('A`)が狭間で生きるようです
- 81: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:27:03.12 ID:i/cIgkLl0
- 次の日は惨劇だった。
皆が皆二日酔い。
例に漏れずに俺も。
(;´・ω・`)「はしゃぎすぎた…」
( ;゚∀゚)「正直、調子に乗りすぎました」
( ω )「…」
( A )「…」
川; ゚ -゚)「さすがに一年は死んでいるか」
ξ;゚听)ξ「大学生こえー…」
そんななかで日々を過ごしてきた。
初めて出来た友達。
初めて出来た仲間。
グループ、所属、帰属。
これを失いたくないと思っていた。
だけど、それも全て自分勝手な想い。
ああ、なんでこんなにも砂上の楼閣だったんだろう。
―――
- 82: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:28:47.38 ID:i/cIgkLl0
- 「…」
先輩は、ただ沈黙し
「裏切り者!」
好きな人からは罵られ
「ち、違います! 僕等はレジスタンスじゃありません!」
尊敬する人からは、裏切られ
「あ…う…これは…」
親友は真実を話さず
「違うのよ、ドクオ…ブーンは私を守ろうとして…」
仲間は、嘘を吐く
- 84: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:29:41.71 ID:i/cIgkLl0
- うるさい、黙れ、口を開くな。
俺にその言葉で話しかけるな。
どいつもこいつも好き勝手なことを言いやがって。
みんなみんな大嫌いだ。
みんなみんな好き勝手だ。
俺と何が違う、俺と何が違うって言うんだ。
普通の生活だったら、こんなことにはならなかったのに。
過去のトラウマを払拭できるはずだったのに。
状況が全てを変えたんだ。
俺のせいじゃない。
状況が皆を変えただけなんだ。
ちくしょう。
ちくしょうちくしょうちくしょう!
クソッタレ!
―――
- 88: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:30:30.26 ID:i/cIgkLl0
「どうだった、人生の後半は?」
最低だよ、クソッタレ。
「答えは決まったか?」
当たり前だ。
「ほう…」
そう言って、俺は黒い扉の前に立つ。
いらない。
もう俺なんかいらない。
俺が傷つけるのも、俺が傷つけられるのも真っ平だ。
後はよろしく、影法師。
お前に全部任せたよ。
「それがお前の選択か」
ああ、そうさ影法師。
お前が選ばせたんだ。
どうせ、消えるんだ。
全部お前のせいにしてやるさ。
俺は悪くない。
俺は悪くないんだ!
- 92: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:31:40.14 ID:i/cIgkLl0
「ほとほと、最低だな」
ああ、最低さ。
最低で結構だ。
俺は、もう行く。
何も無いところに俺は行く。
俺は俺は俺は俺は俺は俺は俺は!
俺は何も無いところに行くんだよ。
そう思い、俺は黒いドアノブに手をかけた。
―――
- 94: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:32:55.18 ID:i/cIgkLl0
「ごめんお…ドクオ」
扉を開けようとした時に、何だよ。
なんだって、こんな記憶が流れて来るんだよ。
俺の走馬灯は終わっただろう。
お前は関係ないだろう。
お前は、もう俺に関係ないだろうが。
お前の言葉なんて、俺には関係が無いんだよ。
そうだ、そうだ、そうに決まっているんだ。
お前の言葉なんて俺には関係無いんだよ。
- 98: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:34:03.60 ID:i/cIgkLl0
「あっちじゃ、民族同士の対立が激しいなんて知らなかったんだお…。
僕が不用意だったお…」
やめろよ。
お前にそんな同情をされても嬉しくなかったんだよ。
経験したことが無いお前に言われても。
ああ、確かにからかわれたさ。
大学の同じ講義の奴らにからかわれたさ。
それから、落ち込んでいたかもしれないよ。
だけど、お前には関係が無いだろうが!
「そういうの、やめてくれないかな。
そうやって、される方が嫌だよ」
ほら、その時の俺もそう言っている。
そうだ、そうだ。
お前なんかに何が分かるっているんだよ。
「ドクオ…!
だけど、僕は…僕は…」
もう、やめな。
俺を抉るだけだから。
俺が楽しいんじゃない。
お前が辛いんじゃない。
ただ、世界が悪いだけなんだ。
- 100: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:35:09.88 ID:i/cIgkLl0
「もう、いい」
そう言って、俺はブーンから去っていく。
これが、最初だった。
大切なものを捨てるのは。
自分のトラウマを理由に友情を自分から捨てるのは。
「ドクオ…!」
さよならさよならさよなら。
何度も呟いた。
心の中で呟いた。
ブーンと一緒にいたかった。
そう、俺は友達が欲しかっただけなのに。
「待ちなさい!」
捨てた直後の、別方向からの声。
ツン。
ブーンと同じ高校出身の子。
なんだよ、何の用だよ。
お前が惚れているブーンに冷たいことを言ったから怒っているのか?
- 101: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:36:30.64 ID:i/cIgkLl0
パン!
「いて!」
俺にいきなりの平手打ち。
だけども、腹は立たなかった。
これで、嫌われることになったなら。
俺は捨てたことにならないのだから。
俺は、捨てられただけになるんだもの。
ドゴ!
「モゲラ!」
ツンは、ブーンの股間を蹴り上げた。
え?
呆気にとられたんだ。
ツンはブーンの味方だと思っていたから。
「これで終わりにしなさい!」
「え…?」
呆気にとられる俺。
声を荒げるツン。
そして、俺を睨みつける。
- 103: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:38:05.38 ID:i/cIgkLl0
- 「この馬鹿はバカだから、このくらいじゃ足りないわよ」
「…」
「でもね!」
「…」
「民族の対立なんて、人間の尊厳に関係無いのよ!」
「…」
「誰だって、幸せに生きる権利があるの!」
「…」
「あんたは、ドクオ! 私はツン! こいつはブーン!
皆、弓道部の仲間なの!」
「…」
「だから、仲直りしなさい!」
「…」
顔を真っ赤にして唇を震わせながらそう言うツン。
目にはうっすら涙が浮かんでいる。
ああ、この子は正義感みたいなものが強いんだな。
親父以外にそんなことを言われたのは初めてだよ。
公衆の面前で、よくもそんな臭い台詞が吐けるものだ。
- 107: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:41:21.32 ID:i/cIgkLl0
「わかった!?」
「ああ…」
とうとう涙を流しながらそう言うツン。
はいはい、分かりましたよ。
そう思って俺は答えた。
だけど、分かってなんかいなかった。
俺は分かってなんかいなかった。
そうなんだ、俺は分かってなんかいなかったんだよ。
だって、あの時は今みたく涙なんて流していなかったもの。
だって、今はあの時みたく声なんて出ないもの。
―――
- 108: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:42:29.30 ID:i/cIgkLl0
「どうした、早く扉を開けろよ」
黙れよ、黙れ。
流れてくるんだよ。
勝手に流れてくるんだよ。
俺の意思なんかじゃない。
俺の意思なんかじゃないんだよ
「クズが」
良いんだよ。
最後なんだから。
最後だから良いんだよ。
こんなんじゃ決意なんて変わりやしないんだよ。
だから、良いだろう。
決意を変えなければ、いくらでも見ていいだろうが!
―――
- 109: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:43:31.14 ID:i/cIgkLl0
「ドクオ、おっぱいはな。奇跡なんだ。
ただ、そこにあるだけで奇跡なんだよ。
まるで、人間みたいだろ?」
「はあ!?」
部室で、初めてジョルジュ先輩と二人だった。
初めて、ジョルジュ先輩のおっぱい哲学を聞いたときだった。
意味が何一つ分からなかった。
おっぱいという単語に対する興奮。
そして、その後の臭いセリフ。
この人は危ない。
最初は、正直そう思った。
「お前には、まだ分からないか!」
「はい、ぜんぜん分かりません!」
「ははは! そのうち分かるさ!」
正直な話、今でも意味は分からない。
でも、ジョルジュ先輩が優しいことだけは分かっている。
先輩としての気遣い程度の付き合い。
だけど、決して俺を否定しなかった。
この人の強さの根源は何だろうと考えたときに、浮かぶのはおっぱいだった。
- 113: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:44:28.37 ID:i/cIgkLl0
- ガチャリ
「ジョルジュ、ドクオが困っているだろ」
「そいつはすみませんwww」
その二人の空間に現れたのがショボン先輩だった。
面倒見が人一倍良い先輩。
器用な先輩。
そして、俺の初恋の人の彼氏。
妬ましくて嫉ましくて。
夜な夜な、ショボン先輩を心の中で交通事故に合わせたものだった。
「ときに、ドクオ」
「はい?」
「お前、シーナとニーホのハーフなんだってな」
「…!? はい…」
唐突にトラウマに触れられた。
あの時は、まさかと思った。
先輩は、まさか本州出身なんじゃないか。
そう、思った。
- 114: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:45:24.68 ID:i/cIgkLl0
「いきなり、こんな話すまんな。ただ、確認だけをしとくぞ」
「なにをですか…」
「俺とお前の関係についてだ」
「いったい、何ですか…」
関係。
この言葉は嫌だった。
俺と人との関係なんて、全部愛憎がらみのものだった。
自己愛、民族愛。
その裏返し。
そんなものでしか、俺は人と接したことが無いんだから。
「俺は先輩で、お前は後輩だ。俺とお前の関係はそれだけだ。
それ以外は何も無いからな」
「…」
一瞬、ドキリとした。
それ以外の何も無い。
それ以上のものなんて何も無い。
俺は拒絶されたのだ、と思った。
- 117: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:46:11.88 ID:i/cIgkLl0
「分かりましたよ…」
涙が出るのを堪えながら、そう言う。
ショボン先輩は良い人だと思っていた。
だけど、思えば本州の人たちの大半も俺以外には優しかった。
つまりは、そういうことなのだろう。
「分かってないだろ」
「分かってますよ…。
なんなら、部室出ましょうか?」
「…」
少し、怒った表情をするショボン先輩。
俺も負けずに不機嫌になる。
それを黙って、見守るジョルジュ先輩。
この時の言葉は、本当に後悔したよ。
「馬鹿野郎」
「はい?」
唐突に馬鹿扱い。
怒りそうになった俺。
ちくしょう。
あんたに何が分かるんだよ。
- 120: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:47:12.22 ID:i/cIgkLl0
「俺はお前の先輩だ。
お前がハーフだとか、関係ない。
そんなもの俺とお前の関係に、何一つ影響なんざ与えないんだ。
その辺をちゃんと分かっているのか?」
「え?」
素っ頓狂な声が出た。
この人が何を言っているのか分からなかった。
先輩と後輩。
ただ、先に生まれたか後に生まれたかの違いじゃないのかよ。
俺の周りはそんなものだったぞ。
「やっぱり、分かってないんだな」
「ショボン先輩、その言い方じゃ誤解されますってw」
「ん? そうか?」
「え? え?」
慌て続ける俺を尻目に、ジョルジュ先輩は半笑いだった。
ショボン先輩も釣られて、笑い始める。
俺は、さっきまでの自分の考えが間違いだということだけは理解していた。
- 121: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:47:56.19 ID:i/cIgkLl0
「よし、飲みに行くか!」
「いいっすね!」
「えぇ!?」
いきなりの提案に戸惑うしかない俺。
明らかに俺の方を向いて言っている。
しかしながら、しかしながら。
先輩、意図が全く分かりません。
「ほら行くぞ、ドクオ!」
「今夜は、寝かせないぞ!」
「ラ、ラジャー!」
こうして、俺はその日は先輩と飲み、吐いた。
優しく、そして男らしく受け入れてくれた。
ちくしょう、何だってこんな記憶を。
貴様は、今見せやがる。
- 123: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:49:22.66 ID:i/cIgkLl0
―――
「どうした? 早く扉を開けろよ」
うるさい、黙れ。
黙れよ。
黙れ黙れ黙れ黙れ!
黙りやがれ!
「白い扉を開く勇気は、お前の中には無いんだろう?」
ああ、そうさ。
このままの自分が続くなんて真っ平だ。
ああ、そうさ。
俺は自分が一番好きなんだ。
ああ、そうさ。
俺は自分が一番嫌いなんだ。
- 126: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:53:07.84 ID:i/cIgkLl0
「迷うなよ」
だから、黙れって言ってんだろ!
分かっているんだよ。
ぜんぶぜんぶ。
皆、聖人なんかじゃないんだよ。
平気で俺を傷つけるんだ。
平気で俺は傷つくんだ。
こんな世界なんて嫌いなんだ。
こんな世界なんて憎いんだ。
みんなが羨ましいんだ。
みんなが憎らしいんだ。
みんなが妬ましいんだ。
みんなが嫉ましいんだ。
「それが一生涯続くんだよ」
ああ、そうさ。
俺はそんなのに、耐え切れないさ。
きっとまた投げ出すさ。
白い扉を選んでも、結局は投げ出すんだ。
「分かっているなら…」
それでもなあ!
それでもそれでもそれでもそれでも。
それでもなあ…!
- 129: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:54:15.50 ID:i/cIgkLl0
「ブーンはニダーを殺したんだぞ」
分かっているよ!
あいつだって、聖人なんかじゃない。
俺の期待していたあいつなんかじゃない!
皆、俺を裏切ったさ!
皆、俺の望む俺じゃなかったさ!
「だったら、何を迷う?」
黙ってくれよ、ちくしょう…。
―――
- 131: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:55:17.94 ID:i/cIgkLl0
「ほら、ドクオ水だ」
「あ、すいません…」
クー先輩に、介抱されたのは二回目だ。
ショボン先輩とジョルジュ先輩と飲んでいたとき。
三人で飲んでいたはずなのに、いつの間にかクー先輩がいた。
その時、改めて確信したんだ。
ショボン先輩とクー先輩は、付き合っているって。
「おう、起きたか。少し休んでな」
「はい」
ショボン先輩がクー先輩の近くに座る。
前までは、単なる嫉妬の対象だった。
だけど、今では何でだろう。
この人で良かったと思える。
他の人なら耐えられなかった。
「しかし、いつもいつもすみません…」
「気にするな。いずれ、お前が何かで私を助けてくれよ」
クー先輩は、微笑みながらそう言った。
ええ、もちろん。
心の中でそう呟く。
口には出さない。
- 135: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 21:59:08.80 ID:i/cIgkLl0
「すみません」
「気にするな。私はお前の先輩だぞ」
何を考えているか分からないクー先輩。
だけど、この人は俺がハーフだからと差別はしない。
思想信念とかじゃない。
本当にどうでも良いだけだった。
ハーフとかそんなものが。
「そういうことは気にしたら負けだ。気を強く保て!」
「は、はい!」
「分かったら飲め!」
「は、はい!」
自分の芯を大切にする。
そういう人だった。
だから、僕は憧れた。
その言葉がショボン先輩と同じだとしても。
ショボン先輩は自分の思想からそう言っていた。
だけど、クー先輩は自分の感情からそう言っていた。
だから俺はクー先輩に憧れていたんだ。
- 139: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:00:43.87 ID:i/cIgkLl0
- ―――
「早く扉を開けろ!」
黙れ!
「クソ野郎が!」
黙れ!
「今更なんだってんだ! 捨てたんだろう!
全部、捨てたんだろう! お前が捨てたんだ!
お前が全部価値がないとしたんだ!」
黙れ!黙れ!黙れ!黙れ!
- 140: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:01:33.20 ID:i/cIgkLl0
「クソが…!」
ああ、捨てたさ。
意味が無いと思ったさ。
皆の心なんざ俺を何一つ変えやしないんだよ。
そんなものは、分かりきっている話なんだ。
俺は、何一つ変わっちゃいないんだ。
でも、抉るんだよ!
俺の胸を抉るんだよ!
こいつらが俺の胸を抉るんだ!
痛いんだよ…!
心が壊れそうなくらいに痛いんだ!
こいつらは、俺の心をこんなにも痛めつけるんだ!
痛いんだよ…。
―――
- 142: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:02:26.90 ID:i/cIgkLl0
( ゚∀゚)「ドクオ、おっぱいが【ある】のも素晴らしい。だけど【ない】のも同様に素晴らしいんだ。
例えみんなにおっぱいがあっても、例えおっぱいが皆になくてもそれは変わらない」
こいつは、いつも訳の分からないことばかり言うんだ。
だけど、こいつは俺を嫌いにならないんだ。
川 ゚ -゚)「私はお前に助けてもらった。これからもそういうことがあるかも知れない。
たけど私がお前の先輩だと言うことを忘れるな」
こいつは、いつだって自分の意思でしか動かないんだ。
だけど、だからこそこいつは俺を嫌いにならにんだ。
ξ゚听)ξ「あんたは私の同期。そして友達。それは何も変わらないからね!」
こいつ、自分の思想信念で人を裁くんだよ。
だけど、だからこいつは俺を嫌わないんだ。
(´・ω・`)「お前はソードになった。だけど僕はお前の先輩だ。
お前よりも弱い存在だ。だけども変わらずにお前に先輩面をするからな」
こいつは、その偽善でいつも俺を憐れむんだ。
だけど、だからこいつは俺を嫌わないんだ。
- 144: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:04:25.46 ID:i/cIgkLl0
「だから、皆自分勝手なんだろう!?」
それでもなあ、影法師…!
( ^ω^)「ドクオ、僕と君はお互い違ってしまっても友達だお?」
ブーン…。
お前はいつもその明るさで俺を影にするんだ。
憎いよ、お前が心から憎々しい。
俺を勝手に友達だなんて言いやがって。
俺の欲しい言葉を勝手に言いやがって。
だから、お前は…。
お前は…。
お前は…。
それでもお前は…。
- 146: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:05:26.96 ID:i/cIgkLl0
壊したくないんだ
- 148: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:06:39.88 ID:i/cIgkLl0
「…それだけか?」
- 152: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:09:19.74 ID:i/cIgkLl0
皆を…愛したい
- 155: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:10:45.77 ID:i/cIgkLl0
('A`)「やっと、認めたな」
- 162: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:15:21.38 ID:i/cIgkLl0
光が溢れた。
涙で濡れる顔で、横を見る。
そこにあるのは、木で出来た茶色いドア。
俺の部屋のドアだった。
現実に繋がるドア。
迷いも無く、扉を開ける。
ほら、笑えるだろ。
憎くて憎くて憎みきっているはずなのに。
未だに皆が大切なんだ。
抱きしめたいんだ。
抱きしめられたいんだ。
首を絞めたいんだ。
首を絞められたいんだ。
だけど、皆には死んで欲しかないんだよ。
俺は皆が心から憎いよ。
そして、嫉ましい。
でも、皆が心から大切だ。
そして、守りたい。
どちらも嘘なんかじゃない。
全て、俺の真実。
その狭間で生きていく。
それが俺が選んだ単なる現実だ。
黒も白も無い。
そんなものは、世界に関係が無い。
その狭間が俺の現実なんだよ。
- 164: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:16:37.98 ID:i/cIgkLl0
('A`)「…!」
視界が平がる。
焼け焦げた大地。
そこに寝そべっていた俺。
だけど、焼けていない。
その代わりに、焼け焦げているブーンの右腕。
( #^ω^)「ドクオを…やらせはしないお!」
( ,,゚Д゚)「やれやれ…」
相変わらず、勝手なことを言うブーン。
呆れた表情をする男。
蔑みと、怒りの同時が湧き上がる。
顔は笑いながら歪み、涙を静かに流す。
どうやら、それは影法師も同じようだった。
衣は消えうせ、骨だけの体。
柄だけになった刀。
ああ、なんて弱々しいんだろう。
だけどな、俺は生きるんだ。
俺はな、ブーン。
あの時の答えを、まだお前に言っていないから。
- 166: ('A`)が狭間で生きるようです ◆9hxXX2kPHI :2009/05/30(土) 22:18:21.22 ID:i/cIgkLl0
- ('A`)「行くか」
立ち上がり、男を見据える。
男の興味は俺には無い。
後は、どうやって処理するか。
それだけの興味しかない。
( ,,゚Д゚)「そのまま寝ていれば楽だったものを…」
ああ、黙れよこのクソが。
その臭そうな口からそれ以上言葉を吐くな。
貴様らが行ってきたツケを今払ってもらおうか。
俺の友達をこんな目に合わせやがって。
俺が殺したいと思っていたのに。
はは、よく言うぜ。
まあ、そんなことはどうでも良いんだよ。
これから俺がお前に立ち向かうんだ。
「俺」がお前に立ち向かうんだ。
笑えるだろ、レベル5。
俺はレベル何だと思う?
俺も分からないよ。
さあ、行くか。
物語の始まりだ。
第18話「狭間」 終
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