( ^ω^)それでも僕は変わらないようです

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:00:49.50 ID:hFUZQW/90





第一話「新しい世界、変わらない自分」





28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:03:22.71 ID:hFUZQW/90

白い視界は、気付けば夕焼け空に変わっていた。
身体の重さを感じつつも、ゆっくりと思考が戻ってくる。

( ^ω^)「…ここは…どこだお?」

周りを見渡すと、見渡す限りに膝丈ほどの草の原が広がり、近くには小川も流れている。
周りに集落らしき者が見えるが、少し遠そうだ。

( ^ω^)「確か、メールのURLをクリックして…」

そう。
あのメールを見たら、急に視界が白く染まったのだ。

(*^ω^)「じゃあ、僕は他の人間に変わったのかお!?」

急いで小川まで走っていって、水に顔を映す。
―しかし、顔はいつも通りの笑顔を湛えてそこに映っていた。
服装も、家で着ていた格好のままだった。

( ´ω`)「…なんでだお。変わってないじゃないかお…」

肩を落とし、再び周りを見渡す。

( ^ω^)「とりあえず、人のいそうなところに行ってみるかお。
      何か分かるかもしれないお…」

少しストレッチをして、身体をほぐした後、
心地よい暖かさの風を切って集落へと走り出していった…。



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:06:06.58 ID:hFUZQW/90

(;^ω^)「はぁ…ひぃ…。案外遠かったお…。」

足の速さと体力には自信のあった内藤ではあるが、
集落までは思いのほか遠く、着くころには、相当な量の汗をかいていた。

(;^ω^)「…なんか、村っていうか、集落っていうか…」

やっとの事でたどり着いた村ではあったが、
そこは、内藤のイメージしていた『村』とは違う光景だった。

畑や田などの食物を作る場所がまったくない。
家のようなものもあるが、しっかりとした造りでなく、
テントなどのようなただ骨組みと布だけのようなものだ。

( ^ω^)「誰かいますかおー?」

内藤はとりあえず、一番小さいテントに声をかける。
一番大きいテントにしないあたり、気が小さい。

( ^ω^)(この小さいテントならきっと恐い人とかは出てこないはずお!)

(,,゚Д゚)「あ?お前何者だゴルァ?この村の者じゃねぇなぁ?」





( ゚ω゚)



31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:08:12.75 ID:hFUZQW/90


予想とは裏切られるために在る。と言うことだろうか、
中から出てきたのは、『いかにも』な筋骨隆々の逞しい青年。
内藤は一気に青ざめて一歩下がる。

(;^ω^)「おっ!怪しい者じゃないですお!
      ただちょっと旅をしてて、荷物とかとかもってなかったから!」

(,,゚Д゚)「あぁ。旅人か。その様子じゃこの辺は初めてのようだな」

(;^ω^)「ははは、はひ、はいですお!」

慌てふためく内藤に対して、青年は静かに溜息を吐く。

(,,゚Д゚)「そうか。『変わった』らその辺にいたって事か?
     …いや、だとしても記憶はあるはずだし、生活に支障は出ないよな?」


(;^ω^)「『変わった』ってどういうことなんですかお?
      まったく訳がわからないですお」

(,,゚Д゚)「ん?お前だって毎日『変わって』るんだろ?
    そんなもん子供だって知ってるだろうが…」



34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:11:37.04 ID:hFUZQW/90

それとも、と付け加えると、青年は眉間に皺を寄せて内藤につめ寄る。
蛇に睨まれた蛙の如く、内藤の背中に嫌な汗が流れ落ちる。

(#゚Д゚)「俺のこと、おちょくってんのか?
      あ?村を襲いにきたとかじゃないだろうな?」

(;^ω^)「めめめめ、滅相もないですお!
      僕だってなにがなんやら分からないんですお!」

(#゚Д゚)「『変わる』事も知らない奴がこの世界にいるわけないだろうが?
     やっぱ俺の事騙して村になんかしようってんだろ?」

(;^ω^)「だから!僕はさっきまで家にいたはずなのに!
      気付いたら草原に寝てたんですお!」

(#゚Д゚)「だかr…!…お前今なんて言った?」

(;^ω^)「僕は多分、昨日(?)家で携帯いじってた筈ハズなのに!
      いつの間にか草原で寝てたんですお!」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:13:45.13 ID:hFUZQW/90



その瞬間。
張り詰めていた青年の空気が一気に和らいだ。

(;,゚Д゚)「待て待て。お前はこの草原で暮らしてた記憶はないのか?」

(;^ω^)「そんなもんないですお!」

(;,゚Д゚)「っつー事はお前、『変わる』前の、『昨日』の生活の記憶が残っているのか…?」

(;^ω^)「残ってるも何も、僕の記憶は一つだお!」

(;,゚Д゚)「…こいつぁたまげた…」


さっきまで怒っていた青年は、いきなり驚愕の表情を浮かべる。
その目からは怒りの色は消え、珍しい物を見つけた時のようなものになっていた。



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:16:18.53 ID:hFUZQW/90

(;,゚Д゚)「お前、まさか他の世界から来た…とかじゃないよな?」

(;^ω^)「そう…なのかもしれないですお…」

内藤は、ここに来るまでの体験を洗いざらい(携帯電話などの説明も交えて)
ギコに話した。

(;,゚Д゚)「こいつぁたまげた…」

驚きのあまり、青年はさっきと同じ台詞を繰り返す。
もうショックが多すぎて、暫く呆然と口をパクパクとしていたが、
やっとの事で、

(;,゚Д゚)「まぁ、あれだ。立ち話もなんだから、入れ…」

内藤を家に招きいれたのだった…



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:17:39.20 ID:hFUZQW/90

(,,゚Д゚)「まぁ、狭いとこだがくつろいでくれや」

テントの室内は6畳ほどで、端に布団らしきものが敷いてあるだけ。
カセットコンロのようなものがあるかと思うと、粗い作りの釣竿があったりと
時代をぐちゃぐちゃにしたようなものだった。

よくよく見てみれば、青年の上着は現代風のTシャツだが、
ズボンは麻のような素材のできていた。

内藤が観察しているうちに琥珀色の液体の入ったコップを目の前に置かれる。

(,,゚Д゚)「まぁ、俺の作った茶だから、飲んで落ち着いてくれ」

さっきまで自分が取り乱していたのに、どの口が言うのだろうか。

( ^ω^)「あ、どうもですお」

一応礼を言って一口。
口の中に、麦茶のような香ばしい味が広がる。



42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:19:43.79 ID:hFUZQW/90


(,,゚Д゚)「おっと、自己紹介がまだだったな。今の俺の名前はギコだ。よろしく。
    『今の名前』と言っても分からないだろうが、とりあえず、この世界の説明をさせてもらうぞ?」

( ^ω^)「あ、僕は、内藤ホライゾン、あだ名のブーンで結構ですお」

(,,゚Д゚)「よろしく、ブーン。この世界については正直俺にも良く分かってないから、分からんところは分からん」

内藤が首肯したのを見ると、ギコは語り始めた。

(,,゚Д゚)「これは神話、っていうのが正しいのかもしれないな」



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:22:08.86 ID:hFUZQW/90


************************************

むかーし、昔。
この世界は一つの平和な世界だったんだそうだ。

戦争なんかはあったそうだが、民は普通に暮らせてたんだそうだ。
だが、ある時、神と名乗るモノが現れた。

「この『世界』私がもらっちゃうねぇー?」

もちろん人間達は、神に反抗した。
平和な日々を、どんな形であれ失いたくはなかっただろうからな。

自称神の所へ、ある者は抗議しに、あるものは無理やりでも追い出そうと
各地で勇敢な者達が立ち上がった。

でも。対抗する人間達は、記憶や、人格を変えられて戻ってきた。
二度と、反抗できないように。

それから起こったことは、誰もわからない。
だが、唯一、生活がいままでと変わった事だけ分かった。

一日ごとに、自分が他人に変わってしまう、ということ。

一日の終わりに神が世界を変えにくる、とも言われているが、真偽は分からん。

*************************************



45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:24:04.18 ID:hFUZQW/90

(,,゚Д゚)「今日、俺はこうして草原で暮らしているが、明日になると違う人間になっていて、
    今日の記憶は無くなる」

(;^ω^)「でも!それだったらその日の生活困らないんですかお!?」

(,,゚Д゚)「どうやら、ご丁寧にそれまで暮らしてきたっていう記憶を一人ひとりに与えてるらしい。
     だから、俺は今までこの草原で暮らした記憶がある」

(;^ω^)「それだったら昨日まで違う人間だって分からないんじゃ…」

(,,゚Д゚)「それは、俺も分からない。神話で『変わってる』と言ってるから、
    変わってるらしい、そう信じられているだけだ」

そこまで話すと、ギコは茶を口に含む。



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:26:24.27 ID:hFUZQW/90

(,,゚Д゚)「だが、皆それが真実だと分かっている。
     理屈とか、証明できるかじゃないんだ。『分かってる』んだ」

(;^ω^)「でも、僕は変わらなかったですお」

(,,゚Д゚)「そこは分からん。だが、もしかしたらこれから変わるのかもしれん」

これから、一日経ったら今の記憶が無くなる?
言いようの無い恐怖が、内藤の背中を走る。

(,,゚Д゚)「とりあえず、うちの村長にでも会ってみるか?
    長生きしてるから、何か知ってるのかもしれない」

昨日までその人を生きていたわけではないのだから、なんともいえない表現ではあるが、
二人はギコのテントを出ると、村長のテントへと歩いてゆく。


太陽が、緑の地平線に沈もうとしていた。



48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:29:38.89 ID:hFUZQW/90

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・


――目が覚めて、一番最初に見たのは太い木の枝と麻布で作られた天井だった。

(*゚∀゚) 「あ!起きたみたいだ!」

そして、甲高い声。
最悪の目覚め、と言っても良かっただろう。

/ ,' 3 「おぉ、今行くぞい」

続いて答えるのは、しわがれた老人の声。

ξ゚听)ξ「…あれ?」

ここで異変に気付く。
さっきまで自室で携帯をいじっていたはずだということに。
そして、いまは硬い床の上に寝かせられていることに。



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:31:16.65 ID:hFUZQW/90

ξ゚听)ξ「…あれ?」

ツンは再度周りを確認する。
やっぱり見えるのは狭いテントの室内と、二人の人間。

/ ,' 3 「おぉ。起きなすったか。気分h(*゚∀゚) 「あんた砂漠に倒れてたんだぞ!」

/ ,' 3 「…つーよ。もうちょっと女らしk(*゚∀゚) 「水とか欲しかったらもってくるぞ!?」

どうやら、この騒がしい少女は『つー』
それだけを理解すると、起き上がってとりあえず

ξ゚听)ξ「あの。ここはどこなんですか?
      っていうかなんで私こんな所にいるの?
      いやいや、というかあなたたち誰?」

/ ,' 3 「ほっほっほ。まぁ落ち着きなされ。
     そんなにいっぺんに色々聞かれても答えられんて」

老人は手を上下にゆっくり振って、ツンを落ち着かせようとする。



51: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:33:41.56 ID:hFUZQW/90

/ ,' 3 「わしは荒巻。この子はつー。
     ここはVIP国のはずれの辺鄙な村
     そして、お主は北の砂漠に倒れておったのをつーが見つけてきた」

(*゚×゚)ノシ「ホガモゴもがおあがぐ!」

ξ;゚听)ξ「うん。とりあえずありがとう」

白いひげを蓄えた老人
――荒巻がつーの口を手で押さえていたので、モゴモゴとしながら、
手だけ千切れそうな勢いでツンの方に振っていた。

ξ゚听)ξ「そういえば…」

よくよく考えてみれば、『他人になれる』というURLを押したら、ここに来ていたのだ。
ならば、自分は変わっているはずだ。

外見だろうか?
それとも内面だろうか?



52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:36:08.59 ID:hFUZQW/90

ξ*゚听)ξ「…鏡とかあります?」

/ ,' 3 「ん?あぁ。そこに姿見がありますぞ?」

ツンはwktkして鏡を覗き込む。
しかし、そこに映っていたのは今まで通りの自分だった。

ξ゚听)ξ「ですよねー」

(*゚∀゚) 「どうかしたのか?もしかして『変わって』から初めて鏡見たのか?」

ξ;゚听)ξ「『変わって』って、もしかして、他の人間にってこと?」


(*゚∀゚) 「んー?そうに決まってるだろ?」


ツンはここで確信する。
やっぱり、ここは他の人に変わることのできるところなのだろう。
少ない情報から答えを導くことができるあたりは、やはり頭が良いと言えるだろう。



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:38:07.12 ID:hFUZQW/90

/ ,' 3 「…?お主は『変わって』砂漠にいたわけではないのか?」

ξ;゚听)ξ「いや、なんというか、いつの間にかいたって言うか…
       私は変わってないっていうか…」

/ ,' 3 「…『変わってない』とな?それh(*゚∀゚) 「変わってないってありえないだろー!」

ξ;゚听)ξ「いや、説明するとちょっとにわかには自分でも信じられなくて…」

そしてツンは二人に説明した。
自分が家で奇妙な文章を見て、ここに来たということ。
何故人間が変わることができるのか、何も知らないということ。

(*゚∀゚) 「じゃああんたは『貴人』なのか?」

ξ;゚听)ξ「え?キジン?」

/ ,' 3 「…ふむ、まぁ、ちゃんと説明するから、ちょいと待ちなされ。」



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:40:07.37 ID:hFUZQW/90


つーと話すのは無駄だと考えたのか、荒巻が助け舟を出す。

/ ,' 3 「ちょうど、お主と同じような人間が話を聞きに来ておる。
    一緒に説明してしまえば、手間も省けよう」

ついてきんしゃい。そうツンに向けて言うと、
暖簾のように掛かっていた布をあげて、隣のテントへとツンを誘導した。

ξ゚听)ξ(とりあえず…悪い人じゃなさそうだし、大丈夫…かな?)

(*゚∀゚) 「ちゃっちゃと行かないと、ムラオサ怒るぞー?」

つーにも促されて、ツンはとりあえず荒巻に付いて隣のテントへと、歩いていった。



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:44:49.49 ID:hFUZQW/90

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・

夕陽も沈みかけ、夜の帳が降り始めた村長のテントの中で
奇妙な会合の場が、設けられた。


(;^ω^)「……」

テント、とは言ってもギコのものよりも相当大きいものに緊張している内藤。

ξ゚听)ξ「……」

その内藤をまじまじと見つめるツン。

(,,゚Д゚)「で、村長。その女の子は?」

/ ,' 3 「ふむ。どうやら、その男と同じような境遇らしい」

気にせずに話を始める二人。

(*゚∀゚)「ムラオサー、お菓子ないのかお菓子!」

――そして何故いるのか、よく分からない人物が一人。



58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:46:37.29 ID:hFUZQW/90

その奇妙な空気を壊したのは、村長の咳払いだった。

/ ,' 3 「オホン。では、とりあえず説明を始めようかの?」

村長の説明は、さっきギコが内藤に話した者と大体同じだった。
内藤は、流していたが、ツンは熱心に聞いていた。

最も、端の方で騒ぐつーと宥めるギコの声があったので、
よっぽど集中して聴かないとほぼ聞こえなかったのだが。

/ ,' 3 「さて。では、ここからは…ブーン君と言ったかな?
    君にも聞いておいてほしいことだ」

村長の声で、内藤は現実に引き戻される。

/ ,' 3 「これは、代々受け継がれている。
    とは言ってもわしも今日知ったと言うことになるんだがのぉ」

ほっほっほと軽快に笑って、荒巻は再び語り始めた。



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:49:17.69 ID:hFUZQW/90

************************************


この世界は一日ごとに記憶が変わる、これはさっき説明した通りじゃ。

しかし、ごく稀に、記憶を失っていない人間の記録がどこの地域の古文書にもある。
そのものたちは、共通して他の世界、もしくはそれに似たような世界から来た、
そう言ってたそうじゃ。

その人物達は、その後どうなったのか。
それを確かめる術はない。
その者たちもおそらく一日で違う人間に変わってしまうだろうからな。

推測の域を出ないが、やはり、その者たちが元の世界に戻るには、
『神』に関わっていくしかないのじゃろう。

それを成し遂げた者がいるかは分からんし、
いない可能性だってある。
それも、確かめる術はないがのぉ…。

************************************



60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:51:08.67 ID:hFUZQW/90

/ ,' 3 「そして、そういう者を『貴人』と総称しておるのじゃ」


いつの間にか、さっきまでのつーとギコの五月蝿い声も無くなり、
テントの中は、奇妙な静寂に包まれていた。

(;^ω^)「って事はなんですかお?このまま夜が明けたら僕達も違う人間になって、
      記憶とか全部なくなっちゃうんですかお!?」

/ ,' 3 「そう、なるかもしれん。ならないかもしれん」

ξ゚听)ξ「つまり、運任せって事かしら?」

/ ,' 3 「そうなるのぉ」

ほっほっほと
軽い笑いを響かせたあと、荒巻は真剣な顔になる。



61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:53:23.97 ID:hFUZQW/90

/ ,' 3 「恐らく、神をなんとかしなければ、お主達は帰れない。
     これはさっきも言ったことじゃ」

ξ;゚听)ξ「もし戻りたければ、神を倒せって事かしら…?」

/ ,' 3 「倒さない方法もあるやもしれん。説得でなんとかなるかもしれんしの」

荒巻はおもむろに立ち上がると、奥の部屋から古文書を持ってくる。

/ ,' 3 「神は『カウンター』とも名乗っておる。何かの助けになるかもしれん。覚えておきなさい」

説明できるのは、これだけじゃ。
そう申し訳なさそうに呟くと、荒巻はそれ以降黙り込んでしまう。

/ ,' 3 「ぐー」

訂正。寝ていた。



62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:55:13.73 ID:hFUZQW/90

(,,゚Д゚)「…とりあえず、今日はもう遅い。
    明日までには変わってるが、家にでも泊まっていけ」

内藤とツンを引っ張って、自分のテントへと向かうギコ。
ツンも連れて行くことで、つーが抗議するかとも思われたが、
いつの間にかテントから姿を消していた。

ギコのテントで、一応の夕食、(なぜかつーが混ざっていたが)を済ませ、内藤は外で涼んでいた。
虫の声がそこらじゅうに響き渡っている。

「…ブーン、君だったかしら?」

声に反応して振り返ると、ツンが、そこに立っていた。

( ^ω^)「おっ?そうですけど…」

ξ゚听)ξ「一応自己紹介しておくわ。私はツン、よろしく」

( ^ω^)「よろしくですお」

ξ゚听)ξ「あなたは、元の世界に戻りたいの?」



64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:57:29.44 ID:hFUZQW/90

( ^ω^)「…分からないですお」

それは内藤の正直な感想だった。

ξ゚听)ξ「…そう」

( ^ω^)「…ツンさんは、帰りたいんですかお?」

ξ゚听)ξ「…分からないわ」

ξ--)ξ「でも、他人に変わりたい気もするの」

その気持ちは、内藤にも分かる。
そう思ったからこそ、ここに来たのだ。


「そうだよねー?変わりたいから来たんだよねー?」

と、どこかから声が聞こえた。
少し気の抜けたような、女の声が。



66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 21:59:24.77 ID:hFUZQW/90

从'ー'从「だから、帰りたいなんて言っちゃ駄目だよー」

気付くと、すぐそこに少女が立っていた。
あまり背の高くない、ぼーっとしたような印象。
手には、目覚まし時計のようなものを持っていた。

(;^ω^)「あなたは…?」

从'ー'从「私?私はねぇ…」

―少女がとそこまで言いかけたとき。
いきなり、目覚まし時計がじりり、と鳴りはじめた。

从;'ー'从「ふぇぇ!?いけない。もう時間だ!」

時計を止めると、今度はどこからともなくノートパソコンを取り出し、
なにやら凄いスピードで操作し始める。

从'ー'从「ふふ、それじゃあお二人さん。縁があったらまた会おうねー」

そう言い終わるか言い終わらないかのうちに、

(;^ω^)「おおぉぉ!?」

ξ;゚听)ξ「きゃあああああ!」

二人の視界は、再び白く。
ただ白く染まっていった…



67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/03/22(日) 22:01:03.93 ID:hFUZQW/90


第一話 了。



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