( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです

  
26: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:36:36.48 ID:KkT1sEaq0
  
第十一話「クリスマスプレゼント(その五箱目)」

『大丈夫か!』
呼び出し音すら鳴らさずに弟者がケータイを取った。準備が出来ている、ということだ。
( ・∀・) 「今んとこかすり傷だ!奴はどこ行った!」
『そこから大通りを避けて公園に向かった!パトカーを警戒してる!』
( ・∀・) 「用心深いな…まだ追えてるか!?」
『何とかな!それと、兄者をそっちへ行かせたぞ。監視は俺一人で十分だ』
( ・∀・) 「連絡は取れてるだろうな」
『ああ、渡辺様が連絡してくれてるが…まったく、美女と夜景を楽しむ暇もないな』
弟者はこんな時でも渡辺に「様」付けだった。おまけに美女かよ。
非常時でも馬鹿なままだったが、一人欠けていたらこんな作戦成り立たなかっただろう。
何とかとハサミは使いよう、と思いつつも感謝。



  
28: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:39:58.69 ID:KkT1sEaq0
  
俺とドクオは弟者の案内に沿って夜の道を走る。
(;'A`) 「ハァ、ハァ、ちくしょう!こんなに走るならバイクでも、ぱくっときゃ…」
(;・∀・) 「流石にそこまで考えて、ハァ、ねえ、よ、ハァ」
二人ともかなり息が上がっている。
ちくしょう、このままじゃ追いつけない。落ち着け、よく考えるんだ。
『T字路を公園と反対方向に…それから手前を右折…』
自分たちがどこにいるかも伝えつつ、弟者の言葉を頼りに地図を頭の中で思い巡らせる。
『ちくしょう!奴が見えないとこに入った!』
(;・∀・) 「焦るな!推測、するんだ、ハァ、ハァ」
そうだ、推測しろ。俺たちは公園に向かい、右折、また右折…。

これは……やっちまった。最悪だ。



  
29: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:43:51.81 ID:KkT1sEaq0
  
先に気づいたのはドクオだった。
(;'A`) 「やばい!奴は一周して戻るつもりだ!」
(;・∀・) 「二人で追跡した裏をかかれたか!戻るぞ!」
急いでリダイヤルボタンを押す…って…こんなときに、電池切れかよ!
(#・∀・) 「畜生ッ!!!」

足がなかなか上がらなくなってきている。

やばい…間に合わない…。



  
30: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:47:36.03 ID:KkT1sEaq0
  


( ^ω^) 「フン…他愛もない奴らだったお」
犯人は、既にモララーの部屋の玄関まで来ていた。
( ^ω^) 「でもまぁ…ここまで手こずらせるなんて、一般人にしては上出来だったお」
犯人がドアノブに手をかけようとした、その時。

「動くな!」

(;^ω^) 「なっ…」



  
32: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:50:38.69 ID:KkT1sEaq0
  
( ´_ゝ`) 「少しでもドアノブに手をかけたら、そのにやけ面が台無しになるぜ」

廊下の隅に潜んでいたのは、兄者だった。距離は約3メートル。手には一本のナイフ。
犯人は、黙って手を上げる。
( ´_ゝ`) 「そうだ、そのまま階段まで下がってもらおうか」
( ^ω^) 「…そんなエモノ一本で、敵うと思ってんのかお?」
構えを取る気配を見せるが、兄者は動じない。
( ´_ゝ`) 「それは貴様が一番わかっているだろう……こいつは、貴様のと同じスペツナズだからな」



  
33: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:53:13.09 ID:KkT1sEaq0
  
「ピストルより性質が悪い」と言われたスペツナズナイフは、旧ソ連の工作部隊が使用していた物だ。
機能はご存知の通り。ボタンを押せばバネの力で刃が約10mすっ飛ぶ。
射程圏内なら、穴を開けるだけの拳銃など比較にならないだろう。

( ^ω^) 「チッ…」
舌打ちをしながら階段まで下がる犯人。
柵から一歩身を乗り出せば、エレベーターの倍速で一階へ「落ちる」ことになる。
( ^ω^) 「何でんなもん持ってんだお…」
( ´_ゝ`) 「軍オタを舐めるなよ…おいモララー、さっさと上まで上がって来い」
ケータイ片手に援軍を呼ぶ兄者。

形勢は、いとも簡単に逆転した。



  
35: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:56:44.12 ID:KkT1sEaq0
  
俺とドクオが上に上がったときにはもう、大変なことになっていた。
( ・∀・) 「まさか兄者が潜んでたとはな…」
( ´_ゝ`) 「敵を騙すにはまず味方から、ってな。作戦考えたのは弟者だが」
('A`) 「おかしいと思ったんだよ・・・渡辺が追跡しながら連絡とれるわけねーだろ・・・」

( ^ω^) 「なんでもいいから、さっさと用件を言えお」
突然、黙っていた口が開いた。犯人への警戒が強くなる。



  
36: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 22:59:34.61 ID:KkT1sEaq0
  
( ^ω^) 「…ったく、こんな結果になるなんて、思わなかったお」
( ・∀・) 「なんで俺たちを狙ったんだ?」
( ^ω^) 「楽しそうだったからだお。勘だお、勘」
(#'A`) 「てめぇ…!」
( ^ω^) 「フヒヒwwそんなに怒らなくても、もう何もしないお、ホントだお」
奴は追い詰められているというのに、この状況を楽しんでいるようだった。



  
37: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:02:11.06 ID:KkT1sEaq0
  
そんな中、兄者があの疑問を口にする。
( ´_ゝ`) 「…ハートマークは、何の意味があったんだ?」
( ^ω^) 「そうでもしないと僕がやったってわかんねーからだお」
('A`) 「それだけかよ…ホントに狂ってやがるな」

( ^ω^) 「それだけ。何も、ないお」



  
38: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:04:52.79 ID:KkT1sEaq0
  
( ^ω^) 「…で、僕は何をすればいいお?」
( ・∀・) 「警察呼んで何とかしてもらうさ」
( ^ω^) 「そいつはゴメンだお」
('A`) 「…じゃあ、このナイフでぐさっとやってやろうか?」
( ^ω^) 「そいつも、ゴメンだお」
ならこのまま大人しくしてろ、とドクオが言った時だった。


( ^ω^) 「僕の名はブーン……今度会うときは、もっと楽しませてくれお」



  
39: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:07:27.13 ID:KkT1sEaq0
  
ばっ、と柵から身を乗り出したかと思うと、ブーンと名乗る男は下へ落ちていった。
(#'A`) 「馬鹿野郎っ!」
ドクオが素早く反応し、柵まで走って手を伸ばす。
だが

(;´_ゝ`) 「……誰も、いない…」
(;・∀・) 「そんな…バカな…」
階下を見下ろすが何も無い。いくら夜といえども、外には明かりが付いている。
死体はおろか、落ちた音すら聞こえなかった。
(;'A`) 「幽霊、じゃ、ねーよな…」
まさか、と俺と兄者で返すが、何が起きたのか皆目わからない。とにかく消えてしまったのだ。
周囲を入念に探すもやはり見当たらず、俺たちは部屋へと戻った。



  
40: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:09:42.49 ID:KkT1sEaq0
  


部屋に戻り冷静になると、結論はあっという間に出た。
(´<_` )「下の階の柵を掴んで、そこの階に下りたんだろうな。」
出た、というかそれしか出なかった。何せあれだけのやり手だ。そんなことができてもおかしくはない。
('A`) 「チッ…だとしたら、逃がしたってことか…」
从'ー'从「まーまー、傷がこんだけでよかったよー」
('A`) 「うっせ」
从'ー'从「なによー!!あたしもちゃんと仕事したじゃーん!!」
('A`) 「落としただけだろ馬鹿」
(#´_ゝ`)「貴様!渡辺様になんてことを!!」
(;'A`) 「…」

どうやら今回は、渡辺に武がありそうだ。



  
41: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:11:41.33 ID:KkT1sEaq0
  
それにしても、
( ^ω^) 「それだけ。何も、ないお」
という一言が、やけに気にかかって仕方ない。
俺には、なんだか嘘に思えて……まあ、こんなこと気にしても、仕方ないか。



  
42: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:13:48.97 ID:KkT1sEaq0
  
从'ー'从「やーいやーいバカどくおー」
('A`) 「お前に言われたk」
( ´_ゝ`) 「バカドクオー」
(´<_` ) 「バカドクオー」
(#'A`) 「てめえら…ぶっ殺す!!!!」
まだまだバカ騒ぎは続くようだ。

どっちにしろ、これにて鬼ごっこは終了。
そういや今日は…クリスマスか。



  
43: ◆dIeazkfFEk :2006/12/22(金) 23:14:25.23 ID:KkT1sEaq0
  
从'ー'从「あ!見て!雪だよおー♪」
渡辺の一言で外を見ると、曇ったガラスの向こうから、真っ白な雪がちらつき始めていた。
('A`) 「綺麗だな…」
从'ー'从「ホワイトクリスマッス!にゃん!」
('A`) 「騒ぐな騒ぐな、ネコはコタツで丸くなってろ」
( ・∀・) 「渡辺の『にゃん』が、がんばった流石兄弟にゃ最高のサービスだな」
あはは、と皆で笑った。喧嘩も自然と落ち着いたみたいだ。

今回は危なかったけど、また乗り切ることができた。
また来年も、こんなバカたちと無事に過ごせますように。

メリー・クリスマス。


エピソードその2『クリスマスプレゼント』 完



戻るエピソード3 第十一話