( ^ω^)がBLの世界にきたようです。

  
1: VIP足軽l :2006/12/04(月) 17:44:46.89 ID:aORwujU10
  


3次元の女にも、男にも好かれない、孤独な毎日。
2次元の女に手を出そうにも、ろくに金がない僕には無理だった。

(´ω`;)「ああ…エロい体験がしたいお…ゲームでさえも無理だなんて…」

かといって、レイプなんてする勇気もない。
それに襲っていったって、逆に殴られて終わってしまいそうなほど僕は非力。

(´ω`;)「…安いエロ本でも売ってないかな…」

ふらふらと今にもつぶれてしまいそうな寂れた中古屋へ足を踏み入れた僕。
そこで僕は、不思議な世界へ迷い込むことになった…。



  
9: VIP足軽l :2006/12/04(月) 17:50:48.79 ID:aORwujU10
  


(^ω^ )))「うーん…」       (((;^ω^)「………」

まいった、エロ本はあるにはあった、だけどそれはほとんど男同士のものばかり。
興味がないわけじゃなかったけど、どれも手にとるほどのものじゃない。

(;^ω^)「おっさん同士でやってなにが面白いんだがわからないお…」

表紙にはでかでかと相手のちんこをしゃぶる髭のはえ、痩せこけたおっさん。
なんというサラリーマン、これは間違いなくリストラ寸前。

( ^ω^)「………おっ?」

少し男同士のエロ本コーナーを拝見していると、BLゲームを体験できるディスクがついたものを見つけた。
幸い中古で、手持ちの500円でも買える値段だ。
いい男の店主の視線を感じながらも、僕はその雑誌を手に取った。



  
10: VIP足軽l :2006/12/04(月) 17:56:01.61 ID:aORwujU10
  
店主「そのゲームに興味があるのかな?」
(゚ω゚;)「うほっぇぁっぁあ」

急に耳元に熱い息を吹きかけられ、僕は思わず変な悲鳴をあげ振り向いた。

店主「はは、驚かせてすまない、ところでこいつをどう思う?」

手に取った雑誌を落としそうになりながら、店主の視線の先を追うと
そこには一台のノートパソコンがおいてあった。素人から見てもわかる、最新型だ。

(゚ω゚;)「す、すごく…ハイスペックです…」
店主「だろう?…どうだろう、ここでそのゲームをしていかないか?」

僕の体を舐めるように見つめる店主。
逃がさないというように腕を掴み、腰に手をまわされる。苦しいほどの密着だ。



  
12: VIP足軽mp3 :2006/12/04(月) 18:00:57.60 ID:aORwujU10
  

これまで人と密着するのははじめてだけど、さすがに今の状況は苦痛。
僕は彼の腕の中でもがきながら、必死で断った。
ここにいるのは危険だ、そう思った。

(゚ω゚;)「え、え、と、いいです、うちでやります」
店主「そうか…残念だ、苦しがらせてしまった詫びに、それはただであげるよ」
(゚ω゚ )「ありがとうございますもう来ません」

僕はそういいながら、ぎゅっと雑誌を抱きしめてそこから飛び出し、家へと駆けた。
帰ったら真っ先にあいつに触れられた場所を洗おう、そう思いながら…。




  
15: VIP足軽mp3 :2006/12/04(月) 18:09:43.72 ID:aORwujU10
  
………ん

…………ぃちゃん



( -ω-)「…………」
???「起きてよ!お兄ちゃん!」
???「無駄だぜ、そいつはこうやって蹴りいれないとぜってー起きないんだ、よ!」

ガン!
(;゚ω゚)「っつぅぉ!な、なんだお!?」

???「ほらな!」
???「ほんとだ!…おはようお兄ちゃん!朝だよ、おきなきゃ!」

覚醒したばかりの僕の目が、信じられないものを見て大きく開かれる。

(;゚ω゚)「………君達は…だれ、だお…」

昨日、僕はあのディスクを読み込んでくれない低スペックのPCにやつあたりし、
不貞寝していたはず…しかも、寝ていたのは電気もない狭い部屋だった。

なのに、ここは

広々とした部屋、ちゃんと傘のある電気、大きな窓、カーテンはやぶれていなく、新しい。
そして目の前にいる少年ら二人は、僕(?)のベッドの上でにこにこと僕を見ている。

(;゚ω゚)「こ、ここはどこなんだお!?」



  
16: VIP足軽mp3 :2006/12/04(月) 18:19:39.82 ID:aORwujU10
  
上半身をおこし頭をかかえて混乱する僕に、二人は顔を見合わせ不思議そうな顔をしている。

???「どこって、ここはぼくと雅之と、お兄ちゃんの家だよ」
雅之「やべーぞ智之、こいつどっかで頭打ったのかも」
智之「記憶喪失ってやつかな…だったらどうしよう…お兄ちゃん…」

(;゚ω゚)「っ………」

智之、という少年が今にも泣きそうな顔をして僕に抱きついてきた。
その後ろで雅之という少年が、抱きしめてやれよ、というジェスチャーをしている。
でも僕には、誰かわからないこの子を抱きしめてやれることもできず、腕はだらんとしたままだった。

雅之「…とーも、ほんとに記憶喪失かもしんねーから、あんまり困らすなよ」
智之「……でも、…だって、おにいちゃんが僕たちをわすれるなんて」



  
17: VIP足軽mp3 :2006/12/04(月) 18:28:35.68 ID:aORwujU10
  

智之という子の僕にしがみつく腕の力が強くなる。
あの店主に触られたときとはちがう…不思議と心が温まる感じがした。
この子は僕を必要としてる、それだけは確かだ。

だんだん冷静になってきた。急に知らない場所にきて動揺してるのはほんとうだけど、
この子は僕以上に悲しい思いをしている…。
僕の腕はぎゅっと智之の体を抱きしめていた。

( ^ω^)「………とりあえず、朝ごはんくれるかな?」
智之「……!う、うん!行こうおにいちゃん!雅之も!」
雅之「おー、今日の朝飯なんだよ、とも」
智之「今日はね、目玉焼きとレタスのサラダととーふの味噌汁だよ!」

智之と雅之は二人で手を繋ぎ、居間に僕を誘導するように先に階段をおりていく。
僕はベッドからおりながら、今から食べるメニューを頭の中で繰り返し、気づいた。

( ゚ω゚)(……全部僕の大好物だお…)



  
23: VIP足軽mp3 :2006/12/04(月) 18:36:44.66 ID:aORwujU10
  

智之が作ったという朝飯はとてもおいしかった。
僕と雅之が先に食べ終わり、智之が最後までしっかりと噛んで食べている。
まったりとした空間をすごしながら、僕はふと目に入った時計を見た。

8:00

時計を見ている僕に気が付いた雅之が席を外し、すぐに戻ってくる。
手には大きな学生鞄。言われなくてもわかる。きっと僕のものだ。

雅之「ほい、鞄、今日からテストだろ?がんばってこいよ、お に い さ ま」

(;゚ω゚)「な、なんだtt(ry」

智之「お兄ちゃん、昨日の夜まで勉強してたよね、だから大丈夫だよ!」
雅之「でも記憶喪失だろー?全部わすれてるんじゃね?」

くく、と笑いながら雅之が僕に鞄を渡してくる。
受け取った僕はすぐに鞄を開き、中身を確認した。



  
33: VIP足軽neet :2006/12/04(月) 19:24:48.80 ID:aORwujU10
  

どうやらこの世界の僕は、前夜に次の日の準備をする人間だったようで、
鞄の中には今日受ける学科のプリントや教科書、ノートが入っていた。

( ^ω^)「…僕の名前は内藤文孝(ふみたか)っていうのかお」
雅之「ああ、そうだけど……ちゃんと名前覚えとけよ、出席とるとき変に思われるし」
( ^ω^)「把握したお、…それじゃあ君達二人の自己紹介してほしいんだけど、おk?」

学校までは8:40分までにつけばいいらしい。
その時間まで僕はこの二人について知っておこうと思った。

智之「僕の名前は内藤智之、お兄ちゃんの2番目の弟だよ」

明るい笑顔を向けて智之は僕を見上げた。

雅之「オレは内藤雅之、兄貴の弟、つまり次男ってことだな」

雅之が僕の胸をとん、と叩き、ニッと笑う。



  
35: VIP足軽neet :2006/12/04(月) 19:32:37.49 ID:aORwujU10
  

( ^ω^)「…お父さんとお母さんはいないのかお?」
雅之「いないよ、二人は智之がうまれてすぐに死んじまった。」
智之「…小さい僕と雅之を守って、育ててくれたのがお兄ちゃんなんだ」

俯いてしまった二人を見て、僕は両親のことはもう口に出さないことにした。
とりあえず今は、テストという試練を乗り越えなきゃいけない。
落ち込んだ二人を元気付けるために、帰りにお菓子を買って帰る約束をした。

雅之「あ、忘れてた」
( ^ω^)「?」
雅之「兄貴はコンビニのバイトもしてたんだよ、確か今日もバイト」
(;゚ω゚)「………ば、バイト…」
智之「無理なら休んでいいんだよ?おにいちゃん…」
(;゚ω゚)「帰ってきてから考えるお…」

バイトもせず、親の金に頼りながら暮らしていた場所とは全く違う。
前途多難な一日の始まりだった。



  
38: VIP足軽neet :2006/12/04(月) 19:45:01.33 ID:aORwujU10
  
ピンポン♪

智之「あ、達樹兄ちゃんだ!」
( ^ω^)「達樹?」
雅之「兄貴の学校での友達だよ、ほんとに忘れてるんだな」
智之「毎朝一緒に学校行ってるんだよ、おはよーございます達樹兄ちゃん!」

智之が玄関に向かい、達樹とやらを迎え入れる。
僕が制服に着替え終わり、鞄を持って玄関に向かうと、僕より少し背の大きい青年が立っていた。

達樹「よ、文孝」
( ^ω^)「お、おはようだお」
達樹「だお〜?またなんか漫画見て変な口調になったのか?」
(;^ω^)「えーと…」

達樹の言葉の勢いに少々押されてしまう。だけど嫌な奴じゃないのはわかる。
内藤文孝は、いい奴を親友に持ってるんだ…。

達樹「まあいいや、さっさと行こうぜ、雅之、とも、いってくるなー」
雅&智「いってらっしゃーい」



達樹「よし、行くか」
( ^ω^)「?」
達樹「何ぼさっとしてんだよ、早くチャリ出せって」
(;^ω^)「おっ…?2ケツするのかお?」



  
46: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:05:19.90 ID:aORwujU10
  
( ^ω^)「チャリは僕ので漕ぐのは君なのかお…」
達樹「だってお前チャリのれねーだろ…しっかりと俺につかまってろよ」

通学の定番ママチャリに乗って、いざ学校へ。
確かに僕は自転車に乗れない…2ケツするのだってかなり怖い。

( ^ω^)(つかまる…)「こうかお?」
達樹「うわぁっ!馬鹿やろう!腰に手まわすな、肩!肩にしろ…っ!くすぐってぇ!」
(;^ω^)「揺らさないでくれお!こわいお!」
達樹「そのまま落ちてしまえ!っく、ぁははは!」

そのまましばらくふらふらした運転で進む。
達樹をこれ以上苦しませるわけにもいかず、一瞬手を離して肩をしっかりと掴んだ。

達樹「そ、それでいいんだよ、それで…はぁ…きつかったー…」

緩やかな下り坂で、漕ぐ足を休めることができて気が抜けていたのかも知れない。
曲がり角から飛び出してきた人にぶつかる、そんな展開が自分に降りかかるなんて思いもしなかった。

(;^ω^)&達樹「………!!!」



  
49: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:16:01.24 ID:aORwujU10
  
('A`)「ぐはぁぇぁあ!」

ガシャン!ドサドサッ…

轢いた、確実に轢いた。
僕たち二人もチャリから落ちて相当なダメージだったけど、相手はそれ以上にやばそうだ。
達樹がおろおろしながら僕を見る。見詰め合って、頷きあい、僕たちはその人に近づいた。

達樹「大丈夫ですかっ?」
('A`)「うーん…」
(;^ω^)「…あれ?無傷…だお…」
達樹「はぁ?それはないだろ、常識的に考えて…思い切り轢いたんだぞ」

腕をめくりあげても、倒れてぶつけた頭部を見ても外傷は何もない。

('A`)「……ああ、また今日も轢かれたのか…」
達樹「え?」
('A`)「僕は大丈夫だよ、気にしないでくれ…」

よろよろと立ち上がり、彼は僕をじっと見てきた。

('A`)「…今回は君、か」
(;^ω^)「え……?」
達樹「やべーぞ文孝、学校遅れる…!」

意味深な言葉を吐く彼の言葉を最後までききたいのに、達樹が僕の腕を引く。
確かに学校は大事だけど、僕はそれ以上に彼の言葉が気になった。



  
56: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:24:54.88 ID:aORwujU10
  

( -ω-)「………」

結局彼の言葉をきけぬまま、達樹に引っ張られるように学校についた。遅刻ギリギリだ。
テストも…わかるわけもなく、多分ぼろぼろの結果が返ってくるだろう。

胸の中のもやもやが大きくなってくる。

僕は、どうしたら………

元いた場所、に…


モトニイタバショニカエル?


( ゚ω゚)「………!」

元にいた場所?あの孤独な場所に?
帰りたい?

そんなわけがない!

まわりを見てみる。内藤文孝、僕の友達はたくさんいる、女の子だっている!
どうやらここでは僕はモテるほうの人間らしい、こんなおいしい世界、大歓迎に決まってる!

達樹「何ボーっとしてるんだよ文孝、昼だぜ、昼!屋上行こう!」
( ^ω^)「把握したお!」



  
58: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:32:50.79 ID:aORwujU10
  

天国だ。おいしい売店のパンと親友、僕を慕う女の子達に囲まれての昼食。
晴れた青空を見ていると、ここがどこだとか、気にするのも馬鹿らしくなってくる。

( ^ω^)「達樹ー…」
達樹「ん?」
( ;ω;)「幸せで涙が出てきたお」
達樹「お前が泣くなんてめずらしーなー、俺のパン半分食べるか?」
( ;ω;)「レーズンパンは嫌いだお」
達樹「そうだったなw」

僕たちのやり取りを見て女の子たちが微笑んでる。
そんなほのぼのとした昼食は、チャイムで終わりを告げた。



  
59: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:48:22.98 ID:aORwujU10
  
5、6時間目はぶっつづけで国語、だけど先生は授業にこないで自習だった。

( ^ω^)「国語の先生はどんな人…だったっけ?」
達樹「どうだったかなー、結構前から来てないんだよな、俺授業真面目に受けないしおぼえてねーや」
( ^ω^)「そうかお」

達樹の言葉を深く考えなかった。
自習といっても生徒はふざけているし、
僕もそれに習って、帰ってから訪れるバイトの時間のために……寝た。



  
66: VIP足軽orz :2006/12/04(月) 20:58:32.95 ID:aORwujU10
  
― 絵…柄が悪……… ―

― ストーリー………クリみたい… ―

― それをいったら………ラだって… ―


真っ暗闇でざわざわとした声が聞こえる。
聞き取れないけれど、その言葉は僕にとって恐怖を感じるものだった。
何か見えないものが圧し掛かって来る、とても耐え切れる重さじゃない。

(;-ω-)「やめてくれお…重いお、…くるしい…っ」

ギシギシと体が、いや、頭の中が軋む。僕という存在が壊れそうなほどに。
助けを呼ぼうにも、胸が圧迫されて言葉、が


???「大丈夫だ」


(;゚ω゚)「!!!」

どこかで聴いたことのある声がした。
途端に圧し掛かったものが消え去り、あたりは白くなる。ああ、助かった…。

???「苦しかっただろう……すまない…」

僕を助けたその人の声は、…僕以上に苦しんでいる声をしていた。



  
67: VIP足軽p :2006/12/04(月) 21:01:59.28 ID:aORwujU10
  



???「おい、君…」

誰かが僕の肩を優しく揺さぶる。

( -ω-)「ん……」

???「下校時間だ、いつまで寝ている?」
( ぅω-)「うーん…たつ、き…?」
???「達樹くんは一足先に帰ったよ、彼にも用事があるんだ。僕は金島祐樹」
( ぅω-)「…金…島……」(;゚ω゚)「確か生徒会長!」
金島「確かとは失礼だな…」

がばっと顔をあげると眼鏡をした美青年が僕を見下ろしている。
不機嫌そうに、呆れたような声で彼は言葉を続けた。

金島「さっさと帰らないと、バイトがあるんじゃなかったか?」
(;゚ω゚)「そ、そうだお…急いで帰るお!…ってなんでバイトがあることしってるんだお?」
金島「何故っていわれても、君がいるコンビニによく寄るからさ」
( ゚ω゚)「なるほど…じゃ、じゃあ僕は帰るお、さよならだお!」



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