('A`)ドクオくんの家には変な人が来るようです

3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:27:49.53 ID:V1KfxS8f0
 
オレの名前は、鬱田ドクオ
貧乏大学1年生

住んでるアパートは、6畳風呂なし1R

南向き、日当たり良好
駅から徒歩で10分程度

立地条件からすれば非常にリーズナブル
大学生の一人暮らしとしては中々のものである


ただ、問題があるとすれば――…




(;'A`)「さみいいいいいいいいいいいいいい」

(;'A`)「寒すぎるだろ、これは」

('A`;)「うお、雪降ってる」

('A`;)「積もるな、こりゃ」



5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:29:42.71 ID:V1KfxS8f0
 

ヒョオオオオオ


('A`)「さ、寒い…」

(;'A`)「ドア壊れたまんまだからなぁ」



  隙間風が良く通る、ということ…



 「――もし」

 「もしもし」


('A`)「へぅ?」



  ではなくて



9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:31:21.93 ID:V1KfxS8f0
 
キィ…

川д川「すいません」


川д川「よろしければ一晩泊めていただけませんか?」


('A`)



ビョオオオオオオオオオオオオオオオオオオ



('A`)「すいません、雪女は間に合ってますんで」




  変な人がよく来る、ということだ



10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:33:12.13 ID:V1KfxS8f0
 


 ('A`)ドクオくんの家には変な人が来るようです

         Case4:川д川



11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:35:44.97 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「そんな酷い」

川д川「人を見かけで判断するのは良くないですよ」

('A`)「雪女ではない、と?」

川д川「いや、雪女なんですけどね」

('A`)「はい、失礼しました」


バタン


('A`)「はぁ、さらに寒くなった…」

('A`)「こたつこたつ」

川д川「こたつの代わりに冷蔵庫をどうぞ」

('A`)「はぁ、どうもどうも」

('A`)「これってどうやればいいの? 入るの? 死ぬの?」

(;'A`)ノノ日「って、アホかぁ!!!」

川д川「あぁ、昭和の三大家電が」



12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:37:18.20 ID:V1KfxS8f0
 
(;'A`)「なんで中にいるの!?」

川д川「あ、私、冷気の集合体ですので」

川д川「ドアが少しでも開けば入れます」

(;'A`)「高レベルの押し売りかよ」

川д川「あはは、寒い寒い」

(;'A`)「うるせぇよ!!!」

(;'A`)「てか、マジで寒ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」

川д川「さっきのギャグがですか?」

(;'A`)「違うわ!! 純粋に温度が下がってるだろ!!!」

川д川「あぁ、良い風吹いてますね」

(;'A`)「風ってレベルじゃねぇ!!!」

川д川「あ、霜が」



14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:39:08.88 ID:V1KfxS8f0
 
(;'A`)「うががががが、さ、寒い」

(;'A`)「す、すいません、お願いですから、出ていってもらえませんか?」

(;'A`)「こ、このままじゃ、し、死ぬ…」

川д川「そんな酷い、こんな吹雪の中に出て行けと言うんですか?」

(;'A`)「お前のせいで、部屋の中まで吹雪なんだよ!!」

川д川「じゃあ、結局一緒じゃないですか」

(;'A`)「お前にとってはそうだろうが、オレは違えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

川д川「まぁまぁ、そう熱くならず、こう、肝を冷やした方が」

(;'A`)「十分冷えとるわ!!!」


川д川「あ、お茶いれますね」

川д川「水だし緑茶でいいですか?」


(;'A`)「人の話を聞けぇぇぇぇぇぇ!!!」



15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:41:04.10 ID:V1KfxS8f0
 

…んで


川д川「…」 ←なんだかんで、お茶飲んでる(コールド)

(;'A`)「…」 ←なんだかんで、お茶飲んでる(ホット)




(;'A`)「お茶、暖かい、美味しいよぉ」

川д川「冷やしたほうが良いのに」

('A`)「需要と供給を考えればな」

('A`)「はぁ、まさか部屋の中でダウン着ることになるとは思わんかった…」

川д川「着物良いですよ」

('A`)「今のオレには死装束に見えるよ、それ」

川д川「可愛いのに」



16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:43:02.94 ID:V1KfxS8f0
 
('A`) ズズー…

川д川「…意外と落ち着いてますね」

川д川「もっと、ぎゃー殺されるーみたいな反応をされると思ったんですが」

('A`)「慣れっこだからね」

('A`)「んで、あんたは何しに来たの?」

川д川「聞いちゃいますか、それ?」

('A`;)「うん、一応ね。てか、近づかないで、寒いから…」


川д川「冬将軍って言葉知ってますか?」

('A`)「冬将軍…」

('A`)「何かのニュースで擬人化してるのを見た気が…」

川д川「ニュースウオッチ9の冬将軍ですね」

川д川「個人的には小夏ちゃんが好きなんですが、まぁ、それは置いておいて」

('A`)(無駄に世俗に詳しい妖怪だな…)



17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:45:27.49 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「北極気団、所謂シベリア寒気団のことです」

川д川「私の生みの親でもあります」

('A`)「へー」

川д川「それで、つまりがウチのパパなんですけど」

川д川「喧嘩しちゃって」

('A`)「…」

('A`)「はぁ?」

川д川「いや、ですから、喧嘩しちゃって」

('A`)「誰と?」

川д川「パパと」

('A`)「なんで?」

川д川「進路のことで」

('A`)(進路…)



18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:48:15.06 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「私、将来は熱帯低気圧になりたいんです」

川д川「それなのに、パパは『お前はシベリア高気圧になるんだって』」

川д川「全く話も聞いてくれなくて…」

('A`)「…」

('A`)「…全然話が分からないけど、大変みたいだな」

川д川「そうなんです」

川д川「家出したは良いんですけど、行く宛もなくて…」

川д川「パパは怒って吹雪く始末だし」

(;'A`)「この雪はお前のせいかよ!!」

川д川「パパのせいですよ!」

川д川「いくら吹雪いても雪女の私は全く堪えないっていうのを理解してないんです」

(;'A`)「こっちはすげー堪えてるんだよ!!」


川д川「あ、エアコン入れていいですか?」

(;'A`)「人の話を聞けつーの!!」



19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:51:11.44 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)「ぇぇ…ふぁ…」

(;'A`)・∴「はっくしょん!!」

川д川「あぁ、汗をかいたままの服を着ているからですよ」

川д川「はい、脱ぎましょうね」

(;'A`)「嫌じゃあああ、ここで脱いだら凍え死ぬわ!!」

川д川「…」

(;'A`)「むぉ?」

川д川「やっぱり雪女ってそういうイメージですよね」

川д川「人を凍らせて殺すみたいな」

('A`)「…」

川д川「私は!!」

川д川「それが嫌で…」

川д川「冷たい雪女のままでいるのが嫌で…」

川д川「自分の進路は自分で決めようと思ったんです」



20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:53:42.25 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)「…そうか」

川д川「…はい」

('A`)「…あの、さ」

川д川「なんでしょう」

('A`)「とりあえずストーブ点けていい?」

川д川「駄目です」

(;'A`)「なんでだよぉぉぉ!!!」

(;'A`)「話は分かったからさぁ!! 少しは温まらせてよ!!」

川д川「暖かいの苦手なんです」

('A`)「…冷たい女のままいるのが嫌じゃなかったのか」

川д川「心と体は別物です」

川д川「そう、雪女が熱帯低気圧を目指すなんて夢のまた夢」

川д川「でも、なりたいんです」

川д川「心がそう訴えてるんです」



22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:57:04.53 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)「…」

('A`)「よく分かんないんだけどさ」

('A`)「その熱帯低気圧つーのになるのは、そんなに難しいの?」

川д川「そうですね」

川д川「例えるなら、犬嫌いな人がいます」

('A`)「ふむふむ」

川д川「その人が犬になるぐらいですね」


(;'A`)「無理―――――!!!」


川д川「なんでですか!」

川д川「頑張れば、きっと!!」

(;'A`)「頑張って種族の壁が超えられるか!!」

川д川「そ、そんなこと」

(;'A`)「無理無理、絶対無理だから!! 人間も妖怪もあきらめが肝心だよ!!」



23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 21:59:00.65 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「…」

(;'A`)「…?」

川д川「…ぐすっ」

(;'A`)「げ」

川д川「そんぁこたぁないですぅぅ!!!!!」

。川д川。「うわああああああああああん!!!!!」

(;'A`)ノノ「あわ、あわわわわ」

(;'A`)「な、泣くなよ…、……っ?」

(;'A`)「いてっ? なんだ、何か当たって…?」

。川д川。「うわああああああああああん!!!!!」

(;'A`)「雹!? 雹が飛んでくる!!?」


('A`;)=3   うわあああああああん>


('A`;)「と、とりあえず、押入れに避難!!」



24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:01:23.57 ID:V1KfxS8f0
 
ガラッ

・ェ・▼



('A`)「あ」


ピシャッ


('A`;)「あ、おい!! 閉めんな!!!」

('A`;)「あ、開かねぇ!! あの野郎、サチエ(ラブドール)をつっかえ棒にしてやがるな!!」

('A`;)「おい!! リザードン、出てこい!! ホネッコあげるから」


<…フン


('A`;)「てめぇ!! 鼻で笑いやがったな!! ご主人さまをなんだと思ってやがる!!」


(;'A`)  うわああああああああああん>


('A`;)「開けて、お願いだから!! あとでペディグリーチャムあげるから!!」



25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:02:49.82 ID:V1KfxS8f0
 
スッ

ェ・▼


('A`;)「あぁ、リザードンさまぁ!!(かかったなぁ、このダボがぁ!!)」


ェ・▼ …フン


ピシャッ


('A`;)「おいいいいいいいいいいい!!!!!」

('A`;) ゾクッ

('A`;)

(;'A`)

(;'A`)川д川



 いやああああああああああああ!!!



26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:05:50.46 ID:V1KfxS8f0
 
(メ)A`)「うん、なんというかさ」

(メ)A`)「オレが悪かったのかな? 悪かったか? オレ、本当に?」

川д川「…」

(;)A`)「あー、悪かったよ!! 泣かせてすいませんでした!!」

川д川「…別に怒ってないですよ」

(メ)A`)(じゃあ、さっきのは何だったんだと言いたい)

川д川「あのぅ」

(;)A`)「は、はい!?」

川д川「ちょっとお願いしたいことがあるんですけど」

(;)A`)「うん、聞くよ、聞くから離れて。寒風が傷にしみる」

川д川「私を」

(メ)A`)「私を?」


川д川「熱くしてほしいんです!!!」



27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:07:49.66 ID:V1KfxS8f0
 
(メ)A`)「…」

(メ)A`)「性的な意味で?」


(メメ)A(メ)「うん、分かってたよ。冗談じゃないか」

川д川「あなたの顔で言われると冗談に聞こえません」

(;メ)A(メ)「こんな顔にしたのはお前だろうが!!!」


(∩A∩)「はぁ…」 ゴシゴシ

('A`)「で、熱くなりたいって、何?」

川д川「最初にも言いましたけど、私は熱帯低気圧になりたいんです」

川д川「でもパパは、お前には無理だって」

川д川「それは、やっぱり私自身が冷たいせいだと思うんです」

川д川「それなら、私自信を熱く変えれば…、きっとパパも許してくれるんじゃないかと」

('A`)「なるほど」



28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:09:43.01 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)「しかし、熱くって、まさか、松岡修造みたいになりたいとかじゃないよね?」

川д川「え、その通りなんですけど」

('A`)「…」

(;'A`)「いいや、いやいやいやいや」

川д川「なんでですか、修造も人間、やれないことはありません」

(;'A`)「お前は妖怪だろ!!」

川д川「…」

柏д川「はぁっ!!」

('A`)「…」


川д川「で、でも、なりたいんです…」

川д川「…なりたいんだもん」 グスッ



29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:12:20.84 ID:V1KfxS8f0
 
(;'A`)「むぉう!?」

(;'A`)「わ、分かった!! 分かったから泣かんでくれ!!」

川д川「本当ですか」

(;'A`)「本当、本当」

川д川「じゃあ、私が熱くなれるよう協力してくれますね」

(;'A`)「う、…まぁ、仕方ねぇか」

(;'A`)(毎度のことながら、どうしてこうなるんだろうか…)



30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:13:56.05 ID:V1KfxS8f0
 

雪女を熱くする方法:その1


('A`)「まぁ、リアル暖めてみればいいんじゃね」

川д川「そんなもんでしょうか」

('A`)「そんなもんだって」

('A`)「えい、ヒーターON、ストーブON」


(*'A`)「あ、暖けぇ…」

(*'A`)「極楽じゃぁ…」


ェ・▼ ヒョコ


('A`#)「あ、てめぇ!! 暖かくなった途端出てきやがったな!!」

▼・ェ・▼ クゥーン

('A`#)「くーんじゃねぇよ!! さっきはよくも…!!」



33: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:16:50.39 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「あ…」

('A`)「あ?」

川;д川「熱いぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」


ビュオオオオオオオオ!!!


(;'A`)「ひょぉ!?」


 + +


('A`)「エアコンもストーブも凍ってしまった…」

川д川「す、すいません…」

('A`)「そして、またリザードンは押入れに逃げた…」


<…フン


('A`#)「ふざけんなよ、てめぇぇ!!!」



35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:20:23.98 ID:V1KfxS8f0
 

雪女を熱くする方法:その2


('A`)「まぁ、外から駄目なら中からってね」

川д川「これは?」

('A`)「レトルトカレーをチンしたものに七味をこれでもか!!と、かけたもんです」

('A`)「これを食べれば、身体の中からポッカポカになること間違いなし!!」

('A`)「…実は、今日の俺の夕飯用のカレーだったんだけど」

川д川「あの…」

川д川「冷ましてから食べていいですか?」

('A`)「人の話、全く聞いてないよね」


川д川「それではいただきます」

('A`)(…ルーが固まってる)

川−川「はむっ」

川〜川「むぐむぐむぐ…」



38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:25:04.90 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)「…」

川−川「…」


('A`)「どう?」

川д川「美味しいですよ?」

('A`)「え、それだけ?」

川д川「えぇ」

('A`)「こう、『辛いぃ!!』だとか、『死ぬー!!』みたいなのはないの?」

川д川「雪女にリアクションを期待されても」

川д川「どちらかというと驚かすほうですし」

(;'A`)「そういう問題じゃねーから!!」


(;'A`)(…オレの夕飯)



41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:30:12.08 ID:V1KfxS8f0
 

雪女を熱くする方法:その3


('A`)「身体を動かすとかどうよ」

川д川「動かす、ですか?」

('A`)「要するに運動だな」

('A`)「新陳代謝を高めて、熱を出すってね」

川д川「はぁ、なるほど」

川;д川「はっ!? また変なことを!?」

('A`)「いや、ないない。もう懲りたから」

('A`)「少し走ってみるか、この部屋狭いけど」

川д川「…まだ疑わしいですけど、やらないことには始まらないですからね」

川д川「私、走ります!!」



<おりゃあああああ!!



43: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:32:01.71 ID:V1KfxS8f0
 
('A`)(…)

('A`)(うーん、着物のチラリズム)

('A`)(雪女といえど眼福じゃのぅ)

('A`)(夕飯はこれをオカズにご飯を食べよう)

('A`)(…)

('A`)(…)

('A`)(…)

('A`)(ふぁぁ)

('A`)(なんだか眠く…)



44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:33:56.16 ID:V1KfxS8f0
 

雪女を熱くする方法:その4


川д川「ふぅ…」

川д川「なんだかものすごく頑張った気がする」

川д川「これで少しは熱くなれたかな」

川д川「って、あれ?」



('A`)



川д川「なにぼーっとしてるんですか?」

川д川「次は何をすれば…」


('A`)



46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:35:25.28 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「あれ?」

川д川「ちょっと、聞いて…」


('A`) グラッ

バタン


川;д川「ひょわっ!?」

川;д川「え、どういう、つ、冷たい!!」

川д川「あ、これは私の手か」

川;д川「いや、そうじゃなくて…」


▼・ェ・▼ 低体温症だな

▼・ェ・▼ 長時間、冷気に晒され続けたせいだ


川;д川「え!? なに、この犬!?」



47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:36:59.61 ID:V1KfxS8f0
 
▼・ェ・▼ ネーちゃん、オレの言葉が分かるみたいだな

▼・ェ・▼ オレの名前はレッドドラゴン

▼・ェ・▼ 通称、赤っ鼻だ

▼・ェ・▼ この人間にはリザードンって呼ばれているけどな

▼・ェ・▼ それで、あっちに寝てるのが愛玩人形のサチエだ


川д川「はぁ、ご親切にどうも」

川;д川「って、そんなことはどうでもいいんですよ」

川;д川「この人はどうなってるの? 死んじゃったの?」


( A )


▼・ェ・▼ 一応、死んじゃいねーな

▼・ェ・▼ 体温の低下に伴って全身の代謝が急激に落ちている、俗に言う仮死状態だな

▼・ェ・▼ でも、まぁ持って1時間ってとこか


川;д川「それは困るわ!!」



49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:40:11.46 ID:V1KfxS8f0
 
川;д川「だって…」

川;д川「だって…!」

川;д川「彼が死んだら、誰が私を熱くしてくれるっていうの!?」


▼・ェ・▼ …我儘なネーちゃんだな

▼・ェ・▼ だが、それはオレも一緒だ

▼・ェ・▼ こいつにはペディグリーチャムをおごってもらう予定なんでな


川;д川「じゃ、じゃあ」


▼・ェ・▼ だがな、ネーちゃん

▼・ェ・▼ こいつを助けるのはオレじゃねぇ

▼・ェ・▼ あんただ。あんたがこいつを助けるんだ


川;д川「え」

川;д川「だって、私が原因で」



50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:42:05.10 ID:V1KfxS8f0
 
▼・ェ・▼ そう、そうだな

▼・ェ・▼ だから、あんたなんだよ

▼・ェ・▼ 変わりたいんだろう?


川;д川「…!」


▼・ェ・▼ 低体温症の人間を助けるには、ゆっくりと暖めてやる必要がある

▼・ェ・▼ 今までのあんたじゃ駄目だ

▼・ェ・▼ あとは、分かるだろ


川д川「…」


( A )


川д川「…私が、暖める」



53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:44:45.87 ID:V1KfxS8f0
 
川д川「…」

川−川「…」

川−川「分かりました」

川д川「下手したら凍死しちゃうかもしれないけど」


▼・ェ・▼ いや、それはオレも困るんだが


川д川「そうはならないよう祈ってください」


▼・ェ・▼ …押入れの中からな



55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:46:16.87 ID:V1KfxS8f0
 









(;'A`)「はっ!?」



('A`;)「…」

(;'A`)「…」


('A`)「あ、あれ…?」

('A`)「雪…女は?」

('A`)「…」

('A`)「夢……、じゃねぇ、霜が降りてる」

('A`)「…」

('A`)「あいつ、上手くいったんだろうか…」



56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:47:46.06 ID:V1KfxS8f0
 
 
▼・ェ・▼ クゥーン


('A`)「ん?」

('A`)「リザードン…」

▼・ェ・▼ チョイチョイ

('A`)「え、何? 広告?」

('A`)「ペディグリーチャム…」

(#'A`)「じゃねぇよ!! てめぇ、ふざけんな!!」

▼#・ェ・▼ …



<いてぇぇぇぇぇ!! 噛むな!! 分かった、分かったから!!



57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:48:44.20 ID:V1KfxS8f0
 
オレの名前は、鬱田ドクオ
貧乏大学1年生

住んでるアパートは、6畳風呂なし1R

南向き、日当たり良好
駅から徒歩で10分程度

立地条件からすれば非常にリーズナブル
大学生の一人暮らしとしては中々のものである


ただ、問題があるとすれば――…



59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2010/03/03(水) 22:50:26.62 ID:V1KfxS8f0
 

('A`)「なぁ」

川д川「なんでしょう」

('A`)「お前、雪女じゃなくなったんだよな」

川д川「はい、お陰さまで」

川д川「立派な熱帯低気圧になれました」

('A`)「そういうのって俗になんて言うか知ってる?」

川д川「はい」

川д川「台風です」

(;'A`)「分かってるなら出ていけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」



  
  隙間風どころではなく暴風雨が吹き荒れている、ということだ




                 Case4:おしまい



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