( ^ω^)ブーンがパリイを打つようです

1 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:26:41
  

           ・・・七古参の伝説・・・

数多くの悪しき魔物を倒し世界を救い、その後いずこかへ消えた・・・

クジンシー スービエ ダンターグ ノエル
ボクオーン ロックーブーケ ワグナス

いつの日か、彼らは戻ってきて再び世界を救うのだという・・・
世の中が乱れる度に人々は伝説を語り、救いを願った
しかし、平和が訪れると・・・ 伝説は忘れられた・・・

人の世の興亡は繰り返す、
安定した国々による平和な時代が終わり分裂と闘争の時代が始まった

七古参の名は再び語られ始めた そして彼らは来た

だが・・・



  
2 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:35:42
  

酒場の片隅にいた一人の詩人が、子供に引きずられるように中央へと歩いていく。
咳払いをした後にハープを弾き始め、反応するように辺りの喧騒が止む。
彼は風貌から想像も出来ぬほどに、透き通った声を紡ぐ。


「ここに始まるは はるかなる戦いの詩
偉大な帝国と うるわしきVIPの詩
そして代々の皇帝とその仲間達の詩
この詩をうたい終えられるよう
精霊よ、我に力をあたえよ!


今は昔、皇帝ショボンの時 帝国はVIPの小さな国に成り下がっていた。

大陸は麻のように乱れ 争いは絶えなかった。
ショボンは統一の志を立て 日々戦いに明け暮れた。

彼には2人の息子があった。 雄々しきヴィクトールと優しきジェラール。

その日 ショボンはジェラールを連れ モンスターの討伐に出た…」



  
3 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:38:59
  

(´・ω・`)「よいかジェラール われわれはインペリアルワロスという陣形で戦う。
     私が中心に立ち、防御力の高いブーンが後衛
     両脇をモナーとツンが固める。
     お前は私の前に立つ。
     お前のポジションが一番危険だ。
     覚悟して戦え」

(´<_` )「…」

(´・ω・`)「冗談なんだ、すまない。
     ここのモンスター付近の住民も苦しめられている。
     モンスターを追い払い、このダンジョンを封印するのだ」

気を引き締めなおすように、ショボンが4人へ視線を送る。

(´・ω・`)「皆頼むぞ!」

そして、戦いの幕が開ける。



  
4 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:46:10
  

囲まれぬよう、彼らは慎重に歩みを進めていく。
視界の先にビーの群れを捉え、陣形を保ちつつ距離を詰める。

(´・ω・`)「ビーとは言え、油断はするな!」

ショボンの声を合図に、各々は武器をさらに強く握り締める。
ツンのフルーレとモナーの大剣が、ビーを容易く葬り去っていく。

休憩する間もなく、次のモンスター達が襲い掛かってくる。
トカゲの一種、タータラである。

( ^ω^)「ここは僕に任せるお!」

タータラの強靭な肉体から放たれる爪を受ければ、
ジェラールやツンはひとたまりもない。
重装歩兵である彼が、攻撃を受けるため前に出る。



  
5 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:48:58
  

(;^ω^)「ぐうっ…!」

ξ゚听)ξ「ブーン!」

プロテクトスーツで守られているとは言え、その衝撃は計り知れない。
二匹目のタータラの爪が、追い討ちをかけるように襲い掛かる。


爪が眼前に迫る、その刹那


       |
   \  __  /
   _ (m) _ピコーン
      |ミ|
   /  .`´  \
    (^ω^ )パリイ!
     ノヽノヽ
       くく

何かに目覚めたかのように剣を振りかざし、その爪をあっさりと跳ね除ける。



  
6 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 01:51:29
  

( ´∀`)「今モナ!」

その隙を突くように、残りのメンバーがタータラに襲い掛かる。
断末魔の叫びを響かせながら、巨体が地に伏していく。

そして休憩を挟みつつ、残ったモンスターたちを殲滅する。

(´<_` ;)「はぁ…っ、はぁ…っ」

戦いに慣れていないジェラールの呼吸は、連戦によって明らかに疲労を示している。
どれくらいの時が過ぎただろうか、モンスターの姿は周囲から完全に消え去っていた。


(´・ω・`)「ご苦労だった皆。封印を施した後、VIPに帰還するぞ」

戦いを終え、彼らは帰途につく。
城下町で出迎える子供たちや住民に応えるジェラール、
安堵の笑みを浮かべながら談笑するブーン達、そして急かすように視線を送るショボン。



  
7 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:08:10
  

二階への階段前で、ショボンとジェラールは3人と一旦別れる。
階段を上り、玉座まで足を進めると、待機していたヴィクトールが彼らを出迎えた。

( ´_ゝ`)「父上、お帰りなさいませ」

玉座に腰を落ち着かせたショボンから視線をジェラールへ移す。

( ´_ゝ`)「弟者、ケガはないか?」

(´<_`  )「大丈夫だよ、兄者。
      父上の足手まといにならないようにするのがやっとだけどね」

弟の無事を確かめた後、ヴィクトールは表情を引き締めてショボンを見直す。

( ´_ゝ`)「弟者は戦いよりも学問の方に才能があるようです
      無理に戦闘に連れて行かずともよいではありませんか
      戦いは私の務めです」

ショボンは目を細め、少し間を置いた。

(´・ω・`)「七古参が帰ってきたと言うが、争いが収まる気配は無い。
      戦いも当分続くだろう。
      ジェラールも戦闘経験を重ねてヴィクトールの片腕として働かねばならぬのだ」



  
8 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:09:45
  

( ´_ゝ`)「弟者の才能は内政に活かしたほうが…」

ヴィクトールの言葉を遮るように、伝令が扉を開く

彡 ´ー`)「オアイーブという女がお目通りを願っておりますが?」

ショボンはうんざりしたように肩を竦め、一度息子たちの顔を眺める。

(´・ω・`)「またか。連日熱心に通ってくるな。仕方がない。通してやれ」

伝令が去った後、紅いローブに身を包んだ女が現れる。
何とも言えぬ雰囲気を纏いながら。



  
9 名前:名無しさん 投稿日: 2006/06/23(金) 02:10:42
  

(*゚ー゚)「お目通りがかないまして光栄です。皇帝陛下」

僅かな隙間から窺える顔に、3人はやや驚いたように表情を変える。

(´・ω・`)「まだお若いな。魔道士というから相当な年寄りと思っておったわ」

先程と同じように、ショボンは2人へ視線を向ける。

(´・ω・`)「…お前たちは下がってよいぞ」

言われるまま、2人は玉座の間を後にする。
扉を閉めた後、小声でヴィクトールが囁く。

( ´_ゝ`)「あの魔道士今日はついてたな。
      父上が話を打ち切るダシに使ったわけだ。
      弟者、無理するなよ」

そういって、ヴィクトールは階段を下りていく。

他愛も無い日常。
それは少しずつ、確実に崩され始めていた…。

第一話 終





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