( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです

  
3: ハマグリ :2006/12/22(金) 21:28:11.55 ID:KkT1sEaq0
  
第八話『クリスマスプレゼント(その三箱目)』

カタカタカタカタ…と、俺の部屋にキーボードの音が響く。
兄者の流れるような手つきは、まるで何かの職人のようだ。見慣れてない俺には少し気持ち悪いが。
( ´_ゝ`) 「これでよし…ポチっとな」
アイコンがクリックされた瞬間、画面に近所の路地裏が移った。それと同時に歓声が上がる。
('A`) 「おお!すげえ!」
从'ー'从「兄者たんすごーい!」
(*´_ゝ`) 「ポッ…お褒めに預かり光栄です」
('A`) 「まあ、そう固くなるなよ」
(#´_ゝ`) 「お前に言うてないわ!」

俺の部屋の馬鹿度がずいぶんと上がってしまった気がする。



  
4: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:32:43.91 ID:KkT1sEaq0
  
( ・∀・) 「けっこう時間かかったな」
( ´_ゝ`) 「馬鹿言え、これでも早い方だ。弟者、戻ってきていいぞ」
『把握した』

数分後、馬鹿コンビの片割れが帰宅した。
( ´_ゝ`) 「うまくいったみたいだな」
(´<_` )「おうよ兄者。この程度の作業でヘマはしない」
( ´_ゝ`) 「流石だな俺等」



  
6: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:35:54.66 ID:KkT1sEaq0
  
改めて紹介しよう。
こいつらの名は流石兄弟。渡辺がバイトしているメイド喫茶の常連だ。
奴らは家に上がるや否や、寝室でホコリを被っていた我が家のパソコンを勝手に引っ張り出しいじくり始めた。
渡辺曰く、从'ー'从「パソコンにすごいんだからねー!」とのことだが、生憎と俺はパソコンに詳しくない。機械はド素人もいいとこ。



  
7: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:41:44.29 ID:KkT1sEaq0
  
( ´_ゝ`) 「取り付けた所は、犯人を見つけた現場、それから公園に続く路地裏、このマンションの玄関だ」
('A`) 「なんでこの三箇所なんだ?」
(´<_` )「現場と路地裏は出現率が高いと踏んだからだ。玄関は…手紙の一件もあったし、念のためだな」
('A`) 「…寝ずの番の始まりってわけかい」
こうして考えてみると、いかに無防備だったかよくわかる。
このマンションはけっこうな築年数だけあってセキュリティが甘い。
部屋はちょうど10階にあるが、それでも建物が邪魔をしているせいかそこまで見晴らしは良くない。
状況的に監視は必須と見ていいだろう。踏み込まれたらいかに三人といえども、恐らく痛手は避けられない。



  
8: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:44:38.66 ID:KkT1sEaq0
  
( ´_ゝ`) 「ついでに、外からカメラと中継機器を見つけ出すのはまず不可能と言っていい」
( ・∀・) 「…その筋の商売でもやってんのかてめーら」
(*´_ゝ`) 「そこには触れるな」
(;・∀・) 「照れんな馬鹿」
馬鹿ではあるがこれだけの技術。アキバ恐るべし。
敵に回したら相当性質が悪いが、逆に言えばその分有利になったということだ。



  
9: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:47:14.60 ID:KkT1sEaq0
  
('A`) 「公園につけなかったのは、やっぱり警察がいるからか」
( ´_ゝ`) 「その通り。まぁ、あれなら付ける意味も無い」
('A`) 「となると、奴が次に狙うのは…」
( ・∀・) 「人、だろうな」
カラスという線も浮かんだが、それならわざわざカモを狙わないだろう。可能性が低い、というだけだが。
('A`) 「パトロール一つに命がけか…まったく。楽じゃねえな」



  
10: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:49:46.59 ID:KkT1sEaq0
  
その日は、五人とも泊り込みでカメラを見続けた。
交代制だったが渡辺は相変わらずだ。兄者と弟者が互いに代役を買って出ていた。
从'ー'从「ありがと♪」
( ´_ゝ`) 「とんでもない!渡辺様と交代できるなど、ありがたき幸せ!」
(´<_`#)「…」
どうやら、兄者が代役を頂戴したようだった。弟者が心なしか怒っているようにも見える。
その上、渡辺がお礼にとあげたハッピーターンひとつに争う兄と弟。ガキか。



  
12: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:53:43.66 ID:KkT1sEaq0
  
(´<_`#)「半分よこせ兄者!」
(#´_ゝ`)「いくら弟といえども、それはできんッ!」
(#'A`)「マズい菓子ひとつでゴチャゴチャうるせぇんだよ!」
ドクオがぶちキレて殴、いや、仲裁に入るまで喧嘩は続いていた。
とても命を狙われているとは思えない光景。争いを見ているのに、平和ボケという文字が頭に浮かんだ。



  
13: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 21:55:43.17 ID:KkT1sEaq0
  
話はそれたが、やはり一向に変化は現れない。出るなら夜か早朝だというのは、今までの犯行からわかっていたが。
('A`) 「明日あたり来るんじゃねえのか」
その一言が耳に残っていたせいか、感心してしまった。ドクオの勘はよく当たる。

黒パーカーが表れたのは、宣言どおり翌日の深夜だった。


つづく



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