( ´_ゝ`)はお菓子をごちそうするようです

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 04:45:54.50 ID:JUtUx0se0


お菓子屋さんのお菓子は、とってもおいしいとひょうばんでした。
ですから、お菓子屋さんにはまいにち、いろいろな人がやってきます。

そのなかでも、一ばんおおいのは、おんなの子たちでした。
おんなの子は、子どもとおんなじくらい、お菓子が大すきですから。


( ´_ゝ`)はお菓子をごちそうするようです 3



3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 04:50:01.81 ID:JUtUx0se0

きょうもお菓子屋さんには、おんなの子のお客さんがやってきました。

ζ(゚ー゚*ζ 「わあ、すごいですねえ!」

( ´_ゝ`) 「そうですか」

店長さんは、うえを向いていいます。
たのしそうにわらうお客さんが、お菓子屋さんのてんじょうに引っかかっていたからです。

ζ(゚ー゚*ζ 「スカートの中、のぞかないで下さいねえ」

( ´_ゝ`) 「 そんなことはしませんよ」

ζ(゚ー゚*ζ 「ちょっと間があきましたねえ」

( ´_ゝ`) 「そんなことはありませんよ」

店長さんはちょっとだけ、口をへのじにまげます。
それをみたお客さんは、おかしそうに、口にてをあててわらいました。



4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 04:55:29.34 ID:JUtUx0se0

お客さんがたべたのは、スポンジのようにふわふわのケーキです。
クリームもくだものも、なんにものっていないけれど、やさしいあじのケーキでした。

お客さんは、こんなにおいしいケーキは、はじめてたべましたし、
こんなふうにそらをとぶのも、はじめてのことでした。

ζ(゚ー゚*ζ 「ほんとに、すごいですねえ」

お菓子屋さんの中をぐるりと見まわして、お客さんはいいます。

ζ(゚ー゚*ζ 「このまま外に出たら、どうなるんでしょうねえ」

ζ(゚ー゚*ζ 「よその国に行けちゃったり、するんですかねえ」

お客さんは、したにいる店長さんにききました。

( ´_ゝ`) 「さあ、どうでしょうねえ。 私は飛んだことがないので、わかりませんねえ」

ζ(゚ー゚*ζ 「そうなんですかあ」

店長さんのことばに、お客さんが、うーん、とうなったそのときです。



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:00:05.25 ID:JUtUx0se0

からんからん

深くてまるい音をたて、お店のドアがひらきました。

( ´_ゝ`) 「いらっしゃいませ」

ひらいたドアからは、なん人かのおんなの子がやってきました。

ζ(゚ー゚*ζ 「あ!」

お客さんは、店長さんにむかって、しーっ、とゆびを口にあてて見せます。
やってきたおんなの子たちは、お客さんの友だちでした。
お客さんは、おんなの子たちをおどろかせてやろう、と思ったのです。


 ・ ・ ・ ・ ・ ・


( ´_ゝ`) 「わかりました。 少々お待ちください」

店長さんが、おんなの子たちの注文をきいて、カウンターにもどります。
お客さんは、そうっと、てんじょうをうごきました。
みんなどんなふうにおどろくのだろう、と、お客さんはわくわくしていました。



6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:05:02.85 ID:JUtUx0se0

ですから、

「デレってさあ、うざいよね」

ζ(゚ー゚*ζ

そんなことばがきこえたとき、お客さんはたいへんびっくりしました。

ζ(゚ー゚*;ζ 「え?」

「あー、わかるわかる」

「いっつもかわいこぶってるんだよね、あの子」

ζ(゚ー゚*;ζ 「ちがうよ、ちがうよ、そんなことないよ」

お客さんは、いっしょうけんめい、ちがうちがう、といいます。
ですけど、小さなこえしかでないので、おんなの子たちにはきこえませんでした。

「ほんと、むかつくよねえ」

お客さんの友だちは、みんなたのしそうにわらいあいます。
ひとりだって、お客さんのこえをきいてくれる人は、いませんでした。



8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:10:04.62 ID:JUtUx0se0

 ※


からんからん

お店のドアが、ひらきます。

( ´_ゝ`) 「またのご来店をお待ちしております」

おんなの子たちは、かえっていきました。
けっきょく、お客さんは、おんなの子たちをおどろかせることは、できませんでした。

ζ( - ζ 「・・・・・・」

ζ( - ζ 「・・・どうすれば、いいんでしょうねえ」

お客さんは、つぶやきます。

ζ( - ζ 「どうして・・・」

ζ(゚−゚#ζ 「・・・・・・もう、嫌です、あんな子たち、ひどい目にあっちゃえばいいんです」

お客さんはこわい顔をして、店長さんのほうをみます。
店長さんはお客さんをちゃんとみて、いいます。

( ´_ゝ`) 「私には、どうしてあげることも出来ません」

ζ(゚−゚#ζ 「・・・・・・」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:14:58.08 ID:JUtUx0se0

からんからん

また、深くてまるい音をたて、お店のドアがひらきました。
もうひとりの店長さんが、かえってきたのです。

(´<_` ) 「ただいま」

( ´_ゝ`) 「ああ、おかえり」

店長さんたちが、そういっていると、ぽつり、と、しずくがおちてきました。
お店のなかで、あめがふるわけが、ありません。
もうひとりの店長さんは、ふしぎに思って、うえをみました。



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:18:05.21 ID:JUtUx0se0

お客さんは、泣いていました。
どうにか涙がおちないように、りょうてで顔をおさえるのですが、あとからあとからわいてくる涙は、
ゆびのすきまから、ぽつぽつとお菓子屋さんにふりつづけます。

(´<_`;) 「どう、したんですか」

もうひとりの店長さんは、おどろいてたずねました。
お客さんは顔をかくしたまま、こたえます。

ζ( - ζ 「わたし、やなこと、いいましたねえ・・・ やっぱり、いやなこですねえ・・・」

ζ( д ζ 「こんなわたしじゃ、きらわれて、とうぜん、ですよねえぇ・・・」

ζ(;д;ζ 「もう、どっかに、きえちゃいたいです・・・!」

ついにお客さんは、わんわんと大ごえで泣きだしてしまいました。



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:22:15.27 ID:JUtUx0se0

(´<_`;) 「そんなことありませんよ、きっと皆あなたのことが好きですよ!」

もうひとりの店長さんは、ひっしにお客さんをなぐさめます。
ですがお客さんは、泣きやんでくれません。

( ´_ゝ`) 「・・・・・・」

店長さんは、そのようすを、じっとみていました。

。゜ζ(;д;ζ 「うあああああああああああああああん!!」

(´<_`;) 「絶対に大丈夫ですから!」

じじょうはわからないけれど、ひっしにお客さんをなだめる、もうひとりの店長さんは、
すこしかわいそうでした。

( ´_ゝ`) 「少し、失礼しますよ」

。゜ζ(;д;ζ 「うええええええええええええええええええん!!」

店長さんは、泣きつづけるお客さんの、ふくのすそを引っぱって、
てんじょうからおろしてあげました。
そのままお客さんを、まどまで引っぱって行きます。



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:26:52.00 ID:JUtUx0se0

きょうはくもひとつない、まっ青なきれいなそらです。
店長さんはまどを開いて、そこからそっと、お客さんをおしだしてあげました。

お客さんはふわふわと、うえへうえへと、とんでいきます。
町の人の何人かは、そんなお客さんのすがたをみることができました。

てんきのいい日のそらは、きっと気もちのいいものでしょう。
お客さんの泣きごえも、かなしそうなすがたも、もうみえなくなりました。

もうひとりの店長さんは、店長さんのほうを、なんにもいわずにみています。

(´<_`;) 「・・・・・・」

( ´_ゝ`) 「俺が泣かしたわけじゃない」

(´<_`;) 「・・・・・・」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2009/10/04(日) 05:33:14.30 ID:D3kiz8z+0


それからというもの、このお菓子屋さんには
たまにそらをみあげる人のすがたが見えるようになりました。





( ´_ゝ`)はお菓子をごちそうするようです 3  おわり



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