( ^ω^)それでも僕は変わらないようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:30:21.23 ID:hFUZQW/90


「他の人間になれたらいいなんて思ったことない?」


世界は崩れていく。


「他の人にそっくりそのまま変わってしまえれば」


突然にスピードを速くして。


「私はねー。思ったことあるよー」


そして、再構築されていく


「だから、この世界を作ったんだー」


元の僕らを、バラバラにして。



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:31:43.06 ID:hFUZQW/90




( ^ω^)それでも僕は変わらないようです




5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:33:05.54 ID:hFUZQW/90

ξ゚听)ξブーン系小説の没ネタを公開しあうようです

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/08(日) 16:32:46.30 ID:O/SeScKJO

【題名】
 ( ^ω^)それでも僕は変わらないようです
【設定】
 24時間で変わってしまう(※1)世界に飲み込まれてしまった2人の話。

※1  2chのID変動みたいな感じ。
   00:00になると、地理・言葉、そして人が変わってしまう。

【】
 携帯に送られてきた送信元不明の1通のメール。
それに書かれてあったURL。クリックした、瞬間。
 目の前が真っ白くなった。そして体が軽くなって、何処かに引っ張られる様な――。
 目を開くと、見知らぬ景色が広がっていた。
「――ここは1日で変わっちまうのさ。全て、な」
 果たして2人は出会い、そしてこの世界から抜け出すことが出来るだろうか?
【キャラ】
( ^ω^) 主人公1
ξ゚听)ξ  主人公2
 主人公はどちらも高校生くらい。
从'ー'从   カウンター
カウンターを操る存在、『管理者』



原作者様に感謝!!



7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:34:19.44 ID:hFUZQW/90

一日が始まって、学校へ行って、友人達と笑いあって。

本当に変わらない毎日。
でも、非日常への入り口は、すぐ、そこにあった。


高校から帰る学生達の影が、夕陽に長く伸びている。
その中の一人、内藤ホライゾン。
成績は中の下、運動も得意ではないが、足だけは速い。

というか足の速さしか取り得がない。

( ^ω^)「ふぅ…疲れたお…」

('A`)「全くだ。勉強に価値を感じない、ってかいらないだろ」

訂正。
性格は人当たりが良く温厚。
友人が多くはないが、信頼できる友人が多い。

それも、取り得とはいえるだろう。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:35:24.10 ID:hFUZQW/90


中学校からの親友のドクオと話しながら帰り道を歩く。
彼の日常は、この日もなんの変化もなく、終わろうとしていた。

( ^ω^)「さ、帰ったらVIPでもするお。」

その前にちょっと見ておくか、と小さく呟き携帯を取り出す。

―とその瞬間。

ぶぶぶ、と音をたてて携帯がメールの着信を知らせる。
内藤は驚きながらも急いでメール画面を呼び出す。

(;^ω^)「お?知らないアドレスから…?」

('A`)「彼女からか?彼女からなのか?リア充死ねばいいのに!」

(;^ω^)「いや、だから知らないアドレスだって。てかまず彼女がいねーお。
       ………送信元不明?誰だお?」



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:38:19.81 ID:hFUZQW/90


本文はいたって簡潔な物だった。
『別な人間になってみたいと思いませんか?』

そして、謎のURL。

(;^ω^)「別な人間に…?」

意味不明な文に、怪しげなURL。
いつもの内藤であれば、即削除だっただろう。

('A`)「新手のスパムかなんかだろ。ほっとけって」

横から画面を覗きこみながら、ドクオが笑う。

(;^ω^)「…そう…だおね」



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:40:21.24 ID:hFUZQW/90


しかし、何かが引っかかった。

いや、内心惹かれたのだろう。

『別な人間になれる』というキャッチフレーズに。

そんな馬鹿なことはないだろう、そう思いながらも
内藤はそのままメールに保護をかけて、携帯を閉じる。

( ^ω^)「さ!早く帰ってVIPだお!」

('A`)「さ!帰ってエロゲ!貴子は俺の嫁wっうぇうぇwww」

各々の感想を述べ、家路を急ぐ二人。
馬鹿話をしながら家まで歩くうちに、
先ほどのメールの事など内藤は忘れてしまっていた。



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:41:56.23 ID:hFUZQW/90

( ^ω^)「ただいまだおー!」

誰からも返事はこない。
両親は共働きなのだから当然と言えば当然だ。

( ^ω^)「寂しくなんかないんだからねッ!」

誰にも聞かれない気持ち悪いツンデレを呟きつつ、
自室のPCの電源をつける。

画面に光が点り、カリカリという音と共に起動を始める。

その間に制服を脱ぎ、ジーンズに長袖のTシャツというラフな格好に着替える。
と、制服のポケットからことり、と携帯が落ちる。

( ^ω^)「おっ。そういえば…」

さっきの奇妙なメールを思い出す。



”別な人間になってみたいと思いませんか?”



正直言えば、嘘くさいと言わざるを得ないだろう。
別な人間になれたら、今頃世界はそっくりさんで溢れかえっている。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:44:13.05 ID:hFUZQW/90

( ^ω^)「別な人間に、ねぇ…」

それでも、もしも、ほんの数パーセントでも。
本当だったならば。

( ^ω^)「まぁ嘘でも、まぁ僕に損はないお」

”嘘だろう”
口に出すと、あまりにも現実味を帯びるその言葉。


確かに信憑性なんてない。嘘かもしれない。
でも、『他人になる』

それは内藤にとって魅力的な、甘美な響きに聞こえた。

勉強もできない。
運動もできない。
友人だって多くはない。

もし、もっと何でもできる人間になれたなら。

平凡な日常。
学校へ行って。
ただダラダラと毎日を過ごす。

そんな変化のない毎日でなく、非日常へと旅立つことができたら。

( ^ω^)「…」



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:46:13.06 ID:hFUZQW/90


―――――――……・・・・・・ ・ ・





街頭だけが明るく照らす道を、一人の女子高生が歩いていく。
空には白い月が、そこだけ穴が開いたかのようにぽっかりと浮かんでいる。

ξ゚听)ξ「はぁ。ったく…」

少女の名前は、ツン。
VIP高校二年生、生徒会長を勤める。

いつもならもっと早い時間に家路につくのだが、今日は特別だ。

性格は基本的に冷静、頭脳明晰。
そして――



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:48:53.98 ID:hFUZQW/90

ふと、前を歩く同じ制服の男子に駆け寄り、肩を叩く。
少し言葉を交わした後、帰る時間について、どうしたの?と聞かれると
取り繕うように声を上げる

ξ*゚听)ξ「べ、別に偶然同じ帰り道だったから、一緒に帰ってあげるだけなんだからっ!」

頬を染めて、高らかに宣言するその姿は、誰が見てもツンデレ。

その後、遺憾なくツンデレを発揮しつつ、家まで歩く。
もちろん天然なので、本人は気付いてない。
男はもはやいつもの事なので慣れっこである。なんとも羨ましい境遇だ。

ξ゚听)ξ「はぁ…。なんで素直になれないんだろ…」

しかし、本人にとっては相当に深刻な問題らしい。

ξ゚听)ξ「もっと、自分の気持ちをストレートに出せたらいいのになぁ…」

なんてね。
小さく呟き、自室に入り、制服を脱ぐ。



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:50:57.99 ID:hFUZQW/90

習慣的に携帯を開いて、メールの有無を見る。
結果は二通。

一通は明日の行事での生徒会長の仕事について。

もう一通は、発信元不明のメール。

ξ゚听)ξ「あれ?また宣伝メールかしら?」

件名はなし。

本文は一行だけ。
『別な人間になってみたいと思いませんか?』

そして、どこへ繋がっているのか不明なURL。

ξ゚听)ξ「別な人間かぁ。これさえやれば私も素直な人間に!とか?」

ξ゚听)ξ「…はぁ。アホくさ…」

そんなわけはない。
所詮自分は自分なんだから。

ξ゚听)ξ「…ちょっと飛ぶだけなら、大丈夫だよね…?」

淡い期待を込めて、少しの願望を込めて、
携帯を強く握りなおす。



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:54:07.48 ID:hFUZQW/90

*************************************


自分が嫌になった二人、


( ^ω^)「えーっと。とりあえずこのURLをクリックすればいいのかお?」


―自分を変えてしまいたいと思った二人、


ξ゚听)ξ「まぁ、どうせ宣伝がでて終わりだろうけど、一応、よね」


――他人になってでも、今以上の幸せを掴みたいと願った二人が、


全く違う境遇、場所にいた二人は、同じ想いで

違う時間、同じURLを、クリックした



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 20:57:18.55 ID:hFUZQW/90


二人の視界が、白く染まっていく――


上っているのか。

落ちていっているのか。

それとも、とどまっているのに、そう感じているだけなのか。

それでも、分かっていることが、二つ。

どこかへと、引っ張られていっている。



――そして、元の日常へと、通じてはいない。






プロローグ 了



戻る第一話