('A`)が狭間で生きるようです

4: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:43:41.00 ID:GPH/+m570
第16話「切ない未来」sideブーン





( ^ω^)「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

 川 ゚ -゚) 「…」

ξ゚听)ξ「…」

ここ何日か僕らはろくな会話をしていない。
原因は分かっている。
ツンとクー先輩が喧嘩をしているからだ。
ドクオに対する想いで二人は喧嘩をしている。

人を殺したドクオ。
その行為を認めるか、認めないか。
認めるのならば、僕らは人を殺すことを認めることになる。
認めないのならば、僕らはドクオを認めないことになる。
どちらを選ぼうとも、僕らは大切な何かを失うことになる。



5: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:45:17.75 ID:GPH/+m570
それに気づいているからこそ誰も何も言わない。
僕は、皆と話したい。
皆と笑いあいたい。
その皆にはもちろんドクオも入っている。
だけど、その想いを叶えるためにはドクオのした行為を認めなくちゃいけない。

( ^ω^)「…」

沈黙にはいつまでっても慣れない。
誰かが口を開いても、その言葉はツンとクー先輩の沈黙にかき消される。
ショボン先輩もジョルジュ先輩も何回かこの状況を変えようとした。
その結果が、この沈黙だ。
だからこそ、僕は口を開かなきゃいけない。
空気を作る…とまでは、いかないまでも何かをしなくちゃ。
空気を読まない発言をするのが僕の良いところだと言ったのは、ツンだもの。



6: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:47:19.94 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「少し、話を聞いて欲しいお…」

 川 ゚ -゚) 「なんだ…」

ξ゚听)ξ「何…?」

二人は僕の話を聞こうとする。
ツンは僕の恋人だから、クー先輩は僕の先輩だから。
二人に話を聞いてもらえる僕が何かを話さなきゃ。
僕はツンの恋人で、クー先輩は僕の先輩、そして…ドクオは僕の友達だから。

( ^ω^)「ドクオのことですお」

 川 ゚ -゚) 「その話はいい…」

ξ゚听)ξ「私も話したくないわ…」

二人はドクオの話を拒否する。
友達同士で争うことに疲れたのか、それともただ考えたくないのか。
ここに閉じ込められて数日だけど、その疲労は並じゃない。
体力よりも神経をすり減らされる環境だ。
だけど、それでも僕はドクオの話がしたい。



8: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:48:13.97 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「僕は、ドクオのことを未だに友達だと思っていますお」

 川 ゚ -゚) 「ああ、私もだ」

ξ゚听)ξ「…」

ツンが言葉を閉ざす。
ドクオへの想い、自分への信念。
その間で何かが揺れているのだろうか。
この子の心を何よりも大切にしたい。
だからこそ、僕はこの質問を投げかける。

( ^ω^)「ツンは…どう思っているんだお?」

 川 ゚ -゚) 「…」

ξ゚听)ξ「…」

沈黙が場を支配する。
ツンへ問いかける想い。
ツン、僕は君が大好きだよ。
だからこそ、君に答えて欲しいんだ。



10: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:49:25.34 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「ツン…」

 川 ゚ -゚) 「…」

ξ゚听)ξ「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

沈黙が固定化していく空間。
このまま、また無意味に時が過ぎていくのか。
僕の恋人は、ドクオへの想いを口に出してはくれないのか。
焦る思いとは裏腹に、時計の針は少しずつその歩みを早めて行く。

( ^ω^)「ツン…答えて欲しいお。
僕は、君が大切だお。だけど、ドクオも大切なんだお。
二人が仲たがいする姿は見たくないんだお…」

ξ )ξ「…」



11: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:50:41.33 ID:GPH/+m570
(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

 川 ゚ -゚) 「…」

目の色を薄くしていくツン。
また、自分の殻に閉じこもりそうになる。
ツン、僕は君が大切だよ。
君と一緒に生きていたい。
だからこそ、この問題も二人で乗り越えたい。
そう思うのは、僕の勝手なのかな。

( ^ω^)「答えてはくれないのかお…」

ξ )ξ「…」

 川 ゚ -゚) 「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

沈黙に次ぐ沈黙。
駄目だ、僕の言葉ももう限界だ。
これ以上は、また場の空気を悪くするだけ。
ここが限界かな…。



12: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:52:24.84 ID:GPH/+m570
ξ )ξ「友達だから、認められないのよ…」

そう、思ったときにツンは答えてくれた。
ありがとう。
君の思いは必ず受け止めるから。

( ^ω^)「どういうことだお…?」

ξ )ξ「分かっているわ、無法地帯なこの場所で殺人を咎めるなんて出来ないって…
この命が、ドクオの殺人で成り立っているのも分かっている。
ドクオが殺人をしたくて、したわけじゃないことも…」

( ^ω^)「ツン…」

 川 ゚ -゚) 「…」

ξ )ξ「だけど、認められないのよ…」

自分の想いを語ってくれているツン。
その一つ一つに彼女の心の痛みが感じ取れる。
僕は君の言葉を聞きたかった。
だから、その心の痛みも受け止めるから。



15: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:54:42.70 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「ツン…」

ξ )ξ「認められないのよ…」

 川 ゚ -゚) 「…」

呟くように、押し殺して発する声。
痛々しいほどの様に、クー先輩は冷徹な目を向ける。
ああ、また何かが始まるのかな。

 川 ゚ -゚) 「勝手だな…」

(;^ω^)「クー先輩…!」

ξ )ξ「…」

クー先輩はその目と同じように冷徹な言葉を投げかける。
怒っているクー先輩は、相手に対する慈悲が無い。
それがたとえ後輩であったとしても。



17: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:55:57.36 ID:GPH/+m570
ξ )ξ「何が勝手だって言うんですか…」

 川 ゚ -゚) 「理由も状況もドクオの心根も分かっているのに、何でお前は認められない?
お前は助けられたん…」

ξ )ξ「勝手なのはどっちですか!!」

(;^ω^)「ツン…!?」

冷徹な言葉をかけるクー先輩にツンが大声で反論した。
そんな状況は初めてなので、僕は慌ててしまった。
ツン、君はまだ心に何か残しているのかい。

ξ )ξ「勝手なのはどっちよ…」

川 ゚ -゚) 「言ってみろ…」


(;^ω^)「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

好戦的になっていく二人。
二人を見ているしか出来ない三人。
僕達はどうなってしまうのだろう。



19: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:57:03.61 ID:GPH/+m570
ξ )ξ「ドクオは私達のために動いてくれた…
殺人もそのためよ…
だけど、ドクオは人を殺したのよ…」

川 ゚ -゚) 「だから、それは私達のせいでもあるだろうが!
仲間のしたことをお前はドクオ一人のせいにするのか!?」

ξ )ξ「仲間だからこそ認めないのよ!」

川 ゚ -゚) 「…!?」

ツンが一際大きな声を上げた。
そして、はっきりと「仲間」と言った。
ツンが、ドクオを仲間と言ったんだ。

ξ )ξ「私達のために殺した。
私達のために、ドクオは手を汚した…だけど…」

ξ )ξ「だけど…」

次に繋がる言葉をなかなかいえないツン。
もう少し、もう少しだけ聞かせておくれ。
君の言葉を。
この場を解放する、その言葉を。



21: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 19:59:30.12 ID:GPH/+m570
ξ;凵G)ξ「仲間の殺人を仲間が許したら駄目なのよ!」

 川 ゚ -゚) 「…!」

( ^ω^)「…!」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

泣きながら必死で言葉を振り絞るツン。
優しい心、厳しい想い。
その二つが合わさっているツン。
そして、その言葉。

ξ;凵G)ξ「ドクオは仲間よ! だけど、殺人は認めない!
私達に責任があるのなら私も背負う!
だけど、絶対に殺人を認めたりなんかしない!!」

言葉を続けるツン。
その言葉に宿る厳しさと優しさに涙が出そうになる。
君を選んだのが僕でよかった。
そう思える言葉だった。



22: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:01:02.06 ID:GPH/+m570
ξ;凵G)ξ「ドクオに殺人が許されるなんて思って欲しくないから!!
ドクオに簡単に人の命を奪って欲しくないから!!
ドクオを仲間と思っているから!!
だから、私は絶対に絶対にドクオの殺人を認めたりなんかしない!!」

 川 ゚ -゚) 「…」

( ^ω^)「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

君でよかった。
ただ自分のエゴのためにドクオを否定する人間じゃなくてよかった。
ドクオを認める、だけどドクオの殺人は認めない。
だけど、それでも僕らは仲間だ。
そう言う君でいてくれて良かった。

( ^ω^)「ツン、君の言うとおりだと僕も思うお…」

ξ;凵G)ξ「ウッウ…ブーン」



24: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:01:50.54 ID:GPH/+m570
川 ゚ -゚) 「…」

(´・ω・`)「…」

( ゚∀゚)「…」

泣きじゃくるツン。
黙りこくる先輩方。
でも、もう皆分かっている。
さっきまでの沈黙とは違うことを。

 川 - ) 「お前の…言う通りかもしれないな…」

クー先輩が口を開く。
それはツンの言葉の肯定。
そして、自分の過ちを認める言葉。

ξ;凵G)ξ「クー先輩…」

さあ、仲直りの瞬間だ。
怒りを解いたクー先輩。
意地を張るのを止めたツン。
二人の心が噛み合う瞬間だった。



25: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:03:32.79 ID:GPH/+m570
川 : -;) 「すまなかった、ツン…。仲間だからこその批判があったんだな…。
お前の言うとおりだ。全てを認めることが仲間ということじゃない…。」

ξ;凵G)ξ「クー先輩…違うんです。
私も、クー先輩に叩かれるまでドクオを仲間と認めていなかったんです…」

二人がお互いに、自分の非を認め合う。
それは、二人がお互いを受け入れてくれると信じられるからだ。
この光景をドクオに見せてやりたい。
お前のために、悩む人間が少なくともここにはいるんだ。
だから、早く戻って来てくれよ。

(´・ω・`)「やっと、これで元通りだな」

( ゚∀゚)「いやいや、違いますよ。前より良くなったんですよ」

(´・ω・`)「はは、確かにその通りだ」

( ^ω^)「おっお! とにかく良かったお!」

ようやく会話に入ることが出来た男子勢。
あ〜、長かったお!
でも、これでまた麻雀対決も出来るだろう。
良かった、良かった。



27: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:05:13.81 ID:GPH/+m570
\ξ;凵G)ξ/「くううううぜんばいいいいい!!!!!」

\川 : -;) /「づんんんんんんんんんん!!!!!!!!」

泣きながら、抱きしめあっている二人。
うんうん、良い光景だ。
ちょっぴり、うるさい気もするけどこの際その辺は置いておこう。
二人が仲直りしてくれたことが何よりもだ。

ξ;凵G)ξ「ごめんなざい!クー先輩!
私が悪かったんです!
私、クー先輩のムチムチボディにずっと嫉妬してたんです!!
だから…だから…!!」

 川 : -;)「私だって、ツンのその卵肌に嫉妬していたさ!」

話が少しばかり変な方向に行っているがまあ、いいさ。
そんなことよりも、二人が仲直りしてくれたほうが大切だ。



28: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:06:33.43 ID:GPH/+m570
(´・ω・`)「いやしかし、本当に良かったな。
一時はどうなることかと思ったが、二人を侮っていたな」

( ^ω^)「さすが、僕の恋人とショボン先輩の恋人ですお!」

( ゚∀゚)「ブーン、それ俺に対する嫌味?」

Σ(;^ω^)「ち、ちがいますお! 決してそんなつもりじゃ!!」

( ゚∀゚)「あ〜、俺だけ彼女いないんだよな〜。
ドクオもなんかレジスタンスで良いおっぱい見つけたっぽいしな〜」

(;^ω^)「す、すみませんでしたお!
ジョルジュ先輩はカッコ良いからすぐ彼女できますお!」

( ゚∀゚)「彼女いるやつに言われてもな〜。
俺傷ついちゃったな〜」

(;^ω^)「おっお…! す、すみませんでしたお…!!!」

(´・ω・`)「はは、それくらいにしといてやれよジョルジュw」

慌てふためく僕に見かねたのか、ショボン先輩が横から仲裁してくれた。
しかしながら、顔がにやけているのは何でだろう。



30: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:08:10.50 ID:GPH/+m570
( ゚∀゚)「ですかねw 久しぶりに喋れるんでつい意地悪してしまいましたよw」

(;^ω^)「お〜、でもなんかすいませんでしたお…」

(´・ω・`)「気にするなよ、ブーン」

Σ(;^ω^)「おっ!?」

申し訳ない気持ちになっている僕にショボン先輩が半笑いでそう言う。
なんだろう、二人とも何かを隠していますね?

(´・ω・`)「こいつは、おっぱいのために女を振るような男だ」

Σ(;^ω^)「おっ!? どういうことですかお!?」

( ゚∀゚)「たいした話じゃないよ。
俺のおっぱい哲学を分からない女と付き合う気がしないだけだ」

Σ(;^ω^)「え!?」

(´・ω・`)「今はマシになったけど、一時期は酷かったんだ。
【女よりもおっぱいの方が遥かに価値がある】なんて堂々と部室で言っていたからな。
おかげで告白しようとしていた女の子もドン引きさ」



32: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:11:16.24 ID:GPH/+m570
(;^ω^)「今もあまり変わらないんじゃ…?」

( ゚∀゚)「おいおい、今は単なるおっぱい好きさ。
おっぱい至上主義者は身を滅ぼすだけだと思ったからな」

(;^ω^)「あの、多分そういう問題じゃ無いと思うんですお…」

( ゚∀゚)「何が?」

真っ直ぐな瞳でそう答えるジョルジュ先輩。
えーと、僕達最初に何の話してましたっけ?
まあ、いいや。
二人はさっきまでの続きと同じようで、お互いの体の話をしている。
久しぶりに、皆で話をしたいな。
そろそろ、二人を呼んでみようかな。



35: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:12:53.38 ID:GPH/+m570
川 ゚ -゚) 「ところで、その肌はどうやって手入れしているんだ?
私にも教えてくれないか?」

ξ゚听)ξ「いや、石鹸で顔洗っているだけですよ。
クー先輩こそ、そのムチムチボディはどうやって手に入れたんですか?
マッサージ方とか教えてもらえませんか?」

川 ゚ -゚) 「別に何もしてないよ、勝手にこうなっただけだ。
それより、石鹸とか嘘言わないでよ。
男子に聞かれるのが恥ずかしいなら、耳打ちでもいいからさ」

ξ゚听)ξ「いやいや、本当ですって。私いつもすっぴんですし。
それよりも、クー先輩こそ嘘つかないでくださいよ。
そのボンキュッボンが何もしないで手に入る訳無いじゃないですか」

川 ゚ -゚) 「は? それすっぴんなの?
絶対、嘘でしょ? ていうか教えなさいよ、先輩だよ私。
それにこのボディは勝手にこうなったって言ってんじゃん。毎食のおかわりが秘訣だろうさ」

ξ゚听)ξ「毎食おかわり!? いやいや、クー先輩そういうのやめましょうよ。
後輩に嘘つくとかやめましょう?
それと、すっぴんですって。メイクとか面倒くさいですし」

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」



37: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:15:12.65 ID:GPH/+m570
あれあれ、何だろうこの空気は。
おかしいな、さっき仲直りしたはずなのに。
なんだろうこの不穏な空気は。

川 #゚ -゚) 「だから、このボディは天然だって言ってんじゃん!
それより、その肌の秘訣を教えなさいよ!
石鹸でそうなるわけないじゃん!」

ξ#゚听)ξ「ですから、本当に石鹸で顔洗っているだけですって!
それよりも、せめて胸の大きさの秘密を教えてくださいよ!」

川 #゚ -゚)「牛乳でも飲んでいればいいじゃん!
教えなさいよ! その肌の秘密をさ!
私がこの肌の手入れと、メイクにいくらかけていると思っているのさ!」

ξ#゚听)ξ「知りませんよ!
それよりも私が買ったバストアップの器具の方が絶対高いですよ!」

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」



39: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:17:18.35 ID:GPH/+m570
ああ、これはもう駄目だな。
また何日かは喋れなさそうだ。
ていうか、ツンそんなもの買ってたの!?
普段、お金なくてお昼ご飯を我慢していたのはひょっとしてそのせい!?

川 #゚ -゚)「何よ! この卵肌は!?
認めない! 私は絶対に認めないからな!!」

ξ#゚听)ξ「私だって認めない! そのボディが天然だなんて!
そんな天の不条理を絶対に認めないですからね!!」

川 #゚ -゚)「勝手にしろ!!」

ξ#゚听)ξ「ふん!!」

そうして、僕らはまた何日かの沈黙を余儀なくされることになってしまった。
小声でジョルジュ先輩が「あれはツンが悪い、貧乳でも巨乳でも関係無いのに…」と呟いていた。
うん、僕はそう言う問題じゃ無いと思うんですよ。
このメンバーの色々な面が分かる反面、どうなんだろうと思うことも多くなった。
だけど、やっぱりこのメンバーでよかったと思える。

なのに今は一人足りない。
それが僕にとっては気がかりで、皆にとってもきっとそうなのだろう。
まあ、今はそれよりもこの二人の方が気がかりだけど。



40: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:20:20.59 ID:GPH/+m570


それから二日後

(;^ω^)「あの…そろそろ二人とも仲直りした方が…」

川 #゚ 皿゚)ξ#゚皿゚)ξ「ナニカイッタ??」

(;^ω^)「いえ…なんでもないですお」

(;´・ω・`)「ブーン…触れるな…。
僕も口が皿になったクーを見るのは初めてだ…。」

(;^ω^)「僕もですお…。あんなツンは始めて見ましたお」

(;´・ω・`)「とりあえず、今は時間が解決してくれるのを待とう」

( ゚∀゚)「なんで、二人ともおっぱいついているのに喧嘩するんだろう?」

ジョルジュ先輩の意見はおいておいて、とりあえずこのまま待とう。
正直、この空気を下手に刺激したらまた股間を蹴られそうだ。
さすがにそいつは勘弁だ。

(;^ω^)「ていうか、ツンってスレンダーで良いスタイルだと思うんですお…」

(;´・ω・`)「うん、僕もクーの肌は綺麗だと思うんだ…」

( ゚∀゚)「まあ、確かに二人とも気にしすぎですよね」



44: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:23:08.15 ID:GPH/+m570
(;^ω^)「ですよね!?
ていうか、僕はツンの胸なら別に小さくても全然いいんですお!」

(;^ω^)「あっ…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「バカ…」

しまった、と思った。
前もこのパターンで蹴られたのに…。

ξ#゚皿(;^ω^)「…」

怖くて後ろが見れ…



45: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:24:49.50 ID:GPH/+m570














<ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!

<チイサイイウタンハウエノキンタマカ? ソレトモシタノキンタマカ?

<ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!ゴメンナサイ!

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」



46: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:27:54.65 ID:GPH/+m570
(※※ω※)「…」

(;´・ω・`)「お疲れ…」

(;゚∀゚)「おつ…」

一つの惨劇が幕を閉じた。
ていうか、おかしいよね。
僕はツンを肯定する言葉を言っただけなのに。
そう言えば昔猟奇的な彼女ってあったよね。

ξ゚听)ξ「全く学習しない男ね」←ブーンを痛めつけて少しスッキリした

川 ゚ -゚) 「女性の心はデリケートなのにな」←ツンの暴力を見て冷静になった

(※※ω※)「…」

二人が何だか知らない間に普通になっている。
これも自己犠牲の一種なのかな。
僕のおかげで二人が仲直りしたと思えば問題ない!(別にブーンのおかげではありません)



47: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:29:14.21 ID:GPH/+m570
コンコン

丁度良く、夜ご飯が来たみたいだ。
レジスタンスのメンバーが適当に、ご飯を持ってきてくれる。
昨日までは、面倒くさそうに侮蔑に満ちた目で僕らにご飯を運んできてくれていた。
だけど、今日の朝からはなぜか態度が違っていた。
腫れ物を扱うかのような目。
ドクオが何かしたのだな、と思った。

ガチャ

从'ー'从「ご飯ですよ〜」

意外な人が現れた。
渡辺さん、と言ったっけ。
僕らを殺そうとした人、僕らを守れとドクオに言われた人。
初日以降は僕らにご飯を持ってきてはいなかった。
でも、ここに居るということはなにか意味があるんだろうか。

ξ#゚听)ξ「…」

川 #゚ -゚)「…」

怒りの目で渡辺を見つめる二人がいる。
当たり前の話だ。
二人は直接彼女によって、恐怖を与えられたのだもの。



49: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:31:41.99 ID:GPH/+m570

从'ー'从「そんな怖い目で見ないでよ〜」

ξ#゚听)ξ「…」

川 #゚ -゚)「ふん…」

無視しようとする二人。
僕らは何も言えない。
女の子同士の争いには何も出来ない。
二人を怖いと思いながら、僕は冷や汗を流していた。

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」

どうやら、それは先輩方も同じのようだった。
張り詰めた空気が肌に刺さる。
どうしよう、この空気。



51: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:32:37.40 ID:GPH/+m570
从'ー'从「よいしょっと〜」

その空気を破ったのは他でもない渡辺さんだった。
ご飯を持ってきただけじゃなくて、部屋に座った。
あれ? 1・2・3・4・5…6?
ご飯が一つ多い。
まさか、僕達と一緒に食べるつもり!?

ξ#゚听)ξ「あ…」

川 #゚ -゚)「…!」

从'ー'从「いただきま〜す」

驚く二人を尻目に渡辺さんはご飯を食べ始めた。
その光景はとてもシュールで、とても自由だった。

从'ー'从「どうしたの〜? ご飯冷めるよ〜?」

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」

渡辺さん、ご飯の心配をしてくれるのはありがたいですけど
もう少し、空気を呼んでください。
この緊迫した空気を察してくださいよ!



52: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:33:41.82 ID:GPH/+m570
川 #゚ -゚)「何のつもりだ…!」

从'ー'从「え〜?」

この空気に耐えられなくなったクー先輩が、とうとう口を開いた。
でも、渡辺さんは何のことやらという顔をしている。
ああ、この人天然だ。
ドクオが好きそうなタイプだなあ…。

川 #゚ -゚)「何のつもりだと聞いているんだ!!」

从'ー'从「…」

ようやく意味を察したであろう渡辺さんは無言になってしまった。
でも、本当にどうしたのだろう。
この人は僕らに興味なんて無かったはずなのに。
少なくとも、初めて出会った時は。

(;^ω^)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;゚∀゚)「…」

ξ#゚听)ξ「…」

川 #゚ -゚)「…」



53: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:35:39.15 ID:GPH/+m570
緊張の面持ちで全員が渡辺さんを見る。
どうしよう、これで機嫌を損ねさせてしまったら。
ドクオとの関係もまだ分からないのに。
いざとなったら、僕らは殺されてしまうんじゃないか?
そんな恐怖が足元に少し絡み付いていた。

从'ー'从「別に〜?」

でも、渡辺さんは表情を変えずにそう言った。
その瞳は初めて会ったときのように僕らに興味は示していなかった。

从'ー'从「ドッくんのお友達がどんな人か知りたかっただけだよ〜?」

その興味は、ドクオに向けられていた。
うん、ドッくんってw
ドクオがリア充臭くて少し噴出しそうになった。
だけど、実際はそんなことは無いだろうけどね。
あいつは真の童貞だもの。
そう思いながら、僕は冷や汗を流し続けた。



55: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:36:55.29 ID:GPH/+m570
ξ#゚听)ξ「あんたに何の関係があるのよ!」

ツン、ちょっと待って!
もう少し丁寧な口調を使おうよ!
恋人が勇敢なのは嬉しいけど、同時に怖い。
あれ? 普通配役逆じゃないかなあ。

(;^ω^)「まあまあ、ツンも落ち着いて…」

思わずツンをなだめる僕。
うん、普通やっぱり逆だよね。
男の子として少し情けないけど、最近は草食系男子が流行っているから問題ないよね。

从;'ー'从「なんでみんな怒るの〜?」

渡辺さんが慌てている。
いやいや、それはあなたが僕らを殺しかけたからではないでしょうか?

川 #゚ -゚)「そもそも、お前自身ドクオとどういう関係だ!」

クー先輩も落ち着いて!
感情に流されたら負けだって何かに書いてありましたよ!



56: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:38:34.78 ID:GPH/+m570
从;'ー'从「えぇ〜!? 一緒にご飯を食べて一緒に寝てるだけだよ〜!?」

ほら、渡辺さんも慌てているし。
それにドクオとの関係だってそんな…

……………………………………………………え?













(;^ω^)

(;´・ω・`)

(;゚∀゚)               「「「「「マジで!?」」」」」

ξ;゚听)ξ

川 ;゚ -゚)



57: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:39:33.35 ID:GPH/+m570
え!? ドクオ本当にリア充になったの!?
驚きのあまり、皆の声が揃ってしまった。
さっきまで、怒っていたツンとクー先輩までも呆気にとられている。

从;'ー'从「なになに〜?」

慌てている渡辺さん。
いやいや、慌てたいのはこっちですよ。

川 ;゚ -゚)「いや〜、なんかびっくりしちゃったな」

ξ;゚听)ξ「本当ですね…」

(;^ω^)「奇跡ってあるんですおね…」

ドクオに対して容赦なの無い言葉を浴びせる僕たち。
だけど、本当に驚いた。
ドクオがこんなかわいい人と…。
まあ、僕らを殺しかけた人なんですけどね。

从;'ー'从「ドッくんってそういうキャラだったんだ…」

渡辺さんもある程度状況を察したようだった。
しかしながら、渡辺さん。
そもそもあなたは本当に何をしにここに来たんですか?



59: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:41:36.57 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「あの〜…本当に渡辺さんは何をしに来たんですかお?」

从'ー'从「え〜? 本当にドッくんの友達を見に来ただけだよ〜」

本当にそれだけなんだ…。
てっきり、ドクオの近況でも聞かせてもらえるとでも思ったのに。

川 ゚ -゚)「ほう、それで感想は?」

从'ー'从「感想〜?」

あくまで、物怖じしないクー先輩はやはりさすがだと思う。
僕たちを見た感想を本人に聞くなんてなかなかできやしない。
質問を投げかけられた渡辺さん自身きょとんとしている。

从'ー'从「え〜とね」

言葉を捜している渡辺さん。
本当にドクオが好きそうなタイプだなあ。
ドクオの能力って二次元から嫁を出す能力だっけ?

从'ー'从「がっかりしたかな〜」



61: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:42:54.77 ID:GPH/+m570
え?

そんなことを考えていると、渡辺さんが辛辣な一言を言い放った。
がっかり。
その意味するところが分からない。
なんで、僕らがあなたにがっかりされなきゃいけないんですか。

川 #゚ -゚)「どういう意味だ…!」

その言葉に一番に反応したのがクー先輩だった。

从'ー'从「だって、なんでドッくんがこんな人たちを守ろうとしたのか分からないもの〜」

川 #゚ -゚)「貴様に何が分かる!」

激昂するクー先輩。
僕だって今の言葉には少しばかりの怒りが湧き上がる。
そもそも、僕たちを殺そうとした渡辺さんになんで「こんな人」と言われなきゃいけないんだ。

( ^ω^)「なんでですかお」

僕も渡辺さんに問いかける。
ドクオの友達であることを否定されるのは正直癪に障る。
僕らだって、ドクオのことを思っているのに。



63: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:45:22.33 ID:GPH/+m570
从'ー'从「え〜? 窓の外を見てみなよ」

( ^ω^)「窓の外…?」

そう言われて五人全員が立ち上がり、窓に向かう。
その窓から見える光景に僕らは絶句した。

「いやあああああああ!!!!!!!!!!」

「ウェ〜ハッハ! 待つニダ〜!!」

少女が泣き叫びながら走っている。
その後ろでニタニタ笑いながら走る男から逃げるように。

(;^ω^)「おっ…」

川 #゚ -゚)「クズが…」

ξ#゚听)ξ「…!!」

(;´・ω・`)「ひどい…」

(;゚∀゚)「…」

全員が息を呑む。
この光景が何を表しているかをみんな察している。



65: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:47:21.82 ID:GPH/+m570
「捕まえたニダ〜! さあ、お部屋でお仕置きニダ〜!」

「やだあああああああああ!!!!!!」

少女が捕まり、男がその少女を抱える。
周りにいるレジスタンスもやれやれまたか、といった顔をしている。
非常識が常識な世界。
それがこのちっぽけな部屋の外には広がっていた。

(;^ω^)「こんな、ひどいお…」

从'ー'从「ひどいよね〜。 でも、ここではこれが当たり前だよ〜」

ξ#゚听)ξ「当たり前だなんて間違っているわよ!」

渡辺さんの言葉に反旗を翻すツン。
僕も、この光景が当たり前だなんて思えない。

从'ー'从「間違っている〜?」

ξ#゚听)ξ「当たり前じゃない!
あんな小さい子に…あんな小さい子が犠牲になるなって間違っているに決まっているわ!」

从'ー'从「…」



67: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:48:11.79 ID:GPH/+m570
ツンの言葉に黙り込む渡辺さん。
だけど、ツンの言葉に感化されたものじゃない。
何か哀れむかのような目にすら見える。

从'ー'从「でも、あなたたちが今笑っていられるのはドッくんがその間違った場所にいるからだよ〜?」

川 #゚ -゚)「そんなこと言われなくても分かっている!」

渡辺さんの言葉に反論をする女性陣。
そうだ、分かっている。
ドクオがその中にいるのは僕たちのせい。
そんなこと分かっている。
そのことについては、僕らは話し合って乗り越えたんだ!

从'ー'从「分かっているのに、そうやって笑っていられるんだ…」

少しばかり呆れたような顔でそう言う渡辺さん。

( ^ω^)「笑いあうことが悪いことなのですかお」

(´・ω・`)「僕たちはドクオの犠牲の上に笑いあっている。確かにそれはそうだ。
だけど、僕らはドクオを仲間じゃないと思ったことなど無い。
むしろ、一緒に泥をすする覚悟だって出来ている」



68: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:49:10.66 ID:GPH/+m570
女性陣だけじゃなく、男性陣も反論する。
女性陣ほど感情的には成れない分、理性的に反論する。

从'ー'从「そういうことじゃなくてね…」

しかし、渡辺さんは言葉を返してきた。
僕たちがドクオを仲間と認めていないと思ったわけじゃない?
僕たちが覚悟を決めていないと思ったわけじゃない?
渡辺さんが何を考えているのか、分からなくなった。

川 #゚ -゚)「どういうことだ、言ってみろ」

煮え切らない渡辺さんの態度にクー先輩が怒っている。
でも、僕も聞きたい。
なんで、僕らはがっかりされなきゃいけないのか。
ドクオの友達でいることをがっかりされなきゃいけないのか。

从'ー'从「ドッくんは笑わないよ」



川 #゚ -゚)「…?」

ξ#゚听)ξ「…?」

( ^ω^)「…?」

(´・ω・`)「…?」

( ゚∀゚)「…」



70: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:51:27.07 ID:GPH/+m570
一瞬全員が黙った。
ドクオが笑わない?
それは悲しいことだけど、だけどなんでそれが理由になるんですか。

从'ー'从「ドッくんも皆と同じだよ、この状況が間違っていると思っている。
だけど、ドッくんはそれを全部受け止めている。」

从'ー'从「だから、辛くて辛くてどんどん自分を追い詰めている。
壊れそうだよ、今のドッくんは」

从'ー'从「だけどね、ドッくんはそれでも私を傷つけようとはしない」

从'ー'从「だから、ドッくんの友達もそういう人だと思っていた。
だけど、実際はこの状況を他人のせいにしているだけ。
自分たちには関係ないものと思っている。」

从'ー'从「だから、笑えるんでしょ?」

从'ー'从「自分たちが弱いから、何も出来ないから自分たちは傷つけていないと思っているでしょ?
でも、ドッくんはそんなあなたたちのせいで今にも壊れそうなんだよ」

そう言った渡辺さん。
反論したいことはある。
だけど、うまく言葉が出てこない。
ドクオが苦しんでいる、僕らのために。
だけど…ちくしょう。
僕たちだって、ドクオのことは思っているのに。



71: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:52:26.70 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「…僕らが自己嫌悪に苛まされていれば満足だって言うんですかお…」

それが僕の精一杯の言葉だった。
だけど、この言葉が正しいとは僕も思えない。
当たり前だ、ただの皮肉なのだから。

从'ー'从「そういうことね。
結局、あなたたちが笑っているのが気に食わないだけだもの」

その皮肉をあっさりと肯定する渡辺さん。
だめだ、僕にはもう否定すら出来ない。

川 #゚ -゚)「ずいぶんと、ドクオが気に入ったようだな…」

クー先輩が渡辺さんにそう言った。
確かに、それは僕も気になっていた。
たかだか、会って数日。
それも一時は殺されかけたのに、なんで渡辺さんはこんなにドクオのことを思うのだろう。

从'ー'从「当たり前だよ」

川 #゚ -゚)「なに?」

从'ー'从「ドッくんは、私を殺さない、犯さない。
それが出来る力を持っているのに。
私にはそれだけで充分なの。」



72: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:54:22.18 ID:GPH/+m570
川 ゚ -゚)「…」

クー先輩が黙る。
渡辺さんの身の上を考えたのだろう。
僕も黙る。
渡辺さんの身の上を考えてしまったから。

从'ー'从「それだけだよ、ごめんね。
多分、私はあなたたちに嫉妬しているだけだね。
あなたたちがドッくんを大切にしているのは分かるよ。」

从'ー'从「それじゃあ」

そう言って渡辺さんは出て行った。
何がしたかったのだろう。
何が言いたかったのだろう。
僕たちは渡辺さんの心の内がよく分からなかった。

( ^ω^)「なんだか、頭がこんがらがってきましたお…」

(´・ω・`)「ああ、僕もだ。だけど、確かに渡辺さんが言ったことは一理あるかもな」

川 ゚ -゚)「悔しいがな…。
弱さを言い訳に、簡単に笑っていたのは事実だ」

ξ゚听)ξ「ドクオ…今頃何をしているんでしょうね…」



74: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:55:54.55 ID:GPH/+m570
僕たちはそう言って、自分たちのふがいなさを反省していた。
ドクオが苦しんでいる。
でも、何も出来ない。
それなのに笑っていた。それは事実なのだから。

( ゚∀゚)「いやいや、待ってくださいよ」

だけど、そんな空気に待ったを入れたのがジョルジュ先輩だった。

( ゚∀゚)「笑うのが悪いだなんて、おかしいんですよ」

(´・ω・`)「ジョルジュ、違うだろ。
ドクオが苦しんでいるのに笑っているのが問題なんだろう?」

( ゚∀゚)「違いますよ、ショボン先輩。」

(´・ω・`)「どういうことだ?」

ジョルジュ先輩が何を言おうとしているのか。
僕には正直分からなかった。
でも、今の意見を否定してくれるのは僕には正直ありがたかった。

( ゚∀゚)「ドクオは俺たちを守った。
だから、俺たちは笑ってなきゃいけないんですよ。
ドクオが守ったものを俺たち自身の手で壊すのはおかしいんですよ」

(´・ω・`)「だけどな、ジョルジュ…
ドクオの今の現状を知ってなお笑えるか?」



78: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:57:57.97 ID:GPH/+m570
( ゚∀゚)「だから…それを認めた上で笑うんですよ!」

(´・ω・`)「…!?」

ジョルジュ先輩がひときわ大きな声でそう言った。
だから、笑う。
その意味するところを僕はまだ分からなかった。

( ゚∀゚)「ドクオの苦しみは分かります。
でも、同時にドクオが俺たちを守ろうとしたことを認めるんです。
そうしたら、選択肢は一つじゃないですか」

( ゚∀゚)「俺たちは笑って、あいつを受け入れる。
俺たちが笑っていなかったら、余計にドクオが苦しみますよ」

(´・ω・`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

ξ゚听)ξ「…」

( ^ω^)「…」

全員が黙る。
ジョルジュ先輩がまじめなことを言うのすら珍しいのに。
こんな仲間思いなところを前面に押し出すなんて。



80: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 20:59:29.66 ID:GPH/+m570
(´・ω・`)「…まったく、何がなんだかさっぱりだよ」

川 ゚ -゚)「…ああ、本当だな」

ξ゚听)ξ「だけど…ドクオが守ってくれた命ですものね」

( ^ω^)「ブーンたちが元気に生きなきゃ申し訳ないですお!」

( ゚∀゚)「そういうことですよね」

僕たちの中で新たな価値観が芽生えつつあった。
ドクオの殺人は認めない。
だけど、ドクオは認める。
ドクオが守ってくれた命だから笑う。
ドクオが苦しんでいることを知りながらも。

色々な狭間に立たされて僕たちは今ここにいる。
だけども、それでも僕たちは笑う。
悶々とした気持ちのままに僕たちはその日は眠りについた。
次の日に惨劇が待っていることも知らずに。



82: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:01:47.64 ID:GPH/+m570
( ^ω^)「おはようございますだお」

(´・ω・`)「ああ、おはよう」

ξ゚听)ξ「おはようございます」

川 ゚ -゚)「おはよう」

( ゚∀゚)「おっぱいよう!」

朝になり全員が目を覚ます。
いつも通りの日常が始まるはずだった。
不自由に囲まれた生活。
その繰り返しが始まるだけのはずだったのに。

( ^ω^)「今日は朝ごはんが遅いですおね」

ξ゚听)ξ「そうね」

(´・ω・`)「まあ、そんな時もあるだろうさ」

お腹を鳴らしながら、朝ごはんを待つ。
だけども、来る気配は一向に無い。
おかしいな、何かあったのかな。



84: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:03:28.75 ID:GPH/+m570
ドカン

その「何か」が不意に訪れた。
爆音。
安全の終わりを告げる鐘。
そして、絶望を呼び覚ます。

(;^ω^)「おっお! なんだお!」

(;´・ω・`)「外だ!」

慌てふためく僕。
状況を冷静に判断しようとするショボン先輩。
その声に全員が外を見る。

ξ;゚听)ξ「何…あれ…」

(;゚∀゚)「火柱…?」

川;゚ -゚)「にしては大きすぎるだろう…」

広がっていた光景。
それは、火柱と呼ぶには大きすぎる火炎の帯。
それが、地面か生えては消えていく光景。
なんだ、あれは。

慌てる光景の中に思い浮かぶ答えは一つだけ。
この場所は、危険になってしまった。



86: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:04:52.98 ID:GPH/+m570
(;´・ω・`)「落ち着け! 多分、ソード同盟だ!」

ショボン先輩がそう言う。
ソード同盟。そういえばそうだ。
このレジスタンスに対抗できる勢力といえばそれしか思い浮かばない。
だけど、こんなにも強力なんて思いもしなかった。

(;^ω^)「てことは、僕たちには危害は無いはずですお…?」

川;゚ -゚)「理屈の上ではな…。しかし、あの力。
巻き添えを食わないとは言えない…」

ξ;゚听)ξ「どうしましょう、逃げるべきでしょうか…!」

混乱していく意見。
逃げる、留まる。
命がけの選択肢を迫られている。

(;´・ω・`)「下手に動くのは逆に危険だ…
だが、あの火柱がこっちにきたら最悪逃げるしか…」



88: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:06:39.85 ID:GPH/+m570
ドカン

ショボン先輩がそういい掛けた瞬間に、また火柱が落ちた。
それもさっきよりも近くに。

パリン

その余波だろうか。
窓ガラスが割れた。
混乱はさらに広がっていく。

(;゚∀゚)「逃げましょう!
少なくとも、ここにいたら多分俺らは死にますよ!」

(;´・ω・`)「ああ! それしかないようだ!」

ξ;゚听)ξ「でも、逃げるってどこに!?」

川;゚ -゚)「裏の林ででもいいだろう!」

(;^ω^)「とにかく急ぐお!」

僕たちは、すぐさま外に飛び出した。
駆ける駆ける。
運動不足にも関わらず、足早に前へ進む。
アドレナリンでも出ているのだろうか。
とにかく、ひたすらに僕らは走っていた。



89: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:09:49.26 ID:GPH/+m570
ξ;゚听)ξ「はあはあ…!!」

(;´・ω・`)「急げ!!」

川;゚ -゚)「急かすな!」

ショボン先輩が先頭に立ち、ツンとクー先輩が続く。
僕とジョルジュ先輩は、最後尾。
怖いけれども、誰かを欠くことの方が怖かった。

(;^ω^)「おっお!!」

(;゚∀゚)「はあ…!!」

とにかく裏の林まで逃げる僕たち。
ガラスの破片がここまで落ちてきている。
どれだけ、強力なソードなのだろう。
混乱しながら、とにかく駆ける。

(;´・ω・`)「とりあえず、ここで様子を見よう!」

林について茂みに隠れる。
幸い、次の火柱はまだ立っていない。
ひと時の静寂の中に身を任せる。
がくがくと震える体、笑う膝。
恐怖に満ちる顔。
どうしようもない絶望感と、僅かな期待だけが体を支配する、



92: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:13:05.65 ID:GPH/+m570
(;^ω^)「ドクオ…」

思わず呟く。
助けてくれ、と心の中で願ってしまう。
身勝手な思いかもしれないけども、今はドクオに頼りたかった。

ξ;゚听)ξ「…」

川;゚ -゚)「…」

(;゚∀゚)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」

茂みに隠れて時を待つ。
もう一生分の緊張感を強いられている。
実際には五分も経っていないのだろうに。

油断していた。
何とか成ると思っていた。
僕たちは弱いままだったのに。
渡辺さんの言う通りだ。
何で、僕たちは今まで無神経に笑っていられたんだろう。



93: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:14:46.92 ID:GPH/+m570
ξ;゚听)ξ「…」

川;゚ -゚)「…」

(;゚∀゚)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」

黙々と時を刻む。
ただ、ただ、耐えるだけ。
草食動物のように。
絶対的な力の前に文字通り平伏している。

ξ;゚听)ξ「…」

川;゚ -゚)「…」

(;゚∀゚)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」

この状況がいつまで続くのだろう。
早く、解決して欲しい。
自分が無力であることを改めて感じていた。
その時に、右手から悲鳴が聞こえてきた。



95: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:15:50.71 ID:GPH/+m570
「いやああああああ!!!!!!!!」

昨日、聞いた声。
聞き覚えのある声。
まさか、まさか、こんな時に。

*(;;)*「いやあああああああ!!!!!!!!!」

<ヽ;`∀´>「大人しくするニダ!」

あの男だ。
こんな時にまで、何をしているんだ。
こんな時にまで、あんたは何をしているんだ!

ξ; )ξ「…」

川;゚ -゚)「…」

(;゚∀゚)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」

全員が無言だった。
あの子を助ける?
まさか、そんなことが出来るはずが無い。
だけど、この状況を見逃すのか?



97: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:17:45.59 ID:GPH/+m570
*(;;)*「むぐう!」

<ヽ;`∀´>「ほら、大人しくこっちに来るニダ!」

男が女の子の口を押さえて、どこかに連れて行こうとする。
「義を見てせざるは勇無きなり」
ああ、なんだって今こんな言葉を思い浮かぶんだ。

あの男はソードだ。
僕はソードじゃない。
だけど、隙を突くことが出来たなら…。
震える膝に力を入れようとする。

ξ; )ξ「…」

川;゚ -゚)「…」

(;゚∀゚)「…」

(;´・ω・`)「…」

(;^ω^)「…」

誰も動こうとはしない。
当たり前だ。
あの男のソードで殺されるかもしれない。
僕らが出来ることなんて無いはずなんだ。
そのはずなのに、なんで僕は何かしようとしているんだ。



98: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:19:24.97 ID:GPH/+m570
*(;;)*「ぐう! うぐう!」

<ヽ;`∀´>「早く行くニダ!」

男が無理やり女の子を連れて行く。
ああ、だめだ。
あと少しなのに体が動かない。

ξ; )ξ「許せない…」

僕が、何も出来ないときにツンはそう呟いた。
嫌な予感がした。
これから起きることが予想できた。
そして、僕がこれからすべきことも。

ξ#゚听)ξ「やめなさい!!」

ツンが茂みから飛び出した。
その手に割れたガラスの破片を手にしながら。
あのガラスで対抗する気なのか。
ツン、やめてくれ。

(;^ω^)「ツン!!!」

僕は叫ぶ。
だけど、まだ体は動かない。
ああ、やめてくれ。
ツン!



101: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:20:20.02 ID:GPH/+m570
ξ#゚听)ξ「うわああああああ!!!!」

叫びながら男に向かっていくツン。
駄目だ、駄目だよ。

(;^ω^)「ツンンンンン!!!!」

その時になって僕の体はようやく動いた。
だけど、ツンはもう男の目の前にまで近づいている。

<ヽ;`∀´>「な!?」

男が慌てた様子でこちらを見る。
目の前には、ガラスをナイフのように向けているツン。
男がとる行動は一つだった。

<ヽ;`∀´>「テポドン三号!」

ミサイルに手足が生えたようなソードが姿を現した。
体長約3メートル。
そして、その手がツンを捕まえた。

ξ;゚听)ξ「きゃああああ!!!!」

ガラスで切れたのだろうか。
その手を血に染めたツンが宙ぶらりんになっている。
ツンが危ない。



105: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:22:09.14 ID:GPH/+m570
( #^ω^)「ツン!!」

<ヽ;`∀´>「なんなんニダ、お前らは!!」

男がそう言う。
僕たちを明らかな邪魔者として見ている。
ちくしょう、全部お前らのせいなのに。
お前が、こんなことをしなければ僕たちだって何もしなかったのに!

( #^ω^)「ツンを離すお!」

<ヽ;`∀´>「うるさいニダ!!」

男がそう言う。
僕たちを明らかな邪魔者として見ている。
ちくしょう、なんで僕はこんなにも無力なんだ…。
ツンを傷つけるあの男がこんなにも憎いのに!

ドクン

( #^ω^)「…お?」

そう思ったときに、胸が高鳴った。
ツンを離せと思ったとき?
違う、あの男を呪ったときだ。



106: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:23:17.97 ID:GPH/+m570
ドクン

( #^ω^)「お…!?」

体に力が満ちていく。
少しだけれども、この感覚には覚えがある。
なぜだか、明日の天気が雪だと分かったときの感覚。
まるで、自然が僕に語りかけてくるかのような感覚。

ドクン

( #^ω^)「…」

あの時、実は微かに感じていた。
まさか自分にもソードの素質があるんじゃないかと。
だけど、僕は逃げていた。

ドクン

( #^ω^)「…」

ドクオが守ってくれているからと。
何かの勘違いでは無いかと。
だけども今は感じる。
僕のソードが僕に語りかけるのを。



109: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:24:57.97 ID:GPH/+m570
ドクン

( #^ω^)「お…!!!」

自然が語りかけてくる。
このホロカードの土地が語りかけてくる。
それど同時に、人の想いみたいなものが流れ込んでくる。
幾重にも重ねられていた人の想いが。
これが…ソウル?

ドクン

( #^ω^)「これは…」

その根底にあるもの…これは、呪う気持ち?
聞いたことがある。
このホロカードの精霊、その正体はアイヌ民族に土地を奪われた少数民族だと。

ドクン

( #^ω^)「それでもツンを救えるなら…」

その少数民族がいつしか伝承の中で精霊と化した。
その少数民族の想い、語り継いできた人の想い。
そして、このホロカードの自然と溶け合ったソウル…。
感覚が教えてくれる。
これが、精霊の力だと。



111: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:27:07.59 ID:GPH/+m570
ドクン

( #^ω^)「姿を表すお!」

力が手に入る。
ツンを救える。
僕がソードになることによって。
それがどういう意味なのかは分からない。
だけど、今はそれをするしかない。

ドクン

( #^ω^)「コロポックル!!」

瞬間、民族衣装を着た小人が現れる。
憂いを帯びた目を男に向けながら。
まるでこの世の無常を嘆くかのように。
見た目には非力そうなこの小人。
しかし、感じるソウルは男のソードなど問題にならなかった。

<ヽ;`∀´>「な…!? レベル5!?」

男が驚いている。
僕も驚いている。
小人は驚いている僕たち二人を尻目に、手をかざす。



114: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :投稿日: 2009/05/09(土) 21:29:10.17 ID:GPH/+m570
その瞬間、つららと呼ぶには太すぎる氷の柱が男を突き刺した。

<ヽ; ∀ >「ニダああああ!?」

その氷柱は、男の右肩を貫いていた。
即死ではない。
しゃべる余裕はあるだろう。
だけど、あの傷は…致命傷だろう。

嗚呼。
ツンを救える。
だけど、僕は人を殺す。
人を殺してしまう。
ツンが最も嫌う、人を殺した男になってしまう。

僕らはどうなってしまうのだろう。
僕はどうなってしまうのだろう。
そう思った心の奥底で、これで僕もドクオと同じ場所に立てるのだな。
と、誰かが呟いた。

ガサ、と音を立てて茂みが揺れたのは丁度その時だった。






第16話「切ない未来」sideブーン 終



戻る第十七話