( ^ω^)のグミ・チョコレート・パイン グミ編
- 50: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:10:55.93 ID:3ZtaHYazO
- 第2章「ビリー」
( ^ω^)「ハァー」ブーンは自室の机に向かいながら深くため息をついた。机の引き出し20センチほど開けられ、開かれた本が斜めに立てかけられていた。
大きめのサイズにつくられたその本がパックリと開いたまま閉じそうな気配もみせないのは、何度もそういう状態で引き出しに立てかけられたことがあるからだ。
その本、『薬師丸ひろ子写真集』は、ペラペラとめくれば必ず彼女の水着写真のところでパカリと開いてとまるようになっていた。ブーンがそのページばかり見るのもので、「型」になっているのだ。
- 51: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:17:52.50 ID:3ZtaHYazO
- ブーンは膨大な量のオナペットを所有していた。
中でもこの『ひろ子水着写真集』はヒズ・フェイバリットであった。
いくら見つめても飽きることがないし、『ひろ子水着』から換起される妄想も、決してとどまるところを知らなかった。
「これでもか!これでもか!」
人間が想像しうるスケベー妄想のかぎりを思い浮べても、さらに次から次へとひろ子水着写真はブーンに煩悩の波状攻撃を仕掛けてくるのだ。
この一枚で無限にオナニーができた。
- 52: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:21:19.20 ID:3ZtaHYazO
- 連続三回のマスターベーションの直後でさえ、この「黄金の一枚」をチラリと見ればそれでもう彼のポコチンはエレクトしてしまうのだ。
(;^ω^)「僕は永久機関かお……」
と彼は自分を笑った。
- 53: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:28:23.26 ID:3ZtaHYazO
- ブーンは『ひろ子水着』を見ると、やたらにため息が出た。
( ^ω^)「ハァー」
ため息はいろんな意味があった。
「どうして薬師丸ひろ子はこんなに可愛いのだろう」
「どうして薬師丸ひろ子はこんなに僕の性欲をくすぐるのだろう」
「どうして僕はこんなにスケベーなのだろう」
そして最後に
( ^ω^)「こんな子と実際にスケベーをする機会なんて、この先永久に僕の人生にゃあきやしないんだろうな」
そう思うと、自分の人生、自分が生きているということがまるで無意味に思えてきて、腹の底からため息があふれ出してくるのだ。
- 54: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:33:51.71 ID:3ZtaHYazO
- ブーンは自分の人生が無意味だということに確信を持っていた。
学校も家も何もかもつまらんと思いながら、社会というその最小公倍数から抜け出せない非力ないくじなしの自分こそスットコドッコイだ。
( ^ω^)「自分は人とは違う何かを持っているはずだ、ナメラレてたまるかお」
と心はパンクでも、その実、女の子の一人ともまともに話ができんのだこの男は。
- 55: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:38:07.08 ID:3ZtaHYazO
- もどかしさ全開気分でひろ子を見れば、彼女はそんなブーンをバカにするかのようにうすら笑顔。
(#^ω^)「くそう!このアマ、犯してやるお。妄想の中でたっぷりと犯してやるお」
ウオオッと心の中で獣じみたおたけびを上げ、ブーンはおのがポコチンをムンズと握った。
- 56: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:44:56.43 ID:3ZtaHYazO
- (*^ω^)「ホレホレこうしてやるお!どうだどうだ」
哀れ妄想の中であられもないポーズをブーンにとらされる女優薬師丸ひろ子。
『修学旅行で京都に来たブーンと、ロケでやはり京都にいたひろ子がたまたま出会い、二人は金閣寺裏にあるラヴホテルで熱きスケベーを致すのであった。』
フェリーニがノーテンパーになったとしても思いつかぬであろうシュールな設定を想い、ブーンは妄想の中で何の罪もない女優を辱めるのだ。
- 58: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:47:55.58 ID:3ZtaHYazO
- と、
「ブーン、電話よ」階下で母の声がした。
苦々しい思いで妄想を打ち切り、電話にでるとコクボドクオの眠たげな声が聞こえた。
- 60: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:51:38.82 ID:3ZtaHYazO
- ('A`)「おう、ブーン、何しとる?」
( ^ω^)「あ、ああ、ちょっとものおもいにふけってたお」
('A`)「詩人やのう、暇なら家来ねえ?ショボンもいる。ツェッペリン聴いてるんだ」
ドクオの後ろでディストーション・ギターがうるさく響いていた。
- 62: 宿屋の女中 :2006/11/23(木) 03:59:32.03 ID:3ZtaHYazO
- ドクオは一年の時同じクラスだった。家が近いこともあり、時々夜中に家を脱け出し、電気店の二階にある彼の部屋で酒盛りをしていた。ブーンとか珍しくウマの合う男だ。
( ^ω^)「行くお、シャッター開けといてお、何か持ってくかお?」
('A`)「ああっと、タコハイがいいなぁ」
( ^ω^)「あいお、すぐ行くお」
('A`)「ああブーン」
( ^ω^)「何だお?」
('∀`)「いろいろ計画があるからさ、早く来な」
- 64: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:06:54.63 ID:3ZtaHYazO
- 深夜まで営業している酒屋でタコハイとポテトチップスを買い、ブーンは歩道橋の階段を昇っていた。この歩道橋を越えるとすぐ目の前にドクオの電気店がある。
前かがみに段を昇る彼の耳に、キャーキャー言いながらはしゃいでいる女の声がした。
見上げるとブーンと同じくらいな年頃の少女と、小学生ぐらいの女の子がブーンより九段程上に立っていた。
月明かりに照らされた年長の少女の顔には見覚えがあった。
同じクラスの山口ツンだ。
- 66: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:25:29.09 ID:3ZtaHYazO
- 、二人はじゃんけんをしていた。
何度出してもあいこが出てしまい、その度に二人は顔を合わせてうれしそうに笑った。
ξ^竸)ξ (*^竸)「「ジャンケン・ポン!」」
ツンがチョキを出し、妹はパーを出していた。
ξ^竸)ξ「勝った、あたしチョコレートね」
(*゚听)「ずるい、今のはお姉ちゃん後出しでしょ」ツンは
ξ^竸)ξ 「アハハ、ダメダメ」と笑い、チ・ョ・コ・レ・イ・トと言いながら、一語言う度に一段ずつポンポーンと階段を駆け降りた。
- 68: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:35:36.54 ID:3ZtaHYazO
- すぐに階上の妹を振り向きξ゚听)ξ、「ジャンケーン」
(*゚听)「ポン」
ツンがグー、妹はチョキ。
地団太踏んで口惜しがる妹にまたアハハと笑い、グ・ミと言って彼女は二段下がった。
短いスカートがヒラリとまくれ、真っ白な太ももが月に映えた。
顔を上げた彼女が二段下のブーンに気づいた。
- 70: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:41:17.37 ID:3ZtaHYazO
- 「見られちゃった」というようにニッと笑って、ツンは小さく
ξ;^竸)ξ 「あ、どうも」
( ^ω^)「……ああ……」
もっと小しな声でブーンが答えた。けれど聞こえなかったらしく「え?」とツンが聞き返した。
ξ゚听)ξ「何か言った?」
( ^ω^)「いや、何も言ってない」
そう言って、ブーンは足早に階段を昇りツンの脇をすり抜けた。
- 71: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:46:57.17 ID:3ZtaHYazO
- ツンの邪心のない目が、さっきまで性妄想のドロ沼に浸っていたブーンにはまぶしかったのだ。
妹と無邪気にグミ・チョコレート・パイン遊びをしている彼女の姿ぱ純真清潔なるものの象徴のように見えた。
ツンに話しかけられると、ブーンの中にたまった蔑むべきスケベーが、彼の毛穴という毛穴から今しも吹き出てくるような、そんな恐ろしい思いにとらわれて、いたたまれなかったのだ。
- 73: 武器屋のじじぃ :2006/11/23(木) 04:53:30.68 ID:3ZtaHYazO
- 歩道橋の上で、ブーンは背中に山口姉妹の声を聞いた。 (*゚听)「あの人友だちィ?お姉ちゃんの」
ξ゚听)ξ 「ぜーんぜん!クラスが同じだけよ!」
そうして二人は声を合わせて言った。
ξ゚听)ξ (*゚听) 「「ジャンケン・ポン!」」
- 75: 門番の娘 :2006/11/23(木) 05:16:47.69 ID:3ZtaHYazO
- (*'∀`*)「おー、ブーン、よく来たなぁ、やっぱジミー・ペイジはいいぞう」
電気店の二階では、すぐにドクオが酔っ払っていた。
ドクオの両親は店を閉めると、別にある家の方へ帰ってしまう。ドクオは親のいないのをいいことに、二階を占領し自分の城にしていた。城では毎夜ロックが大音響で流れ、ビールびんが何本も空になっていた。
(*'∀`*)「タコハイある、タコハイ」
ドクオはろれつのまわらぬ声で言いながらブーンの持ってきた焼酎を奪い取った。
(*´・ω・`*)「ドクオ酔っ払っちゃってさあ」
そう言ったショボンの目もすっかり据わっている。
( ^ω^)「結局二人とも酔ってるわけかお」
(*'∀`*)「おおそうだ!悪いか、座れよ」
ドクオが投げてよこしたクッションにあぐらをかき、ブーンはショボンのつぐビールでまず駆けつけの一気。
(*>ω<)「プハー、ああきくおぉ」
それぞれに酔っている連中を見て、これは早々に自分も酔っ払っちまわなければなと思ったブーンは続けてもう一気した。
- 84: VIP勇者 :2006/11/23(木) 14:04:26.69 ID:3ZtaHYazO
- ブーンとドクオ、それにショボンは週に一度か二度、こうやって集まっては酒を飲み、タバコをふかし、ということをやっていた。
やたらいろんなことに口をつっ込み、熱しやすく冷めやすいドクオ、そるに比べ落ち着いているというか、のんびりとしたショボン、
それにブーンが加わって、三人は酔いがまわってくると、今いるアイドルで最も早く乳輪を見せるのは誰か?なんてことから現代高校教育における矛盾となんて話題に至までを終わりなく論じるのであった。
ドクオが熱く自分の主張をまくし立て、ブーンが彼のあげ足を取る。
二人のやりとりを笑いながら見ているショボンが、時々するどいつっ込みを無げかける。
そんなふうにして議論は朝まで続くこともあった。明け方、シャッターを開けると、真っ白な朝の光が三人の眼に飛び込んだ。
- 85: VIP勇者 :2006/11/23(木) 14:09:50.45 ID:3ZtaHYazO
- チクチク痛む眼をしかめながらも、ブーンはこういう時、何かひとつの仕事を成しとげたようにうれしかった。
ロックに傾倒しているドクオ、映画の虫のブーン、浅く広くの知識の幅が大きなショボンというように、三人の趣味は一致していなかったが、彼らにはある一つの共通点があった。
「自分には何か人と違った能力がある、だがそれが何なのか今はわからない」
という「想い」だ。
- 86: VIP勇者 :2006/11/23(木) 14:16:50.65 ID:3ZtaHYazO
- お互いに面と向かってそんなことを口にしたことはなかった。
三人ともそのことには気づいていた。だから誰か酔いのまわった口で
「何かやりてえよなあ、何かできねえかなあ」
などと言う時は、他の二人も心の中で
「オレには何ができるだろうか」
と自問した。
- 87: VIP勇者 :2006/11/23(木) 14:32:11.84 ID:3ZtaHYazO
- 明確な答えが出たことはなかった。
「何かやりてえよなあ、何かできねえかなあ」
この夜も、そろそろ本格的に酔いのまわってきたらしいドクオが、もともとギョロ目なのをさらに目をむいて決まりの文句を口にした。
ブーンもお約束で、心の中で
「オレには何が?」
と自問した。
ショボンもそう思っているのだろうなと彼を見ると、意外にもニコニコ笑っている。
そしてこう言った。
- 88: VIP勇者 :2006/11/23(木) 14:43:51.49 ID:3ZtaHYazO
- (*´・ω・`)「ドクオの言うように、僕たちはいっつも何かできると思いながら、何やったらいいかわかんなかったわけだよ、なあドクちゃん、そうだろ」
(*'A`)「おお、そうだよ。オレたちは知能指数とかそういうのは別にしてだな、学校にいるあのつまらん奴らとは違うんだよ。
待てよブーン、みなまで言うな、お前の言うことはわかるよ、『何を根拠に?』って言いたいんだろ、そうだよ、別に根拠はねえよ、
でめよ、オレたちには少なくとも『何かをしなきゃ』って問題意識はあるだろ、少なくともオレにはあるぞ」
( ^ω^)「何か『熱い』おドクオ」
(*'A`)「おおおお!熱いよ、オレは熱いよ!」
( ^ω^)「で、何なんなんだお」
(*'A`)「だから何かやろうっつってんのよ!この三人でさ!」
( ^ω^)「だから何やんだお」
(;'A`)「何かだよ」
( ^ω^)「何だお?」
(;'A`)「だから何かだって……」
- 94名前: VIP賢者投稿日: 2006/11/23(木) 15:30:31.61 ID:3ZtaHYazO
- まあまあというようにショボンが彼のコップにタコハイをついだ。
(´・ω・`)「こんなことをブーンが来るまで話し合ってたんだよ。
でね、何かやろうってことになったの」
( ^ω^)「ショボンまでわけのわからんことを。僕も退屈に過ぎてくこの日常を何とかしようって意識はあるお、今までガンと言わなかっただけだお。
そりゃあるお、でもドクオの言ってることはさっぱりだお」
(#'A`)「なんだこらブーン、おめー!」
あばれ出しそうな酒乱の気があるドクオを押さえてショボンは言った。
(´・ω・`)「バンドでも映画つくるんでもいいしさ、何かやろうよ、計画立てようよ」
('A`)「オレはバンドをやる!」
- 96名前: VIP賢者投稿日: 2006/11/23(木) 15:41:07.65 ID:3ZtaHYazO
- ショボンの腕を振りほどき、ギョロ目をさらにむいてドクオは決然と、
('A`)「オレはジミー・ペイジになる」
と叫び、しかしすぐに小さく、
('A`)「ギター弾けんけどもね」
とつぶやいた。
( ^ω^)「う〜〜ん何かねえ、僕は映画がいいお」
ブーンは秘かに8ミリ映画を撮ってみようかと考えていた。
金も人脈もない彼のこと、そんな大仰なものはつくれまいが、いつか新宿のアンダーグラウンドなムーヴィー喫茶で観たいくつかの実験映画、
感性にまかせてフィルムに絵の具をぶちまけたかのような、ストーリーのないシュールな映像。
ああいうものならもしかしたら自分にも撮れないだろうか、そんなことを考えていたのだ。
- 97名前: VIP賢者投稿日: 2006/11/23(木) 15:48:11.04 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)「ケネス・アンガーとかルイス・ブニュエルなんて人がいてさ、わけわかんないけどすごい映像つくってんだお、
こう、女の眼をいきなりカミソリで切っちゃったりとか、不思議なシーンがいっぱい続くような」
(´・ω・`)「ああ、あれか、『アンダルシアの犬』だね」
( ^ω^)「さすがショボン、よく知ってるお。なあドクオ、お前は映画は……」
('A`)「オレはジミー・ペイジだっつってんだろ、ジャカジャーン!キュルキュルキュル」
ドクオは一升びんを抱え、ギターを弾くまねを始めた。目を細め悦に入り「プッシュプッシュ」などとロバート・プラントのまねまでしている。
- 98名前: VIP賢者投稿日: 2006/11/23(木) 15:58:18.35 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)「おいそれロバート・プラントだお」
('A`)「いいの、オレの中にはね、ジミーとロバート・プラントが同居してるの」
( ^ω^)「ああそー、ほっとくお、でさ、どうかなショボン、映画、8ミリでさ、いいのできたらぴあのフィルフェス送ってさあ」
(´・ω・`)「ううん、いいかもね、シュールな短編ねぇ」
( ^ω^)「いいおね、かけわかんないんだけどさ、なんかそういうのってくるんだお、思ったんだお。
結局創作するってのはさ、自分の中の怒りだとか哀しみとか喜びとか、とにかくグチャグチャした心の動きを作品に置きかえるっていう作業なわけじゃないお
そしたらさ、ストーリーなんて関係なくていいんじゃないかな。映像の羅列でも、いいたいことが完成品に出てればいいんだよね」
('A`)「いやそれは自己満足にすぎねえな!」
ドクオが怒鳴った。
- 99名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:05:55.44 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)「そうかなあ。だってわかる奴はわかるんだお」
('A`)「違う!万人の胸を打たんで何が創作だ、コノヤロー!」
( ^ω^)「万人の胸を打つことが創作なのかお!そんなありきたりにつくられたもんのどけに感動がある、ただの商業主義じゃないかお」
('A`)「違う!問題はお前の発想があくまで自分自身を満足させようと思っているにすぎないっつーことなんだよ!
自己満足だろ!いいたいことが出てたって、たかだかお前のいいたいことなんて女とやりてえとかそんなことだろ」
- 100名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:13:01.66 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)「女とやりたいっていうことが創作の源になっちゃいけないねかお、今ある芸術のおよそ半分以上はその発想からきてるんだお」
('A`)「そうじゃなくてだ、問題はな、技法も基礎もないからシュールに逃げようという、つまりあれだ、お前の存在的軽薄さだよ」
( ^ω^)「技法は後でついてくるんだお」
('A`)「バカ、お前みたいのがシュール、シュールといっているうちに『シュールであらなければいけない』という定型にはまってだな、『定型アヴァンギャルド』なんつー見事に矛盾したものをつくり出すやからになるんだよ!」
- 102名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:18:28.83 ID:3ZtaHYazO
- さて、二人のわけのわからん討論が続いているが、本当いうと討論している当の二人にもわかってはいないのだ。
ただ二人はなるべくこむずかしいごたく、はっきりいえば屁理屈を並べまくることで、自分たちがまるで「選ばれし者の恍惚と不安」に浸っているような気になれる討論にただ酔っているだけなのだ。
- 106名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:26:55.53 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)「だからつまりあれだお。問題はだなあ、問題は……」
語るうちに自分が何をいっていたのかわからなくなってしまったブーンの言葉を引きついで、ショボンが言った。
(´・ω・`)「問題はつまり何をすべきかってことだろ。ブーンの言ったように創作ってのは、心の中にある何だかわからないものを作品に置きかえることだと僕も思う。
映画でも音楽でも絵を描くんでも、女を自分の好みにすることでもさあ……じゃあそこでだよ、そこでさて僕たちは何をする?」
ブーンもドクオも黙ってしまった。ツェッペリンの「移民の歌」だけがのんきに流れていた。
- 108名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:34:08.58 ID:3ZtaHYazO
- ('A`)「……何か……かあ」ドクオがつぶやいた。
( ^ω^)「……何か……ねえ」ブーンもぼそりと言った。
(´・ω・`)「女を囲って自分の色に染めるなんてのはやってみてえけどな」
ショボンが大人ぶって言った。
('∀`)「うん、やりてえって感じのパッと見スケベな女をなあ……ブーンのクラスの、ほら山口ツンみたいな奴」
ドクオの言葉にブーンはなぜかギョッとして、あやうくコップを落としそうになった。
- 109名前: VIP魔法使い投稿日: 2006/11/23(木) 16:42:03.48 ID:3ZtaHYazO
- ('A`)「あいつスケベな体してるもんなあ、処女じゃねえんだろうなあ」
山口ツンは確かにエッチな体つきをしていた。まだ高二なのにパツンパツンに張った胸やヒップは実に見事であった。
しかしブーンは、ツンを「おかず」にマスターベーションをしたことはなかった。クラスの中で、よほどのブスをのぞいて彼の性妄想のえじきになっていないのは、ツンだけだった。
何度かツンでいたそうとはしたものの、いざとなると手が止まった。
いつだったか、学校の階段で今夜のようにブーンはツンとすれ違った。
彼女の首筋から放たれた甘い花に似た香りにブーンはクラクラとした。ドキドキして困った。
その日から、ツンではすまいと決めたのだ。
- 111: VIP無職 :2006/11/23(木) 17:00:43.79 ID:3ZtaHYazO
- ( ^ω^)『僕はどうやらツンを好きになってしまったようだお。好きな女を、頭の中とはいえあんな汚らしい僕のオナニーの犠牲にしちゃいかんお』
そう決めたのだ。
(´・ω・`)「しかし何すっかね」
ショボンはそう言って、何気なく「ぴあ」をペラペラとめくり「とりあえず映画でもいこっか」ととぼけた調子で言った。
(´・ω・`)「ハハハ、『穴のにおい』だって」
('A`)「ああ、ポルノか」ドクオがのぞき込んだ。
('A`)「ギャハハ、『お姉さんの太もも』だって」
(´・ω・`)「これこれ『節子の告白、あれは遊びよ』」
「『痴漢透明人間!』」
「『三日三晩汗だらけ!』」
( ^ω^)「ギャハハハハいいなぁ、よく考えるお、こういう題を」
('A`)「ところでブーン、ショボン、ポルノ観たことある?」
ドクオが真顔で聞いた。
- 114: VIP無職 :2006/11/23(木) 17:09:05.87 ID:3ZtaHYazO
- (´・ω・`)「ない!」
( ^ω^)「僕も!」
('A`)「よし、じゃ、とりあえずポルノ観に行こう。オレたちの大事業はポルノ観ながら決めようぜ、な!へへへ」
ドクオは笑い、そしてタコハイをグッと飲んだ。
(´・ω・`)「ポルノかあ、いいかもね、フフ」
ショボンもニコリと笑いタコハイをあおった。
( ^ω^)「おうポルノ、行くお行くお、エヘエヘ」
ブーンもタコハイをつぎ、三人は酔っ払い特有の無意味さで
「ポルノに乾杯!」
と叫んだ。
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