( ^ω^)に白い羽根が降り注ぐようです

  
3 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:28:19.98 ID:apk+qOAI0
  
−The second piece−



何所の職場にも一人は小五月蝿い上司、それか先輩が一人はいると思う
そう、今僕の目の前で同じ事を何度も繰り返しているような感じのヤツだ

威張りたいのか何なのか知らないが本当に迷惑な物である

(’e’)「と、言う事でだ。内藤君」

( ^ω^)「把握しましたお。極秘にVIPが当空港から飛行機に乗るって事ですお?」

(’e’)「そうだ。いつも以上の警備体制で頼むよ、本当に分かってるのか心配だが・・・」


四回も同じ事を説明されたら嫌でも覚えるっつーの・・・

( ^ω^)「空港内と近辺にも大量の警察官の方もいますし大丈夫ですお」

笑顔でジョーンズ先輩をかわして持ち場に向かう
しかし何度着ても警備員の制服は好きになれそうに無い
理由は、首が締め付けられているような不自由さを感じてしまうから



  
4 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:29:43.86 ID:apk+qOAI0
  
さっき津出さんと別れてロッカーで着替えた後は、そのまま直で総合警備室に向かった

そこで仕事前は朝礼と引継ぎを行う

今、僕に朝礼と引き継ぎをしてくれたジョーンズ先輩(本名はセントジョーンズ)は悪い人では無いのだが・・・
少々扱いが難しく、笑顔で聞いてると何時間でも延々と持論や自分の自慢を話してくるのが少し煩わしかったりする

そんな時は僕の冷めた気持ちと作り笑顔が非常に役に立った
会話を切るタイミングも冷静に計れるし、笑顔だから相手も不快感は無い筈だ

こんな時だけは、作り笑顔が得意な自分を少し好きになれた



  
5 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:30:52.42 ID:apk+qOAI0
  

基本的に、空港内というのはテロ対策の為にわざと迷路のような造りになっているらしい
左右に右ウイング、左ウイングと分かれておりそれぞれの航空会社がVAL、AVAと陣取っている形だ

航空会社にはそれぞれ専用入り口、通路も設けられており、職員はそこを通って職場に向かう

しかしその通路は、意外にも警備は手薄であった
それに重ねて警察の交代の時間、警察内部にも内通者が居た事。平和ボケした日本・・・



全てが不幸の始まりだったのかもしれない



  
6 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:32:10.28 ID:apk+qOAI0
  
通路に革靴の音と、ガラガラとキャリーバックを牽く音が響く
フェンスに護られた吹きさらしのアスファルトを灰色のトレンチコートを着た男性が歩いていた

(=゚ω゚)ノ「今日は忙しそうだよぅ」

彼はVALに去年就職した新米のいよぅ、まだまだ若く気も弱いがパイロットとして頑張っている真っ最中だ
小さな頃からの夢だったパイロット。彼は副操縦士ながら夢を叶えていた

ふとフェンス越しに、外勤の警察官が立っているのが目に入る

(=゚ω゚)ノ「(寒い中頑張ってるんだよぅ・・・)」

(=゚ω゚)ノ「(僕もお客様の為に早く一人前になるんだよぅ・・・!)」

そう思った刹那、後ろから焦げ臭いと気配


(;=゚ω゚)ノ「っ?」



  
7 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:34:56.82 ID:apk+qOAI0
  

振り向こうとした時には、頭から鈍痛と頭蓋をガツンという鈍い音が響いていた
彼は頭から血を流しながら意識を手放し地面へと倒れ込んだ

( ^Д^)「行くぞ」

いよぅを担ぎ、手早く車に乗り込む

4台の車がフェンスをするりと通過して行った。今起こった出来事をまるで気にもしないようなそぶりで警官は立っている

無線【・・・B地区、以上無いか?・・・】

警官「異常無しであります」



フェンスには、バーナーで焼ききった痕だけが生々しく残っていた


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8 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:36:59.65 ID:apk+qOAI0
  

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空港内の関係者通路を歩きながらあくびを一つ

どうしてこうも連続的、単調な通路を作るんだろう
歩くだけで眠くなってしまうじゃないか

そんな事を考えながら【空港職員以外立ち入りを禁ず】の扉の前に立つ


( ^ω^)「・・・夢見が悪くて寝た気がしないお」

僕は一つポツリと言葉を吐いて、発着ロビーへの扉を開けた


「ママー、あれ欲しい!」
「ダメダメ、今から旅行に行くのに荷物になっちゃうでしょ?」

「沖縄チョー楽しみなんだけどww」
「だよねぇ、アクターズとかにスカウトされたらどうしよwww」

「今から飛行機乗るから・・・。うん、待ってて。空港まで、迎えに来なくても良いから!寒いしさ・・・」

空港内は大勢の旅行客でごった返していた

家族旅行風な親子連れ、修学旅行生の群れ。帰省の為か特大のキャリーバックを引く青年・・・
一般客は気が付かないかもしれないが空港内の警官密度もかなり普段より濃い



  
10 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:40:28.24 ID:apk+qOAI0
  

僕は静かに持ち場に立った

( ^ω^)「ふぅ・・・ 今日は大変そうだお」

いつも通り、ただ道行く人を見る。困っていれば案内や説明をすればいい
今日はちょっとその回数が多そうだ、だけどそこまで大変でもないだろう

そう考えていたその時。
少しだがロビー内の動きが慌しくなってきているように感じた

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滑走路近くに航空会社のネームが書かれた4台の整備車両が停められている
その1台1台の中で数人ずつの男女が会話を交わす



  
11 :師走 ◆PrFAiB62h2 :2006/12/19(火) 23:45:55.40 ID:apk+qOAI0
  
(=´ω`)ノ「・・・」
奥には猿ぐつわをされ手足は手錠、意識が無く後頭部から血を流したいよぅが横たわっている

( ^Д^)「いいか」
「・・・あぁ」
「失敗は許されないわね」
「へへへ・・・」

( ゚д゚ )「・・・」

リーダー格らしき男が胸ホルダーから無線機を手に取る

( ^Д^)「こっちはOKだ。あとはタイミングだな、そちらはどうだ?」
無線【・・・準備は整っている】

( ^Д^)「了解、失敗は許されない」
無線【・・・分かってるさ。仲間の為にも・・・】

( ^Д^)「そうだな・・・ 異国で幸せに暮らそうじゃないか」
無線【・・・勿論だ】

二人が同時に声を発する

( ^Д^)【無線】『主よ、紅い幸福を彼らに与えたまえ』

合図なのか、号令なのか。ただならぬ気配を放ちながら数人の男女は静かに息を潜めていた


−Next begins−



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