( ^ω^)ブーンがJ( 'ー`)しカーチャンに親孝行をするようです
- 1 : VIP足軽ktkr : 2006/12/04(月) 11:33:32.34 ID:hpMLJS840
- (;ーωー) 「・・・・・」
ブーンの顔は誰から見ても険しい表情だとわかる
カーチャンはそんなブーンの顔を横目で見ている
なにか嫌なことを思い出しているような顔だ
川 ゚ -゚) 「息子さん、どうしたんですかね」
J( 'ー`)し 「あの子には・・色々辛い思いさせましたから・・」
看護婦さんは軽い返事を返し、カーチャンのシーツを変えたり
点滴を交換したりしている。電気がついていないのは
カーチャンと看護婦さんの気遣いである
- 6 : VIP足軽ktkr : 2006/12/04(月) 11:47:00.49 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「みんな明日は用事あるかお?」
(=゚ω゚) 「あー・・悪いな、明日は用事が」
( ・∀・) 「同じくだ。二人ともかぶるなんて珍しいな」
ブーンたちはその後、フーン兄弟とも特にいざこざなく
上級学年に進学していた。土曜日は3限で終わり、下校中は
大抵次の日の予定を計画するといった流れになっていた
今回は珍しくブーンしか暇を余していなかった
( ^ω^) 「そうかお・・じゃあまた今度にするお」
(=゚ω゚) 「月曜モララーの家行って007やろうぜ!」
( ・∀・) 「あれだけ虐殺されてよく懲りないな・・」
最近はというと、新しく発売されたハードにめっきりはまっていた
それまでの2人対戦の概念を破って標準で4人まで対戦ができる
ソフトを基本としているゲームが多かった
( ^ω^) 「それじゃ、また月曜だお」
- 7: VIP足軽ktkr : 2006/12/04(月) 11:55:59.71 ID:hpMLJS840
- ブーンは分かれ道から家に帰る途中、明日何をしようか考えていた
最近はこういう一人で考える時間も好きになっていた
( ^ω^) 「うちには64がないお・・まぁ、なるようになるお」
そうこうしている間に家の前まで来ていた
( ^ω^) 「ただいまだお・・あれ、今日はカーチャンもいないお」
カーチャンが遅番でいない日、決まってブーンはすぐにボスの散歩へと出かける
( ^ω^) 「ボス、散歩いくお!」
/ ,' 3 「バウバウ!」
ボスも5歳になり、結構な年になっていた
最近は疲れるのか散歩中にいきなり横になったするようになった
- 8 : VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:01:01.01 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「ボス・・明日は誰も遊ぶ人がいないお」
/ ,' 3 「バウ?」
( ^ω^) 「そうだお 明日はボスと遊ぶお」
/ ,' 3 「バウー・・」
( ^ω^) 「?どうしたのかお?」
ボスは返事もなくいきなり道路に寝そべった
(;^ω^) 「そんなところで寝てると車にひかれお」
ブーンが引っ張っても動こうとしない
こんなボスを、ブーンははじめてみた
心なしか最近おなかが膨れ上がっていた
- 9 : VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:08:48.90 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「ボス・・・大丈夫かお?」
とりあえず、ブーンはボスを半ば引きずる形で道路脇に移動した
ボスはハッハッハといつもより息を荒げている
ブーンはしばらくボスを撫でていた
何か嫌な記憶が蘇りそうだった
/ ,' 3 「バウ・・バウ」
( ^ω^) 「お?」
ボスは少し吠えると立ち上がり、いつものように歩き出した
ここを曲がれば家に帰る・・というところで、ボスは直進をした
(;^ω^) 「ちょ・・ちょっと待つお どこいくお」
普段こんなことがないだけに、いきなりのことで
ブーンも縄を取られていた
- 10: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:19:05.75 ID:hpMLJS840
- / ,' 3 「バウ!」
ボスは小走りで走る その後をブーンがついていく
( ^ω^) 「いったいどこにいくんだお・・お?」
そこには近所なのに、ブーンが知らない景色が映し出されていた
住宅街山の途中にあるからか、町をいい具合に見下ろすことができ
夕日が沈む頃でとても神秘的だった
( ^ω^) 「ボス・・なんでここにきたんだお?」
そのとき、ふとブーンは思い出していた
ボスはたまに脱走する うまく縄を抜け気づいたらどこかに走り去っていく
そして自分で帰ってくるのだが、その時はこの方向から走ってくるのだった
( ^ω^) 「こんな近くにこんな・・ 気づかなかったお 身近だからこそ気づかないんかお?」
ブーンは自問するように独り言なのかボスに対してなのか、話しかけていた
ボスはというと相変わらずハッハッといいながら横になっている
- 11: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:27:21.46 ID:hpMLJS840
- しばらく、夕日は影を二つ作り続けた
その二つとも微動だにせず、じっとしている
やがて町は人工的な明かりを放ち、それもまた
さきほどまでとは一味違う雰囲気をかもしだしていた
ブーンはそれも嫌いではなかった
( ^ω^) 「・・・!もうこんな時間だお・・早く帰らないと怒られるお!」
/ ,' 3 「バウバウ」
ブーンもボスも同時に走り出し、みなれない道を戻っていった
(;^ω^) 「ハァ・・ハァ ただいまだお・・」
ブーンはボスを庭にある小屋へ連れて行き、元気がないのを
気にしながら玄関まで駆けていった
- 12: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:32:41.28 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「カーチャン・・ごめんだお」
J( 'ー`)し 「・・・どこ行ってたの?」
( ^ω^) 「ボスと散歩に・・ちょっと色々なところに行ってたお」
J( 'ー`)し 「そう・・遅くなるときは気をつけて帰ってきなさいね」
( ^ω^) (よかったお・・カーチャン機嫌がいいみたいだお。何かあったのかお)
ブーンはボスのことをカーチャンに話しかけようとした、そのときだった
「ただいま」
聞きなれた、しかし普段あまり耳にすることのない声が
ブーンの耳へと滑り込んできた
- 13: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:42:46.56 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「!」
J( 'ー`)し 「おかえりなさい」
この時間に聞くはずのない声を聞いて、ブーンは言葉を返すのを忘れていた
(´・ω・`) 「ただいま」
その男は家に上がるたび、もう一度いった
( ^ω^) 「お・・お帰りだお」
そう、ブーンのトーチャンが帰宅したのだ
ヨトタ自動車のセールスをしているトーチャンが家に帰るのは
どれだけ早くても10時、普段は11時過ぎというのが当たり前だった
ブーンは正直、父親のことが得意ではなかった
- 14: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:46:38.14 ID:hpMLJS840
- そう、嫌いなわけではないのだが得意ではない
別に暴力を振るうわけでもない 怒鳴り散らしもしない
ただ、何故かブーンはトーチャンのことを 怖い人 と思っていた
J( 'ー`)し 「今日は久しぶりに三人で食事ね」
(´・ω・`) 「そうだな」
トーチャンは短く返事をするとスーツを椅子にかけて
ネクタイを緩めながら、その椅子に座った
( ^ω^) 「・・・」
ブーンは興味のないテレビ番組を眺めていた
何を話せばいいのかわからなかった
ここ最近は特に、トーチャンと話した記憶がない
- 15: VIP足軽l : 2006/12/04(月) 12:58:00.79 ID:hpMLJS840
- J( 'ー`)し 「ご飯できたよ ブーンも席に着きなさい」
ブーンは無言のまま、うつむき加減に席に座る
カーチャンはまったくの正反対のような顔をしている
( ^ω^) J( 'ー`)し (´・ω・`) 「いただきます」
三人同時に挨拶をすると異様な雰囲気の食事が始まった
(´・ω・`) 「学校はどうだ」
まるでテンプレートのようなことを口にするトーチャン
( ^ω^) 「普通だお・・友達もいるし、楽しいお」
(´・ω・`) 「そうか・・ ボスの世話はちゃんとしてるのか?」
( ^ω^) 「してるお」
そこでブーンははっとした
- 16: VIP足軽mp3 : 2006/12/04(月) 13:01:13.70 ID:hpMLJS840
- ( ^ω^) 「そういえば・・ボスがちょっと調子悪いんだお」
J( 'ー`)し 「最近元気ないわね・・カーチャンも少し気になってたわ」
(´・ω・`) 「明日は休みだから、月曜日に病院に連れて行くか」
といっても、連れて行くのは月曜休みの母
トーチャンは決まって休みがないので、こういった家のことは
大抵カーチャンにまかせっきりになる。たまの休みも
たまった仕事を家に持ち込み整理している
J( 'ー`)し 「ボス、今日は窓にいないね」
誰かが食事をしていると、ボスは決まって窓の外から
こちらをじっとみている。それが可愛くてついつい
ブーンは自分のご飯を残してボスにあげていた
- 41: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 20:07:18.54 ID:UuV2Ipgr0
- ブーンもそのことは気になりながら食事を勧めていた
その間も簡単なトーチャン、それにカーチャンとの会話で食事をすませた
( ^ω^) 「ちょっとボスみてくるお」
ブーンは食器を片付け、そそくさと逃げるようにボスの様子を見に行った
( ^ω^) 「ボスー ボス・・?」
そこには見るからに調子の悪そうなボスの姿があった
/ ,' 3 「クー・・クー・・バウ」
それでも主人に弱いところを見せないためか
いつもどおり鳴いて見せた
( ^ω^) 「ボス・・無理しなくていいお」
そういうとブーンはボスを撫でてやった
- 42: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 20:11:51.24 ID:UuV2Ipgr0
- こうしてゆっくりとボスと向き合うことによって
トーチャンから逃げている そんな気持ちが少しでもある
自分に、ブーンは少しでも嫌悪感を抱いていた
( ^ω^) 「ボス・・お前の名前は、僕がつけてやったんだお」
/ ,' 3 「バウ」
( ^ω^) 「・・チュンチュンのこと覚えてるかお?」
ボスの小屋の近くには、あの時と同じように
砂で山が作られたままになっている
そしていつの間にかなくなってしまった木片の面影
( ^ω^) 「・・・ボス、あの時のチュンチュンと同じだお」
/ ,' 3 「バウ・・バウ」
答える声に力はなかった
- 44: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 20:21:26.17 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「ボス・・もう少し早く気づいてあげてればよかったお」
ブーンはずっと同じところを撫で続けている
( ^ω^) 「もっともっと・・もっと遊んでやればよかったお」
おそらく中の二人にも外の様子はなんとなくわかるのだろう
静かにテレビだけが誰を相手にするでもなく楽しげに笑っていた
( ^ω^) 「ボス・・僕と一緒にいて楽しかったお?
お散歩一緒にできて楽しかったかお?」
ブーンは無意識にいろいろなことを口走っていた
- 47: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 20:39:37.69 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「ボス・・それじゃ、また明日だお」
ブーンは力強くボスの頭をグシグシとやり
再び興味の無いテレビに前に座った
ボスは、再び横になり、息を荒げている
ブーンは逃げるようにお風呂を済ませ
トーチャンとカーチャンにおやすみというと
簡単に返事を返され、部屋に戻った
( ^ω^) 「・・・・・」
ブーンはボスと出会ったときのことを思い出していた
- 54: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:18:42.41 ID:UuV2Ipgr0
- そう、引越しの当日のあの日だった
長岡さんとカーチャンが話しているとき、そんなのはお構いなく
子犬たちと遊んでいた
( ^ω^) 「みんな元気いっぱいだお・・ん?」
5匹いる子犬たちの中で、一匹だけ淵に座っている犬がいた
耳がたれていて、なんだか少し気弱そうな子犬が。
/ ,' 3 「クー・・」
( ^ω^) 「どうしたんだお?こっちきて遊ぶお」
しかしその犬はそこから動こうとしなかった
( ^ω^) 「・・・・・」
まるでブーンはにらめっこをするかのように
その犬をじっと見続けた。
( ^ω^) 「・・・恐くないお 大丈夫だお」
- 56: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:25:33.17 ID:UuV2Ipgr0
- ブーンがそっと手を出すと、ボスは噛み付いた
子犬だからさほど痛くは無かったが、この小さな
体は全力で抵抗していた
(;^ω^) 「・・・・・」
/ ,' 3 「ウー・・・ウー・・・ウ・・」
おそらくこれが、ボスの一生でたった一度だけ
人に牙を向けた瞬間であったろう
(;^ω^) 「・・・・大丈夫だお」
/ ,' 3 「ウー・・・バウ バウ!」
( ^ω^) 「僕は君に危害を加えないお 友達だお」
/ ,' 3 「バウ!バウバウ!!」
( ^ω^) 「わ なめるなだお! お前は元気いっぱいだなだお!」
- 58: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:41:41.57 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「・・・ボス」
その夜、ブーンは宿題があることなど完全に忘れ眠りについた
/ ,' 3 「クーン・・クーン」
ブーンが眠ると同じ頃、ボスはずっと弱弱しい声をあげていた
/ ,' 3 「クーン・・クーン・・」
カーチャンとトーチャンは無言のままその声を聞いていた
おもむろにトーチャンは立ち上がり、窓をあけボスのほうへと近づいていった
/ ,' 3 「クーン・・ク・・」
(´・ω・`)「・・・・・」
ボスもトーチャンが得意ではなかった
妙な威圧感が好きになれなかったのだ
(´・ω・`) 「・・・すまんな、あまりかまってやれなくて」
/ ,' 3 「クーン・・」
ボスはトーチャンの元へとふらふらとよって行き
ドタ っと音を立て横になった もう歩く余力もわずかしかない
- 59: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:43:45.36 ID:UuV2Ipgr0
- トーチャンは少しだけボスの頭を撫でてやると
家の中へと戻っていった
その夜、ブーン一家が寝付くまでボスの鳴き声は響いた
( ^ω^) 「・・・」
朝、ブーンは顔を洗うのも後回しにし、ボスを見に行った
トーチャンはいつもどおり出勤していた
( ^ω^) 「・・・ボス、僕と一緒にいて楽しかったかお?」
もう一度、昨晩と同じ質問を
体が冷たくなり手足を伸ばして横になっている
パートナーに語りかけた
- 60: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:46:20.53 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「ボス、餌だお」
ブーンはいつもと変わらず餌をあげた
( ^ω^) 「・・・・」
J( 'ー`)し 「昨日ね、ボスずっと鳴いてたよ
私たちが寝るまで、ずっと。最期まで優しい子d・・」
カーチャンがしゃべり終わる前にブーンは怒鳴るように行った
( ^ω^) 「最期ってなんだお!最期って・・ボスは・・」
ブーンは自分の言いたいことがうまく伝えられない
もどかしさに、いつの日にかと同じ感覚に包まれていた
死んでしまったら終わり そんな無機質なことが嫌でしょうがなかった
- 61: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:49:24.49 ID:UuV2Ipgr0
- もちろんカーチャンはそんな意味でいったのではなかった
J( 'ー`)し 「・・・ごめんね カーチャン無神経だったね」
そういうとカーチャンは台所に行き
ボスの好きな鰹節を混ぜたご飯をドッグフードの上に乗せた
J( 'ー`)し 「犬なのに、これが好きだったね」
( ^ω^) 「・・・」
ブーンはただただボスの横で体育座りをしていた
なぜか、ここで泣いてはいけないと思ったのだ
理由はわからなかった だが、ブーンは我慢していた
それはいつの日か言われた、トーチャンに男は泣くな と
その言葉が潜在的に作用していたのかもしれない
- 64: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 21:57:47.20 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「どうして」
( ^ω^) 「どうして・・死んでしまうんだお?」
ブーンは素直に今の心情を口にした
それは近くにいる母へ対する意識はまったくなかった
J( 'ー`)し 「・・・ブーン、カーチャンが死んだら悲しい?」
( ^ω^) 「!!いきなりなに言い出すんだお!!」
ブーンはその母の発言に、さすがに怒りを抑えられなかった
反抗期に入りかけていることもあるのだろうか
J( 'ー`)し 「カーチャンは、特に病気もせず、事故もなく
長生きしたら もちろん、ブーンより早く死ぬね
そうしたら、ブーンがどうなるかわかんないね」
- 65: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:01:05.73 ID:UuV2Ipgr0
- J( 'ー`)し 「たとえば、あなたが旅にでてしまったら
カーチャンはあなたが死んでしまったかどうかもわからない」
( ^ω^) 「・・・」
J( 'ー`)し 「やっぱりね、仲がよかったり 知り合いであったり
友達だったり 家族だったり。自分が思い入れのある人の
最期っていうのは、なんでか、人は知りたいものだと思うの」
ブーンはカーチャンが言っていることが自分の問いと
なんら関わりがない気がしていた
J( 'ー`)し 「ボスは、可哀相なのかしら」
ふいに聞かれて、ブーンは答えた
( ^ω^) 「カーチャンは・・ボスが死んだのが可哀相じゃないのかお!?」
- 67: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:06:36.46 ID:UuV2Ipgr0
- J( 'ー`)し 「・・悲しいし、病気で、もっと早く気づけばよかったと思う
でもね、可哀相なのかしら?」
J( 'ー`)し 「こんなに大切にしてもらって、ブーンにここまで思ってもらって
それで死んで、可哀相なのかしら」
ブーンは黙って聞いていた
J( 'ー`)し 「命はね・・必ず消えてなくなってしまうものだと、カーチャンは思うの
今もどこかで、知らないところで生まれては消え、生まれては消え
・・生まされては、消されてる。」
J( 'ー`)し 「束縛されたり、快楽のためだけに虐待されたり
そういうことを思うとね、カーチャンはボスが幸せだったんじゃないかなって思うの」
( ^ω^) 「なんで・・死ぬんだお」
カーチャンはその言葉を無視する形でしゃべった
J( 'ー`)し 「・・死んでしまうのは、しょうがないわ カーチャンも、ブーンもいつか死ぬ
そのたびに可哀相 なら その 死 は、軽く感じてしまうかもしれない
ブーンがそうやって考えられるのも、ボスが逝ってしまったからで
なんで死んでしまうのか、それを考える機会を与えてくれたのかもしれない」
J( 'ー`)し 「それに・・ボスは、こうやってあなたに看取られるために
この家にめぐり合わせられたのかもしれないね」
- 68: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:09:27.72 ID:UuV2Ipgr0
- カーチャンも、ボスが死んで平常心は保てていなかった
自分の言っていることがよくわからなくもなっていた
( ^ω^) 「・・・カーチャンからみて、ボスは幸せそうだったかお?」
J( 'ー`)し 「・・そうね。うん、そうね。」
( ^ω^) 「幸せならいい・・とは思わないお でも 幸せかそうじゃないかなら
幸せのほうがいいお」
J( 'ー`)し 「私はたちは、恵まれた環境で育っているから
つい、命は軽く扱ってしまうわね 食べ物を平気で残してしまうし
必要以上に作ってしまったり、ゴミといってしててしまったり」
( ^ω^) 「・・・僕たちは、エゴかお?」
- 69: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:14:01.15 ID:UuV2Ipgr0
- ブーンは最近漫画で読んだ言葉を引用してみた
深い意味は考えていなかった
J( 'ー`)し 「そうね・・そうかもしれないね」
カーチャンとブーンはその後、動物用の火葬場まで
ダンボールに入れたボスの体を運んだ
その日、ブーンはトーチャンの帰りを待っていた
(´・ω・`)「ただいま」
J( 'ー`)し 「・・おかえりなさい」
( ^ω^) 「・・おかえりだお」
- 70: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:17:38.55 ID:UuV2Ipgr0
- (´・ω・`) 「どうしたブーン、珍しいな」
ブーンは帰宅後まもなく、落ち着いていないトーチャンに
間髪いれずに質問した
( ^ω^) 「どうして、死んでしまうんだお?」
なにが とか いつ だとかは、トーチャンは聞かなかった
その言葉で全て悟っていた
(´・ω・`) 「そこに、命があるからだ 営みが、あるからだ」
ブーンは、思いのほか即答されたのと
予想外の返答で理解せぬまま、もう一度尋ねた
( ^ω^) 「・・僕らは、エゴなのかお?」
僕ら の意味するところを、トーチャンは重要視しなかった
(´・ω・`) 「・・動物園の動物」
トーチャンは一度そこできった
- 72: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:21:36.41 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「・・?」
(´・ω・`) 「ある動物園では、生まれも育ちも園内というトラがいました
飼育員は大事に大事に育てており、トラも飼育員が大好きでした
しかし、オリの中は可哀相だと愛護団体が抗議に来ました
トラはその後、サバンナへと送られました
狩の仕方もわからず、仲間もおらず、動物園で
子供たちの笑顔をみていた日々をふりかえっていました そのときです」
トーチャンはワイシャツのボタンに指をかけた
いつもとは比べ物にならないほどのおしゃべりだった
(´・ω・`) 「ズドン 一発の銃弾がトラに命中 トラは死んでしまいました」
( ^ω^) 「!」
(´・ω・`) 「ブーン・・いいか、お前がボスを飼いたいと言った瞬間
ボスに餌を上げる瞬間、散歩に行く瞬間、ボスが 死んだ瞬間
全てがエゴなのかもしれない」
- 73: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:25:40.74 ID:UuV2Ipgr0
- (´・ω・`) 「だがな・・同時に、ボスは幸せを感じていたのかもしれない
・・エゴだとか、そんなことはどうだっていいんだ。我々の考えることじゃない
もしそうだとして、そのエゴとやらが悪いことだとしたら、いつかどこかで制裁を食らう。」
ブーンはトーチャンからまじめな話を聞くのは初めてなせいか
必要以上に緊張して耳を傾けていた
(´・ω・`) 「難しいことは・・いいんだ どうだって お前とボスの間には
間違いなく信頼関係があった。そしてお前は最期までそれを全うしただろう
・・ボスもおそらくは。」
(´・ω・`) 「お前は、お前の思うように、感じるように自分の行動をとれ
スズメの墓を作ってやった、あの時のことを忘れるんじゃない」
その場にいなかったはずの、話していないはずのトーチャンがなぜ
チュンチュンの墓のことを知っていたか、その時は考えもしなかった
- 74: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:29:24.05 ID:UuV2Ipgr0
- (´・ω・`) 「ボスにも・・なにか作ってやれよ」
そういうとトーチャンは、珍しく買ってきた日本酒を
夏も迫る5月だというのに熱燗にしてチビチビのみ始めた
(´・ω・`) 「ブーン」
( ^ω^) 「?」
(´・ω・`) 「トーチャンは昔、お前に男なら泣くなといったかもしれない
その後に言ってことも覚えてるか?」
( ^ω^) 「忘れたお」
そもそもブーンは、男なら泣くな その言葉すらしっかりとは覚えていなかった
(´・ω・`) 「家族が・・死んだ時は、特別だ」
そういうとトーチャンは、涙を流した
ブーンにはその光景が信じられなかった
- 77: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:38:22.99 ID:UuV2Ipgr0
- (´・ω・`) 「あいつは・・きっと、今年のこの家に起こる悪いことを
全部もっていったくれたんだろう・・」
そういうと再び焼けるような酒をのどに押し込んだ
( ^ω^) 「・・・・」
ブーンはそんなトーチャンにつられてか
今まで抑えていた感情が、一気に流れ出た
声にならない声をあげて泣き始めた
ボス 享年5年と数ヶ月
ブーンに引き取られ、毎日この家族をみてきた
時には家にきたブーンの友達に遊ばれ
時にはトーチャンに、内緒で特別に骨のお菓子をもらったり
時には熱を出したブーンを心配しながらカーチャンと散歩にいったり
時には誰もいない雨の日に泥遊びをしたり
時には、ブーンと家まで競争をしてみたり
ボスは、毎日が幸せにあふれていた
少なくても本人はそう感じていた
ブーンは、昨日ボスといったあの景色のいい丘へといった
- 78: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:46:33.61 ID:UuV2Ipgr0
- ( ^ω^) 「・・・」
きっとボスは、逃げ出した時 ちょっとだけの自由を
この場所で楽しんでいたのだろう
ブーンは深夜、家を抜け出してここにきていた
そこには吸殻が何本か捨てられていた
( ^ω^) 「こんなところに人なんてくるのかお・・ これは」
みるとその銘柄、トーチャンがいつも吸っているものだった
タバコに興味の無いブーンでも、近所のタバコ屋さんにお使いに行っていたり
そのタバコ自体珍しいものだと聞いていたので、なんとなくながら覚えていた
( ^ω^) 「・・・・」
たまの休み、さらにその たま が重なり、たまたま仕事の無い休みを過ごす
トーチャンは、ボスと散歩にいくことがあった タバコは雨ざらしになりぼろぼろになっている
今日は端午の節句 ブーンは餅を包む葉っぱが綺麗なので
なんとなくポケットに入れっぱなしにしたままだった
それを器用に、飛行機のような形にした
風に乗ってか、はたまた想いが浮かばせるのか
どこまでもどこまでも遠くに飛んでいった
- 80: ◆QueeniallQ :2006/12/04(月) 22:52:50.90 ID:UuV2Ipgr0
- その後、急いで家に帰り音を立てないように自分の部屋に戻り
いつもは中々寝付けないはずがぐっすりと眠ってしまった
その夜、ブーンは珍しく夢をみていた
鯉幟にまたがる自分自身
そして隣の鯉幟は、ボスが堂々と立ち誇っている
二人はまるで銀河鉄道のように夜空を自由に飛びまわる
迎えに来るは、二人の思い
迎えに行くは、消えぬ絆
ジョパンニとカンパネルラは、楽しそうに夜空の星のひとつのように輝いていた
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