( ^ω^)がBLの世界にきたようです。

  
73: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/04(月) 21:12:04.58 ID:aORwujU10
  

不思議な夢を見たのは覚えてる、苦しかったのも覚えてる。
だけどあの人のことが思い出せない…僕を救ったあの声の主は、一体誰なんだろう。

チャリは達樹が乗っていったのか、どこにもなかった。
僕はとぼとぼと帰り道を歩く。
家によって、はやめの夕食を食べて、バイトに行かなければ。



( ^ω^)「ただいまだお!」
達樹「おかえりー」智&雅「おかえりなさーい」
( ゚ω゚)「……なんでここにいるんだお…」

一時の安息を求めて帰った家には、先に帰ったはずの達樹がいた。

達樹「なんでってwいっつもこうじゃんか」
( ゚ω゚)「…?」

状況がわからない僕にこそこそと雅之が説明をいれるように耳打ちをしてくる。

雅之「兄貴達二人は同じコンビニのバイト仲間なんだ。今日は達樹兄貴と同じ時間なんだよ」
( ゚ω゚)「ああ、それで…」
達樹「早く飯くわねーと俺が全部食っちまうぜ、なーとも」
智之「だ、だめだよ、お兄ちゃんのぶんなんだから…」



  
108: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 05:15:20.78 ID:AOFJYnzA0
  

達樹に絡まれ困っている智之に近寄り、僕は言った。

( ^ω^)「ともを困らせる奴は僕が許さないお〜?」
智之「お、お兄ちゃん…」

肩を抱き寄せ冗談っぽく笑うと、智之は照れたのか顔を赤くした。
達樹はそれを見て進めていた箸を止めた。

達樹「はいはい、ったくブラコンさまには敵いませんねぇ」
( ^ω^)「ぶらk…」

まぁ、そういわれればそうだし、内藤文孝はそうならざるを得ない生い立ちだ。

雅之「兄貴、飯さめちまうよ」
( ^ω^)「おっおっ」

今日の夕飯は、やはり朝と同じで僕の大好物のコロッケだった。



  
125: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 13:49:45.04 ID:ifXYLV6x0
  

ガチャガチャ

店長「こら!お前何やってるんだ!」
(;^ω^)「な、何ってレジ開けようとしてるんだお、お釣りをかえすお」

ガチャガチャ
ガチャガチャ

いつも思う、レジはどうやってあけるものなんだろう。
バイトする、…仕事という行為をはじめてする僕は全く何をすればいいかわからず、
流されるままにもたもた接客し、金を受け取って、つり銭を渡そうとしていた。

達樹「お前ふざけてるのか?力ずくで開くわけないだろっ…いい、俺がかわるから、袋につめてくれ」
(;^ω^)「は、把握………おっ?」

グシャ

( ゚ω゚)「………卵が…」
達樹「ああああああ!卵一番下にいれてどうするんだよ!すいませんすぐにお取替えします!」
客「早くしてよね(^−^#)」

朝想像していたとおり、散々なことになってしまった。
達樹にはかなり迷惑をかけてしまうし、店長からの信用は失うし、
それに…卵を一番下にいれればつぶれるなんて、当たり前のことがわからなかった僕自身が嫌になった。



  
154: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 19:51:17.81 ID:ifXYLV6x0
  

とぼとぼと歩く帰り道、隣には達樹が一緒に歩いている。
足取りが重く、歩くのが遅い僕にあわせて、達樹もゆっくり歩く。

達樹「…………」
( ^ω^)「………」

あっちの僕なら、同情してるんだ、とか惨めな僕を笑ってるんだ、と卑屈になったことだろう。
でも今の僕は違った。そんな暗い感情を達樹に持つことなんてできなかった。

達樹「文孝ー、少し休もうぜ、販売機もあるしさ」
( ^ω^)「おk………」

優しい声に誘われて、公園のベンチへと腰をおろす。
俯いたままの僕に、そっと差し出されるジュース。

達樹「お前、りんごジュース好きだったよな」
( ^ω^)「そうだお…」



  
158: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 20:06:09.38 ID:ifXYLV6x0
  

渇いた喉に、冷たいジュースが流れ込む。この心地いい快感は何度味わってもたまらない。
餓えていたものが満たされる感触というんだろうか?
気づけば僕はあっというまに飲み干していた。
隣に座った達樹が、僕の様子を微笑んで見ている。

( ^ω^)「ありがとうだお」
達樹「どーいたしまして」

少し元気が出た。それを素直に伝えてみよう。

( ^ω^)「達樹のおかげで救われたお、明日はもっと頑張るお」
達樹「……ああ、無理すんなよ」
( ^ω^)「把握………」
達樹「……あんまり遅くなるとあのちび二人が心配するからなぁー…」

達樹がぐい、とコーヒーを飲み干し、ゴミ箱に投げる。
カランとした音があたりに鳴り響いた。

僕と達樹は立ち上がらなかった。
雅之と智之が心配しているかもしれない。わかっているんだけど、
今のこの空気を壊してしまうのはもったいない気がした…。



  
166: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 20:19:16.77 ID:ifXYLV6x0
  


チカッ


(;-ω-)「っ……?」

急に頭の中が一瞬真っ白に光る。
僕は頭を軽く振った。気のせいだろうか……

チカッ

(;゚ω゚)「っ!?」
達樹「………」

達樹は動揺する僕に気づいていない。
静かに大きく広がる星空を見上げている。
その横顔に、釘付けになる。

( ゚ω゚)(達樹………)

チカッ

……なんなんだ、この光は…なにかの病気だろうか?

この光の、正体を知りたい。

( ゚ω゚)「達樹」
達樹「ん?……っ!?」



  
170: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 20:27:56.38 ID:ifXYLV6x0
  


腕が達樹の体を抱き寄せる。
涼しい夜に、熱いほどのぬくもりが僕の腕の中におさまった。

達樹「なんだよ、急に…文孝?」
( ゚ω゚)「達樹……僕を見てくれお」

チカチカ光っていた光は収まり、ここにあるのは静寂と、熱と、僕たち二人の存在。
僕の行動と言葉に驚いた達樹は、困惑した目で僕を見つめている。

達樹「見てるよ…それがどうかしたのかよ…」
( ゚ω゚)「……もっと、近くでだお」
達樹「なっ…!」

抱きしめる腕が強まる。片腕を達樹の頭に添えるとさらさらした髪が指に絡んだ。
そのまま顔を近づけ、互いの唇が触れそうなほどだというのに。

達樹は、一切抵抗しなかった。



  
178: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 20:44:57.49 ID:ifXYLV6x0
  

キスは一瞬だった。柔らかい唇が触れ合い、そして離れる。
僕は眼を瞑らず、達樹をじっと見ていた。

達樹「っ…なんだよ…」

普段の彼とは全然違う、恥らう姿に、僕も照れてしまう。

(*^ω^)「かわいいお、達樹」
達樹「おまえ…まさか俺をからかったんだな!」
(;^ω^)「ちがっ……」
達樹「じゃあ本気なのかよ!俺が好きなのかっ?」

( ゚ω゚)「………」

僕が達樹にキスした理由?
からかい?違う…
好き?……わからない。

ただ衝動的な…あの光がなんなのか、わかりたかった。近づこうとした。
そしたら達樹に触れていたんだ、それだけで…

達樹「……もういい、俺は帰る!」
( ゚ω゚)「達樹」
達樹「…ばかやろう…」
( ゚ω゚)「達樹っ…」



  
183: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 20:55:09.37 ID:ifXYLV6x0
  

走り去る達樹を終えなかった…いや、体が動かなかった。
自分でも答えが出てないのに、追ったところで何を言えばいいんだろう?

……今わかる確かなことは、達樹を傷つけてしまったこと…。

( ゚ω゚)「……たつき…」

途方にくれた僕は、頭を抱えて座り込んだ。
今達樹は怒ってるだろうか、泣いているだろうか、僕を最低な奴だと思っているんだろうか…。

( ゚ω゚)「…僕は…何故……」




('A`)「それはフラグだよ、文孝」
( ゚ω゚)「!!」

背後から声をかけらて僕は顔をバッとあげ振り向いた。
そこにはあの日、自転車とぶつかり、僕を見て不思議なことを言った男が立っていた。



  
189: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/05(火) 21:04:37.90 ID:ifXYLV6x0
  


('A`)「君は達樹とのフラグを立てることに成功した。
   だから話は進み、キスをし、達樹を傷つけるイベントが発生したんだ」

( ゚ω゚)「……何を…いってるんだお…」

訳がわからない。この場所にきた…そう、今朝、今朝だ。
今朝感じた不安が再び僕に圧し掛かってくる。
彼は僕を見下ろし、さらに言葉を続けようとした。

('A`)「このまま順調にいけば…残りは3人になる…」
( ゚ω゚)「3、人…?」
('A`;)「あ…ああ、こっちの話だ、…とにかく君は明日、達樹に話し掛けるんだ。いいね」

もしやこの人は言うだけ言って帰るつもりだろうか?
そんなことはさせない!この人は知ってる。ここがどこだか…いや、全てを…

( `ω´)「待つお!」



  
283: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 18:57:29.07 ID:V2YJc6EE0
  

ブオン!
彼が去るのを止めようと、彼の腕を掴んだ、掴んだはずだった。
僕が掴んだものは010101010101…0と1、数字のかたまり。

( ゚ω゚)「うわぁ!」

同時にビリビリと全身に電流が走る。僕の腕から逃れた「彼」は
再び姿をあらわし、膝をついて痛みに耐える僕を見下ろした。

('A`)「君が悪いんだよ…僕に触れようとするから…」
( ゚ω゚)「なっ…一体…今のは…」
('A`)「…全てがわかるのはエンディングを迎えてからだよ…


   ネタバレしてしまったら、きっと君はもとの場所に帰りたくなる」


0と1の姿になった「彼」が僕のまわりに飛び交う。
光を放つ個々の数字、きっと触れればまた電流が走る。
今起こったことに頭がついていかない僕は、身動きが取れないまま、

( ゚ω゚)「………」

そのまま意識を失った。



  
289: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 19:16:15.30 ID:V2YJc6EE0
  




……目が覚めるとそこは見覚えのある部屋…内藤文孝の寝室だ。
どうやってここに戻ってきたのかはわからない。頭痛がする…。

( ゚ω゚)「あ……」

頭を抱えながら起き上がると、心配そうに僕を見ている


・雅之がいた
・智之がいた

>>292
選んでくれ
  
292: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 19:19:31.04 ID:G9ZfH+2n0
  
・智之がいた



  
297 : 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 19:28:23.80 ID:V2YJc6EE0
  


( ゚ω゚)「とも………」
智之「ぁ……お兄ちゃん、め、さめた…?」

眠そうに目をこすりながら僕を見つめる智之。
今の時間帯は既に深夜、雅之ももう眠っているんだろう。

なのに智之は僕を心配して起きていてくれた…

智之「お兄ちゃん、魘されてたよ、嫌な夢みてたの?」

ぺたりと小さな、あたたかい手の平が僕の額におかれる。
お母さんが熱をはかってくれるかのように、優しい。

( ^ω^)「僕はもう大丈夫だお、心配しなくてもいいお…」
智之「嘘、お兄ちゃん…熱あるよ…?」
(;^ω^)「おっ?」
智之「待ってて、今おかゆ作ってあげる」

にこりと微笑んで、智之は僕のベッドから降り1階へ降りていった。
とんとんと階段を下りていく音をききながら、僕は勢いよくベッドに倒れた。

( -ω-)「………達樹…」



  
303: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 20:21:26.04 ID:V2YJc6EE0
  


口付けた唇
傷ついた達樹の顔。
「彼」の言葉、姿、飛び交う0と1

暗い部屋でじっとしているとどんどん考えが止まらなくなる。
「彼」に触れて、電流が走った手が微かに痺れていた。

(;^ω^)「……いたいお」



智之「お兄ちゃんできたよー、簡単なのだけど……、…手、いたいの?」
( ^ω^)「平気だお、すぐ治るお」
智之「ならいいけど…」

小さな器にいれられたおかゆがベッドの端に置かれる。
いいにおいが鼻をくすぐる。

智之「はい、お兄ちゃん、あーんして」
(;^ω^)「じ、自分で食べれるお」



  
308: 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 20:51:43.16 ID:wWMvceLv0
  

智之は僕の言葉を無視して、ふーふーと冷ましたお粥を僕の口元に近づける。
ここまできてしまうともう断れない。
断ったところで智之をがっかりさせるくらいなら大人しくしておこう。

( -ω-)「もぐ………」
智之「……どう?」

口の中に広がるちょうどいい塩味と、ごはんの甘味。
舌を動かすだけでつぶれる消化にいいとしかいえないやわらかさだった。

( ^ω^)「もちろんうまいお、ともは料理が上手だお」
智之「だって頑張ってるおにいちゃんを喜ばせたかったんだ…だから練習したんだよ」
( ^ω^)「練習…?……!」

智之の手を手にとり見てみると、子供には不似合いな傷や火傷のあとが見えた。
この傷が全部自分のためだなんて……

智之「お兄ちゃんにおいしいって喜んでもらえるのがすごく嬉しいから…」
( ^ω^)「智之……」



チカッ


(;^ω^)「おっ…?」



  
318 : 鯨 ◆Kujira/tHU :2006/12/06(水) 21:13:46.60 ID:wWMvceLv0
  


智之「お兄ちゃん……」

チカッチカッ

この光は…さっきの…
「彼」の言葉があたまの中で繰り返される。

『それはフラグだよ、文孝』

( ゚ω゚)「っ………」

この光に近づいてしまったら、僕は、智之に一体何をしてしまうんだろう。
また傷つけてしまうのか?
この光に触れたら、達樹はどうなる?

『俺が好きなのかっ?』


『…ばかやろう…』


( ゚ω゚)「……と、も…」

頭の中で達樹が泣きそうな顔をしているのに、
僕の腕は智之の手を掴んで離さなかった。



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