( ^ω^)それでも僕は変わらないようです

4: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:51:03.56 ID:G1J0g8Ul0


第二話「変わる世界、変わらない自分」


5: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:52:48.95 ID:G1J0g8Ul0

身体が、光の中に融けていく。
全てが小さい欠片となり、粒となり、どこかへと向かっていく。

砂時計の中を落ちる砂のように、新しい場所へと。


――積み上げられ、再び世界を作るために。



6: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:54:12.64 ID:G1J0g8Ul0

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・


暖かな空気を孕んだ布団に包まれて、穏やかに眠りから醒める。
いつも通りの朝。
しかし、前日の記憶に残るのは、硬い石に座った感触、巻き毛の少女。

(´・ω・`)「( ^ω^) …僕は、どうなったんだお?」

鏡を見ると、映っていたのは垂れ眉のしょぼくれた顔。

(´・ω・`)「( ^ω^) 『変わった』って、事かお…?」

近くに置いてあった新聞が視界に止まるが、見出しの文字が読めない。

何も分からない状況。心配になって、一人呟く。



7: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:55:05.10 ID:G1J0g8Ul0

(´・ω・`)「( ^ω^) 僕は内藤ホライゾン。高校生。あだなはブーン。よし、大丈夫だお」

『自分』の記憶を確認すると、布団を出る。
記憶が残っている事に多少の安堵を覚える。

(;´・ω・`)「(;^ω^) それにしても嫌な柄のパジャマだお…」

来ていたパジャマは薄ピンク色で更に濃いピンクでハートのプリントがしてある。
流石にこれはないだろう。
近くに掛けてあった作業着らしき者に着替える。



9: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:56:42.69 ID:G1J0g8Ul0

―と、その瞬間。

(;´ ω `)「(; ω ) っ!?」

頭が割れるような痛みとともに、さまざまな情報が、記憶が奔流となって頭に流れ込む。
『垂れ眉の男』の毎日が、生活が、情報として。

名前は『ショボン』
今日は一週間の真ん中の日。
バーを営んでいてこれから店の準備をしなければならない。
生まれてから23年の人生を、一瞬で駆け抜ける感覚。

(´ ω `)「(  ω ) おぉお…」

――ああ。これが、『他人になる』って事なのか。

(´・ω・`)「( ^ω^) …仕事、しようかお」

階段を下りる。
さて、まずは店の掃除をしなければ。
さっき目に入った新聞はわいせつ行為をしたアイドルを批判していた。



10: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:57:34.01 ID:G1J0g8Ul0

(´・ω・`)「( ^ω^) おっおっおー」

鼻歌を歌いながら店にモップをかけ、グラスを拭き、酒の準備をする。
そうこうしているうちに昼時になるので、自分の昼食と、店の軽食の材料の買出しへ。

まずはすぐ近くの八百屋へ。

(´・ω・`)「( ^ω^) おっちゃーん!いつもの野菜と新鮮な魚くれおー」


(,,゚Д゚)「おう!兄ちゃん!いつもありがとうな!」

やけに元気な店主が声を張り上げ、食材を紙袋に放り込んでいく。



12: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/04(月) 23:58:58.77 ID:G1J0g8Ul0

――ギコさん。
言いかけた名前をすぐに口の中で殺す。

(´・ω・`)「( ^ω^) (『変わって』るんだおね…きっと)」


昨日のギコさんは昨日のギコさん。
今日のギコさんは今日のギコさん。

一日ごとに全ての記憶が変わってしまう世界。
それは、きっと毎日生まれ変わる世界と同意義なのだろう。

いつか自分もそうなってしまうのが恐ろしい。
今日は記憶があっても、明日は違うかもしれない。
いつか、記憶が無くなっていって、記憶が無くなったのも分からなくなって。

(´・ω・`)「( ^ω^) (…僕は…それでいいのかお?)」


変わりたかったからこの世界に来た。それは間違いない。
でも、自分を無くしたかったのか?
それは違う。



13: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:01:03.71 ID:5MlA0joQ0

(,,゚Д゚)「おい!兄ちゃん大丈夫か?」

(´・ω・`)「( ^ω^) え?あ…、ありがとうございますお」

『ギコさんのような人』から声をかけられて、自分がぼうっとしていたことに気付く。

(,,゚Д゚)「『お』って付けるのが流行ってるのか?
    いつものお前さんはそんな喋り方しないだろう?」

はは、と笑って紙袋を僕に渡してくる。
代金を払って、僕は応える。

(´・ω・`)「( ^ω^) …おまじないみたいなもんですお。」

(,,゚Д゚)「なんだかよく分からねぇが、大丈夫ならそれでいいんだ
    なんたって兄ちゃんはお得意様だからな!」

(´・ω・`)「( ^ω^) ありがとうございますおw」

二人でからからと笑う。
そんな明るい空気を破ったのは、静かな声だった。



14: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:02:14.18 ID:5MlA0joQ0

( <●><●>) 「…林檎を、3つほどいただけますか?」

スラリとした長身の細身。
サラサラの黒い髪とパッチリと大きな瞳が印象的な青年。

格好は黒いぴったりとしたズボン、白いシャツ。
清潔感のある、というのがピッタリな服装。

しかし、この青年にどこか違和感を感じた。
上手くは言い表せないが、なにかが他の人間と違う。

そう、例えば、昨日記憶の途切れる直前に会った少女のような。

(,,゚Д゚)「おう!らっしゃい!林檎3つだな!?」

店主はなにも気にしていないいようだ。
紙袋にさっきと同じように品物を放り込み、差し出す。



16: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:04:33.23 ID:5MlA0joQ0

( <●><●>) 「ありがとうございます。ところで、そこの方」

(;´・ω・`)「(;^ω^) え?僕ですかお?」

( <●><●>) 「そう。あなたです。突然で申し訳ないですが」

(;´・ω・`)「(;^ω^) (なんだってんだお…)」

( <●><●>) 「少し、お時間ありますか?話がしたいんですが」

正直この時点で僕は相当混乱している。
見ず知らずの人間から『話がしたい』と言われて平常心保てる奴がいたらお目にかかりたい。

(;´・ω・`)「(;^ω^) いや、でも…買出しもありますし…ちょっとそれh…」

断ろうとした、が。

(,,゚Д゚)「おう。兄ちゃんバーやってんだろ?来てもらったらいいじゃねぇか」



17: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:06:48.61 ID:5MlA0joQ0






(´゚ω゚`)「( ゚ω゚) 」






19: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:08:56.99 ID:5MlA0joQ0

( <●><●>) 「では、そうさせていただきます」

(,,゚Д゚)「あそこの角曲がったところにバーボンハウスってとこだからよ」

( <●><●>) 「開店と閉店の時間とかは、どうなんでしょうか?」

(,,゚Д゚)「18時から23時だったよな?たしか」

(;´・ω・`)「(;^ω^) あ…はい」

僕の事のはずなのになんで僕のいないところで話が進むのか。
小一時間問い詰めたいところなんだが、それはやめておこう。

( <●><●>) 「では、閉店の頃に行かせていただきます」

それでは、と男は八百屋の店主に代金を渡すと、街の雑踏の中へと消えていった。

(;´・ω・`)「(;^ω^) …なんだったんですかお」

(,,゚Д゚)「まぁお客が増えるってのはいいことだろ!」

ギコハハハと豪快に笑う店主。
しかし、僕の胸には鬱屈とした何かがひっかかっていた。
その引っかかりが何かも分からないまま、その後も取れることは無かった。



20: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:12:38.39 ID:5MlA0joQ0

(´・ω・`)「( ^ω^) さて、準備するおー」

ギコさん(っぽい人)の八百屋を後にしてから、肉屋、酒の卸問屋と回ってから、
大量の紙袋を抱えてよろよろと店に入る。

ブリキの階段が揺れて、その文字が夕陽に輝いた。

『Bar.バーボンハウス』



21: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:14:14.97 ID:5MlA0joQ0

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・


(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ ふあぁぁ…よく寝た」

その日初めて見たのは既に高く上りつつある太陽。

頭の上でじりり、と音をたてる目覚まし時計を思い切り叩いて止める。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ さて。今度こそ変わったのかしらね?」

記憶なんて昨日のままだし、大して自分が『変わった』気はしない。
きっと『ツン』のいつも通りのままなんだろう。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ さー、『変わってる』もんなら変わってみなさいよ!」

期待半分、諦め半分に鏡に姿を映す。



22: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:15:55.07 ID:5MlA0joQ0

(* ー ) 「ξ )ξ っ!」

割れるような頭痛と共に記憶が色の奔流となって流れ込む。
名前は『しぃ』
近くの店で夜の間ピアニスト紛いの事をして暮らしている。
現在は20歳。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ …『変わる』ってこういう事なのね…」

起き上がり、着替える。
顔を洗い、外に出られるくらいの化粧をする。
鞄に店で着る用のドレスを丁寧に入れて、冷蔵庫から水を出してきて一口。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ あー。一応出勤しなきゃいけないのよね、これ」

さっき思い切り叩いた時計を念のため壊れていないか確認した後に、時間を見る。
午後4時30分。
どうやらそろそろ出ないとマズい時間のようだ。



23: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:18:51.44 ID:5MlA0joQ0

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ メンドくさいわねー」

通りから一本それた裏路地を歩くと、半地下への階段が現れる。

知る人ぞ知る名店。
――と店主が自称する店。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ 見た目流行ってないってレベルじゃねーぞ」

ついつい本音を漏らす。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ さーて。それじゃあ仕事しますかね」

裏の入り口から入って、控え室で着替える。
今日『も』忙しい夜が始まるのだ。

とは言っても記憶があるだけで、初体験なのだが…。



24: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:19:52.57 ID:5MlA0joQ0

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ 楽譜、読めるんだ…すごい…」

バッグに入っていた楽譜を持つと、一旦店の外へと出る。
正面の入り口からじゃないと入れないというのは些か面倒だが、仕方ない。
古い建物なのだ。

このドアを開ければ、いつも通りしょぼくれ顔のマスターが待っているはずだ。

暗い路地に『Bar.バーボンハウス』と書かれたブリキの看板が鈍く光っていた。

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・



25: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:21:26.65 ID:5MlA0joQ0

(´・ω・`)「( ^ω^) おっおっおー」

鼻歌を歌いながら、料理の下準備をしていく。
とはいって酒の肴程度の物しか作らないので、すぐに終わってしまう。

と、入り口からベルの甲高い音がする。
見上げると、そこにいたのは、一人の女性だった。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ こんにちわー」

いつもピアノを弾いてくれている女性だ。

(´・ω・`)「( ^ω^) いま仕込み中だからちょっと待っててくれおー」

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ そんなの見れば分かるわよ。」

二人とも本当に無意識に、自然な会話を交わす。
しかし、記憶が違うと言っている。

『普段の生活』と何かが違うと。
お互いの些細な態度の違いを、『記憶』が気付いていた。



27: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:22:56.21 ID:5MlA0joQ0

(´・ω・`)「( ^ω^) (このツンケンした態度…どっかで?)」

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ (〜だお?なんか聞いたことある語尾?)」

しかし、その小さな二人の思いは、



28: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:23:52.44 ID:5MlA0joQ0

(,,゚Д゚) 「おう!兄ちゃん!飲みに来たぞー!」

突然の騒がしい声にかき消された。



29: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:25:00.49 ID:5MlA0joQ0

(;´・ω・`)「(;^ω^) うわぁ!?ビックリしましたお!っていうかまだ開店してないんですけど!?」

(,,゚Д゚) 「お?そうだったか?もう時間だと思ったんだが」

そう言って懐から懐中時計を取り出して確認した後で、こちらに文字盤を向ける。

(,,゚Д゚) 「ほれ、もう18時30分だぞ?」

(;´・ω・`)「(;^ω^)うわああああ!ホントですお!」

開店時間を30分も過ぎている。
その叫び声を待っていたかのように、一斉にドアから客がなだれ込んでくる。

(´・_ゝ・`)「まだ開店してないんですか?」

( ・3・)「今日定休日じゃないよねー?」



32: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:28:21.64 ID:5MlA0joQ0

そこからはてんてこ舞い、とまでのものではなかったが。
通常通りの営業に戻すことができた。

(´・_ゝ・`)「本当に上司がさー…」

(´・ω・`)「( ^ω^) 大変ですおね…。じゃあ一発殴っちゃえばおk」

( ・3・)「それはマズイだろwwwwwJKwwwwww」

ピアノをBGMに人生相談なんかしつつ、バーテンとしての仕事もこなす。
忙しいが、充実した時間。

(´・ω・`)「( ^ω^) (充実してる。元の世界の僕とは、全然違う)」

内藤の心に芽生えた、一つの感情。
戻っても、また同じ日常を繰り返すだけならば、いっそ残ってこんな充実した日常を。

(´・ω・`)「( ^ω^) (それも、いいかもしれないお)」

内藤の心を動かし、バーボンハウスの夜は更けていった…



33: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:30:20.48 ID:5MlA0joQ0

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・

(´・ω・`)「( ^ω^) …ふぅ」

一通り客が帰って、後片付けを始める。
しぃには早めにあがるよう言って、控え室で着替えている。
時間は22時50分。少し早いが、そろそろ店を閉める時間だ。

(´・ω・`)「( ^ω^) さーて。今日も疲れたおー」

外の看板を『Closed』に変え、再び中へ――

( <●><●>) 「こんばんは」

とはいかなかった。
昼間の、青年が階段の中ほどに立って、こちらを見ていた。
月明かりに照らされて、スラリとしたシルエットが薄い影を階下へと落とす。

(´・ω・`)「( ^ω^) …入ってくれお。閉店だけど、少しなら、話聞くお」

( <●><●>) 「そうしていただけると助かります」

二人は店に入ると、内藤はカウンターへ。
青年は丁度カウンターの真ん中の席へと座る。



34: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:32:01.97 ID:5MlA0joQ0

(´・ω・`)「( ^ω^) コーヒーでいいかお?」

( <●><●>) 「ありがとうございます」

礼を言って差し出したコーヒーカップを受け取る青年は、やはり、他の人間とどこか違っていた。
一口、コーヒーを啜ると、ゆっくり、しかししっかりした口調で青年は話を始める。

( <●><●>) 「さて、あなたは『前日の記憶』がある方、つまり『貴人』ですよね?」

(;´・ω・`)「(;^ω^) え…?なんでそれを?」

( <●><●>) 「まぁ、後々分かることです。
        それより、今はあなたがこの
世界に留まりたいかどうかを私は聞きたいのです」

(´・ω・`)「( ^ω^) …この世界に留まりたいか?それが、君に何か関係が?」

青年は溜息を一つ吐くと、再びコーヒーを含む。

( <●><●>) 「『カウンター』の事は知っていますか?」

(´・ω・`)「( ^ω^) この世界の神。だったかお?」

( <●><●>) 「正確に言えばそれは間違いです。
         『カウンター』はこの世界の…管理者、というのが一番近いのかもしれませんね」

(´・ω・`)「( ^ω^) …神ではない、ってことかお?」



36: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:33:30.19 ID:5MlA0joQ0

( <●><●>) 「この世界を毎日変えている存在、といったところでしょうかね。
        あなたは昨日会った筈です。『昨日の世界』が終わる前に」

そう言われて思い出す昨日の記憶。
時計を持った少女。
パソコンを操っていた少女。

(´・ω・`)「( ^ω^) あれが…『カウンター』?」

( <●><●>) 「少女の姿をしていたのが、『カウンター』。私の主人、といったところです」

(;´・ω・`)「(;^ω^) 主人!?って事は君は…?」

青年は、また一つ溜息を吐く。

( <●><●>) 「不本意ながら、『カウンター』のしもべですかね」

(;´・ω・`)「(;^ω^) その『カウンターのしもべ』が僕に何の用なんだお?」

カウンターになにか恨まれる所以でもあったのだろうか。
急に不安になってくる。



37: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:35:18.88 ID:5MlA0joQ0

( <●><●>) 「今日の訪問については、主人の意思ではありません。私の独断です」

心を見透かしたような、その漆黒の目が、見つめる。
抗い難い力のような者がその目には宿っていた。

( <●><●>) 「簡潔に言いましょう。元の世界に戻ってください」

(;´・ω・`)「(;^ω^) …え?」

( <●><●>) 「あなたにはもとの世界に戻ってもらわないと困るんです」

ますます訳が分からない。

(;´・ω・`)「(;^ω^) それは、どういう…」

( <●><●>) 「…私は、『カウンター』に連れてこられた、つまりあなたと同じ様な人間です
         訳も分からぬまま、生活していたらいつの間にか記憶を失っていた。
         いつの間にか、『カウンター』の下僕として生活していた」

(;´・ω・`)「(;^ω^) …それは…」

( <●><●>) 「…私は、逃れたいのです。この世界から。『カウンター』から」



38: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:39:23.82 ID:5MlA0joQ0
―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・

ドアにぴったり付けていた耳を離して中の会話を咀嚼する。。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ …もとの世界に戻らせたい…?カウンターのしもべが?」

大体の話はつかめたが、この男の考えだけは全く分からない。
第一、なんでこの世界に来たのかも分からないんだから、意味が通らない。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ …胡散臭いわね」

明らかに怪しげな協力の申し出。
しかも、帰りたいと思うのなら敵になるはずの『カウンター』側から。

(;-ー-) 「ξ;--)ξ …どっちにしろ、やっぱりあのしょぼくれは昨日の『ブーン』だったのね」

「ツンさんは、帰りたいんですかお?」昨日言われた、言葉。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ 元の世界かぁ…」

戻りたくは、無い。
また、自分に戻ってしまうだろうから。

(*゚ー゚) 「ξ゚听)ξ (どうしたいんだろ、私は)」

迷いを抱えたまま、裏路地を家へと歩く。
もうすぐ、世界が変わる時間だ…。



39: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:42:08.26 ID:5MlA0joQ0

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・

結局のところ、

( <●><●>) 『次お会いするまでに、返事を考えておいてください。
         詳しい話は、それからにしましょう』

という青年の案に流されて、保留ということになった。

( <●><●>) 「それでは、またお会いしましょう『ブーン』さん」


そう言い残して、青年は暗い街へと融けていった。

(´・ω・`)「( ^ω^) …僕は」

一人残された僕は、ただただ、彼の消えていく街を見つめていることしかできなかった。

(´・ω・`)「( ^ω^) 戻りたくはない…?」



41: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:43:49.15 ID:5MlA0joQ0
分からない。
今日の一日。
充実した日だった。それは否定できない。

でも、それでいいのか?

親は?

友達は?


(´・ω・`)「( ^ω^) 僕は…?」

白い光りが辺りを照らす。
あぁ。もう『変わる』時間なのか。

待ってくれ、時間よ、僕よ、変わらないでくれ。
今日という日よ、終わらないでくれ。

まだ僕にとっては、何も始まってもいないのに。
また、僕の身体が、光と一緒に融けていった。

深く。

深く。



42: ◆j0VQcv9RTo :2009/05/05(火) 00:45:13.61 ID:5MlA0joQ0

―――――――……・・・・・・ ・ ・  ・   ・


(* ω  *) 「…お疲れ様、首尾はどうだっぽ?」

( <●><●>) 「…あと、一押しって所でしょうかね。かなり揺れてはいます」

(    )「油断は…できないんです。主人はどこで見てるか…」  

( <●><●>) 「…わかってます。ですが、もう進むしかないんです」




『私たちの未来のためにも』




第二話 ―了―



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