( ・∀・)と愉快な仲間たちのようです

  
76: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:11:15.32 ID:FeNBJ3L60
  
第十五話『絆創膏(その5枚目)』


日が暮れた公園のベンチに、幸せそうなカップルが座っている。

o川*゚ー゚)o「ねぇ」
('A`) 「なに?」

呼びかけた女の子の顔は、どこか不安そうだ。



  
77: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:14:14.05 ID:FeNBJ3L60
  
o川*゚ー゚)o「…どっかいっちゃ嫌だよ?」
('A`) 「どこにも行かないよ」

当たり前だろ、という感じで男は答える。

o川*゚ー゚)o「…ずっと一緒にいてね?」

何も言わずに、男は相手の細い体を抱きしめた。



  
79: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:17:26.09 ID:FeNBJ3L60
  
('A`) 「うん…ずっと、な」

o川*゚ー゚)o「…大好き」


(ずっと一緒にいるよ
君が幸せなら、それでいい)






  
80: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:20:29.37 ID:FeNBJ3L60
  
('A`) 「…」
ドクオの表情が険しくなる。

あの日、ドクオが殴られたとき、キューは泣いていた。
だから、もう殴られることがなくなるように強くなった。

キューが、もう泣かないように。
キューが、幸せでいられるように。

そんなどうしようもない願望ひとつで、本当はあての無いままここまできてしまった。

(何がしたかったのか、俺は……何が…―――)



  
81: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:23:55.36 ID:FeNBJ3L60
  
('A`) 「…立てよ」

( ゚д゚ ) 「え…」
('A`) 「肩かしてやる。あばらは折れてねえから、安心しろ」
川 ゚ -゚) 「ドクオ…!」

ドクオの表情は険しいままだった。
だが、憎しみで固まった拳は既に緩められ、仇とも言える人間に手を差し伸べている。



  
82: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:27:05.20 ID:FeNBJ3L60
  
( ゚д゚ ) 「……った」
('A`) 「何だよ」

( д )「……俺が…悪かった…すまん…」

謝ったホストの頬に、ひとすじの涙が流れていた。

('A`) 「…いい年して、泣くなバカ」






  
85: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:30:19.89 ID:FeNBJ3L60
  
帰り道、俺とドクオと渡辺はタクシーの中に居た。
クーは、ドクオに万が一手が回らないようホスト側の事後処理をする、とのこと。
まぁ、先ほどの奴を見る限りそんなに難しくもないだろう。

从'ー'从「まったくもー!心配したんだよ!」
('A`) 「…おう」
从'ー'从「走り回ったんだよ!」
('A`) 「…おう」



  
87: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:33:36.22 ID:FeNBJ3L60
  
渡辺への返事も曖昧なまま、ドクオは終始うつむいていた。
当然だろう。
ドクオが背負った傷は、クーの言ったように絆創膏で塞がるようなものではない。

そろそろ到着というときに、ドクオが突然口を開いた。

('A`) 「悪い、先帰っててくれ。少し歩いて帰るわ」
( ・∀・) 「はいはい…了解ですよ」
从;'ー'从「え…怒った?」
('A`) 「怒ってねえよ。んじゃ、あとでな」



  
88: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:37:01.36 ID:FeNBJ3L60
  
ドアが閉じた後も、渡辺はまだ気にしていた。

从;'ー'从「ねえねえ」
( ・∀・) 「ったく…何だよ」
从;'ー'从「怒ってたの?ドクちゃん怒ってた?」
( ・∀・) 「怒ってねえってば」
从;'ー'从「でも降りちゃったよ?」
(;・∀・) 「あのな、男にはこういうときがあるんだ」
从'ー'从「でも…」

変に気にしている渡辺の気持ちを無視して、タクシーはまた走り出した。






  
89: ◆dIeazkfFEk :2007/02/16(金) 22:38:57.51 ID:FeNBJ3L60
  
タクシーから降りたドクオは、タバコをふかしながら空を見上げていた。

('A`) 「(…キューが…幸せなら…)」

('A`) 「(これでもいい、か…)」


空に浮かぶ三日月の明かりが、かすかに曇る。

それが煙のせいかどうかは、知る由もない。



エピソード3・おわり



戻るエピソード4 第十六話