( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです
- 3: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:29:00.83 ID:nI73HUP30
- 第三話『ご主人様(その二人目)』
「メイド喫茶○○です〜♪」
そう言ってチラシを配るのは、妙な衣装を着たつくり笑顔の女たち。
家電製品から何に使うのかわからない電気コードまで、この街は電気ならなんでもあり。
ちょっと先のビルからは、猫耳をつけた8メートルくらいあるメイドがにっこり笑顔。もちろん二次元。
そう、ここは天下に名だたる秋葉原だ。
- 4: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:31:05.16 ID:nI73HUP30
- ('A`)「…お前、こんなとこで働いてたのか?」
从'ー'从「そうだよ♪」
( ・∀・)「どうやって就いたんだ?まさか自分で選らんだわけじゃあるまい」
从'ー'从「んーとね、スカウトされちった」
(;・∀・)「そうやって知らん人にホイホイついていくのやめたらどうだ」
渡辺が俺の家に来た時もそうだった。他人に対して何の抵抗もないのだろうか。
まあ、そこが長所でもあるかもしれないけど。
- 6: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:33:47.08 ID:nI73HUP30
- 从'ー'从「ついたよ〜」
('A`)「『ネコ喫茶☆あきば〜にゃ(はぁと)』……看板ぶっ壊していいか?」
( ・∀・)「待て、俺が先だ」
破壊衝動を抑え、中に入る。「おかえりなさいませ♪ご主人様」って…勘弁してくれ。
内装は俺の予想していたものと違い、普通の喫茶店より小奇麗、といった感じだ。ある意味期待はずれと言ったとこだろうか。
- 8: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:35:47.19 ID:nI73HUP30
- あ、そうだ。何故俺達がこんなところにいるのか説明しなくてはならない。
話は金曜の夜、渡辺が風呂から出てきたところからだ。
('A`)「おい渡辺…お前、この服って…」
从'ー'从「あ、ばれちゃったか〜」
( ・∀・)「バイト先、メイド喫茶だったのか?」
从'ー'从「そうだよう♪秘密にしててごめんねっ」
- 9: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:36:31.82 ID:nI73HUP30
- ('A`)「そうと決まれば…」
( ・∀・)「話は早いな。明日あたり行ってみるか」
从'ー'从「なになに!?もしかして犯人わかった??」
( ・∀・)「まだわかんねーけど、客が犯人である可能性は高いな」
从'ー'从「そうなの〜?みんなすごいすごい」
('A`)「少しは考えろや馬鹿」
まぁ、ここからはいつものやりとり。
- 10: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:39:17.35 ID:nI73HUP30
- …
内装は変じゃなくてもさすが秋葉原、中はその手の客でごった返していた。きっと人気のある店なんだろう。
俺の着ている細身のジャケットやサテンネクタイが、ここでは完全に浮いている。ドクオの金髪も同じく。
怪しまれないよう渡辺を着替えに行かせ、俺たちは空いたばかりのテーブルに着き、とりあえずコーヒーを頼む。
('A`) 「見回したが…どいつもこいつも容疑者にしか見えねえ」
( ・∀・) 「見慣れてないってのもあるからねぇ」
('A`) 「そりゃお前、俺はアキバなんか来たこともなかったからな」
( ・∀・) 「んー、まずは渡辺が出てきたら客の反応を見よう。それで何かわかるかもしれない」
- 11: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:42:38.86 ID:nI73HUP30
- 从'ー'从「おーまたせっ♪」
出てきたのと同時に客の「おおっ」という声。
そりゃそうだ。ただでさえかわいいのに、猫耳メイド服。見慣れているはずの俺でも少し見とれてしまった。
从'ー'从「ご主人様♪にゃん♪」
('A`) 「天職だなおめー。どんだけ似合ってんだ」
悪態を付きながらも、俺とドクオはさりげなく店内を見回す。
しかし、挙動不審な者は一人もいなかった。正確に言うと、皆不審すぎて見分けがつかない。
- 15: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:47:49.23 ID:nI73HUP30
- とりあえず普通に俺は小声で渡辺に言う。
( ・∀・) 「バイトしてろ。顔覚えるくらいはやっとく」
从'ー'从「うん!それじゃいってきますにゃん♪」
(;'A`)「にゃん、てのは何とかならねえのか」
( ・∀・) 「それ言っちゃ『あきばーにゃ』の意味がないよ、ドクオ」
('A`) 「マジで看板ぶっ壊すか…」
その後、俺とドクオは念入りに店内を見回した。
トイレに行くにも客を横目で見ながら。入れ替わりする客も入念にチェックしたが、これといって何かあったわけでもない。
- 16: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:50:31.12 ID:nI73HUP30
- <ヽ`∀´>「ミューちゃんかわいいニダ!」
从'ー'从「ふふふ、ありがとにゃん♪」
( ´_ゝ`)「ミューちゃん、コーヒーおかわりお願い」
从'ー'从「はーい!いま行くよーん」
(*´_ゝ`)「ホントにミューちゃんはかわいいなぁ」
(´<_` )「ミューちゃん目当てで来てるようなもんだからな」
ミューというのは源氏名だろう。どうやら渡辺は人気みたいだ。
まさにひっぱりだこを体現している。当然っちゃ当然だが。
- 17: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:53:09.11 ID:nI73HUP30
- (*‘ω‘ *) 「コーヒーお待たせしましたっぽ」
('A`) 「おう、そこ置いといて」
(*‘ω‘ *) 「ご主人様、まぜまぜはしますかっぽ?」
(;'A`)「まぜまぜて…いや、普通にそこ置いとけ」
(*‘ω‘ *) 「わかりましたっぽ♪ご主人様♪」
('A`) 「ようやく行きやがった…。あんなピザでもメイドかよ」
(;・∀・) 「ドクオ、そういうことは胸にしまっとけ」
- 18: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:56:09.30 ID:nI73HUP30
- 変なピザ店員は来たが、収穫はやはり得られなかった。
ドクオは「あの話しかけてた双子みたいな奴が怪しい」と言っていたが、これといった根拠はない。
どれも怪しく見えるのだから仕方ないだろう。奇異の目で見ている内は埒があかないのかもしれない。
とりあえずまだバイトが残っている渡辺を残し、俺達は店を後にし駅前の(普通の)喫茶店で時間を潰すことにした。
- 19: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 00:59:25.82 ID:nI73HUP30
- ('A`) 「見当がつかねえぜ、あれじゃよ」
( ・∀・) 「確かに。オタクだったら違いがわかるんだろうがなぁ…」
('A`) 「今からなったっておせえよ」
( ・∀・) 「なるつもりなんかこれっぽっちもねーよ」
くだらない話題を交えつつ今日の反省をしていると、渡辺から着信が来た。
( ・∀・) 「おう、終わったか?」
『たたた助けて!怖いよー!』
- 20: ◆dIeazkfFEk :2006/12/15(金) 01:01:56.09 ID:nI73HUP30
- (;・∀・) 「どうした!?奴が出たか!?」
『今ゲームセンターなんだけど…階段の下からこっち見てる…』
(;・∀・) 「どこのゲーセン!?」
『えっと、駅前の、五階建ての赤いとこ!早くきてー!』
( ・∀・) 「店行く途中にあったとこだな!すぐ行くからトイレでも何でも隠れてろ!行くぞドクオ!」
('A`) 「会計は済ましといたぜ。飛んで火に入る何とやら、だな!」
手がかりのない今、射程圏内に入った犯人を逃すわけにはいかない。
俺とドクオはゲーセンへと向けて走り出した。
つづく
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