( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです

  
4: 黒豆(三粒) :2006/12/20(水) 04:57:10.48 ID:6Vn05Xx40
  
第六話『クリスマスプレゼント(その一箱目)』

『日本は真冬ですが、オーストラリアは今、常夏のクリスマスを迎えようとしています…』
師走も半ばまできたというのに、俺は別に大掃除をするわけでもなくだらけていた。
同じ部屋には毎度おなじみドクオと渡辺のセットだ。あんたもお歳暮にひとついかが、ってな感じ。



  
5: 黒豆(三粒) :2006/12/20(水) 04:59:26.31 ID:6Vn05Xx40
  
('A`) 「あー…いいなぁ、オーストラリアは」
从'ー'从「海すごーい!ちょーきれーい!」
('A`) 「お前は砂でお城でもつくってろ」
从'ー'从「やだやだ!海で遊ぶー!」
( ・∀・) 「…お前、泳げないだろ」
从;'ー'从「およげr…およ…泳げないもん!!」

やっぱり、渡辺は馬鹿だ。



  
6: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:00:57.51 ID:6Vn05Xx40
  
アホなやりとりをしている間にも、テレビのニュースは続いていく。
汚職にテロに放火に…いい話題と言えばプレステ3くらいだ。
みんな年末で忙しいんだろう。それと正反対だが、俺は暇ってレベルじゃねーぞ。
そんなくだらないことを考えていたら、とあるニュースが目についた。
『今朝8時ごろ、○○公園で矢ガモが発見され…』

( ・∀・) 「おっ、これって近所じゃねーの?」
从'ー'从「ほんとだー。カモ、かわいそうだね…」



  
8: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:03:59.97 ID:6Vn05Xx40
  
『柄の部分にハートのマークが刻まれており、警察ではこれを…』

('A`) 「ハートだってよ。ふざけてんのか」
( ・∀・) 「毎年いるよなぁ…こういう馬鹿が」
从'ー'从「馬鹿じゃないもん!」
( ・∀・) 「おめーじゃねえよ馬鹿」('A`)

その時は、矢ガモのことなんて気にもとめなかった。かわいそうだが俺には関係のないことだ。
普通は誰だってそう思うだろ。俺だって、まさか自分に関係してくるなんて思わなかったさ。



  
9: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:06:36.91 ID:6Vn05Xx40
  


( つ∀-) 「ふぁ〜…ねみぃなぁ」
今朝のメシ当番は俺。朝っぱらからスーパーへ行き、材料を買いだめなくてはならない。
我が家のメシは当番制だ。うまかろうがまずかろうが、自炊なら安く済むというのが主な理由。
俺だってさして旨いものをつくるわけじゃないが、当番になったからには少しこだわりたい。
( ・∀・) 「ま、こんなもんかね」
結局ベーコンと卵とパンを買っただけだった。こだわりもクソもねえわな。
まあ、朝はろくに食わないあの連中ならこれで十分だろ



  
10: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:08:54.65 ID:6Vn05Xx40
  
帰り道、ふと昨日のニュースを思い出した。
そういえばあの公園はこの近くだ。少し見に行ってもいいだろう。どうせまだ二人は寝てるし。

( ・∀・) 「おお!意外に綺麗じゃねえか!」
都会の中にあるから狭いと思い込んでいたが、公園はかなり広く作ってあった。
そろいのタイルで整備されており、ちょうど真ん中が池になっていて、そこでカモが数羽泳いでいた。
( ・∀・) 「ここが現場か。これだけ木があれば死角くらい……あれは!」



  
11: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:13:03.96 ID:6Vn05Xx40
  
茂みの中から俺が見つけたのは、カモの死体だった。
頭部を矢が貫いている。
(;・∀・)「ひでえ…誰がこんなことを」
背のところにハートのシールが張られていた。昨日と同一犯と見て間違いないだろう。

…その時、気づいた。死体が、わずかだがまだ温かい。



  
12: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:17:22.21 ID:6Vn05Xx40
  
(#・∀・)「近くにいる!」
この公園はいろんな路地に繋がっている。選んだ道は池から一番近いところ。
急いでそこへ行く。ビンゴ!黒いパーカーを着た奴が逃げていた。
(#・∀・) 「待てやコラァ!」
俺は全力で走った。これでも厨房のときは駅伝選手だったんだぜ。

そんな脆い自信は一瞬で崩された。



  
13: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:18:46.64 ID:6Vn05Xx40
  
とてつもなく、速い。ぐんぐん引き離されている。
(;・∀・) 「ハァ、ハァ…ちくしょう!」
背中にケースのようなものを背負っている。重いのか軽いのか判別つかないが、あの中に弓が入っていると見て間違いない。
なんとか前に回ってせめて顔だけでも、と考えたが、恐ろしいスピードだ。
あっという間に巻かれてしまった。あれじゃ自転車があっても追いつけるかどうか。

(;・∀・) 「糞ッ…無駄な体力使っちまった…」
疲れきった俺は立ち止まる他無く、犯人は既に見えなくなっていた。



  
14: ◆dIeazkfFEk :2006/12/20(水) 05:19:12.90 ID:6Vn05Xx40
  
( ・∀・) 「あ…材料、置いてきちった」
戻るより他ない。ま、話題がひとつ増えただけか。

この時はそう思っていた。
今になって言うと、この鬼ごっこが間違いだったんだ。


つづく



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