ブーン系情報誌
Boon Novel Magazine
【特集】ぼくらの好きなブーン系
case.1 イントロ氏の場合

どうも。
「俺のオススメ」 私イントロが担当する作品は
( ^ω^)ブーンがシリアルキラーになったようです
です。ブーン系初期の名作。


今回はこのシリアルキラーの魅力を徹底解剖したいと思います。
できるかどうかは不明です。
あ、未読の方はネタばれ注意でお願いします。


(あらすじ)
内藤は離婚した医師の父と共に住む高校生。
普通の高校生と同じく、怠惰な毎日を送っていた。
日課となっているPCを立ち上げインターネットに繋ごうとすると、突如として動画が再生される。
その動画を見た内藤は、自分の中の不可解な感情に気付き始める。

ジャンル分けをするとファンタジー……ですかね。
魔法やなんやかんやは出てきませんけど。
現代風ファンタジー。
自分は見たことないけどこんな世界が実際あるかもしれない……そんな感じです。
この作品の大きな特徴は
 ・顔文字が一切出てこない
 ・エピグラムと呼ばれる手法が使われている
 ・文章力の高さ
が挙げられるでしょうか。 上から行きましょう。1つ目の「顔文字が出てこない」。
顔文字が出てくることを前提としたブーン系の常識を根本から覆したと言っていいでしょう。
この作品のすごいところは顔文字が出てこなくても登場人物の感情の起伏が手に取るようにわかるというところでしょうか。
一般小説のよう、とまでは言い過ぎかもしれませんがブーン系の歴史の中でも随一の文章力であることは間違いありません。
地の文が主体ですが、スイスイと読めるのはこの文章力の高さの賜物でしょう。

2つ目。「エピグラム」。
これは説明するより実際に出した方がいいでしょう。

「人の世の旅路の半ば、ふと気がつくと、 俺は真っ直ぐな道を見失い、暗い森に迷い込んでいた。」
       ―――酒鬼薔薇聖斗「懲役十三年」最後の一節より。
 (プロローグより)

こういった文章が各話の最初に1文づつ存在します。
これらは、実在したシリアルキラーの文章から取っているもので作品に奥深さを出しています。
各話の主題に沿った文章が選ばれている(と思う)のでその話を暗示している……ということもあり、深読みするのも面白いです。

3つ目は「文章力の高さ」。
1つ目のところでも触れましたが、この作品は読ませる文章で作られています。
これからブーン系を書こうと思う人は参考にしてもいいかもしれません。
もちろん一般書籍と比べれば見劣りする部分もありますがね。
長い地の文に押されて未読、なんてことはあまりにもったいないですよ。

文章や表現をつっつくのはこれぐらいにして、内容に入りましょう。

・プロローグ
いきなり人体の解剖シーンからスタートです。
ここで出てくるのは 「ツン」 と 「僕」。
解剖シーンは圧倒的に想像力を刺激してきます。
まるで自分が殺害現場を目撃したかのようなリアリティを感じたり。
プロローグ終盤の2人の掛け合いによって、2人の異常性が浮き彫りになります。
強烈なプロローグで、これを見たら先を気にならずにはいられないでしょう。

・第1話〜第5話
物語全体の 「起」 に当たる部分です。
プロローグから時間が戻り、内藤が普通の高校生であるところから始まります。
あらすじで言ったとおり、内藤はウイルスにより動画を見せられ、自分の中の感情に気付きます。
ここで出てくる 「男」 の殺害シーンは読者にこの作品の色をみせる役割を持っています。
「男」 を殺害し終わって (内藤の意識下での想像の中で) しばらくは日常描写が続きます。
日常描写に安心しているとすぐに人が死んじゃうから油断できません。
この時点で内藤は正真正銘の殺人犯になってしまいます。
ここからが 「起」 の山場で、内藤の人殺しに対する感情の葛藤があります。
人を殺したいという本能と、人を殺したくないという理性。
この葛藤は父を殺され、決着がつきます。
第5話の扉の場面は秀逸。おススメ。

 ・第6話〜第9話
「承」 の部分。ちなみに自分が適当に起承転結を割り振ってるだけでずれがあるかも。すいません。
内藤は2ちゃんねらーという存在になったことをツンに教えられます。
2ちゃんねらーとは簡潔に説明すると、まあ、シリアルキラーです。詳しくは本文内で。
魔少年とかが出てきて楽しいところでもあります。魔少年って今何してんだろ。
6・7話で伏線が張られ、8話からいよいよ2ちゃんねらー同士の殺し合いが始まります。
内藤の最初の相手は心臓を喰い散らかすドクオ。
ドクオとの殺し合いの話のタイトルが弱肉強食。タイトルセンスに嫉妬。たまんねえ。
目玉のペンダントっていいよね。頭の中がヒリヒリするぜ。
あと、佐伯部長の死にはびっくりした。

・第10話〜第12話
「転」 。今更ながらこの分け方は失敗だったかなと思わないでもない。
ここからはもう殺し合いの連続ですね。
自らを公務員と称する日浦たちに攻撃を受けたり待ち伏せを食らったりする内藤とツン。
日浦も城嶋もラスカもブーン系のキャラではないんですけどキャラがはっきりわかるんですよね。
これはもう、1つの才能なんではないかと。
抗護とかと違ってどっちもマッドマックスに悪者ですからね。
殺人鬼が殺人をするために目の前の人間を殺す。
我殺す、故に我あり。 みたいな感じなのでしょうか。
私たちには理解できない世界をよく表現していると思います。

・第13話〜エピローグ
「結」 。
流石にここまで語ってしまっては興ざめでしょう。
内藤とツンの行く末はあなた自身でお確かめください。

こんな感じで、シリアルキラーを語ってみましたが、いかがだったでしょうか。
自分の文章でこの作品の魅力は伝えられないと思います。
とにかく読め! いいから! すぐに! 早急に!
といった感じです。マッハでブーン芸の完結作品へGO!
ではでは、ここまで読んでくださってありがとうございました。
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