた。

('A`) 「二次元最高!!」

―ドクオが狭間に生きるようです―





プロローグ 終



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