( ^ω^)に白い羽根が降り注ぐようです

  
1 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:10:43.45 ID:ONJHdKAq0
  

−Self-introduction−


「うぃ〜。あの糞上司め…」

「やだァ!マジで鈴木君と付き合ってんの?!マジうけるんだケドぉー」

「〜♪」

「バイトダリィよなぁ。あの先輩の後輩イビリはありえないだろ・・・辞めてぇ・・・」

「まぁそう言わずにさ」

電車の車体が傾き、浅い眠りから醒める

僕の名前は内藤ホライゾン。この春に高校を卒業した、が…
卒業はしたものの、僕にとってやりたい事も無い毎日が苦痛になっていた

最近はろくに楽しい事も無い

かと言って今世間で騒がれてるような自殺願望や家庭崩壊などは無いからまだマシか…
僕は平凡な、映画やドラマとはかけはなれた日常を過ごしていた



     
4 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:12:29.32 ID:ONJHdKAq0
  

電車内で周りを見回す。何が楽しいのか、サラリーマン風の中年男性は酔っ払って座り込んでいる

ギャル風の女が電車内だと言うのに電話を切ろうともせず大声で通話している

男同士で愚痴り合ってる色白な男と悲しげな顔をした男


『幸福』『夢』『平和』『愛』『友情』


そんな目には見えないモノを神様はなんで創ったんだろう
目に見えなきゃそこに在るのか無いのかさえ分かりゃしないのに

人生なんてなんとなく生きて死ぬだけ、理由なんて無いんだ
その過程は別に誰も気にもしない



  
5 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:13:41.93 ID:ONJHdKAq0
  

ニュースを見て毎日何百と死んでいく人間を惜しんだり悔やんだりする人間なんて居ない、
いたとしたら神様くらいか?

車掌「次は尾府〜。尾府を出ますと次は〜」

( ^ω^)「おっ」
無機質な車内アナウンスで僕は意識を取り戻す
ガタリと一つ揺れて、静かに鉄の塊が動きを停めた


自動ドアが開き、それと同時に大勢の人達が流れ出る様に外へと列を成して行く

( ^ω^)「・・・ふぅ」

僕も一つ溜め息を吐き出すと、寒風吹きすさぶ車外に歩き出した

季節はもう12月に入っていて、薄手のブルゾンに半袖Tシャツ、デニムという組
み合わせは若干浮いているような気がした。けどまあ気にはしない

( ^ω^)「切符切符」
上着の内ポケットをまさぐり小さな長方形の紙きれを機械に差し込んだ

ガシャリ、改札が開く

足早に改札口を通り抜けた時だった



  
6 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:15:15.70 ID:ONJHdKAq0
  

「あの・・・何か落としましたよ」

( ^ω^)「お?」

女性の声に振り向く。その人の手には、僕のバイト先のIDカードが握られていた

( ^ω^)「どうもですお」

ペコリと一つ頭を下げカードを受け取った。わざわざ教えてくれるなんていい人だ

僕は一つ礼を言って帰路を急いだ。冷たい風が頬を引っ掻くように吹き抜けてい
った。風がかなり冷たい

冬風を全身に浴びながら坂道を延々と登っていく。
駅から離れるに連れて、人気も疎らになっていくのが分かる
一人、また一人と目の前を歩く影が明かりの中に消えていく

( ^ω^)「寒いのは嫌いだお」

はぁーっと白い息を吐き出し空を見上げた
真っ黒な空にはキラキラと星が瞬いている

星が凄く綺麗だった。そういや冬の方がきれいなんだっけか?
この冷え込みが続くとそろそろ雪も降る頃だな・・・

家まであと数分って所か。僕は少し歩を緩めた



  
7 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:17:03.26 ID:ONJHdKAq0
  

――――いつからだったろう―――――こんなに毎日がつまらなくなったのは―
――――――――――――――――――――

…いつから?だっけか………


幼稚園の頃はよく笑う子供だったらしい(覚えちゃいないが)
小学校に入学すると色々なスポーツをかじった
中学に入ると同時に少し他人と距離を取るようになった。だがけしてつまらない
日常では無かったと思う

高校、そうだ。人生がつまらないと思うようになったのはその頃からだ

人間とは裏切りや損得勘定、ドロドロとした物が詰まっていると知ってしまった
から・・・

記憶の深い部分を思い出す寸前、自宅の前に着いた

( ^ω^)「さっさと風呂入って寝るお」

凍ってるのかと錯覚する程ドアノブは冷たく冷えており、今の自分と似てる気が
してなんだか笑ってしまった



  
8 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:18:08.86 ID:ONJHdKAq0
  

苦笑いしながら氷のようなドアノブを回し、中に入ると静かに扉を閉めた

これが僕の今の日常だ




―――――――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――――――――――
――――――――――――――――
――――――――

誰かの声がする



  
9 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:19:23.39 ID:ONJHdKAq0
  

(;^^ω)「やめてよ…、なんで僕をいじめるんだよ」

( ´ー`) 「なんで?シラネーヨ。面白いから?w」

从'ー'从「コイツ脱がしちゃおうかww」

何してるんだ?

(;^^ω)「…や…やめ」

(・∀ ・)「一人で脱げないなら手伝ってやるよwww」

またコイツらかお・・・

( ^ω^)「やめろお!複数で一人を狙うなんて卑怯だお!!」

(;^^ω)「(内藤君・・・)」

从'ー'从「また内藤かよ。善人ぶってんじゃねーよキモヲタがw」

( ´ー`) 「お前みたいなのが一番むかつくんだよなw殺してやろうか?www」

( ^ω^)「やってみろお」



  
11 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:22:09.43 ID:ONJHdKAq0
  

『やめとけ』

( ,,゚Д゚)「ブーンもシラネーヨもそこまでだ。休み時間も終わりだしなゴルァ」

(・∀ ・)「ヒーロー追加ktkrwww」

( ,,゚Д゚)「これ以上やるってんなら俺はブーンに味方するぜゴルァ」

ギコ・・・ 嬉しかったお・・・・・・

从;'ー'从「な・・・何マジになっちゃんてんのよ。馬鹿じゃないの?やーめたやめた。白けたし。」

( ´ー`) 「ギコに免じて今回は許してやるよ。次はねーからな」


助かった、正直殴るのも殴られるのも僕の趣味じゃない


(;^^ω)「あ、ありがと」

( ^ω^)「礼ならギコに言えお」

( ,,゚Д゚)「それなら初めに止めに入った内藤に言ってくれ。俺は何もしてないぞゴルァ!」



  
12 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:25:26.44 ID:ONJHdKAq0
  

(;^^ω)「え・・・あ・・・」

( ,,゚Д゚)「お前がめんどっちぃ事言うからは瀬川が困ってるだろゴルァ!!」

( ^ω^)「ギコのせいだおw」

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――――――――――――――――――――――――――
―――――――――――――

(;^ω^)「ま、前からす・・・好きでした!ありがとうございました!!」

(;*゚ー゚)「これは過去形で捉えていいのかな?」

(;^ω^)「現在進行形でお願いします・・・」

(*゚ー゚)「・・・」

「・・・・・・・・・」

「・・・・・」

『ありがとう。嬉しい』

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―――――――


ピピピピピピピピピピピピピピ



  
14 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:27:14.59 ID:ONJHdKAq0
  


けたたましく携帯のアラームが部屋中に鳴り響いた

「次のコーナーは今日のニャンコ」

テレビに映った愛くるしい猫が寝惚けまなこに飛び込む

消すの忘れてたかお・・・

右手で終話ボタンを押して解除すると共にテレビの音声を上げる

( ^ω^)「最悪な夢見だお」



僕は冷え切った部屋で一つ溜息を吐いた
時刻はAM9:30、少しゆっくりしても充分間に合う

布団を出たく無い気持ちを抑えながら、のそりと床に足を付ける。冷たい

( ^ω^)「朝風呂でも入って頭覚ますかお」



  
16 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/11(月) 23:28:21.23 ID:ONJHdKAq0
  

今日もまたつまらない一日が始まる

僕は大きく息を吸い込み・・・・・・吐き出した。心の中の毒を抜くように

さっきみた夢の内容を忘れようとするかのように



「それでは次のニュースです。本日首相官邸にて首脳会談があり各国首脳が・・・」



−Next begins−



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