('A`)が狭間で生きるようです

3: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:34:05.22 ID:9k8YWrmA0

第19話 「偽りの贖い・偽りの独立」





痛い

ああ、痛い

心が痛いな

ちくしょう

('A`)「…」

起き上がり前を見据える。
何がなんだか自分でも心の中が分からない。
俺は許したのか、憎んでいるのか。
手を焦げ付かせているブーンが目の前にいる。
こいつをどうしたい?
俺はこいつとどうしたい?
分からないよ、そんなことは。
ただ、ただ、こいつは殺させはしない。
絶対だ。



6: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:35:13.65 ID:9k8YWrmA0

( #^ω^)「ドクオ…逃げるんだお!!!」

正義感に燃えるブーン。
自分じゃ適わないと悟ったのか。
知らないよ、そんなこと。
ありがとう、自己犠牲。
そして、死んでしまえ自己満足。
お前の気持ちには心から感謝するが、それ以上に憎い。
そして、嬉しい。

嗚呼

('A`)「…」

何も答えれない。
それはそうだ。
お前にかける一言なんてないんだよ。
ありすぎて何もいえないんだ。
そうだろう?
俺の親友よ。

ああ、痛い。



8: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:36:55.90 ID:9k8YWrmA0

人を殺した過去が俺を責める。
もっと、早くに気づけばと責め立てる。
そして、そんな自分の偽善的な心を嘲笑う。
仕方が無かったと擁護する。
お前が悪いと断罪する。
過去のトラウマが原因だと、片方は言う。
そして、そんなものは理由にならないともう片方が語りかける。
だけども、それでも俺は生きたいと言い、
お前に生きる資格は無いと言う。
二つの心は同時に俺を責め、そして慰める。

憎んでるのに大切で。
何て馬鹿なんだ。
俺はあいつらを守るんだ。
ちくしょう。
ちくしょう。
ちくしょう。



10: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:38:02.16 ID:9k8YWrmA0

( ,,゚Д゚) 「何だ? そのソードは」

男は呆れたような顔を未だに続けていやがる。
はは、何だって?
分からないのかい、俺だよ。
俺のソードさ。
「俺」のソードだ。
強いか弱いかを見極めようとしているのかい。
やめてくれよ、辛いんだ。
人にあれこれ決め付けられるのはうんざりなんだ。
ああ、悲しい憎憎しい羨ましい。

( ,,゚Д゚) 「大人しく寝てろ、お前はもう無力だ」

無力無力無力。
何の力も無いだって。
馬鹿らしい。
カオス理論を知らないのかよ。
ワカッテマスなら笑いそうな話だ。
ああ、愛しているよ、このクソが。
もう、死んでも死ななくてもいいから俺の目の前から消えてくれ。



12: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:39:38.12 ID:9k8YWrmA0

('A`)「なあ…」

口を開く、弱弱しく。
それも弱弱しく。
聞きたいんだ。
理解したいんだ。
そして受け入れて拒絶したい。
死にたい。
生きたい。
ただ、それだけなんだ。

( ,,゚Д゚) 「なんだ?」

男は口を開く。
最後の慈悲か、発言権をくれるのか。
感謝と嫌悪感。
死ねよ。

('A`)「お前らの目的は何だ…?」

今更ながらに聞く。
この状況を見てくれよ。
お前らのリーダーは言ったよ。
人類のレベルを上げたいって。
だけど、この状況を見てくれよ。
前世代の人間と何が違うんだ。



14: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:40:47.30 ID:9k8YWrmA0

( ,,゚Д゚) 「…」

黙るなよ、答えろよ。
一生そうしていろよ。

( ,,゚Д゚) 「世界平和だ」

ああ、ああ、嗚呼。
その答えか。
その答えか。
その答えか
いやだいやだいやだいやだいやだ。

('A`)「こんなに、人を殺しているのに…」

やめろ、語るな。
嘘だ、嘘だ。
俺の言葉は今は全て嘘。
そんな偽善的な心からの言葉なんて…
吐きたくない。

( ,,゚Д゚) 「…」

黙るな。
答えろ。
黙れ。
喋るな。



15: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:42:27.94 ID:9k8YWrmA0

( ,,゚Д゚) 「偽善者はいつもそう言う」

('A`)「は…?」

何だ、それ。
貴様の独断で善か偽善か決めるのかい。
ああ、そうですか。
そういうことですか。
さすが、レベル5。
裁判官は君ですか。
よくも俺を偽善と決め付けてくれたもんだ。

( ,,゚Д゚)「少数の犠牲を振りかざし、大多数の平和を阻害する。
人が一人でも不幸ならば、それは真の平和では無いと嘯く」

( ,,゚Д゚) 「今の世界において、全ての人を幸せにする道は無い。
ならば、大多数の弱きもの、善良な市民を平和にするのが先だ。
その者達を迫害する、少数の悪を滅する。」

( ,,゚Д゚) 「そして、いつの日かその大多数が全ての人になれば良い。
レベル5の力ならばそれが可能だ」

('A`)「…」



17: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:44:05.22 ID:9k8YWrmA0

長くなった口上だな、おい。
知らないよ、そんなこと。
お前はレジスタンスを悪と決め付けたな。
それは、お前を善にしたんだ。
絶対的な善にしたんだよ。
だけど、そんなものは存在しない。
お前はレジスタンスを悪とした時点で偽善者なんだよ。

お前がやっているのは単なる人殺し。
人殺し、人殺し、人殺し。
ほら、俺と同じだろ?
何で、そんなに堂々と話せるんだよ。

('A`)「いや、結局お前も人殺しじゃん」

素直な感想を相手にぶつける。

( ,,#゚Д゚)「黙れ…」

('A`)「あん?」

男は不快感を顕にした。
俺の言葉が気に障ったのかい。
そして、叫び始めた。



20: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:47:21.97 ID:9k8YWrmA0

( ,,#゚Д゚)「救いを求める人々の声が聞けぬ貴様に何が分かる!?
平和を信じて散っていった叫びが聞こえない貴様に何が分かる!?
誰もがただ、平和を願っていただけなのに!」

( ,,#゚Д゚)「誰が、人を殺したいものか!
だが、人を殺す以上の悪は存在する!
それを…それを、命だからと見過ごすことなど出来ない!
だから…
俺は! 悪を! 滅する!」

ああ、お前自分を悪党だと認識していないのか。
やれやれ、落第だ。
自分を平和の礎か何かと勘違いしていやがる。
いいか、お前のやっていることは単なる殺人だ。
人が人を殺しているだけ。
そう、それだけだ。



22: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:48:59.22 ID:9k8YWrmA0

('A`)「お前の平和の中にはレジスタンスは入っていないんだな」

ニダーも、ヘリカルも、渡辺も。
ワカッテマスも、俺が殺したレジスタンス達も。
…みんなみんな、入っていないんだな。
入っていなかったんだな。
だから、死んだんだ。
ニダーは。
だからな、俺はお前が語る平和を絶対に受け入れない。
狭間の心はそう語りかけるよ。

( ,,#゚Д゚)「お前が平和を語るな!」

そうですか、そうですか。
俺が平和を語る資格は無いか。
俺はずっと望んでいたぞ。
俺は望んでいた。
ずっと、平和を望んでいた。
愛されたかった。
愛したかった。
嘘じゃないよ、本当さ。



23: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:50:11.89 ID:9k8YWrmA0

だけどな、ソード同盟。
俺を迫害したのは、お前が言う大多数の善良な市民だよ。
渡辺もニダーもヘリカルも入っていない平和。
大多数の善良な市民だけの平和。
そして、その中に入れないもの達。
価値が無いな。
ああ、価値が無い。
俺にとっては何も意味が無い。
そんなもの価値が無いんだ。
俺の周りの全ての人が幸せじゃなければ、俺はもう幸せじゃない。
俺が幸せじゃない世界なんてクソ喰らえだ。

('A`)「ふざけるな…」

( ,,#゚Д゚)「なんだと!?」

お前の心の琴線に触れたのかい。
それならば、嬉しいよ。
お前は、自分が人殺しだと知っているんだろう?
だから、俺に怒っているんだろう。
ああ、分かり合おうよ。
それならば、俺達は話し合える。
だけど、俺達は殺しあうんだな。
なんて、悲しい世界なんだ。



24: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:51:39.15 ID:9k8YWrmA0

('A`)「死んだ奴の話は聞いて、俺の話は聞かないってか」

( ,,#゚Д゚)「そろそろ黙れ…!」

何となく俺に嫌悪感を抱いているな、この男は。
嫌だな、痛くなるんだ、また。
心が痛いんだ。
心から痛いんだ。
こんな男からでも、否定を受け取るのは辛いんだ。
ちくしょう。

('A`) 「分かったよ…」

( ,,#゚Д゚)「行くぞ」

来いよ。
俺はお前を受け入れもしないし、拒みもしない。
それが、今の俺が選んだ道だから。
俺は、一人だから。



27: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:56:21.67 ID:9k8YWrmA0

( ,,#゚Д゚)「燃え尽きろ!!!」

('A`)「…」

確信を持って、炎が俺に迫ってくる。
ああ、何で争うんだろうな俺達は。

平和な時は争いを求めるんだよ。
争っているときは、平和を求めるんだ。
そして、そのどちらともない時は怠惰と感じるんだよ。
だけど、俺はその怠惰が好きだったんだ。

ただ、友達といるだけで幸せだったんだ。
求めるものが低い人間の気持ちが貴様に分かるか。
ただ、傷つけないでいてくれればそれでいい気持ちが分かるか。
たった一人の、大切な友達がいれば後はどうでもいいんだよ。
そんな人間なんているはずが無い。
誰だって裏切る。
だけど、その光景を第三者の手によって作られ事は我慢ならないんだよ。

だから、死んでくれ。
だから、俺を救ってくれ。

轟音を立てながら、炎が俺に迫る。
目の前の炎。
ああ、何でこんなにも意味が無いんだ。



28: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:57:40.99 ID:9k8YWrmA0

( A )「…」

炎が俺を包む。
全てを燃やし尽くす炎が俺を包む。
ああ、暖かくも冷たくも無い。

( ;^ω^)「ドクオ!!!」

ブーンの声が聞こえる。
なんだって、聞こえるんだろうな。
伝わってくるよ。
お前の優しさと欺瞞が。

( A )「…」

ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、

歩く歩く。
炎の中を。
俺すら燃やし尽くせない炎の中をただ歩く。

( ,,;゚Д゚)「な…!?」

ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、ザ、

( A )「…」

何を驚いているんだ。
ただ、炎の中を歩いているだけなのに。



29: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 22:59:01.86 ID:9k8YWrmA0

('A`)「どうした、クソ野郎」

炎の中から出たときにかける言葉。
慈悲深さも、狡猾さも無い。
さっきまでの俺の言葉を借りただけ。
今の俺の言葉は何だろうな。
愛したいのに、俺はお前は憎んでいる?
はは、またパラドックスだ。

( ,,;゚Д゚)「何だ!? そのソードは!?」

ああ、さっきと同じ台詞を吐きやがって。
だから、俺だよ。
俺がただそこにいるだけだ。

( ,,;゚Д゚)「ノウマク サラバタタギャテイビャク サラバボッケ…」

経文か?
力が膨れ上がっている。
だけども、通じないよ。
その経文の意味はさっぱりだ。
いや、真言とでも言うのかな。
まあ、どっちでもいいんですけどね。



31: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:02:18.94 ID:9k8YWrmA0

( ,,#゚Д゚)「…サラバビギナン ウンタラタ カンマン!!!」

そして、炎で形作られた鳥が現れた。
なんだい、それは。
不死鳥のつもりかい?
不動明王だろう、お前は。

( ,,#゚Д゚)「いけええええええええ!!!!!!!」

それを俺に向けるお前。
クソが。

('A`)「影法師」

影法師が動く。
ただ、そこに佇んでいた影法師。
右手に持っている柄だけの刀。
そう見えるだろう?
だけど、あるんだよ。
刃はあるんだ。
それは見えないだけ。
お前には決して見えないだけ。
俺とお前の狭間が、刀になっているだけなのだから。



33: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:05:26.38 ID:9k8YWrmA0

ジイィィィィィ

不快な音を立てて空間に刃を沿わせていく。
俺とお前の間に、刀を下ろす。
そうすれば、ほら。
狭間の出来上がり。
もう、ここから先は通せんぼだよ。

( ,,#゚Д゚)「…な!?」

驚く男。
それは、そうか。
全てを燃やし尽くしてきた炎。
そいつが、薄い薄い狭間一つに阻まれているんだ。
ごめんよ、君の誇りを壊してしまって。

('A`)「…」

言葉が出ない。
クソ野郎とでも言うか、もうやめようとでも言うか。
どっちを言っても嘘になる。



35: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:08:10.81 ID:9k8YWrmA0

ああ


ああ


ああ!



あああああああああああ!!!!!!!!!!!




心がぶっ壊れそうなんだよ、畜生が!!



37: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:10:59.55 ID:9k8YWrmA0





だけど、それでも俺は続けるよ。
お前を殺したいから。
だけど、殺したくないから。
だから、選択権はお前にやるよ。

( ,,#゚Д゚)「意味が分からない…
なんなんだ、貴様のソードは」

だから、俺だと言っているだろうが。
それよりも、なんなんだ。
俺は何もしたくないのに。
ちくしょう、思考がまとまらない。

( ,,#゚Д゚)「ノウマク サンマンダ バザラダン カン!!」

また、訳の分からない言葉で話しやがって。
だんだん、腹が立ってきた。
力があっても、無くてもお前は俺の話を聞きやしない。
おれが強くても弱くても関係ない。
ただ、自分の聴きたい言葉を聞いているだけ。

だから…俺と何が違うって言うんだ!!!



40: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:14:32.12 ID:9k8YWrmA0

('A`)「影法師!」

またも、炎を阻む。
阻む、阻む。
ああ、守っている自分の心。
お前はただ俺を攻め立てる。
俺は守っている。
悪はどっちだい?

( ,,;゚Д゚) 「信じられない…!!!」

('A`)「…」

そっか、信じられないか。
だから、俺はお前みたいな人間が嫌いだよ。
俺は、お前みたいな人間が嫌いなんだ。
お前みたいな人間がだいっ嫌いなんだ!
だけどなあ!
お前と友達になる想像もしてしまうんだよ。



41: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:17:32.66 ID:9k8YWrmA0

('A`)「信じてくれよ」

( ,,;゚Д゚)「はあ!?」

混乱しているな。
ああ、そうか。
言葉の意味が分からないか。
分からないか。
分からないか!!

あははははっははh!!!!

('A`)「…」

言葉が出ないんだけどハイなんだ。
そして、ダウナーだよ。
ドラッグでもやればこんな感じになるのかな。
何がラブ&ピースだ。
クソッタレが。



42: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:20:04.06 ID:9k8YWrmA0

( ,,;゚Д゚)「空間系の能力者か…。
まさか、レベル4にそんな力を持つものがいるなんて」

空間系?
いやいや、違うよ。
別に俺は空間になんか干渉しちゃいない。

( ,,;゚Д゚)「だが…引き上げるわけにはいかないんでな!」

('A`)「そうか」

俺もだよ。
さあ、やろうか。
何を?
殺し合いを。
さあ、さあ、さあ、さあ。



( ,,#゚Д゚)「不動明王!」



('A`)「影法師!」



46: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:24:06.35 ID:9k8YWrmA0

二人が同時にソードの力を解放させる。
ああ、この時ばかりは繋がっている。
お互いの想いが一致している。
殺しあっているのに、迷わない。
なんて平和なんだ。

( ,,#゚Д゚)「燃やし尽くせ!」

男は炎を出し

('A`)「阻め!」

俺は阻む。

( ,,#゚Д゚) 「しゃらくさい!」

男はそれでも、俺に炎を出す。

('A`)「無駄だあ!」

俺はそれでも狭間を創る。

( ,,#゚Д゚)「はあ!」

諦めず

('A`)「なめるな!」

こちらも諦めない



47: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:25:38.23 ID:9k8YWrmA0

( ,,#゚Д゚)「死ね!」

罵り

('A`)「嫌だね!」

拒み

( ,,#゚Д゚)「はあ…はあ…!」

疲れ

('A`)「…」

虚しさを覚える

そして、停滞に。

( ,,;゚Д゚)「なぜ…レベル4がレベル5を上回る?
お前一人の力が、なぜ…」

('A`)「…」



49: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:27:44.91 ID:9k8YWrmA0

その答えは分からない。
俺も自分のレベルなど分からない。
分かっているのは、お前が弱いということだけ。
俺は強い。
それは、お前が考える強さだがな。
俺は自分を弱いと思う。
だけど、お前は俺を強いと言う。
ふざけるなよ。
人を殺す力のどこが強いって言うんだ。

('A`)「影法師…」

だけど、そろそろ終わりにしよう。
物語の序章を始めよう。
ここから始まるストーリー。
ソード同盟が勇者の話を。
最後のボスは俺だ。
それでいいだろう?
だからさ。
さあ、始めよう。

('A`)「切り裂け」

刀を逆手に持ち、下段に構える影法師。
筋肉など無いはずの体に、力が軋む。
そして、放つ縦一文字。
男の左半身に、俺は狭間を創り出す。



50: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:29:51.87 ID:9k8YWrmA0

ジイィィィィィィィィィイイイイイイ!!!!!

不快な音を繰り出す、一閃。
ガラスを引っ掻いたような奇怪音。
その音と共に、男の体と左腕の間に狭間を創る。

ボト

その後に聞こえる音はそれだけだった。

( ,,;゚Д゚)「な…」

男は驚き、自分の左腕を見つめる。
そして、左腕が「あった」場所を見つめる。

( ,,;゚Д゚)「なあああああああああああああああ!!!???」

奇声を上げ、疑問を上げ、そして気づく。
自分の左腕がもう無いということに。
ああ、嫌だ。
お前が傷つくのすら嫌だ。
だけど、お前がのうのうとしているもの嫌だ。
何もかもが嫌だ。
この世界が大切なのも心から嫌だよ。
ああ、心地よい。



52: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:30:53.51 ID:9k8YWrmA0

('A`)「…」

叫びには沈黙を。
お前の叫びには今更俺の心に何の小波も起こしはしないよ。
だから、これからの行き先はお前が決めな。
俺は、ただお前のやり方に合わせるから。

( ,,#゚Д゚)「く…くそ!」

男は血が流れ出る左腕の付け根を押さえた。
そして、ここに現れたときのように一瞬で空に消えた。
逃げた。
ソード同盟が。
レジスタンスの勝利?
ソード同盟の敗北?
いや、違う。
勝利も敗北も無い。
ここにあったのは殺戮だけだ。

('A`)「…」



53: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:32:23.62 ID:9k8YWrmA0

沈黙。
どの感情を表に出せば良いのだろう。
喜び。
虚しさ。
悲しさ。
嬉しさ。
悲痛。
嘲り。
罵り。
慰め。
愛。
憎しみ。
どれもが俺の心の中で鬩ぎあっている。
駄目だ駄目だ。
どれか一つになんか選べやしない。
どれか一つになんか選べやしない。
嗚呼、頭が痛い…。

( *^ω^)「ドクオ!」

ブーンが笑顔で近づいてきた。
やめてくれ。
また、俺を称える気かい。
俺は、また人を傷つけたのに。
お前は、自分達の命が助かったから俺を称えるのかい。
右腕が焦げているお前が痛々しいよ。



54: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:33:34.62 ID:9k8YWrmA0

( *^ω^)「ドクオ! すごいお!!」

('A`)「…」

ブーンの言葉に何も返せない。
あの時の言葉を言いたいのに。
それは、真実なのに。
心の中のバイアスが俺を阻む。

( ^ω^)「凄い力だったお! ドクオ!」

('A`)「…」

やめてくれ、凄くなんか無いんだ。
それよりも、お前の凄さがどんどん消えていることに俺は悲しみを覚えるよ。
俺を受け入れるより、世の中の悲しみを受け入れてくれ。
ああ、頭が…

( ^ω^)「ドクオ…?」

( A )「…」

痛い…

ドサ

倒れた時に、影法師はもう出てこなかった。



56: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:36:28.74 ID:9k8YWrmA0




――


―――


――――


―――――



58: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:38:26.29 ID:9k8YWrmA0

('A`)「…」

目が覚めたときには、周りには誰もいなかった。
白い室内。
ここは、どこだ。

('A`)「保健室か…」

直ぐに気がつく。
そういえば、ここは大学だったな。
保健室ぐらいはあるのか。
多少、精液の臭いが鼻につく。
ここを使っていた奴がいたのか。

('A`)「ふう…」

ため息をつく。
心は幾分か楽になった自分がいた。
狭間の心。
強大な力を有するものの、壊れそうな心。
長続きするはずも無い。



60: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:40:28.83 ID:9k8YWrmA0

今は、ただ皆といたい。
ポジティブ?
はは、そんな感じの心になっているや。
蔑みも、今は軽い。

('A`)「影法師」

影法師を呼び出す。
そこに現れたのは、白いぼろきれを纏った骸骨。
手には普通の日本刀を持っている。
ああ、弱いんだな。
愛したいと望んだときの、暗い心を除いた俺はこんなものか。

シャッ

ベッドの横のカーテンを開ける。
俺の他には誰もいない。
外が暗い。
時計を見てみると、あれから数時間しか経っていなかった。
それなのに、この疲労感。



61: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:43:05.36 ID:9k8YWrmA0

('A`)「…」

ガキン!

影法師の刀をカーテンの支柱にぶつける。
鉄と鉄がぶつかり合う音。
切れない。
支柱はひしゃげるだけ。
これが今の全力か。
まあ、いい。
ニダーが死んだことを考えれば、影の力ぐらいは使えるだろうさ。

('A`)「弱くなったもんだ」

今までの強大な力が全て消えた。
いや、潜んだ。
戦いの度に出せるものなのだろうか。
不安が心を過ぎると、影法師の衣が少しくすむ。
大丈夫か。
俺の心の暗闇は、消えたわけじゃないのだから。
安堵と少しばかりの絶望に浸るのも悪くは無い。



62: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:44:57.24 ID:9k8YWrmA0

コンコン

そんなことを考えていると、ドアをノックする音が聞こえる。
誰だ。
皆か?

( <●><●>)「こんにちは、ドクオくん」

ワカッテマスか。
お前かよ。
何しに来たんだ。
てっきり、死んだものかと思ったよ。

('A`)「今日、死ぬんじゃなかったのか」

少しばかりの皮肉と、安堵を伝えた。
ワカッテマスは、少し微笑みながら答える。



64: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:46:14.30 ID:9k8YWrmA0

( <●><●>)「ええ、死にますよ。この後に」

('A`)「なっ!?」

ソード同盟は去っていったんだぞ。
それなのに、まだ死ぬと言うのか。
まさか、別のソード同盟が来るのかよ。
やめてくれ、今の俺じゃ戦えない。
皆を守れない。

( <●><●>)「そのことを含めて、あなたにお話したいことがあります」

('A`)「なんだ…?」

色々聞きたいことを抑えてワカッテマスの声を聞く。
一体、何を聞かされるのか。
お前は、最後まで俺を振り回すんだな。



66: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:47:19.92 ID:9k8YWrmA0

( <●><●>)「―――」

('A`)「―――?」

( <●><●>)「―――」

('A`)「―――!?」

( <●><●>)「―――…」

(#'A`)「―――!!」

( <●><●>)「―――」

(#'A`)「―――!!」

( <●><●>)「―――」

(;'A`)「―――…!?」

( <●><●>)「―――」

('A`)「―――…」



67: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:48:29.07 ID:9k8YWrmA0



……

………

('A`)「そういうことか…」

( <●><●>)「ええ…」

('A`)「分かったよ」

( <●><●>)「ありがとうございます…
それでは、行きましょうか」

ワカッテマス…。
お前が何を思っているか、俺には未だにわからないよ。
お前自身、何を考えているのか分からないんだろうな。
だけどな、ワカッテマス。
俺もお前のことは嫌いじゃないよ。



69: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:49:30.19 ID:9k8YWrmA0

( <●><●>)「…」

('A`)「…」

無言で歩くワカッテマス。
運命を受け入れざるを得ないその宿命、力。
どんな気持ちなのだろう。

( <●><●>)「さあ、呼んできてください」

('A`)「ああ」

コンコン

ドアをノックする。
中の人間を呼び出すために。
誰が出るのか。
誰が出るのか。
誰でも良いんだけどな。



71: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:50:36.40 ID:9k8YWrmA0

ガチャ

川 ゚ -゚)「!」

('A`)「どうも」

中から現れたのはクー先輩だった。
ショボン先輩、ツン、ジョルジュ先輩、ブーン。
うん、皆いるな。
よし、これでいい。
さすが、ワカッテマス。
皆がちゃんといることを分かっていた。

('A`)「皆、着いてきてくれないか」

川 ゚ -゚)「あ、ああ…」

( ^ω^)「ドクオ、気がついたのかお!」

('A`)「いいから着いて来い」

( ;^ω^)「お…分かったお…」



73: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:52:09.93 ID:9k8YWrmA0

興奮するブーンを嗜めて、皆を連れて外に出る。
腕には治療のためか、包帯が巻かれている。
痛々しい。
だけど、今はそれどころじゃないんだよ。
お前にも関係があるんだ。
あちらこちらに瓦礫が並ぶ外。
レジスタンスの面々が絶望に暮れている。
この様子はどうだと言わんばかりの絶望の表情。
因果応報とは良く言ったものだ。

(;´・ω・`)「ドクオ、どこへ行くんだ?」

('A`)「ワカッテマスについていけば分かりますよ」

( <●><●>)「まあ、そんなには歩きません」

(;´・ω・`)「そ、そうか…」

萎縮しているショボン先輩。
まあ、それはそうか。
この間までは恐怖の権化がすぐ傍にいるのだから。
怖いのは当たり前だ。
普通なようで、俺の感覚もどこか壊れ始めている。
それは、分かる。



74: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:53:57.64 ID:9k8YWrmA0

( <●><●>)「着きました」

そこは、ロマネスクと戦った広場。
燃え尽きた木々が散乱する廃墟。
ただ、広さだけが広がるそこは墓地よりも墓地らしかった。

( <●><●>)「さあ、始めますか」

('A`)「ああ」

( <●><●>)「千手千眼観音」

ワカッテマスがソードを出す。
仏像をそのまま象ったかのようなソード。
ワカッテマスの苦しみの原因。
そして、力。
それが、語りかける。

−「第三グラウンドにレジスタンスは集合せよ」―

その言葉が頭の中に鳴り響く。
何回も、何回も、何回も。
まるで、アラームのように鳴り響く。
恐らく、全員が揃うまで止まらない。
そういったことも感覚で分かる警報音のような声。



76: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:55:40.44 ID:9k8YWrmA0

(;´・ω・`)「なんだ…」

川 ;゚ -゚)「不気味なものだな」

( ;^ω^)「…」

皆が戸惑っている間に、レジスタンスは集まっていた。
ソード同盟にだいぶ殺されているはずなのに、それでも数百人の集団。
最初は、何人いたんだ?
恐ろしい集団だったんだな。

( <●><●>)「ご苦労、諸君」

全員が集まったのだろうか。
頭の中に鳴り響く声が止まった。
全員が絶望に顔を歪め、自らの行いを悔やみ、
そしてやり場の無い憎しみを持っているようだった。
その中には、あの熱い少女もいた。



78: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:58:04.38 ID:9k8YWrmA0

( <●><●>)「これから、現状について説明する」

( <●><●>)「我がレジスタンスはほぼ壊滅状態。
また、ソード同盟の力はこれからもレジスタンスに及ぶだろう。
さあ、諸君。この状況の中キミ達はどうする?」

円状に広がった群集を前に、ワカッテマスは演説を始める。
その横には俺がいる。
俺がいることを怪訝に思う表情は無い。
今は、ただワカッテマスに憎しみをぶつけている。

( <●><●>)「それは、全て諸君のせいである。
諸君らの行いによるものである。」

( <●><●>)「諸君らの行いにより、この状況となったことについて。
私は、問いたい」

好き勝手なことを言うワカッテマス。
いや、むしろ憎しみを煽っている。
お前はどこまでも運命に逆らわないんだな。



80: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/02(木) 23:59:38.30 ID:9k8YWrmA0

ノハ#゚听)「ふざけるな!」

反論の口火を切ったのはあの少女だった。
ああ、君か。
さすがだよ、勘違い娘。

ノハ#゚听)「元はと言えば、貴様が甘言で皆を先導したのがそもそもの始まりだろう!
真の世界平和などと謳いながら、弱肉強食を説き…。
どの口で私達が悪いと言う!」

( <●><●>)「…」

ノハ#゚听)「貴様が…貴様さえいなければ…こんなことにはならなかっただろう!!!」

そうだ、そうだ、と周りが呟きはじめる。
そして、幾人かがソードを出す。



82: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:00:56.93 ID:5GpFXcWm0

( <●><●>)「逆らうと言うのですか?」

ノハ#゚听)「それが皆の総意だ…!」

幾人の輪は、全員に広まっていく。
レジスタンス数百人のソードが、ワカッテマスに向けられる。
今は、硬直。
しかし、いつ瓦解するか分からない緊張感。

ノハ#゚听)「いくら、お前でも全方位の攻撃はかわせないだろう…」

( <●><●>)「ええ、そんなことは分かっています」

ノハ#゚听)「ならば…」

少女は覚悟を決めたようだった。
おいおい、中心には俺もいるんだぜ。
まあ、そんなことはどうでも良いんだけどな。

「撃てええええええええええ!!!!!!!!!」

少女の声が響き、一斉の攻撃が俺達に向かう。
全方位からの攻撃。
右、左、上。
ああ、これはよけられない。
僅かの隙間も無いや。



83: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:03:21.01 ID:5GpFXcWm0

「エプンキネ・オキムンペ!!(あなたを守る雪崩)」


ザアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!


その攻撃を止めたのは、他でもないブーン。
ありがとう。
お前は、本当に予想通りなんだな。

( #゚ω゚)「はあ…はあ…」

精一杯の表情だな。
焦りと怒りか。
お前らしくないよ。

ノハ#゚听)「邪魔をするな!!!」

レベル5にも臆することの無い少女。
ああ、素敵だ。
俺も君みたいになりたかったよ。

( #゚ω゚)「お、お前ら、馬鹿じゃないのかお!?」

ノハ#゚听)「なんだと!?」

さあ、運命が回り始める。



87: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:04:49.02 ID:5GpFXcWm0

( #゚ω゚)「普通の人を、苛めたのはお前らだお!
僕達を、殺そうとしたのもお前らだお!
脅されてやったんじゃないのに、何で自分達の間違いを認めないんだお!?
この人は間違っているけど…
お前らも間違っているお!」

ノハ#゚听)「な…!」

私はやっていない。
そう、言いたいのかい。
うん、言いなよ。
言わないのは分かっているけど。

( <●><●>)「彼の言う通り」

ノハ#゚听)「なに!?」

未だにワカッテマスの言には反抗的か。
その姿勢は頂けないな。



88: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:05:33.18 ID:5GpFXcWm0

( <●><●>)「私は、あなたがたに自由を与えたに過ぎない。
しかし、あなたがたはその自由を私利私欲に使った」

( <●><●>)「あなた方が、一人一人が自制を持ちさえすれば、真の平和は有り得た。
何者にも犯されない楽園はあなた方が壊したのだ」

ノハ#゚听)「しかし…!」

( <●><●>)「彼を見なさい!」

( ;^ω^)「おっ!?」

突然、指を指されたブーン。
戸惑うブーンを尻目にワカッテマスは話を続ける。



90: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:07:47.28 ID:5GpFXcWm0

( <●><●>)「彼は君たちが迫害していた者。
底辺の底辺。その中でソードに目覚め私と同等の力を得た。
しかし、彼の行いは今見た通りだ!」

( <●><●>)「この私でさえ守ろうとした!!!!」

( <●><●>)「諸君の中で、この行いが出来るものはいるか!!!」

( <●><●>)「いるのなら、前に出たまえ!!!」

ノハ#゚听)「…!!!」

始めてみるワカッテマスの大声。
皆には始めてみせる本音だと思うだろう。
その演技には俺も騙されそうだよ。

( <●><●>)「そう、これこそが真の平和への礎。
諸君らは、過ちを犯した! 罪を犯した!
しかし、その過ちと罪とを乗り越えたレベル5がここにいる!!!」

ザワザワ

( <●><●>)「諸君らは平和を創り出す事が出来るか!?」



93: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:10:31.18 ID:5GpFXcWm0

ザワ・・・ザワ

( <●><●>)「断じて否である! この状況がそれを物語っている!」



( <●><●>)「また、ソード同盟に平和を創り出す事は出来るか!?」

ザワザワザワザワザワ

( <●><●>)「これも否である! 彼らは結局、目的のために人を殺した!!」

ザワザワザワザワザワザワザワ

ソウダ…

( <●><●>)「ならば見よ! 彼を! 彼の手を!」

ザワザワ

( <●><●>)「彼は友を救うためにその身を投げ出し、敵である私にさえ慈悲をかけた!」

ザワザワザワザワザワザワザワ



95: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:11:52.82 ID:5GpFXcWm0

( ;^ω^)「おっ? おっ!?」

( <●><●>)「平和を創り出す者とは、誰か!!!」

ザワザワザワザワ…

( <●><●>)「それは、力を持ちながら人を傷つけないものである!!!」

ザワザワザワザワ

( <●><●>)「その力を守るために使うものである!!!」

ザワザワザワザワザワザワザワ

( <●><●>)「ここに断言しよう…」






( <●><●>)「諸君らの指導者は彼である!!!」



96: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:13:01.02 ID:5GpFXcWm0

そう言い切ったワカッテマス。
さすがですよ、指導者様。
最後にお前のカリスマを見た気がするよ。

( ;^ω^)「おっ!? 一体どうなっているお!?」

状況が掴めないブーン。
しかし、状況はかまわず進んでいく。
そうさ、ここまでは決まった運命。
俺達が知ることが出来る運命。
分からないのは、この先の先からさ。

( <●><●>)「彼の名は内藤ホライゾン!」

ホライゾン・・・?

ホラ・・・?

( <●><●>)「以後、彼を指導者として真の平和を創り出せ!」

( <●><●>)「それが諸君らが行った過ちと罪とを贖う唯一の方法!」



98: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:14:24.41 ID:5GpFXcWm0

ザワザワザワザワザワザワザワ

マサカ…

ソンナ…

( <●><●>)「この瞬間より、内藤ホライゾンを…」

マサカ…

ザワザワザワザワザワザワザワ

( <●><●>)「レジスタンスの真のリーダーとする!!!」


オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!


湧き上がる歓声。
流される愚鈍達。
そんなはずが無いだろう。
こんな無茶苦茶な理論は普通は通らない。
しかし、レベル5の力と、演技なしのワカッテマスを助けたことが説得力を持たせる。
さあ、歯車は回り始めたんだ。
茶番という名の歯車は。



100: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:16:03.58 ID:5GpFXcWm0

ノハ#゚听)「待て!!」

その歯車をさらに回そうとする少女。
君は、これから人殺しの片棒を担ぐのさ。
それを知ることは一生無いのだろうけども。

ノハ#゚听)「貴様は…貴様はそれで自分の罪を贖ったつもりか!!」

( <●><●>)「いえ」

ノハ#゚听)「なんだと!?」

熱いなあ、君は。
そんな君の一言が、これから一人の青年の命を奪うんだぜ。

( <●><●>)「ドクオくん」

('A`)「ああ…」

気だるく答えたて、影法師を出す。
白いぼろきれ、普通の刀。
ああ、今の状況にぴったりだ。



102: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:18:31.60 ID:5GpFXcWm0

( <●><●>)「彼は命を刈り取る死神、そして内藤ホライゾンの守護者」

よく言うぜ。

( <●><●>)「彼の刀により、我が罪を贖おう」

ああ、分かっているよ。

( <●><●>)「レジスタンス諸君」

まだ、茶番を続けるのは辛かろう。

( <●><●>)「以後、内藤ホライゾンを指導者として真の平和を創りたまえ!」

今、楽にしてやる

('A`)「…」

刀を両腕で持ち、振り上げる。
これを下ろせば、完了。
戸惑いはあるのか?
ああ、あるさ。
だけども、俺は振り下ろすよ。
それが、今の心が選んだ最良の選択だもの。



103: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:20:58.90 ID:5GpFXcWm0
ザワザワザワザワザワザワザワ

ざわめく民衆。
さあ、ショータイムだ。
本当はお前達なんかに見せたくは無いんだけどな。

('A`)「切り裂け」

影法師が刀を振り下ろす。
ワカッテマスの首に向かって袈裟に。
そして、刀が首に届くか届かないかの狭間。
ワカッテマスは、俺だけに届くようなか細い声で言った。



「ありがとう…」



104: ('A`)が狭間で生きるようです ◆6us9FJeBdRfJ :2009/07/03(金) 00:23:25.08 ID:5GpFXcWm0

そして、彼の首は飛んだ。
さようなら、ワカッテマス。

お前とは、最後で友達になれたのかもな。
偽りの贖いと偽りの独立の儀式は終わった。
そして、賽は投げられた。
歯車はもう見えない。

お前が見た運命は何一つ変わらなかった。
これからも、何か運命があるのかな。
だけども、もう知らない。
もう見えない。
さあ、歩こう。
物語は、もう進んでいる。



第19話 「偽りの贖い、偽りの独立」 終



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