( ^ω^)ブーンがJ( 'ー`)しカーチャンに親孝行をするようです

  
6: ニダ :2006/12/09(土) 23:14:17.73 ID:Jvz9IEg00
  
ブーンの夢は途切れることなく次に移った
そしてこれはブーンの人生を大きく変えた出来事だった


( ^ω^) 「・・・・」

その日珍しく、ブーンは眉間にしわを寄せながら四六時中を過ごしていた
このクラスでこんな表情をするのは、モララーが考え事をしている時ぐらいだった

(=゜ω゜) 「・・・・おい、ブーン」

( ^ω^) 「ん?なんだお?」

(=゜ω゜) 「お前いつからシリアスキャラになったんだ」

( ^ω^) 「え、何言ってるんだお そんなことないお」

(=゜ω゜) 「そうか?なんていうか、普段はもっと馬鹿っぽいっていうか・・」

(;^ω^) 「ィョゥ君酷いお・・馬鹿なのは否定できないけどお・・」

( ・∀・) 「・・・・」

モララーは何か言いたげにこっちを見ていた



  
7: ニダ :2006/12/09(土) 23:22:57.95 ID:Jvz9IEg00
  
ブーンも、モララーの視線には気づいていた
それが気になってか、ィョゥの話は耳に入ってきていなかった

( ・∀・) 「・・・ブーン、大丈夫か?」

( ^ω^) 「え、何がだお?」

唐突のことでブーンにはモララーの意図が理解できなかった
ブーンは意識して眉間にしわをよせていたわけではない
時々自然とそういう顔になるのだ そのことは本人も気づいていない
おそらく、モララーだけが昔からそのブーンを見てきていた

( ・∀・) 「いや・・なんでもないんだ」

モララーも、なぜブーンがそういった顔をするかわからなかった
ただ、その表情は物事がいい方向に行っているとは思えなかった
ブーンにとって、なにか嫌なことを事前に察知しているんじゃないかと
そんなことを考えてしまっている自分がいた



  
8: ニダ :2006/12/09(土) 23:36:07.73 ID:Jvz9IEg00
  
元気一杯で駆け抜けるクラスの笑い声
吹き抜ける風は爽やかなそよ風ではなく
少しムッとするような湿気交じりの夏の吐息
Tシャツが汗ばむ帰り道、そんな日常を照らす太陽
そんな当たり前は突如として崩壊したりする
それは果たして、誰かの悪戯であったりするのか

(;^ω^) 「最近本当に暑いお・・」

(=゜ω゜) 「そうだなぁ・・おい、夏休みの宿題どうする?」

( ^ω^) 「日誌かお?僕は大体最後に残るお・・」

(=゜ω゜) 「いや、それじゃねーよ お父さんの仕事ってやつ
      親父のことなんて書くことねぇって・・」

ブーンは父の仕事の内容をあまり聞いたことは無かった
というよりは、自ら聞こうとしたこともなかった

( ^ω^) 「モララー君はどうするんだお?」



  
9: ニダ :2006/12/09(土) 23:42:06.55 ID:Jvz9IEg00
  
( ・∀・) 「む・・ブーン、それはキラーパスってやつだな」

(;^ω^) 「え、キラーパス・・かお?(もしかして聞いちゃまずかったかお・・)」

( ・∀・) 「今は海外に出張中なんだ だからリアルに話を聞けなくてな
      俺もどうしようか迷ってるところなんだ」

ブーンは一瞬あせったが、その後モララーが続けた言葉に安心した
この頃になると家庭それぞれに、なんらか、ひとつぐらいは事情があることを
ブーンは身にしみながら感じていた。それ故に。

( ^ω^) 「そうだったのかお!モララー君のお父さんはすごい人だお・・」

(=゜ω゜) 「本当だぜ 俺の親父なんて何やってんだか・・」

昼の休み時間こんな雑談をするのは珍しくなくなっていた
外で遊ばないのはきっと暑さのせいではなかった



  
10: ニダ :2006/12/09(土) 23:57:07.50 ID:Jvz9IEg00
  
授業は次第に難しくなり、できる子、できない子
がではじめる。ブーン、ィョゥはもちろん  できない子
モララーは     よくできる子  になっていた

( ^ω^) 「さっきの授業よくわからなかったお・・」

(=゜ω゜) 「そんなんいつものことだろ!もうすぐ夏休みなんだ、楽しいこと考えろよ」

( ・∀・) 「・・・まぁ、一理あるが・・」

(=゜ω゜) 「さっさと帰ってアイス食いてぇーなー」

( ・∀・) 「俺は塾だな・・日誌でも終わらせるか」

( ^ω^) 「僕も今日は家でゆっくりするお」

毎日休むこともなく遊んでいた三人だったが
最近では以前ほどのペースではなかった
理由としては、それぞれ一人用のゲームにはまっている
ということがあった。決して仲が悪くなったわけではない



  
11: プレゼントはCcup :2006/12/10(日) 00:11:48.78 ID:9YPxJe+J0
  
自分の思っていることよりも案外と
深刻で、そして唐突に向かえてしまう
受け入れがたい事実
ブーンはまさに、今まさにその直前にあった

( ^ω^) 「ただいまーだお」

J( 'ー`)し 「・・・おかえりなさい」

元々カーチャンはお喋りなほうではないし
明るくも無い。どちらかというと静かに
本を読んでいるようなシーンが似合いそうな人だ

( ^ω^) 「カーチャン?なんか元気ないかお?」

J( 'ー`)し 「そんなことないよ 大丈夫 大丈夫よ」

そう、いつもみたいに答えたカーチャンだったが
誰が見てもその周りの空気は「大丈夫」ではなかった

( ^ω^) 「カーチャン・・なにかあったかお?」



  
12: プレゼントはCcup :2006/12/10(日) 00:19:02.50 ID:9YPxJe+J0
  
J( 'ー`)し 「ううん それより、今日は宿題ないの?」

ブーンはうまい具合にかわされたことなど気にもかけず
宿題、の言葉に完全に意識を取られていた

( ^ω^) 「今日はないお、夏休みも近いし日誌やれってことだお・・多分・・」

J( 'ー`)し 「そう・・先におわらしちゃいなさいね」

毎年そうは言われるし、自分でも一週間で終わらせ
後は遊びに専念しようとは思うのだが、2〜3ページ
やり始めるとわからないところがあったりで
ぐだぐだのまま最後まで残ってしまう
結局モララーに教えてもらいながら
ほとんど写させてもらって提出する始末だった



  
13: プレゼントはCcup :2006/12/10(日) 00:28:43.69 ID:9YPxJe+J0
  
ブーンは逃げるように部屋に戻り
結局いつものようにゲームを始めた
この時間は永遠に続くものだと
誰もがそう思う。本当に心の底から。

( ^ω^) 「(明日はここまで進めて・・)」

休みの日は、予定が入っていなければ
大抵はゲームをやるか、読み飽きるほど読んだ
漫画をもう一度目を通し一日が終わる
その一日の意味なんてことを考えもしなかった

ブーンはそんな毎日でも楽しかった
学校に行けばみんなと会え、話せ
変わらぬ毎日が過ごせる
そう思うだけで幸せだった



  
16: プレゼントはCcup :2006/12/10(日) 00:34:55.31 ID:9YPxJe+J0
  
布団に入れば自然と眠り、朝日が昇る頃に目が覚める
ご飯を食べていれば母が布団をたたく音が聞こえる



だが、今日はどこか違った
ブーンは眠気がなくなる頃から感じていた
妙な違和感を だがそれはきっと小さいことで
言われなければ気づかないことだったろう

ブーンにとっては、その程度のことなのか
はたまた、体がそうさせていたのか

J( 'ー`)し 「ブーン・・いいかな」

( ^ω^) 「ん?なんだおカーチャン」

歯を磨き終わり部屋に戻りゲームを始めようとすると
ノックとともに母の声が聞こえてきた



  
18: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 00:46:17.89 ID:9YPxJe+J0
  
母は力なくブーンの前に座ると顔を見ようとしなかった
無言のままおそらく2分ぐらいは時が過ぎただろう
ブーンは緊張して肩を強張らせている

J( 'ー`)し 「あの・・ね」

ブーンは黙ったままで聞いている

J( 'ー`)し 「これからね・・今以上に、あなたに迷惑かけることになるわ」

J( 'ー`)し 「あなたが保育園の頃みたいに・・また貧乏になると思う
       カーチャン、仕事で家にいない日が多くなると思う」

ブーンは今一話の内容を理解していなかった
こういうときは過程などどうでもよくなる
早く結論を聞かせてほしかった
頭の中には、カタカナ4文字の流行語みたいな
ものが浮かんでいただがもっと思いがけない言葉を
耳の右から左に流すような形で聞くこととなる





J( 'ー`)し 「カーチャンとトーチャン・・別れることになったの」

外ではセミがその声を掻き消すぐらいにうるさかった



  
19: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 00:52:44.41 ID:9YPxJe+J0
  
こういうとき、普通の人間は汗がでるのだろうか
しかしブーンはもとより汗かきなのにかかわらず
仕事を待っている扇風機がいる部屋で
額に一滴もそれは存在しなかった

( ^ω^) 「・・・・」

J( 'ー`)し 「あの・・ね トーチャンとカーチャン、考え方がね 合わなかったみたい」

ブーンは耳だけに神経を研ぎ澄ませていた

J( 'ー`)し 「トーチャン・・もう、家には帰ってこないから。荷物はもってってるから」

いつのまにだとか、どこにだとか、そんなことは
一切考えようとさえしなかった。それは父を苦手とする
ブーンの本質的なものか、今目の前にあるその現実を
受け止めることに一杯なせいか、別の何かかはわからなかった



  
20: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:00:09.08 ID:9YPxJe+J0
  
後、色々言っていたみたいだったがブーンは聞いていなかった
その少し後にもはやカーチャンの口癖とも言える、あの台詞が飛び出した



J( 'ー`)し 「ごめんね  ごめんね ブーン・・・ごめんねぇ・・!」

そう言い終ると、おお泣きした
母が声を荒げて泣くのを見たのはこれで二度目だった
ブーンは何もいえなかった
言いたくなかったのか 言えなかったのか
言ってはいけなかったのか 言わないほうがよいのか
よくわからなかった

そもそも、離婚するということがどういうことか
それを理解できなかった。普段から帰りの遅いトーチャン
顔もたまにしか見ないし、一週間のうちに数回しか言葉を交わさない
その人がいなくなったところで、何か変わるだろうか
そんなことを考えこんでいた



  
21: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:11:12.25 ID:9YPxJe+J0
  
( ^ω^) 「カーチャン・・」

( ^ω^) 「カーチャン、大丈夫だお。元々トーチャンあんまり家にいなかったし
      そんなに変わることなんてないお」

カーチャンはそんなブーンの言葉を聞いてかそうでないか
声を大きくして泣き続けた。夏の蒸し暑い一日
風も吹くともなく幻想のように揺らめく蜃気楼
家族はそこにいるのか、いたのか いくのか

J( 'ー`)し 「あの・・ね それでね」

J( 'ー`)し 「月に1回は、ブーンとトーチャンと二人で会って食事をしてほしいの」

( ^ω^) 「食事・・かお?」

J( 'ー`)し 「嫌かしら・・」

このタイミングでこの質問に、答えはひとつしかなかった

( ^ω^) 「そんなことはないお」



  
23: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:16:51.26 ID:9YPxJe+J0
  
J( 'ー`)し 「でね・・今日何だけど、夜トーチャンも仕事早くあがるらしいの」

この言葉だけで意味は十分にわかった

( ^ω^) 「・・・わかったお。」

それから母は何も言わず部屋をでていった
ブーンも、小一時間ほどボーっとし、後はいつもと変わらず
ねっころがったりしてみた  ただ、部屋からでることはなかった

( ^ω^) 「それじゃ、いってくるお」

J( 'ー`)し 「いってらっしゃい」

いつも学校に行く時と変わらぬ光景
違うところといえば、鳴らされたインターホン
そして玄関の向こうにいる父、そして待っている車だった



  
26: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:22:13.57 ID:9YPxJe+J0
  
二人は車のなかで無言のまま、30分ほどすると
小さな鰻専門の料理屋についた。ここは以前家族三人で来たことがあった
トーチャンがそれを覚えてるか無いでかは定かじゃない

案内されるまま席に座る二人

(´・ω・`)「・・・すまんな」

一言、そう呟いた
なにが「すまない」なのか、深くは考えなかった
ブーンは本当に家族かというほど、トーチャンに慣れていなかった

(´・ω・`)「お前には、苦労をかけるだろう お金のめんでも 他の、色々も
      それも、相談なしに勝手に進めてしまって。」

( ^ω^) 「・・二人だけの の問題ではないけど、二人の問題であることにかわりはないお」

(´・ω・`)「そうか・・・」

そこで店員のお姉さんが注文をとりに来た
トーチャンは鰻丼 ブーンはひつまぶしを頼んだ



  
27: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:25:37.23 ID:9YPxJe+J0
  
メニューが届くまで、二人はまた無言になった

(´・ω・`)「トーチャンな」

切り出したのはトーチャンのほうだった

(´・ω・`)「トーチャン、新しく女の人と暮らしてるんだ」

おそらく普通ならここで怒りとか、衝撃を受けるのかもしれない
ただ、ブーンはまったくそんな感情がなかった
その父の言葉の意味に気づくのも、数年後のことだった
その時は本当に何も考えていなかった

J( 'ー`)し 「トーチャンは・・一人では生きていけない人なの」

そう、カーチャンが言っていたのをふと思い出した



  
29: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:29:42.06 ID:9YPxJe+J0
  
( ^ω^) 「そうなのかお・・いただきますだお」

ブーンは、軽く流すように返事をすると
置かれたふつまぶしをかき混ぜ始めた

(´・ω・`)「月に一回は、お前と会おうと思う 今までちゃんと話したことすらなかったしな
      めいわくか?」

母と似たようなことを聞かれ、また、同じように答えた

その後は、普段のようなたまに顔を会わせたときに話すような
内容ばかりの会話となった。二人とも話を広げるのは得意ではない
ブーンは、心の中で評論家気取りに味を楽しんでいた

特に盛り上がるでもなく会計を済ませ車に乗り込もうとすると
トーチャンから思いがけない言葉を聞くことになった

(´・ω・`)「・・・ゲームセンター、行くか?」



  
32: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:34:23.33 ID:9YPxJe+J0
  
( ^ω^) 「いくお!」

一瞬無邪気になった自分に少し驚きながら
内心ではものすごく喜んでいる自分もいた
それはトーチャンとこういうところに行くのが初めてなせいか
ゲームセンター等ない田舎で、そのものが楽しみなせいなのか

(´・ω・`)「こういうところ、来たことあるか?」

言葉なく首を横に振ると、すぐに目線を前に向けた
大型アミューズメントパーク ━━━ 子供達には堪らない刺激のある場所だ
なぜトーチャンがこんな所を知っているかは不明だった

( ^ω^) 「す・・すごいお・・」

やかましいまでのその音は、昔テレビで見た
ドラマの中のパチンコ屋を思い出させるようだった
そのときには確か、トーチャンが横にいた。



  
33: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:37:44.59 ID:9YPxJe+J0
  
(´・ω・`)「これ、両替するんだ」

そう言い1000円札をブーンに渡した
ブーンの興奮は最高潮に達していた

まずは手始めにアーケードゲームから
サブマシンガンやら火炎放射器を手に入れながら
戦車をぶつけたりして敵の本拠地に進むゲーム
横スクロールなど、家庭用ゲーム機でやりなれているはずなのだが
こういう場所でやると新鮮で、楽しさは比にならなかった

(;^ω^) 「おっお・・難しいお お」

やりなれていないスティックも手伝ってか
二面であっさり終わってしまった

( ^ω^) 「まったく・・あんなの動きにくいお・・あれ、トーチャンはどこだお」

捜してみると、なにやらライフルを構えているトーチャンが遠くに見える



  
35: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:41:25.24 ID:9YPxJe+J0
  
(´・ω・`)「・・・・・」

飛んでくるUFOの影を撃つゲームだった
どういう仕組みかはわからないが、ブーンはこういった
体験型のゲームを始めて見、感動していた
その瞬間、父は引き金を三回連続して引いた

玉は見事に影を貫き、点数版はクルクル回っていた

( ^ω^) 「トーチャン・・すごいお 意外だお」

(´・ω・`)「お前もやってみるか?」

次のUFOが来る合図が鳴り出すと、急いでブーンは銃を引き取った

(´・ω・`)「わきを締めるんだ・・そこ!」

父の掛け声とともにトリガーを引くも、玉は明後日のほうをとんでいった
なんなくこなすトーチャンを見て、簡単なものだと思っていたが
意外とうまくはいかなかった



  
37: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:46:49.59 ID:9YPxJe+J0
  
ブーンはそれ以上に、子供と一緒にはしゃげるトーチャンに
少し申し訳なく思っていた。冷徹な機械人間・・ボスの一件がなければ
そのぐらいにも思っていたトーチャン。そのトーチャンが、今自分とこうして
ゲームセンターで遊んでいるのだ

それは、結ぶにはあまりにも遅すぎた親子の絆だったのかもしれない

ゲームセンターで一通り遊び終わると
ブーンは眠い目を擦りながら車から窓の外を見ていた
うつろうつろなっていると、トーチャンはブーンが寝ていると思ってか
独り言のように一言言い放った

(´・ω・`)「どこにいても・・なにがあっても 俺とお前は・・親子だからな」

ブーンはもっと早くこの人ときちんと話せていたらと思うと
今までの自分を恥じた。トーチャンが、いかに偉大な人間なのかと
家族のために毎日毎日顔を会わせる時間もなく働き
会えば心配する言葉だけをかけてくれていた
自分はそんなトーチャンから逃げていたのだ

二人の離婚はそんな自分にも原因があるのではないのか
そんなことまで考えてしまうほどだった



  
39: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:52:05.60 ID:9YPxJe+J0
  
家に付く頃にはすっかりシートに体を任せる形になっていた
トーチャンに揺すられると、睡魔とともにシートベルトを払いのける
頭はボーっとしたままだった

(´・ω・`)「お前・・俺のCD、聞いてたよな」

( ^ω^) 「お?BEATLESとか・・STONEZとかよく聞くお」

ブーンはその頃から音楽に興味を持っていた
といっても、同世代の若者が好むようなアイドルグループや
背伸びをした邦楽のものとは違っていた
トーチャンやカーチャンの大好きな、 6、70年代の音楽だった

(´・ω・`)「・・・これ、もってけ」

( ^ω^) 「!!!!!」

トランクから取り出したのは新品のギターだった
みるからに安物なのは、素人のブーンでもわかった

(´・ω・`)「会社の人からもらったんだ 暇だったら、練習したりとかいいかもな」

真意は定かではないが、ブーンは言われるままにギターを受け取った
急のことなのであまり嬉しいのは表情にでなかったかもしれない



  
42: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 01:56:37.16 ID:9YPxJe+J0
  
( ^ω^) 「あ・・ありがとうだお」

(´・ω・`)「今日は色々すまなかったな。急なことで」

( ^ω^) 「楽しかったお トーチャンと、少しでも話せてよかったお」

(´・ω・`)「そうか・・ それじゃ、また今度な」

そういうと父は再び車に乗り込んだ
ブーンは無言のままトーチャンに手を振った
車は静かなエンジン音とともに帳へと消えていく

( ^ω^) 「ただいまだお」

J( 'ー`)し 「おかえりなさい・・あら どうしたの?それ」

( ^ω^) 「トーチャンがくれたんだお」

J( 'ー`)し 「そう・・」

カーチャンは昔、トーチャンがブーンが音楽をやってくれたらな
なんてことを口にしていたのを忘れていなかった
トーチャンは結構な音楽好きで音響への拘りも人一倍だった



  
48: ◆QueeniallQ :2006/12/10(日) 02:02:56.51 ID:9YPxJe+J0
  
( ^ω^) 「・・・・」

部屋で一人、ベッドに置いたギターを眺めるブーン
これでいいのだ これで そんなことを心の声でしゃべっていた

恐らくこの親子は離れ離れになることによって
深まる部分もあるのだろう。そう、それはあまりにも遅すぎた
少しだけ考えを変えてみたり、違う方向からみてみたり
それだけで物事というのは正反対に動いたりする
それがいいことか悪いことか、それはわからない
そもそも良い悪いで決めてしまうようなことではないかもしれない


その夜、ブーン本人が生まれた時、その日以来
もっとも長い時間を共有した二人の親子
複雑に絡み合う感情の糸が少しだけほどけたようだった
下手糞にかき鳴らされるギターのでたらめなメロディには
どこか寂しげに、哀愁をそそられるものがあった



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